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zoom RSS 1-11 Dragon The Festival

<<   作成日時 : 2006/12/08 22:14   >>

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「Childhood’s End」発売一ヶ月後の1985/7/21、
Dragon The Festival (Zoo Mix)が、
12inchシングルとしてカットされた


12inchシングルは通常のシングルよりも長時間の録音、
および高音質での録音が可能なメディアで、
80年代半ばに日本で流行した
しばしばリミックス版などに用いられたが、
TM NETWORKの場合も12inchならではの凝ったアレンジを、
「Dragon The Festival」で試みる


以後一年間、「Your Song」「Come on Let’s Dance」と、
TMのシングルは続けて12inchでリリースされる
遊びの多いTMサウンドには最適のメディアだったと言えようが、
逆に3種の12inchシングルリリース時にリミックスに凝ったことが、
TMサウンドにそのような面が定着する一要因になったといえなくもない


ジャケットは黄色い渦巻きのある背景に3人が写るというもので、
3人とも片手を上に上げている
小室はこの頃の他の写真・映像と少し違い、
ワイルドな雰囲気の髪型になっている




まず「Dragon The Festival」のオリジナルバージョンについて見てみよう
「Childhood’s End」で数少ない盛り上げ曲であり、
先行シングル「アクシデント」と並び、アルバムの代表曲の位置を占める
ライブで演奏されることの少ない「Childhood’s End」の曲の中でも、
「Rainbow Rainbow」「Electric Prophet」「Come on Let’s Dance」「You Can Dance」
と並び、例外的にライブ定番曲としての地位を、
FANKS期を通じて確保し続けた


作詞・作曲は小室哲哉で、
理想郷エルドラドを求めてアマゾンをさまよう冒険家たちの歌である
小室の中にはストーリーがあるらしく、
小室がインタビューでそのストーリーを2時間くらいかけて話し込んだら、
ウツと木根は着いていけずに眠ってしまったという


「Childhood's End」のタイトルがArthur C. ClarkのSF小説から来ていたり、
この後の「Dragon The Festival Tour」が未来小説「Electric Prophet」に基づいていたりと、
小室がSF小説にはまっていた時期であり、
この作品もその一環として考えることができるだろう


おそらくこの曲は、小室としてはもっとも関心の強い世界を描いたものだったが、
「Childhood’s End」の中では、明らかに浮いている
それは曲調についてもそうだが、歌詞について特に著しい

輝くよアマゾンからの風 あふれる水も踊る大地も
何もかも素直に感じられる the biggest view
何千マイルも深い森の 僕らは天を仰ぐ旅人
伝説の行方追いかけるよ journey to saga
やぶれかけた一枚の エルドラド描くピサロの絵
幾千の時を経て 再び夢かなうよ
全ての悲しみを エルドラド空へ消しさる
もどり光り始める 歴史の中のフェスティバル


現実的な歌詞世界の中で、これだけ明らかにファンタジーである
しかもこっそりと入っているわけではなく、代表曲としての扱いである
ただしアルバムが現実的な作風になったのは、
おそらく小坂洋二の指示による方針転換によるものと考えられ、
ならば「Dragon The Festival」はむしろ小室が当初作りたかった音の雰囲気を残しているのかもしれない


曲の長さは7分を越え、当時の邦楽界では異例である
長い間奏に加え、歌は3番まである
小室はお祭りとアマゾンのイメージで作ったという
イントロはサンバ風のパーカッションで始まるラテン系の雰囲気である
正直言って、このイントロはあまり好きではない
なお後に浅倉大介が「Landing Timemachine」で、
サンバ色をより強調したアレンジを発表している


イントロではキーボードなどが加わった後、
「Come on Dragon The Festival! Round & Round Shout it Loud!」
の歌詞を繰り返すサビでが最初に入り、は間奏を挟んで一番が始まる
この間奏は「Zoo Mix」やライブでも使われるが、結構好きなフレーズである
他に自分が好きな部分はAメロの部分で、
希望にあふれた冒険家のポジティブな気持ちが伝わってくるようだ


逆にあまり好きでない部分はサビである
「Rainbow Rainbow」の曲で見せたほどの気持ちよさがない
お祭りの雰囲気が伝わってくるオケではあるが、
全体としてイマイチ感がぬぐえない


ところが、この曲は化ける
大化けする
1度ならず2度も3度も


繰り返すと、自分としてはこの曲は全体としてイマイチと思う
しかしそれにもかかわらず、この曲は何か正体の分からない中毒性がある
それは化けるたびに強まっていく
なぜこんなに気になるのか分からないくらい、
とにかく気にかかって仕方が無い
TMの曲の中でも、もっとも不可解な曲である


ともかくそこらへんの不可解さは、
自分でも説明ができない(文章化できない)ので、
ここではとりあえず12inchシングル版「Zoo Mix」の内容を見てみよう


「Dragon The Festival(Zoo Mix)」は、
原曲と比べて聞くとかなり力が入っている
TMは「1974」などで、以前から楽曲のリミックスを行なっていたが、
それは音の追加や撮り直し、リマスターといった類である
それに対して「Dragon The Festival (Zoo Mix)」は、
メロディこそ同じだが、オケはもはや原曲とまったく別物となっている
ライブ「Electric Prophet」で見せたリミックス作業を、
スタジオレコーディングにも応用したものと言えよう


TMの「Dress」「Classix」や、
TKプロデュース期の仕事(特にtrf)で知られるように、
小室は様々なリミックスバージョンを発表している
小室の一つの特徴と言って良い
80年代後半の12inchシングルブームと表裏の関係にあるリミックスブームは、
やがて沈静化するが、
小室は90年代にもこれに凝り続け、一つのスタイルを確立するに至る
「Dragon The Festival (Zoo Mix)」は、その先駆けと言って良い


全体として「Childhood’s End」の曲調はFANKS期に受け継がれなかったが、
「Dragon The Festival (Zoo Mix)」で見せた大胆なリミックスは、
例外的に受け継がれた
「アクシデント」「Rainbow Rainbow」「Childhood’s End」をつなぐ音だとしたら、
「Dragon The Festival (Zoo Mix)」は、FANKS期との間をつなぐ音と言える


小室によると「Zoo Mix」は、
Duran Duranの「The Reflex」のリミックスに触発されたものだという
なお「The Reflex」のリミックスはNile Rodgersが手がけている
1989年、小室が「Dress」でTM作品のリミックスをNileに依頼したのも、おそらく本作が念頭にあったのだろう


また小室は「Dragon The Festival」制作後に「ネバーエンディング・ストーリー」を見て、
共通するものを感じたと述べている
「ネバーエンディング・ストーリー」の日本公開は1985/3/16なので、
おそらくここで小室が言っている「Dragon The Festival」とはアルバム版のことだろう
ならばその後「Zoo Mix」を制作した際に、
「ネバーエンディング・ストーリー」のイメージはいくらかの影響を与えているのかもしれない


特に本作で強調しなくてはならないのは、サンプラーの使用である
「TM VISIONV」の冒頭では、
スタジオで小室と小泉洋が「Dragon The Festival (Zoo Mix)」を作成する風景を見ることが出来る
この風景は、サンプリングボイスが初めてTMで用いられた場面として貴重である


特にリニューアル以前のTMについては、サンプリングボイスがトレードマークだった
世間一般では1989年の「Get Wild '89」のイメージが強いが、
実はその始まりは「Dragon The Festival (Zoo Mix)」である
EMULATORUは同年の「Vampire Hunter "D"」「Dragon The Festival Tour」にも引き継がれる
おそらくその一つの到達点が次のシングル「Your Song」であろう


この頃小室はPet Shop Boysにはまっていたが、
彼らがヒット曲「West End Girls」で使っていたサンプラーEMULATORUを自らも導入し、
小泉洋とともにサンプリングボイスを音楽に活用することを始めたのである
当時EMULATORUを使っていたミュージシャンとしてはTrevor Hornもおり、
その影響もあったという
小室によれば、コーラスをサンプリングして手で弾いてみたかったとのことであるが、
このパフォーマンスは後のTMのライブの定番となる


「Dragon The Festival (Zoo Mix)」を聞いてみよう
まず重厚なイントロに驚かされるだろう
オリジナルが祭りの雰囲気を表現しているのだとすれば、
Zoo Mixはアマゾンの大自然の壮大さを表現しているのだろうか
正直言ってここだけで、このミックスはオリジナルを超えている


続けて例のサンプリングボイス
Come on Dragon The Festival !
Round & Round… Round & Round RoRoRoRoRoRound &…
CoCoCoCoCome on Come on… CoCoCoCoCome on Come on… 
RoRoRoRound &… Dragongongongongon…

ここは盛り上がる というか、ここが一番盛り上がる(歌の前だが)


歌が始まってからのオケも、原曲より締まっていていい感じだ
パーカッションやピアノのバランスもちょうど良い
間奏も音が逆回転して止まったり、遊び満点
全体として、とにかく豪華という印象を与える作りである


小室もこのZoo Mixは自信作だったようで、
当時雑誌などでもその様子がうかがえる
当時自分のやりたいことを出し切ったという自負があったのだろう
以後TVやライブで「Dragon The Festival」を演奏する時も、
Zoo Mixをベースにアレンジした


この曲の真骨頂はライブバージョンである
以後数段階の進化を遂げ、Zoo Mixを超えるものすごいアレンジとなり、
すでに述べた通り、FANKS期を通じてTMライブの代表曲となるのである
この点については、それぞれのライブの時に取り上げることにする


この12inchシングル、実は両A面シングルだった
もう一曲は「1974(Children’s Live Mix)」
「Electric Prophet」で演奏したライブバージョンである
原曲の約倍の8分で、「Dragon The Festival (Zoo Mix)」の7分を超える
ただしライブ音源ではなく、スタジオ録音である


これもアレンジが原曲と大きく様変わりしているが、
特にイントロがものすごいことになっている
ライブっぽさを出すためか、ボーカルにエフェクトがかかっている
ライブアレンジについては、「1-7 Electric Prophet」で触れたので、
あまり詳しくは触れない
個人的にはライブ音源をそのまま収録するか、
スタジオ録音にするならボーカルを普通に収録して欲しかった


このシングル、オリコン92位と、
今までのシングルよりは多少とも上位に食い込むことが出来た
「金曜日のライオン」=ランク外 「1974」=97位 「アクシデント」=99位)
アルバムからのカットで、
しかも高価格の12inchシングルだったことを考えれば、
まずまずの成績だったと言って良いだろう


当時としてはかなり実験的な音だったにもかかわらず、
ファンに受け入れられたことは、
小室がさらに実験的な作りの「Your Song」を発表する前提となったと思われる

(2006/9/7執筆、2006/12/8・2008/9/28・2016/12/16加筆)

DRAGON THE FESTIVAL
エピックレコードジャパン
1989-09-01
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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
左手をあげているのは小室さんだけでは?
今日は何度CHILDHOOD'S ENDを聴いたかわかりません。
家を大捜索していたら、TM以外にも浅倉大介さんのD-trickやROD STEWARTまで出てきました。
10代の頃のものなんて何も持ってないと思ってたのに…
極め付きはリズレのツアーパンフ!
キャロルの箱の中にCDが入ってないというオチもありましたけど。。。
どうでも良いことばかりで消していただいてもかまいません。失礼いたしました。
iyotae
2014/05/25 18:03
嘘つきました。
十代だけでなく、二十歳超えのものあります。
iyotae
2014/05/25 18:26
あ!本当だ!
「左手」を「片手」に直しておきました
ご指摘ありがとうございます

ロッドステュアートのCDまであるって、明らかにウツの影響ですね(w
ツアーパンフは大事ですよ!
ちゃんと保管してください
私はパンフも含めグッズは一切買わない主義だったので、今となってはしまったなあと思っています
青い惑星の愚か者
2014/05/26 02:54

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