How Do You Crash It? one、配信開始!

Everyone Makes Mistakes.
Everyone Makes Mistakes.
How Do You Hit? How Hit?
How Do You Crash? How Crash?

Everyone Makes Mistakes.
Everyone Makes Mistakes.
How Do You Hit? How Hit?
How Do You Crash? How Crash?

今朝も鏡覗き込む
自分が誰なのか日ごとに
分からなくてなってゆくたび
無性に森を歩きたい

遠くから喧騒が幻想とともに響いてる
文字情報と踊ってる
そしてアプリケーションと舞っている
何よりも最優先する君に
誰よりも声を届けたい

未来は止まらない
地球も止まれない
二人で抱き合って
明日を迎えたい
ささやかな夢

Everyone Makes Mistakes.
Everyone Makes Mistakes.
How Do You Hit? How Hit?
How Do You Crash? How Crash?

Everyone Makes Mistakes.
Everyone Makes Mistakes.
How Do You Hit? How Hit?
How Do You Crash? How Crash?


2021/10/9についに配信された、TM NETWORK再起動ライブ第1弾「How Do You Crash It? one」
御覧になった方々の多くは、好意的な意見を表明されているように見えますが、皆さんはいかがでしょうか。
私は…TMが動くことは本当に嬉しかったんですが、実は内容はそこまで期待していませんでした。
今回は一度引退した小室さんのリハビリのために、短くても一回ライブをやってみるのは良いことだ、くらいの思いでした。


ところが小室さん、この3年間で醸成されたものが一気に噴き出してきたのでしょうか。
演出もアレンジも、冒頭からかなり攻めて来ました。
おいおいおいおい、なんだか夢中になっちゃうよ、涙出ちゃうよ、と困惑しきりでした。

要するに、とっても良いライブだったよ!てことです。


事前に告知されたように、新曲「How Crash?」も演奏されました!
冒頭に挙げた引用は、ライブ映像から「How Crash?」の歌詞を聞き取ったものになります。
おそらく間違いもあると思いますので、その前提でご覧いただければと思います。


ただし今回「How Crash?」は1番しか演奏されませんでした。
「Tetsuya Komuro Studio」でも、最初は全部演奏されないみたいなことを言っていましたので、2番以後は「How Do You Crash It? two」以後に披露されるのだと思います。
あるいは「one」では1番の歌詞、「two」では2番の歌詞に対応した内容になるのかもしれません。


「How Crash?」のサビは口ずさみやすい優しいミディアムテンポのフレーズです。
「Action」みたいな印象でしょうか。
個人的にはBメロ(未来は止まらない~)のところは歌謡曲みたいな感じで、あんまり好きじゃないんですが、イントロから冒頭のサビの流れはとても好きな作りです。
多分今回の再起動の象徴みたいな曲になると思います。


歌詞はまだ1番しか明らかになっていませんが、2004年の20周年以来のTM楽曲と同様、小室さんの心情を歌ったもののように見えます(ここでは小室さんの作詞であることを前提とします)。
たとえば「今朝も鏡」以下の歌詞は、悩んでいる自分の日常を歌っているのでしょう。


「遠くから」以下では、大量の文字情報がやりとりされている中で、ファンである「君」に最優先で自分の声を届けたいと言っています。
また世間一般よりも自分を支持してくれるファンとふれあいたいという発想は、今年に入ってClubhouseや「Tetsuya Komuro Studio」でファンを相手に発信を行なっている今年の活動形態を髣髴させます。
おそらく「How Do You Crash It?」シリーズそのものを含むものでもあるでしょう。


小室さんは「未来は止まらない 地球も止まれない」と言って、変化する現状を受け止めて未来に向けて動こうとします。
これに続く「誰しも間違いを犯すとして、どうやって現状を壊して前に進む? どうやって正解を見つける?」というサビのフレーズ(意訳)は、要するに過去に失敗にとらわれず事態を前に進める意志を前提として、どうやって前に進んでいくかをファンに対して問うていると考えられます。
小室さんはライブタイトル「How Do You Crash It?」の意味として、後述の「WOW Music」で、「今のこの状況・生活みたいなのを、どう壊して次に進もうかというような意味あいがあって」と述べており、「Crash」のキーワードは「破壊」よりもその結果可能になる「前進」に重きを置いて用いているようです。


なお小室さんはファンに対して前に進む方法を問うていますが、これは実際には、小室さん自身が抱えている悩みをファンにぶつけているものと考えられます。
それはかつて、小室さんが再起の意志を表明した「Screen of Life」で、「あなた」に対して「目覚めてるんでしょ? 動かないのですか?」と問いかけたのと同じ文法なのだと思います。


この「How Crash?」を初披露した配信ライブ「How Do You Crash It?」の内容についても、以下で見ていきましょう。
ライブの冒頭は、一人の少女がある部屋に入るシーンの映像で始まります。
この少女については、10/8のTMオフィシャルtwitterに、以下のようにあります。

2015年、任務を完了し姿を消した三人。
バトンは残された潜伏者たちに託された。
How Do You Crash It?三人が戻ってくる。
そのきっかけを作ったのは、ある少女だった。


この少女が何者かはこれだけでは分かりませんが、重要な役どころのようです。
おそらく「two」「three」にも登場するのでしょう。
またこのtweetからは、「How Do You Crash It? one」が、TMが2015年の「30th Final」でファンにバトンを託し地球を去った後の物語となっていることを読み取ることができます。
TMはこの少女の行動がきっかけとなって、地球に帰ってくるようです。


少女の入った部屋には正面・左右に三台のシンセが置かれています。
多分正面がMoog One、左右がMoog Subsequent 37のようです。
今回はライブ中でも、YAMAHA MONTAGE 7、YAMAHA CP88?、ACCESS VIRUS TI、ACCESS Indigo等の他、Moog Oneが多用されていました。


右のシンセが起動します。
このシンセの液晶には「one」の文字が映し出されています。
おそらく正面と左のシンセが「two」「three」で、次回以後起動するのだと思います。


少女は右の「one」のシンセの鍵盤を押してみます。
すると部屋の奥にあるモニターにバトンが映し出されます。
あるいは少女の手元のバトンがモニターに吸い込まれたのかもしれません。
そしてこのバトンは、回転した後に粉々に砕け散ります。
これが「How Do You Crash It?」の物語の幕開けとなります。


場面は半球体構造の部屋。
おそらく宇宙船の中でしょう。
3人が、宇宙船の中を舞台とした2014年のツアー「the beginning of the end」の衣装を着ていることからも、そのことは推測できます。


今回の舞台装置で注目すべきは、彼らの周りに漂っている数十もの三角形の物体です(これなんて表現すればよいんだろう?)。
これは様々な色に発光しながら、様々な形の隊列を組みながら宙を動き回ります(上から糸で動かしているようです)。
これがどういう機材なのか分かりませんが、また面白いものを出してきました。
多分PCのアプリケーションを使って動かしているのでしょう。
この三角形は30thの時と同様に、3人で構成されるTM NETWORKを象徴する形でもあるのでしょう。


もう一つ注意すべきは、演奏が3人だけで行なわれており、サポートメンバーがいないことです。
これまでも2014年の「Quit30」ではギターの松尾和博さんとドラムのRuyさんが舞台裏で演奏し、ステージには3人しか出ていないということがありましたが、今回は(木根さん以外の)ギターもベースもドラムも生演奏ではなく、シンセのようです。
木根さんのtweetにも「三人だけによる最新パフォーマンス」とあり、サポートには言及していません。


これまでも1984年の「Elecrric Prophet」では3人+マニピュレーター、2004年の「Double Decade "NETWORK"」では3人+ギターという編成が試みられましたが、3人だけのライブというのは今回が初めてです。
小室さんはデビュー当初から最小限の人数でのライブを目指していましたが、配信ライブという形態もあり、このたびそれがようやく実現した形になります。
あるいは再起動TM NETWORKは、今後も3人だけで行くつもりなのかもしれません。


さて、配信ライブは宇宙船内の3人の映像になります。
BGMは「Electric Prophet」で、バトンが砕けた場面から流れます。
このライブが「Electric Prophet」で始まるのは、この曲が「30th Final」のエンディングで使われた曲だからであり、つまり「How Do You Crash It? one」の冒頭が「30th Final」の続きのシーンであるためと考えられます。


30thのライブでは、宇宙船内の物語である「the beginning of the end」のラストと、TMが宇宙船から地球に降り立った物語である「START investigation」の(ウツ登場の)1曲目がともに「Beyond The Time」とされ、またTMが過去にタイムスリップして終わった2015年の「Quit30 Huge Data」のラストと、タイムスリップしたTMが地球に降り立った物語である「Incubation Period」(初日)の1曲目がともに「Fool on the Planet」とされるなど、物語の連続性を意識したセットリストを組んできました。
今回もそれと同様の演出をしてきたことになります。


この曲はTM NETWORKのテーマソングであるにもかかわらず、30thでは「Incubation Period」でしか歌ってもらえなかったので、とても残念に思っていたところでした。
イントロが流れている間も、「どうせ歌わずにオープニングSEとして使われるだけだろう」とヒネたことを考えていたこともあり、ウツが歌い出した時は大歓喜でした!


ただ原キーで歌うのはつらかったのか、ウツはこの曲をキーを下げて歌いました。
それに伴い、歌い方も昔とかなり変わっていました。
こういうのを見ると、やはりTM再起動は早く行なうべきだったと感じます。


今回「Electric Prophet」が歌われたのは1番だけで、2番と3番は飛ばされました(それでも7分くらいあったんですけど)。
「Incubation Period」で演奏されたのは3番とサビ繰り返しだけでしたので、なかなかフルコーラスで演奏されない曲です。
今のところフル演奏の最後は2001年の「Tour Major Turn-Round」ですから、なんと20年前となります。
まあ長い曲だから仕方ないのかもしれませんが、この曲だけは今回の再起動の間に、なんとか一度フルでやってほしいです…!!


次は「I am 2013」
今回は前回の30thを代表する曲を、2曲目に持ってきました。
木根さんはギターをアコギからエレキに持ち換えます。


1曲目に昔の大事な曲、2曲目に少し前に発表した新しめの曲を演奏するというのは、2000年の「Log-on to 21st Century」「Kiss You」「Happiness×3 Loneliness×3」)や2012年の「incubation Period」「Fool on the Planet」「Action」)など、長期の活動休止後の再開1回目のフルライブで良く見られるパターンです(今回が「フルライブ」なのかは微妙なところですが)。
三角形の物体は「Elecric Prophet」の終盤ではDNAの二重螺旋状に動いていましたが、「I am」のイントロでは3人の頭上に規則的に並んで発光し、宇宙的な雰囲気をよく出していました。


「I am」最後のサビ繰り返しの後は、通常のアウトロにつながらず、突如違う曲が始まります。
照明も突然暗くなるので、驚きました。
曲は新曲「How Crash?」です。


この曲から3人の衣装が変わります。
とはいえ上に着ている服を白いYシャツに変えただけなのですが、気になるのはイントロの途中で回転するバトンの映像が出ることです。
おそらく冒頭の少女によって3人にバトンが届けられたのは、この時だったのです。


逆にいえばその前の2曲はバトンが届く前、「30th Final」の後の母船の様子であり、だから「30th Final」のエンディングと30thのテーマ曲が歌われたと考えられます。
これに対してバトンが届いた後は、新しい物語として「How Crash?」が歌われます。
衣装はこの間の時間の経過、または段階の変化を表現するものとして用いられていると考えられます。


「How Crash?」が1番だけ演奏されると、木根さんが宇宙船内の三角形と交信します。
三角形には地球の様子が次々と映し出されますが、その映像はいずれも2014年の「Quit30」や2015年の「Quit30 Huge Data」で使われたものです。
実際にはTMには前回地球に降り立って以降の情報が伝えられたことを表現しているのだと思われます。


なぜこの時TMに新しい情報が届いたのかといえば、それはバトンが届けられたからにほかなりません。
冒頭ではバトンがモニターの中で砕け散りましたが、おそらくバトンが砕けると、中に保存された情報が3人のところに届くことになっているのでしょう。


自分たちが去った後の地球の様子を知った3人が最初に演奏するのは、「Action」です。
「僕の行動を君に知らせたい」「僕に行動のチャンスをもう一度与えてくれ」と歌うこの曲によって、TMは地球の新事態に向けて行動を起こすことを宣言したのだと考えられます。
今回この曲が演奏されるのは意外でしたが、私としては大変嬉しかったです。
小室さんとしては、再起を誓ったこの曲の歌詞は、今の心情に近かったのかもしれません。


今回のセットリストは、1999年の再始動以後の曲が半分程度を占めており、ただのヒットメドレーライブになっていないことは評価できるところです。
実は私、今回は復活一回目だし、87年前後の曲ばかりを演奏するヒットメドレーライブになるんだろうと思っていたのですが、その予想は良い意味で裏切られました。


今回の「Action」のアレンジは、シンセのキックドラムを強調した「Incubaiton Period」に準拠していますが、音は違います。
生楽器がなくなったことで、印象が変わった曲の一つだと思います。
シンセで新しいフレーズを入れるなど、色々とこれまでと異なるアレンジとなっていました。


次はまた意外な選曲、「1/2の助走」です。
1994年の「TMN 4001 Days Groove」以来の演奏となります。
歌い方は27年前のような力を入れた歌い方と違い、さらりと歌い上げました。
なおこの曲では、ウツがアコギを持ち、木根さんはシンセを担当しました。
小室・木根のツインキーボードでの演奏は、「TMN 4001 Days Groove」の時と同じです。


この20年間、木根バラの選曲てほとんど固まっていて、一部の曲以外まったく演奏されなくなっていたんですが、ここらへんをやってくれるんなら、もしかして「愛をそのままに」「Winter Comes Around」「Tender Is The Night」とかをやってくれる可能性もあったりするのでしょうか?
ちょっと「two」「three」に期待しちゃうんですが…


次は小室さんのバラードから「Green Days 2013」
木根さんはアコギを演奏します。
これまた意外なところが出ました。
これまで6曲中、「Electric Prophet」「1/2の助走」を除く4曲が再始動後の曲です。
さらに言えば例外の2曲は、どちらもデビュー年の1984年の曲です。
なんだか今回の選曲、ものすごいマニアックなところを攻めますね。


場面が暗転し、鍵盤を叩く小室さん登場。
3人の衣装が「the beginning of the end」のものに戻っています。
シンセから飛び出る「ジャジャジャジャ」の音と「Get Wild and Tough」のサンプリングボイス。
「Get Wild」です。
これまでもライブの見せ場となってきたこの曲ですが、「Get Wild Song Mafia」のリリースや、「Get Wild」退勤などで、この曲が広く注目されるようになってから、初のTMによる「Get Wild」となります。


サンプリングボイスの後は、新フレーズのイントロが続きます。
この部分、かっこいいですねえ。
30thの時の「Get Wild 2015」のイントロは、基本的にシンセのプリセットのフレーズを組み合わせていましたが、これは自分で作っているんじゃないでしょうか(違うかもしれないけど)。


イントロ途中で木根さんのギターを挟んで次の展開につなげるのは「Get Wild 2015」と同じです。
木根さんの弾くフレーズも同じでしたし、その後のシンセも「Get Wild 2015」の雰囲気を少し残していました。
なお木根さんはこの曲でダブルネックギターを装着しました。
(片方のネックは上記のイントロの見せ場で使用)
これは珍しいですね。


オリジナルのイントロにつなげて歌に入る流れは「Get Wild 2015」の流れを汲んでいます。
歌に入ってからの演奏も「Get Wild 2015」に準じており、今回のアレンジは「Get Wild 2015」の進化系というべきでしょうか。
間奏でもイントロの新フレーズが流れ、宇宙船型のステージには火焔の特効が炸裂します。
全体として、とても攻撃性の強い「Get Wild」だったという印象です。


続いて大幅にアレンジを変えた「We love the EARTH」
正直、歌が始まる直前まで何の曲か分かりませんでした。
こちらは「Get Wild」と逆に、マイナー進行で勢いを抑え気味にしており、軽快なポップソングだった原曲からはかなりかけ離れたアレンジとなっています。
背後で鳴っているシーケンサも相まって、とても神秘的でスペイシーな雰囲気を出しています。
サビはウツのボーカルを前面に出すアレンジとなっていますが、この部分はティザー映像にも出ていましたね。
小室さんは「Tetsuya Komuro Studio」で、今回の「We love the EARTH」はファンの方に聞いてほしいと言っていましたが、まさに今回の目玉の曲だと思います。


最後に演奏するのは「Seven Days War」
3人の衣装は、またYシャツ姿になります。
ここまで新しめの曲やアレンジが一変した曲で不安に陥ったファンを安心させるためか、定番曲でしっとりと締めました。


以上9曲の演奏が終わると、宇宙船はまっくらになります。
すると配信画面には冒頭の少女がまた現れます。
場所はどこだか分かりませんが屋外で、日中の川沿いの街です。


前を見てほほ笑んだ少女の前には小室哲哉。
少女が届けたバトンの情報を得て、3人は地球に降り立ったのでしょう。
終盤で「We love the EARTH」を演奏したのは、宇宙船にいながら地球のことを思っていた3人が、また地球に降り立つことを決意したことを示していると思われます。


ここで映像は終わり、画面には「to be continued」の文字。
12月の「How Do You Crash It? two」に続くというわけです。
どうやら次回は地球編になりそうです。


配信画面には最後にセットリストが映り、さらに「All Produced by Tetsuya Komuro」のクレジットで締めます。
これにて第一話完、ということになります。
この間に流れていたエンディングテーマは聞いたことがありませんが、将来TMの曲となるのでしょうか。
それとも今回だけのテーマ曲となるのでしょうか。


以上が今回のライブの内容となります。
あれ?
そういえばウツや木根さんのサイトでは、「「Get Wild」「BE TOGETHER」「SEVEN DAYS WARr」などヒット曲を中心としたライブパフォーマンス」があると書いてあったんですが、「Be Together」
何かの手違いでしょうか。


冒頭で書きましたが、今回はかなり攻めた内容で、収録済み映像の配信だったとはいえ、私の予想以上に素晴らしい内容でした。
小室さんも後述の「Innovation Festa」のトークで、「自分でもよくできているかなと思いました」と言っていました。
まだ見ていない方は、10/17まではアーカイブで見ることができるので、是非どうぞ! お勧めします!


「How Do You Crash It? one」のレポートについては、私のブログよりも早く、ふくりゅうさんがライブ配信4時間後にYahoo!ニュースに掲載しています。
もしかしたら事前に映像を見て用意していたものかもしれません。

ご本人のtweetによれば、ライブを見て夜中1時過ぎに書き上げたものとのことでした(10/16追記)。


さらにウツの誕生日の10/25には、「Sound & Recording Magazine」12月号が発売されます。
こちらは巻頭に今回のライブのレポートと小室さんのインタビューが掲載されます。


また今回のライブのアフターパンフレットは、11/27にリットーミュージックより発売されます(2500円+税)。
M-tresのオフィシャルオンラインショップでは、「one」「two」「three」3冊セット(特典のクリアファイル付き)の予約を受け付けていますが、こちらは10/17が受付締切となっているので、ご検討中の方はご注意下さい。


今回再起動したTMは、「How Do You Crash It?」3部作が終わった後にどうするのか、現状で不明ですが、おそらくかなり計画をちゃんと立ててやっている気がします。
なんとなく活動再開したという感じではなさそうなので、期待して良いと思われます。
来年にかけてのTMの活動、楽しみになってきました!


今回のTM再起動については、少しだけ追加情報が出ています。
まず小室さんは、9月にKREVAさんがマンスリープレゼンターを務めたJ-WAVEの「WOW MUSIC」に、9/25にゲストとして出演しました。
その収録風景の動画は、10/2にyoutubeのMUSIC FUN!チャンネルにアップされ、ラジオでカットされた部分も収録されました。
そしてそのカット部分では、10/9のTM NETWORK再起動の話が語られていました。
再起動公表以前にラジオで放送されたから、カットされたんでしょう。
番組内では、冒頭に述べた「Crash」のニュアンスの説明なども行なわれました。


小室さんが最近ジャズを聴いているという発言もありました。
今年配信された「Running To Horizon(206 Mix)」や、「Tetsuya Komuro Studio」にアップされていた「starting over」「Novembe's Day」など、最近の作品には明らかにジャズの趣向が現れていましたが、やはりそうだったようです。
個人的にもジャズロックなTMはとても聞いてみたいところなので、今後に期待したいです。


なお本番組で映された小室さん側の配信映像に映りこんでいたPCの待ち受け画面に、「Pavilions」というロゴが見えます
これは小室さんが4/9に新しく設立した会社で、「Pavilions Tetsuya Komuro株式会社」というところのようです。


「EXPO」時代を思わせる名称、「FANKS!」を思わせるフォントなど、「Pavilions」はTMを意識した名称・ロゴであるように思います。
小室さんによる説明は確認していませんが、様々な音楽のジャンルをパビリオンに見立てた「EXPO」のコンセプトを考えれば、多彩な音を届ける会社みたいなコンセプトでしょうか。


もしもこの会社の名称がTMを意識しているとすると、この会社を設立した4/9の時点で、小室さんはTM再起動を念頭に置いていた可能性があります。
もちろん4/9は登記された日ですから、実際の設立準備と名称の決定はそれ以前、遅くても3月には遡るはずです。


小室さんは3/15に「坂本美雨のDear Friends」に出演した時には、今やりたいこととしてTMでヒット曲を出すことを挙げていました
その時点ではまだその自信が持てていないという発言もしていましたが、この頃にはTM再起動を目標とするようになっていたと見られます。
おそらくその思いがPavilionsの社名に現れているのでしょう。


小室さんはこれ以前、2/6にはニコ生に出演して、事前に作っておいた「Running To Horizon (206 Mix)」の音源の一部を披露しました。
その数日後には、Clubhouseのアカウントも作成し、2月中は頻繁に出入りしていました。
この頃には新しい活動を行ないたいという意欲が高まっていたように思います。
KEIKOとの協議離婚(2/26に成立)も、気持ちを心機一転させる機会になった可能性があります。


前回触れたように、小室さんは2020年9月以来MusicDesignを拠点として活動してきましたが、12月にTMに関わる活動を行なった頃からMusicDesignと距離を取って活動するようになっていました。
おそらくその結果が新会社Pavilionsの設立であり、それ以後TM再起動に向けて本格的に動き出したものと推測されます。


これも前回触れたことですが、TM再起動が決まったのは6月頃と見られるので、TMは去年12月から半年を経て、ようやく再起動が決定したということができます。
さらに遡れば去年秋の「SPIN OFF T-Mue-needs」なんかにも行きつくわけですが、そこらへんの話について、早く情報を出してほしいものです。


その他TM関連情報としては、SONY+avexの「ベスト・ライブ・パフォーマンス」投票企画があります。
10/1に始まったばかりですが、「How Do You Crash It? one」の配信に合わせて、10/9に中間発表が行なわれました(10/8集計)。
1位は1989/8/30「Camp Fanks!! '89」「Dive Into Your Body」、3位は2013/7/20「START Investigation」「Children of the New Century」です。


2位の「Get Wild '89」は、1989/8/30横浜アリーナ公演の「TMN 4001 Days Groove」とあるのですが、1989/8/30横浜アリーナ公演は「Camp Fanks!! '89」であり、「TMN 4001 Days Groove」は1994/5/18・19に東京ドームで開催されました(両公演とも「Get Wild '89」を演奏)。
この「Get Wild '89」ははたして「Camp Fanks!! '89」なのか、「TMN 4001 Days Groove」なのか…
それにしてもこのランキングを見ると、TMのベストライブてこれなのかぁ…と、かなり意外な印象を受けています。


最後にソロ関連について。
まず小室さんは、10/8に「Tetsuya Komuro Studio」の定期配信があり、「How Do You Crash It? one」の関連話などをしました。
実はこのたびのTM再起動という緊急事態を受け、これまで入会を見合わせていた私も、「Tetsuya Komuro Studio」のスタンダードコースに入ってみました。
ただ回線の問題か、映像がとぎれとぎれで何を言っているのかさっぱり分からないところが多く、話の内容はあまり理解できていません。
なお配信冒頭では「Gravity of Love」を演奏し(歌付き!)、最後には「CAROL」をかなり本格的に演奏してくれました。


10/10には「J-WAVE Innovation World Festa 2021」に小室さんが出演しました。
小室さんが新配信メディアNFTで販売する予定のアートパフォーマンスを、その場で演奏するというものでした。
小室さんの出演は30分程度でしたが、演奏は最後の7分くらいで、あとは司会のふくりゅうさんや音楽プロデューサーの山口哲一さんとのNFTに関するトークでした。
トークはどうでもよかったですか、映像に即興で音楽を付けていく様子はそこそこ面白かったです。
小室さんが関わる.muraのNFT配信の事業は10/29から始まるそうなので、小室さんの作品の配信はそれ以後になるでしょう。


ウツのソロツアー「U Mix」は、横浜2公演が開催されてから2週間止まっておりますが、10/15のEX Theater Roppongi公演から再開します。
これからは日替わり曲なども入るかもしれません。
なお10/16のEX Theater公演は、ニコ生で配信が行なわれます
また「U Mix」でサポートを務めているヴァイオリニストのNAOTOさんの「NAOTOの月イチな音」(MBSラジオ)に、10/11にウツがゲスト出演します。


以上、「How Do You Crash It? one」のレポートを中心に、ここ一週間の近況をまとめました。
多分今後は頻繁に新情報が出るようになると思いますので、ブログの更新も忙しくなるかもしれませんが、今後は取り上げるべき新事態があまりない時を狙って、第7部の残りを終わらせてしまおうと思います。


ではまた、次回の更新で。

Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2021年 12月号 (表紙&巻頭:TM NETWORK) - サウンド&レコーディング・マガジン編集部
Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2021年 12月号 (表紙&巻頭:TM NETWORK) - サウンド&レコーディング・マガジン編集部

再起動! TM NETWORK 2021

ついに出ました!

前回の更新で、「まあそれはいいからTMをやってください」とか書いたら、2021/10/1の18:00、まるでこれに応えたかのように(?)に、各サイト・SNSで一斉に出ました。

「TM NETWORK 再起動」の情報が!!


すでにいろんなニュースサイトに書かれているのですが、ここではmagneticaのサイトから関係情報を引用しておきます。

2012年から2015年にわたる30周年プロジェクトを大成功で締め括ったのち、活動が凍結されていたTM NETWORKが動き出す。
再起動の第一弾は『How Do You Crash It?』と題された、10月から隔月で配信される3回連続のオリジナルライブ映像作品。
6年ぶりの新曲「How Crash?」や、「Get Wild」「BE TOGETHER」「SEVEN DAYS WAR」などヒット曲を中心としたライブパフォーマンスと、TM NETWORKならではのサイバーパンクなストーリーが絡み合う内容となっている。テーマは、「Everyone makes mistakes, How do you crash it?(直訳:誰もが間違いを犯す、どうやってそれを壊していく?)」
なぜ今、彼らがこのテーマを掲げたのか、新曲「How Crash?」が謎を解く鍵となるはずだ。


すでに前日の9/30には「女性自身」のニュースで、「3年前の1月に芸能界引退を発表した小室さんが、再び芸能界の表舞台に復帰するそうです。まずはTM NETWORKを6年ぶりに再始動させるとか。近日中に正式発表される予定です」という「音楽関係者」の情報が掲載されていました。
後述の「ベスト・ライブ・パフォーマンス」投票企画が10/1に発表されることになっていたので、もしかしたらこれと絡んでTM再始動もあるのか?と期待したのですが、まさにその通りになりました。


今回の活動再開は、「再起動」と言われています。
前回の30周年の活動では、「Quit30」の「Q」や「TM NETWORK」の「O」や「Quit30 HUGE DATA」の「G」がPCの電源ボタンのロゴで示され、ライブではそれらが電源オフの状態を示す赤色で表示されました。
つまりTMは一端シャットダウンの状態で、次の活動に向けて待機していたわけですが、今回はそれを踏まえて活動再開を「再起動」と呼んでいると考えられます。

Quit.jpg

実は9/25に始まったウツの「U Mix」のパンフレットに掲載されているインタビューに、「オリンピックの開催前からTMの打ち合わせとかが始まっていた」という話がさらりと出ていました。
オリンピック開催前からということは、7月上旬~中旬のことでしょうか。
打ち合わせ以前に再開の決定プロセスがあったはずですが、ウツによれば「結構急展開の決定」だったそうなので、多分そんなに前の話ではないと思います。
6月頃の話でしょうか。


6~7月といえば、小室さんがfaniconのコミュニティアカウント「Tetsuya Komuro Studio」を開設したのが7/2でした(開始告知は7/1)。
これに少し先立ち、去年11月からほとんど動いていなかった小室さんの公式twitterが、今年5/6から急に頻繁にtweetするようになっていました。
しかも去年はMusicDesign絡みのtweetばかりだったのに、5月以後は知人のtweetやTM絡みの話題のリツィートが中心となりました。
多分小室さんは5月頃からTM再開に向けて動き出し、6月終わり頃に再開を決定した上で、7月に「Tetsuya Komuro Studio」を始めたのではないかと推測しています。


実は小室さんは今年に入ってからMusicDesign絡みのtweetをしなくなったばかりか、InstagramのアカウントからもMusicDesignの痕跡を消し、MusicDesignの情報を発信していた公式アカウントをサブにして、以前からあった個人アカウントを公式アカウントに変更しました。
このことは、以前このブログでも指摘したことがあります
多分去年12月に東海ラジオに特番「TM NETWORKのSFロックステーション」にTM NETWORKの名義で出演し、「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」で5年ぶりの3人共演を果たした頃から、TM復帰の準備を始めていたのだと思われます。
その決意が固まったのが6月頃だったのでしょう。


ちなみに私は入会していないので分からないんですが、情報解禁の3時間後に始まった「Tetsuya Komuro Studio」の配信では、再起動の話が語られたようです。
私が上に書いたことなどは、そこであらかた語られたかもしれません。
たぶん後日別の媒体でも、詳しく語られるでしょう。


今回のTM再起動の具体的な内容は一つだけ、配信ライブの開催となります。
ライブタイトルは「How Do You Crash It?」です。


このライブは10月・12月・2月の3回にわたって配信され、それぞれ「one」「two」「three」を附して呼ばれるようです。
第1回の「How Do You Crash it? one」の配信は10/9(土)の21:00~22:00の1時間で、その後は10/17(日)の23:59までアーカイブ配信が行なわれます。
なお配信はローチケニコ生e+PIALINE LIVEで行なわれ、料金は4800円+手数料となります。


なんと「How Do You Crash it? one」はすでに収録済みで、ティザー映像がyoutubeにアップされています
衣装は前半・後半で違います。
後半は2014年の「the beginning of the end」のものですね。
前半も下は「the beginning of the end」のもので、上にゆったりとした白のYシャツを着ています。



曲は3曲がアップされています。
2曲目・3曲目は「Get Wild」「We love the EARTH」ですが、注目すべきは1曲目で、なんと新曲です!!
いつか調子が戻ったら作って欲しいと思っていたけど、もう作っていたんだ!!


新曲の曲名は「How Crash?」で、ライブタイトルもこの曲名に基づいていると思われます。
ライブでも1曲目にやるんでしょうかね?
映像は20秒足らずしかありませんが、私の好きなミディアムテンポの曲です。
告知はありませんが、おそらくいずれスタジオ音源も配信されると思います。
「I am」に続くTMのアンセムになって欲しいです。


magneticaの告知によれば、ライブでは他に「Be Together」「Seven Days War」もやるそうです。
これですでに5曲になりますね。
時間は1時間ですから、あとは4~5曲くらいでしょうか。
今回は1回目だし、まずは代表曲を中心に演奏するのかなと思います。


なおティザー映像に含まれる「How Crash?」の映像は、多分サビに入る部分と思われ、「Everyone makes mistakes, How do you hit how hit?(最後怪しい)」と言っています。
magenticaの公式情報では、これに似た「Everyone makes mistakes, How do you crash it?」をライブのテーマとしており、多分サビではこの前後で「How do you crash it?」のフレーズも登場するのでしょう。
これをmagneticaは、「誰もが間違いを犯す、どうやってそれを壊していく?」と訳しています。
 *この部分の文章、記事アップの9時間後に微調整しました。


これは多分小室さんの歌詞と思われます。
というのも今回のTM再起動に当たり、小室さんがinstagramで直筆メッセージをアップしたのですが、そこでは冒頭で「改めて、お騒がせし、ご心配やご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」と述べ、さらに後半では以下のように述べています。

いろいろな過ちがあっても、まだやれると背中を押してくれる友がいる。
待っていてくれるファンがいる。
これからの自分に残された時間にできること全てで、音楽で少しでも光を灯せたら。
と、このコロナ禍に沢山の事を考え奮起致しました。


要するに小室さんは、これまで過ちを犯してきたけれど、友人やファンのためにがんばりたいという思いで今回のTM再起動を決意したということです。
この「過ち」とは冒頭で述べている「ご心配やご迷惑」の言い換えであり、それは2018年に不倫疑惑や引退宣言などで関係者やファンを振り回したことを指していると考えられます。


「How Do You Crash It?」のテーマである「Everyone makes mistakes, How do you crash it?」は、上記の小室さんの気持ちを踏まえたものと考えられます。
つまり小室さんは、自分のせいで関係者やファンに心配や迷惑を与えたという過ちをつぐなうために、またTMをやりたいと思ったわけです。


以上のように書くと、今回の再起動はいかにもネガティブな雰囲気が漂いますが、一方で小室さんは「音楽を創るアイデアとエネルギーは確実に進化していると感じています」ともコメントしています。
この文章を見る限り、TMの再起動は単なる贖罪というわけではなく、TMで音楽をやりたいという気持ちも高まってきているようです。
3月に「坂本美雨のDear Friends」に出演した時にも、TMでヒット曲を作りたいという気持ちを表明していましたが、一方で特に歌詞についてはまだ自信が持てないということも言っていました。
それがようやく6月頃になって、何かつかめたということでしょうか(小室さん的な表現では「見えた」)。


ともかく最初は配信ライブから始めるというのは、とても良いプランだと思います。
ライブを3回もやれば、さらに何かが「見え」て来ることもあるかもしれません。
「How Do You Crash It? three」が終わった暁には、十分な準備の上で、ファンの前でフルライブを披露してもらえればうれしいです。


なおウツと木根さんも、今回の再起動に当たってコメントを出しています。
二人とも小室さんと一緒に音楽活動ができることを素直に喜んでいるようです。
ウツは「TM NETWORKの物語は、まだ続いている」、木根さんは「プロデューサー小室哲哉を確信しました」などと発言しています。
また今回の再起動をめぐっては、10/25発売の「Sound & Recording Magazine」12月号の巻頭に掲載されるライブレポートおよび小室さんのインタビューで、詳細が語られるかと思います。


今回の「How Do You Crash It?」シリーズは、ライブごとにアフターパンフレットがリットーミュージックから発売されることになっています
「one」は小室さん誕生日の11/27発売で、「two」は来年1月、「three」は3月の予定です。
またmagneticaのオフィシャルwebshopで3冊セットを予約すると、特製クリアケースがもらえます。


今回のTM再起動のために影が薄くなってしまいましたが、SONYのotonanoのサイトでは再起動発表と同時に、「あなたが選ぶベスト・ライブ・パフォーマンス」の企画が始まりました。
この企画、9/25のウツの「U Mix」開始に合わせて予告されていたのですが、このころまでに関係各社は準備を進めていたんですね。


本企画はSONYとavexの共同企画で、ファンが過去のライブやツアーでベストと思うパフォーマンスを投票する、というものです。
締切は11/30になります。
多分今回の投票結果を踏まえて、ベストライブアルバムかライブ映像集をリリースする予定なのでしょう。


私、この企画は商品化済みのライブDVD・ blu-rayから何曲か選んで投票するというものなのだろうと思っていました。

と・こ・ろ・が!

投票の参考として提供されたライブデータには、「Fank! Bang The Gong」「Kiss Japan Tour」「CAROL Tour」「Tour TMN EXPO」など、一切商品化されていないツアーが含まれており、また各ライブについて商品化されていない楽曲も含めた全曲のセットリストが掲げられております。


…てことは、あれ?
もしかして「Electric Prophet」「17 to 19」とか、「Fanks "Fantasy" Dyna-Mix」「金曜日のライオン」「1974」「Time Machine」とか、「Fanks! Bang The Gong」「Your Song」「Dragon The Festival」とか、「Kiss Japan Tour」「Maria Club」「Don't Let Me Cry」とか、「CAROL Tour」「Come on Let's Dance]とか、「Rhythm Red Tour」「Rhythm Red Beat Black version 2.0」とか、「Tour TMN EXPO」「Think of Earth」とか、好き放題投票できちゃうってことですか!?


…いや、どうせこういうところでたくさん票を集めるのは、すでにDVDに入ってみんなの記憶に張り付いている映像とかなんでしょうから、こんなの投票したって泡沫にしかならないってのは分かっているんですけどね。
どうせ「TMN 4001 Days Groove」「Fanks Cry-Max」「Get Wild」あたりが1位で、その他も「4001 Days Groove」ばかりがランクインするんでしょうっ!?(何かに切れ気味)


もっとも今回は1人の投票回数に制限がないように見えるので、その気になれば何曲も投票できるのかもしれません。
またそうならば、今回は票数を集計してランキングを出すというよりは、いろんな思いで話を集めることに主眼があるのかもしれません。
だとすれば今回は、思い入れのあるライブパフォーマンスをSONY・avexにアピールするチャンスということでしょうか?


もう一つ気にかかるのは、ライブのリストとして挙げられているものが一見網羅的に見えながら、1999年の再始動後のデータがかなり雑なことです。

・2000年「Log-on to 21st Century」 →なし
・2000-01年「Tour Major Turn-Round」 →なし
・2004年「Double-Decade Tour "NETWORK"」 →4/21横浜公演と6/24・25武道館公演のみ(全国ツアー全カット)
・2007年「TM NETWORK REMASTER」 →12/3武道館公演のみ(横浜・渋谷計4公演カット)
・2008年「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」 →なし
・2012年「All That Love」 →なし

以上の抜けの大部分は、今回の企画に関わっていないROJAM・吉本の時代のものなので、情報の収集が不十分なせいとも考えられます。
2017年の「Get Wild Song Mafia」で、「Get Wild」のあらゆるトラックを集める企画だったのに、ROJAM・吉本時代のテイクがほとんど取られていなかったことも思い出されます。


ただしこれは自分でも非常に低い確率と自覚しながら書くのですが、ライブタイトルごと記載がない4つについては、もしかして今回の投票企画後にリリースする予定の商品に特典として付けるつもりなのではないか(だから通常ディスクに入らないように投票対象外としているのではないか)、という妄想もしなくはありません。
特に、事実上のTM再始動の始まりとなった「Log-on to 21st Century」は、待望している方もかなり多いのではないでしょうか。
まあ、自分でも非常に低い確率とは自覚していますけどね…(2度書いた)。


以上、昨日10/1に発表されたTM絡みの情報でした。
こちらの通常更新、第7部はあと3回で終わる予定だったんですが、これでは果たしていつ書けることやら…。
TM本体の活動の谷間にやっていくしかないですねえ。
しかし第7部の残りとか、今さらみんな興味なさそうな気がしますが。


最後にソロの情報をまとめておきます。
前回もお伝えしたように、小室さんは10/10に「J-WAVE Innovation World Festa 2021」に小室さんが出演します(トーク・ライブ)。
ライブは有料配信されます。
実はこの「Innovation World Festa」は、「How Do You Crash It? one」の翌日になります。
小室さん大変ですね。


9/24の「Tetsuya Komuro Studio」は、木根さん誕生日(9/26)の直前ということで、また木根さんがゲストでした。
2人で「Still Love Her」「永遠のパスポート」を演奏したそうです。
そして10/1には、先ほど書いた通り、TM再起動話が語られました。
演奏曲はTM縛りで、「Seven Days War」「Human System」「Get Wild」だったようです。
今回は登録して見ればよかったなあ…。
「Tetsuya Komuro Studio」のことは頭から飛んでました。


ウツはソロツアー「U Mix」が、9/25に始まりました。
今回はヴァイオリンをフィーチャーしたライブとなります。


9/26にはニコ生で配信があったので、私も見てみました。
まだツアーが始まったばかりなので具体的な内容には触れませんが、セットリストはなかなか意外なところを攻めてきました。
また今回はサポートがヴァイオリンの門脇大輔さんとnishi-kenさんだけだったので、曲によっては門脇さんがシンセをやったり、ウツがベース・ギター・ドラムをやったり、nishi-kenさんがドラムやギターをやったりと、なかなか大変そうでした。
そういや4月頃には、宇都宮隆名義のソロ活動25周年とか言っていた気がするんですが、全然関係なかったです。
色々と試行錯誤があったんでしょうね。


特に前半の楽曲は、ヴァイオリンパートを目立つ形で取り入れた形にアレンジされており、その中には私が大歓喜だった曲もありました(何の曲かは書きませんが)。
これに対して後半は、前半と比べるとアレンジの度合いが薄く、これなら普通にドラムとギター入れればよかったんじゃない?とも思いました。
選曲はマンネリを避けてきた感じで、好印象だったんですけどね。


あとアンコールのイントロでは、「Tour TMN EXPO」「Don't Let Me Cry」で使われたサンプリングフレーズ(Vanessa Williams「The Right Stuff (Norman Cook 12'' Remix)」)を入れていました。
nishi-kenさん、これやってみたかったんでしょうね!
「U Mix」は多分10月以後の公演も配信されると思うので、気になる方は是非ご覧ください。


以上が近況の整理でした。
実は通常更新分の記事もすでに書いているんですが、今回は余計なものを入れない方がよいだろうと思ったので、またいずれかの機会にします。


来週は早くも再起動TM NETWORKの配信ライブです。
6年前に託されたバトンを用意して、心して拝見しようと思います。
ではまた1週間後に!

baton_plus.jpg

7-44 EXPO Folk Pavilion -Revival-

8/17、iTunesおよびamazonのプライムビデオで、「Vision Festival」「Rhythm Red Live World's End」「EXPO Arena Final "Crazy 4 You"」「final live LAST GROOVE 5.18」「final live LAST GROOVE 5.19」ライブBlu-ray 5タイトルの有料配信が始まりました。
レンタルは500円、購入は2546円(「Vision Festival」は2037円)です。


なんでこの5つなんだろう?と思いましたが、ああそうか、またM本さん問題ですか…。
既配信分の「incubation Period」「START investigation」と合わせて、7タイトルが配信されたことになります。
ライブ映像は手を出していない方なども、amazon prime会員なら追加料金不要で見られますし、そうでない方でもレンタルなら気軽でしょうから、一度お試しいただければと思います。


そろそろウツのソロツアー「U Mix」が始まります。
当初は会場に100%の収容率で観客を入れる予定でしたが、結局50%(広島公演以外)で行くことになりました。
すでにウツFCでは、10・11月公演分のチケット申し込みも始まっています(9・10月分はすでに受付終了)。
そういやウツのソロ曲のツアーて、2018年の「Tour Thanotos」以来3年ぶりなんですね。


木根さんは、氷川きよしさんへの提供曲が発表された以外はあまり動きがないですが、9/7にFMサルースの「SALUS all in one」に出演したようです。


小室さんのネット配信番組「Tetsuya Komuro Studio」は、小室さんの手描きスタンプ配信など、色々とやっているようです。
番組ロゴ入りの特製エコバッグのプレゼントなんかもしているみたいです。
8/20には「Time To Count Down」、8/27には「8月の長い夜」、9/3は「Magic」を演奏したようです。
(私は見ていないので伝聞体でしか書けませんが)


9/9には、TOKYO DANCE MUSIC WEEK 2021なる企画の一部として配信された無観客イベント「#SaveTheDance 〜#音楽はみんなの再生エネルギーとなる〜」に、小室さんが出演しました。
小室さんとSUGIZOさんが一緒に出演するとの告知を見て、「え、この2人て何つながり?」と、意外な印象でした。
ただフタを空けてみると、2人は何人かのミュージシャンや実業家と一緒に音楽の未来のあり方を語っただけで、ライブパフォーマンスなどを披露したわけではありませんでした。


私は全然知りませんでしたが、ネットを見てみるに、#SaveTheDanceなる企画は遅くても年始くらいから動いていたようです。
オフィシャルサイトによれば、以下の事項を目的とした組織です。

・アーティスト、音楽家、ミュージシャン、若い才能、文化の生まれる場所、LIVEの現場を守り存続させていくこと
・コロナ禍の自粛期間における文化施設(LIVEハウス・クラブ・コンサート会場)や実演家の支援、事業規模や現状に応じた補償を求めていくこと
・国や地方自治体と現場のハブとなり、小さな声を届けること


要するにコロナ禍で大変なライブハウス等の関係者を守るべく設立されたもので、3月くらいから頻繁に政治家に訴えかけを行なっています。
活動の中心にZeebraさんがいるので、そこから小室さんにも声がかかったものでしょうか。
「2/22現在」の注記がある賛同者リストにも小室さんの名前が見えており、6/18にはZeebraさんやSUGIZOさんと一緒に東京都庁を訪れています。
イベント「#SaveTheDance」では、今小室さん・SUGIZOさんを中心にキャンペーンソング「Save The Dance」を作っていることが明かされ、そのデモ音源と制作現場の風景が放映されました。


#SaveTheDanceは、名前を連ねている方々を見るに変な組織ではなさそうなので、頑張っていただければと思います。
ただイベントのトークでは電気がどうのSDGsがどうのという話が熱く語られ、なんか別の運動が入り込んできているような感じもします。
いや、再生エネルギーの問題自体は大事と思うんですけど、小室さんは変に利用されないように、自覚的に動いてほしいです。
あとSUGIZOさんがそういうことに熱い方であること、今回のイベントで初めて知りました。


今後の話では、KREVAさんが9月のマンスリープレゼンターを務めるJ-WAVEの「WOW MUSIC」で、9/25に小室さんがゲスト出演するとのことです(24:00~25:00)。
こちらは後日Youtube内の音楽コンテンツ「Music Fun!」でも映像が配信されるみたいです


10/10には六本木ヒルズで開催される「J-WAVE Innovation World Festa 2021」に小室さんが出演します。
「Innovation Festa」、久しぶりですね。
トークは事前登録すれば無料でも見られるみたいですが、ライブは基本的に有料配信のようです。
説明文を見るに、小室さんはアートパフォーマンスとトークセッションに出演するとのこと。

日本を代表するアーティスト、音楽プロデューサーの小室哲哉が再びイノフェスのステージに戻ってきます!
今回はステージ上でNFTアートをライブで創作するアートパフォーマンスを披露。
そしてNFTと音楽に関するトークセッションにも登壇予定。なにが起こるのか?大注目のステージです!


アートパフォーマンスてのは、リンツでやったインスタレーション的なやつでしょうか。
このパフォーマンス映像は、NFT作品として後日販売されるそうです。
NFT…。なんだかまた分からないものが出てきました。
いや、こういう新しいものに飛びつきたがるのがいかにも小室さんらしいんですけどね。


以上、内から湧き上がる「まあそれはいいからTMをやってください」という心の声を何度か抑えながら近況をまとめました。
では本題に入ります。

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2008/11/4の小室の逮捕が、TM25周年企画開始を控えていたウツ・木根やM-tresスタッフにも大きな衝撃だったことは、想像に難くない。
ウツも木根も、2008年5月に「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」を終えた後はソロ活動を行なっていたが、それもTM25周年企画の本格始動までの予定で、水面下ではTMの企画も同時並行で動いていただろう。
それらは小室の逮捕によってすべて白紙になってしまったが、スタッフは会場のキャンセルなどでてんてこまいになっていたと考えられる。
表には出ていないが、金銭的な損害も少なくなかったはずだ。


折しもウツは、小室逮捕の翌日11/5がU_WAVEのライブ「evolutio」の初日公演だった。
ライブにはMCが設けられず、事件に関する直接の言及もなかったが、初日公演では最後にウツから観客に向けて、「心配かけたけど、ステージを見てもらえれば分かってもらえたかな」とのコメントが出された。


なお直接TMと絡むわけではないが、とばっちりを受けたのが劇団の音楽座である。
音楽座はかつて1991年に小室が劇伴を手掛けたミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」を上映したことがある。
この公演は好評だったため、その後も内容を変更しながら上演を繰り返した。


音楽座自体は1996年に解散したが、2004年にRカンパニーによって再結成され、2008~09年には「マドモアゼル・モーツァルト」が上演されることになった。
実は2005年の再結成公演でも「マドモアゼル・モーツァルト」が上演されたのだが、これは「21C:マドモアゼル・モーツァルト」と題し、演出が一新されて小室の楽曲は使われなかった。
これに対して2008~09年の公演は、久々に小室の楽曲を用いたものだった。


ところがその初演日の2008/12/18を先立つ1ヶ月半前に小室が逮捕されたため、スポンサーが下りてしまい、大々的な広告が打てなくなった。
音楽座はウェブ上に動画をアップしたり、小室ファンを集めたトークショーを行なうなど、自力で宣伝に務め、どうにか上演にまでこぎつけたが、上演中止の判断もあり得ただろう。


小室逮捕の当日は、ウツも木根もオフィシャルサイトでコメントを出すとともに、同趣旨のFAXを各局に送った。
一部ワイドショーでは朗読もされた。

TM NETWORKを応援してくれているファンの皆さま、また多くの方々にご心配をおかけしました。

これまでの人生の長い時間を一緒にすごしてきた友達であり、
仲間である小室哲哉の今回の件は、いまだに信じられませんし、信じたくありませんが、
事実であるなら すべてを明らかにしてもらいたいと思います。
でも、彼とともに音楽を作り、笑い、悩み、楽しんできた僕らの歴史は変わりません。

今、彼と話すことは叶いませんが、彼なら償い、また音楽に帰ってきてくれると信じています。

2008.11.4     宇都宮隆


TM NETWORKをずっと応援してくれている皆さんには、ご心配をおかけして申し訳ございません。
僕は共に音楽を創ってきた友人として、今までも、これからも彼と出会えた事のよろこびと感謝の思いは変わりません。そして彼をリスペクトする気持ちも変わることはありません。
多くの方が、彼に悪いイメージをもたれたかも知れませんが、彼が作った音楽がたくさんの人達に勇気を与えてきたことも事実だと思います。
だからなおさら残念という声もありますが、僕は、彼がゼロから立ち直る力も持っていると思います。
だから僕は、TM NETWORKの復活もあると信じています。

木根尚登


両者の文章作成に当たって事前に相談があったのかは分からないが、小室と歩んできた歴史を否定せず、その復帰に期待するという趣旨は変わらない。
特に木根は、この微妙な時期にTMの復活の可能性にまで言及している。
随分と踏み込んだものだと思う。


小室みつ子も木根と連絡を取ったようで、当時ウェブ上の日記に心情を記している。
抑え気味に書かれてはいるが、公式コメントではないからこその感情のこもった文章である。

朝から騒がしいようです。私はテレビは見ないので、メールやら電話やらで様子を伝え聞いているだけですが…。今は彼とご家族のお気持ちを想像して胸が痛いだけです。一般に認識されている彼の姿はほんの少し…。私にとっては彼はミュージシャン。才能のあるクリエーター。すばらしい曲を書いた人、そして書ける人。
昼頃きねちゃん(木根尚登さん)と話をしました。内実の話とか今更な話ではなく、ただ友達としての話…。木根ちゃんが公式に出したコメントを教えてもらったのですが、私も同じ気持ちです。
彼が生み出した曲は、変わらなくいつも誰かの心にあって、そこで生きています。私はそのほんの一部を一緒に作ることができて今でも感謝しているし誇りに思ってます。これからも一緒に作る機会があればとても嬉しいです。刑事事件は刑事事件としてこれからいろいろ進んで行くとは思います。それはきちんとしてもらって…。身体だけは大事にしてほしいです。
小室哲哉さんのファンの方たちは変わりなく、ミュージシャンとしての彼を見ていてくださると思います。私が言うのも変なのかもしれないですけど……これからもどうぞよろしくお願いいたします。


他にも葛城哲哉・阿部薫・久保こーじ・西村麻聡など、TM時代の関係者でブログなどをやっていた者たちは、次々とコメントを出した。
(なお私は当時本ブログで葛城氏のブログにリンクを貼ったが、その時に誤ってトラックバックを送ってしまい、現在まで本ブログへのリンクが残ってしまっている。消せれば消したいのだが…)
小室みつ子はメディアでの取り上げられ方に違和感を感じることを吐露しているが、阿部薫も「それにしても、ワイドショーにしろ何にしろ、本人にしか分からん事を、コメンテータやら何やらが憶測で語り合っているのを見ると、腹が立ちますな」と、同様の趣旨のことをより直接的に言っている。


小室は11/21に保釈されたが、木根はその翌日に電話をもらったという。
小室はひたすら「ごめん」と言い続けたという(木根によれば何百回も)。
おそらくウツも含め、関係者に一通り連絡し謝罪したのだろう。
なお木根は最初の電話の後、年明けにもKEIKOに電話をして小室と話したことを述べている。
わざわざ電話をしたことを取り上げているのは、直接会う機会がなかったためと見られる。
小室は保釈後、2009年5月の判決までavexの千葉龍平宅に仮住まいしており、その間は連絡も限定的だったと思われる。


木根ソロライブのMCによれば、2009年8月以前のある時、TM3人で会うことがあったらしい。
その時期は明確ではないが、おそらく判決が確定して小室がavexで活動することが決まった後になって、初めて今後のTMをどうするか話し合ったものと推測される。


この間、ウツはテレビへの出演を一切せず、ライブでも直接の言及を避けたが、木根は時折テレビに出演し、小室関係のコメントを出している。
また2009/4/23の小室の第3回公判では、小室への被告人質問などが行なわれたが、この時に参考資料として6000人のファンおよび関係者からの減刑嘆願書が寄せられた。
これが量刑に当たってどの程度考慮されたかは分からないが、小室の実刑回避を願う者が一定数いたことが分かる。
その中には木根の嘆願書もあった。


木根嘆願書の全文は、小室の「罪と音楽」141~142頁に転載されているが、締めくくりは以下のようなものだった。

今の私は、ファンの方々と同じ心根で待つ以外にできませんが、小室被告が罪を償ったなら、周囲の音楽関係者と共に、彼を受け入れ、同じ過ちに陥らぬよう見守ります。今回の事件を風化させぬように努めます。何卒ご理解頂き、寛大なご判断をお願い申し上げます。
木根尚登


また小室の判決が出た2009/5/11に木根のオフィシャルサイトに掲載されたコメントも転載しておこう。

判決が下りました。
正直ほっとしてます。ファンの皆様には本当に多大なご迷惑、ご心配をおかけしました。
またいろいろな形でご協力していただき誠にありがとうございました。
これからは友人として彼と共に初心に返り、また皆で感謝の気持ちを力に変えて頑張って行きますので、
これからも応援よろしくお願いします。本当にありがとうございました。


なお木根は小室が保釈された2008/11/22に、ソロツアー「talk & live vol.11~New Town Street~」を開始した。
このツアーはニューアルバム「New Town Street」のリリースに伴って開催されたものだが、過去の曲からは「友よ、風に抱かれて」「My Best Friend」など、友をテーマにした曲が選ばれた。
当然、小室のことを意識した選曲だろう。


アンコールでは、未発表曲「春を待つ」が披露された。
これは小室に向けた曲であり、小室が拘留されていた17日間の間に作ったものということになる。
歌詞は小室との思い出を振り返り、これからもう一度やり直そうと伝えるものである。
サビの歌詞だけ、以下に転載しよう

みんな待っている 笑顔で待っているよ
また一緒に創ろう 素敵な音楽を
家族も待ってるよ 友達も待ってるよ
彼女も待っているよ 黄色いリボンつけて
寒い冬が来るよ 木枯らしを連れてくる
だけど冬はいつか 必ず春になるから
みんな待っている いつまでも待ってるよ
桜の木の下で 君の帰りを待っている


木根は後にこの曲について、以下のようなコメントを出している。
楽曲制作の趣旨を確認するために引用しておく。

小室があの事件を起こしたとき、マスコミを含め各所からコメントを求められました。できる限り誠意をもって対応したつもりですが、言葉とは難しいものです。僕の真意が伝わったり、歪められたり。だから、歌にしました。その瞬間、僕は彼とまた一緒に音楽をやりたいと、心の底から思っていました。


「春を待つ」は2008年年末から音源配信され、CDは2009/1/16からオフィシャルwebshopで数量限定で通販された(2010/1/21にも再版)。
2012年には、2001年以後の楽曲を対象にしたリクエストベスト「キネベス」がリリースされたが、その中で1位になったのがこの曲である。


なお小室の執行猶予付き判決が確定してから2ヶ月後の2009/7/18には、長らく活動を休止していたSerika with DOGが、小室に捧げる曲として「Can Try Again -to TK-」を配信リリースしている。
作詞はSerika、作曲は木根である。
Serikaは1983年、小室哲哉のプロデュースでデビューしたバンドで、木根も楽曲提供をしていた。
その時の縁がまだ続いていたということだろうか。
この後、小室とSerikaの間で何か接触があったのかは不明である。


さて、雲散霧消してしまったTM25周年企画だったが、一つだけ、小室逮捕前に発表されていた企画が存在した。
2008/12/10、府中の森芸術劇場どりーむホールで開催された「UTSU & KINE EXPO Folk Pavilion -Revival-」である。
ウツ・木根の公式サイトで10/14に開催が告知された。


ライブの趣旨は、かつて「Tour TMN EXPO」の1コーナーとして行なわれていたフォークパビリオンの形式で、1本のライブをやろうというものである。
1992年には半分がフォークパビリオンだった「TMN Folk/Metal Pavilion」が開催され、2003年の「tribute LIVE」でも「帰ってきたフォークパビリオン」のコーナーが設けられたが、1本のライブ丸ごとフォークパビリオンというのはこれが初めてである。

7-44.jpg


気にかかるのは、10/14というライブ開催告知のタイミングである。
10月半ばにはTM3人が打ち合わせを行なったという情報があり、ライブ開催告知はおそらくこれを踏まえて行なわれたものだろう。
ならばこのライブは、もともとTMの活動の一環として企画されていた可能性が高い。


ライブの開催日は「CAROL」リリース20周年の2008/12/9の翌日に当たる。
以前私は、TM25周年の企画告知は「CAROL」記念日に行なわれる予定だったことを推測したが、それならばその翌日の「EXPO Folk Pavilion -Revival-」も、TM25周年に絡めた企画だった可能性が浮上する。


これについて参考にしたいのが、小室逮捕時の「週刊文春」の記事である。
これによれば、10/31に年内のTMのライブの打ち合わせが予定されていたが、小室は「それどころじゃない」と言って来なかった。
TMのライブの開催は、小室が逮捕された11/4の時点で告知もされておらず、仮にその後告知される予定があったとしても、年内に開催するというのは日程的にも困難である。
そこでは私はこれまで、この記事は何かの誤りと考えてきたのだが、実は必ずしもそうではないのかもしれない。
つまりここでいう年内のTMのライブとは、実は「EXPO Folk Pavilion -Revival-」だったのではないかということである。


もちろん「EXPO Folk Pavilion -Revival-」はTM3人ではなくウツと木根の企画だったが、10月半ばに3人の打ち合わせを経て告知されたものだったのならば、そこに小室も絡むことが想定されていたとしてもおかしくはない。
あるいは途中でゲストとして小室が登場し、3人で25周年に向けた抱負を語って1~2曲を演奏するというような演出が想定されていたのではないか。


そう考えると、ライブ会場として多摩地方にある府中の森芸術劇場が選ばれたことも注目される。
多摩はTMの語源であることからも明らかなように、TM3人の故郷である。
この会場はウツ・木根が70~80年代の楽曲を演奏しながらアマチュア時代の思い出を振り返る場としてだけでなく、TMの始まりの地としての意味も持っていたのではないか。
それはTM以前のことを思い出しながら「SPEEDWAY」を作ったこととも合わせ、25周年企画開始に当たり自らを振り返る試みでもあったとも考えられる。


なお「EXPO Folk Pavilion -Revival-」には、「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンにも出演した浅倉大介もゲスト出演した。
ライブ開始後30分経ってからステージに呼ばれ、以後5曲目からアンコールまで出ずっぱりだった。
正直、これでゲスト扱いはひどいと思う。


ライブの選曲は大部分が70~80年代のヒット曲で(大半がフォーク)、5曲だけTMの曲が演奏された。
かつての「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンではフォークとTMが半々くらいだったが、この時は前者の比重が圧倒的に高かった。
演奏曲はウツ・木根が好きな曲を基準に選んだもので、「Tour TMN EXPO」とかぶるものが多い。
井上陽水「最後のニュース」の早口パートや同じく陽水の「桜三月散歩道」のセリフを浅倉が担当したのも、「Tour TMN EXPO」と同様である。


その日限定のユニット名を決めたのも「Tour TMN EXPO」に準じていた。
この時2人はレモニーハイムを名乗り、ウツが1号、木根が2号、浅倉が3号となった。
以前のレポートでは木根が1号と書いたが、ここではmagneticaの会報に依る)
レモニーハイムはTM時代に木根が住んでいた多摩のアパートの名前である。


ウツと木根がギターをかき鳴らして1曲目「夢の中へ」のイントロを演奏すると同時に、ステージにかかっていた厚い緞帳が上がって、ライブが始まった。
これは昭和の頃によく見られた演出だったらしく、木根は自分でこれがやれてうれしかったらしい。
ステージには演者の椅子・楽器以外はスクリーンがあるだけで、そこに手作り感のあるプロジェクタの映像が映し出されるという、いたってシンプルなものだった、


その後は2~3曲ごとにMCを挟みつつ、ライブは進行した。
ウツ・木根はアコースティックギターを持って椅子に座り、弾き語りを続けた。
浅倉の椅子の前にはキーボードが置かれた。
曲によってはピアニカを演奏することもあったが、これは「Tour TMN EXPO」の時と同じである。


この時のセットリストおよびライブレポは以前書いたことがあるので、詳しくはそちらを参照されたい。
パフォーマンスについて言うと、演出などがなく歌に集中できる環境で、自分が好きな曲を選んだということもあろうが、ウツの歌声の美しさが際立つライブだった。


本編でのTM曲は「Fantastic Vision」「Fighting」「Winter Comes Around」の3曲のみで、7曲程度を演奏して1曲TMを歌う、という割合だった。
最初に演奏されたTM曲は、7曲目の「Fantastic Vision」である。
「tribute LIVE」の帰ってきたフォークパビリオンでも演奏された曲であり、このライブで演奏されるのは自然な流れだったのだろう。


この曲の後のMCで、木根はTMの曲が少ないことについて、「自粛なのでね」と余計なことを言った。
ウツは「余計なことをいいやがって」と言いすてたが、半ば本気で怒っていたのかもしれない。
この後は長時間のMCがあり、3人で「Tour TMN EXPO」の思い出などを語ったが、小室の話には一切触れなかった。


「Fighting」は、「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンで演奏されなかった数少ないバラードである。
バンド演奏でも1987年の「Fanks Cry-Max」以来演奏されておらず、観客の多くはこの時初めて聞いたと思う。
なお浅倉はこの曲ではピアニカを担当した。


「Winter Comes Around」は、ライブのセットリストに正式に組み込まれたのは1988~89年の「CAROL Tour」しかない。
木根ソロライブで演奏されたことはあるが、ウツボーカルでの演奏は1992年の「EXPO Arena」のフォークパビリオン以来である。


「Fighting」「Winter Comes Around」は、ともにアコギを中心とした演奏でも映える曲であり、むしろウツの歌声をじっくりと聞ける良アレンジだった。
ファンの多くも嬉しい選曲だったと思う。
特に自分は「Fighting」の歌唱に感激した覚えがある。
また「Fighting」の選曲は、時期から見ても、小室に捧げる意味があったのだと思う。
「君の戦いの歌 闇にひびいてゆけ」という歌詞も、そう考えると重いものがある。


このライブで設けられた特別企画に、リクエストコーナーがあった。
会場のリクエストに応えて、即興で演奏するというものである。
歌は3人が1曲ずつ担当し、浅倉が伊勢正三「22才の別れ」、木根がイルカ「なごり雪」、ウツがモップス「たどりついたらいつも雨ふり」を歌った。


しかしフォークのリクエストを受け付けるのがコーナーの趣旨だったはずが、会場からまっさきに上がったのはTM曲で、木根はまた冗談ぽく「自粛してるので」と返した。
スタッフがリクエスト曲の譜面を用意するのに手間取る場面もあり、この後で開催された追加公演では、このコーナーは行なわれなかった。
なおこの日の公演はリクエストコーナーの混乱のため、公演時間が3時間弱に及んだ。


本編が「Winter Comes Around」で終わった後、アンコールでは3人とも、「Tour TMN EXPO」の時と同じオーバーオール姿で登場した。
ここはファンサービスの時間で、TM曲の「パノラマジック」「Dreams of Christmas」が演奏された。
前者は「1974」と並ぶTM始まりの曲であり、「Dreams of Christmas」は季節柄の選曲であろう。


このライブは好評だったようで、2009年2月には追加公演が発表された。
ウツ・木根からすれば、TM25周年企画が実現できなくなった現状を踏まえ、せめてもの埋め合わせの意味もあったのかもしれない。
追加公演は4/18・19に大阪厚生年金会館、4/29に愛知勤労会館、5/4に東京JCBホールで開催されており、2009/4/21のTM25周年記念日の周辺に設定された。
グループ名は大阪が「春うらら」「しだれ桜」、愛知が「寒冷前線」、東京が「東京ネズミーランド」だった。


ゲストとしては府中の森公演と同じく、浅倉大介が(ライブの大部分で)参加した。
また曲によっては、大竹茂美という人物がパーカッションを担当した。
大竹はプロのパーカッショニストではなく、普段はウツのライブでローディを務めている人らしい
なお追加公演では、ウツ・木根がギターを弾くイラストも作られ、会場のスクリーンにもしばしば映し出された。
このイラストは、以後のフォークパビリオン企画でも用いられ、グッズにも使われた。


フォークの選曲は、府中の森公演から変化している。
府中の森公演のリクエストコーナーで曲名が出た「たどりついたらいつも雨ふり」「22才の別れ」が取り入れられた他、ファンから集めたリクエストも踏まえて、3月に選曲されたという。


日替わり曲も数曲あったが、これは大阪が2公演あったためだろう。
最後のJCBホール公演については以前レポートとともにセットリストを掲載したことがあるが、大阪1日目はこれと同じで(セットリストA)、大阪2日目は愛知公演と同じだった(セットリストB)。
TM曲を除き、日替わり曲は以下の通りである。

・セットリスト(A):「22才の別れ」「今日までそして明日から」「時の流れに身をまかせ」「また逢う日まで」
・セットリスト(B):「白い冬」「シンシア」「異邦人」「あずさ2号」


府中の森公演と追加4公演を比べると、府中の森公演で演奏された楽曲中、TM曲・リクエスト曲を除く16曲の内、追加公演では7曲(セットリストA)または10曲(セットリストB)が選ばれた。
Aの方が重複が少ないのは、JCBホール公演の参加者に府中の森公演参加者が多くなるという見込みによるものだろう。


アコギを長時間弾くのは、普段アコギを演奏しないウツとしてはつらく、指先が腫れて痛かったという。
府中の森公演でも苦しんだ反省から、追加公演では氷入りの水が入った容器を用意して、トークの間指を冷やして回復させていた。
特に大阪公演が2日続いたのは大変だっただろう。


TM曲の入るタイミングは、府中の森公演と同様だった。
曲は本編が「月の河」「永遠のパスポート」「Another Meeting」、アンコールが「パノラマジック」「We love the EARTH」(セットリストA)または「パノラマジック」「Just One Victory」(セットリストB)だった。
「パノラマジック」以外は、府中の森公演で演奏されなかった曲である。


「永遠のパスポート」「Just One Victory」は2003年の「tribute LIVE」の「帰ってきたフォークパビリオン」でも演奏された曲である。
「月の河」はTM唯一のフォーク曲である。
「Another Meeting」はよく2人の時に演奏される曲である上、アコギだけでも対応可能である。
「We love the EARTH」「Spin Off from TM 2007」でアコースティックアレンジで演奏されたことがあるのが関係しているのだろう。
このようにTM曲はライブのコンセプトによく合っているものが選ばれた印象だが、あまり意外性がなかったとも言える。


以上、合計5回の「EXPO Folk Pavilion -Revival-」の様子を見てきた。
これらは基本的にはTM25周年の前祝い企画および穴埋め企画だった。
しかしその後も3回ほど、この後継企画が行なわれている。
それは2011/3/11の東北大震災を受けたもので、その復興のためのチャリティイベントとして開催されたものである。


すでに2011年5月には、ウツがFCでチャリティグッズを作成して販売しており、木根もライブでチャリティグッズの販売を行なっていた。
2011年の「Folk Pavilion」は、この流れで企画された。


まず2011/7/2・3には、「EXPO Folk Pavilion 2011」が渋谷Duo Music Exchangeで開催された。
この時は福島のデュオグループ涼風をゲストに呼んでいる。
ウツ・木根はこのライブの収益で楽器を一式購入し、福島市教育委員会に寄贈した。


セットリストは2009年と代わり映えのしないものだった。
TM曲は本編ラストの「Another Meeting」と、アンコールの「月の河」「Fantastic Vision」の、合計3曲が演奏された。
なおこのライブは、ニコ生でも有料配信されている。


2012/6/9・10にはMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで「EXPO Folk Pavilion 2012」が、2013/9/7・8にはYOKOHAMA Blitzで「EXPO Folk Pavilion 2013」が開催されている。
この時は選曲をガラリと変えてきており、2011年と2012年ではほとんどかぶりがない。
楽曲も歌謡曲やGSなど、フォーク以外の比率が上がっている。
これは後述のウツの「LIVE UTSU BAR」につながるものである。
TM曲はアンコールのみになり、2012年は「愛をそのままに」(木根ボーカル)と「Another Meeting」、2013年は「Another Meeting」だった。


2011年以後は浅倉・大竹に加え、松尾和博もギターとして参加するようになった。
松尾がチャリティの趣旨に賛同したこともあるが、ウツの指痛対策でもあったらしい。
さらにゲストとして、野村義男(ベース)やピエロのエディも参加した。
どちらもU_WAVEでのウツとの縁によるものである。


この時点で出演者はウツ・木根・浅倉・大竹・松尾・野村・エディの7人という大所帯となっており、フォークデュオという状態ではなくなっていた。
チャリティイベントということで、出演料なしで声をかけていたと思われる。


2014年には「EXPO Folk Pavilion」は開催されなかった。
この年にはTM NETWORK念願の30周年ツアーが春秋2回も開催されており、チャリティイベントを開催する余裕がなかったというのが実情だろう。


以後「EXPO Folk Pavilion」の開催はなくなるが、TM30周年企画終了後の2015/6/20・21に、ウツがEX Theater Roppongiで、東日本大震災チャリティイベントとして、「LIVE UTSU BAR~それゆけ歌酔曲!~」を開催する。
(6/23にも赤坂Blitzで追加公演)


「LIVE UTSU BAR」はウツのソロイベントで、木根は参加しなかった。
だがサポートとして野村義男・松尾和博が参加しており(他にキーボードとしてnishi-kenが参加)、「EXPO Folk Pavilion」の延長上の企画と考えることができる。


ウツとしては、フォークとは違う形にしたいと考え、歌謡曲をコンセプトにしたという。
各楽曲には、nishi-kenによる現代風のアレンジが加えられた。
アンコールで1曲ウツソロのオリジナル曲「times mile」を演奏した以外は、60~80年代の歌謡曲の演奏に終始した。


このライブはそれなりに手ごたえもあったようで、以後ウツは毎年春に「LIVE UTSU BAR」と題するライブを、同じメンバーで開催し続ける。
少なくとも2021年現在では、毎年開催されている。


「LIVE UTSU BAR」は2015年には東京公演のみだったが、2016年「LIVE UTSU BAR~それゆけ歌酔曲!~ギア2」以後は、全国のライブハウスを回るツアーになる。
全国ツアー化は、野村の提案がきっかけだったという。
なお本ツアーは、ファイナルの2016/5/12・13では別メニューになり、前半は歌謡曲、後半は木根・浅倉を交えたフォークパビリオンが披露された。
この日のみ、「EXPO Folk Pavilion」が限定的に復活した。


ウツは2013年まで、毎年秋にバンドで全国を回るツアーを開催することを活動の基本としてきたが、2014年のTM30周年の年を挟み、2015年以後は、春に少人数編成の「LIVE UTSU BAR」、秋にバンドツアーを開催するというスケジュールをルーティン化させる。
開催本数も2016~19年には、「LIVE UTSU BAR」が秋ツアーを上回った。


一方の木根は、しばらくはウツのような企画をあえて立ち上げることはなかった。
(ただしソロ曲・TM曲がかなりの比率を占めるライブだが、2010/5/30には原宿LaDonnaで「ひとりぼっちのフォーク・パビリオン」を開催している)
それまでもソロライブで頻繁にフォーク楽曲を演奏してきたから、あえてフォークと銘打つライブを開くこともなかったのだろう。


だが2020/12/29にはウツとともに、「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」を開催した。
これはウツの歌酔曲チーム(ウツ・野村・松尾・nishi-ken)と木根のフォークチーム(木根・山本英美・中村修)の対抗ライブという企画だった。
このライブの中で、木根チームは「K-Folk」とも呼ばれた。


さらに木根は2021/4/10・11に、「K-Folk 2021」と題するライブを開催した。
サポートには山本・中村が参加しており(さらにピアノとして海老原真二も参加)、「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」の延長企画ともいうべきものだった。
「K-Folk 2021」というタイトルは、2022以後の開催も意識しているように見えるが、ウツの歌酔曲と同様に、毎年恒例化させるつもりかもしれない。

春を待つ - 木根尚登
春を待つ - 木根尚登

7-43 小室哲哉のグレート・リセット

世間はオリンピックで、そこそこ盛り上がっていました。
私はほとんど見ていませんでしたが、試合前に聞いている選手がいたり、入場曲で使う選手がいたりで、ちょくちょく「Get Wild」の話題が出たりしました。
また宝塚歌劇の舞台版「シティハンター」が8/7に始まり、案の定「Get Wild」も歌われたそうですが、これもtwitterでトレンドになりました。


「Get Wild」、なんか気が付いたら、伝説の昭和の名曲みたいな位置になっていたんでしょうか?
無いとは思うけど、パラリンピック閉会式の最後にBGMで「Get Wild」が流れて「Get Wild」退出があったら面白いですね。


小室さんのTETSUYA KOMURO STUDIOは、8/13で第6回を迎えました。
今のところはちゃんとやってくれているようです。
7/16(第2回)の木根さん出演回では、木根ボーカルで「Girl Friend」「Remember Me?」を演奏した他、即興で2人で「Come on Let's Dance」「Electric Prophet」などを演奏してくれたそうです。
「Electric Prophet」、いつかもう一度ちゃんとしたのを聞きたいですね。
また第5回(8/6)には「あの夏を忘れない」を演奏したとのことです。


7/30、小室さんがLynx Eyesというユニットに提供した「#ALL FRIENDS」という曲のMVが公開されました。
楽曲自体は5月にイベントで発表されていたんですが、このブログではなんとなく今まで触れていませんでした。
どうやらアニメキャラが(つまり声優が)歌っているようです。
このたびこの曲が、スマホ向けゲーム「D4DJ Groovy Mix」に使用される曲として登録されたので、MV公開もこれと連動するものと思います。


このゲームには去年から「WOW WAR TONIGHT」が使われており、小室さんもその時点で「次回はこのユニットにフィットした新曲もプレゼントできたら嬉しいですね」とコメントしていましたが、これが実現した形です。
D4DJの公式サイトから、「#ALL FRIENDS」に関する小室さんの(5月の)メッセージも転載しておきます。

僕が生み出した過去の楽曲を大切に歌ってくれてありがとうございます。

当時の世の中と今とは違っているとは思いますが、「音楽」という繋がりで、過去と未来を結んで皆んなで一つになっていく事はとても素晴らしい事だと思います。

今回D4DJで新曲を作詞.作曲しました。
歌唱力のあるRaychellとドラマーのひなんちゅがDJ&RAPのこのユニット「Lynx Eyes」に表現してもらう為に作りました。
人と人との繋がりを大切にと言うテーマです。
この曲により、また未来へと繋がって行けば幸いです。

アーティストと皆さん、音楽に感謝します。

小室哲哉



ウツの秋ツアーのタイトルは、8/12に「TAKASHI UTSUNOMIYA Solo Tour 2021 U Mix」発表されました。
「Mix」てのは、nishi-kenさんが過去曲のリミックスでもやるんでしょうか。
ウツとnishi-kenさんの他はバイオリン奏者1人がサポートするそうで、バンド形式ではない特殊なアレンジでの演奏になりそうです。
9/25・26公演のみFC先行予約の受付を行なうことが、8/12に発表されましたが(8/24まで)、え、まだFC予約やってなかったの?


今回は会場に観客を100%収容するそうですが、現在のコロナ感染拡大の中、これが実現できるかはなかなか微妙です。
チケットの販売が遅れたのも、開催可能か判断が微妙なところがあったからでしょう(状況次第では中止・延期の可能性ありとのアナウンスもあり)。
今回はロックバンドでの演奏ではないので、歓声なし・着席とかの観覧条件があるかもしれません。


最後に木根さんについて。
8/24にリリースされる氷川きよしさんのアルバム「You are you」に、木根さんが「生まれてきたら愛すればいい」「You are you」という曲を提供したそうです
さらに「You are you」にはTMの「Seven Days War」とソロ曲の「Reset」のカバーも収録されるとのこと。
なお「生まれてきたら愛すればいい」「Seven Days War」の編曲はnishi-kenさんです。


木根さんは2019年に氷川さんに「hug」という曲も提供しており(シングル「大丈夫/最上の船頭」のカップリング)、意外と親しいようです。
9/14リリースのシングル「Happy!」のカップリングにも、木根さん作曲の「WALK」が収録されます。
なお木根さんのレギュラーラジオ番組「夜ドン!」には、8/8と8/22に氷川さんがゲスト出演するそうです。


あと前回触れ損ねましたが(前回記事みーこさんコメントでご指摘)、木根さんは久保こーじさんプロデュースの#SAVE THE ARTISTプロジェクト名義のアルバム「Unshakeable」にも、「風になれたら」を提供していました(6/23リリース)。
関連インタビューはこちらです


それでは本題に入ります。
ある意味で第7部最大のトピックが本章となります。
今回の話題は長引かせたくないので、長文になりますが一回で終わらせます。

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2008年の小室哲哉は、globeによるTM NETWORKカヴァーシングルも含め、TMを軸とした活動を行なっており、年末にはTM25周年企画を始動させる手はずとなっていた。
ところがその背後では、破滅の日が刻々と迫っていた。


小室は2006年8月、Tribal Kicks監査役の木村隆の提案に基づいて、投資家Sから5億円を詐取した。
その具体的な経緯は以前述べた
小室はSに対して、自らの楽曲の著作権を10億円で売却する約束をしたが、これを実現するためには前妻吉田麻美に慰謝料・養育費を支払って著作権使用料(印税)の差し押さえを解除する必要があると説明し、そのために必要な額として5億円を前払いさせたのである。


ところが実際にはこの5億円は、小室が木村隆に負っていた借金や、みずほコーポレート銀行・A.C.ホールディングス(山口組系)への借金返済に使われ、麻美には支払われなかった。
当然のこととして、Sへの著作権譲渡も実現しない。
またそもそも小室の著作権は制作時に音楽出版社に譲渡されており、小室は印税を受け取ってはいても著作権自体は所有していなかった(Sが要求したのは著作権使用料取得権ではなく著作権そのもの)。
だが小室はウソをついていることになることを自覚しながら、当座の金を得ることを優先して上記の詐欺を行なったと、後日大阪地検に供述している。


Sは著作権が移転されないことについて小室や木村に問い合わせたところ、5億円を別の借金返済に使ってしまったことを小室側から聞かされた。
そこでSは2006年9月、5億円の返金を要求する。
小室側は総額を10億円から7億円に減額するなどの対応をするが、肝心の著作権移転が最後まで行なわれなかった以上、Sにとってはまったく意味がないことだった。


以後も続いた5億円の問い合わせに対して、小室のスタッフや代理人は、のらりくらりと時間の引き延ばしに終始した。
2007/2/15には、Sが主催する動物保護団体のウェブサイトに、小室が「犬と会話が出来ます」など不可解なメッセージを寄せたりもしているが、これもSの怒りを収めるための時間稼ぎだろう。


7/31には、自ら兵庫県芦屋のS宅を訪れて謝罪を行なうとともに、5億円返済の約束をしたが、その約束もやはり果たされることはなかった。
らちが明かないと考えたSは、8月になると小室の関係各所に電話をして、小室に返金させるように圧力をかけた。
ちょうどTMの「SPEEDWAY」の制作準備からレコーディングに入る頃のことだが、あるいは本作のレコーディングが遅れたのは、この件も関わっているのかもしれない。


Sの電話先には音楽関係会社や吉本興業の副社長などもあったが、小室は特に妻KCO(KEIKO)の実家の山田家に電話が来ることに悩んだらしい。
KCOの母はSから、大分県知事にも連絡すると言われて戸惑ったという。
山田家に入り浸っていた小室は、当時山田家に対して資金援助を行なうなど大盤振る舞いをする一方で、苦しいところは一切見せないようにしていた。
早い話が見栄を張り続けたかったということだが、そうした中で山田家に実際の窮乏を知られることは、もっとも避けたいところだっただろう(こういうところが本当にダメだと思うが)。


10月になると、Sは小室を詐欺罪で告訴すると言って、山田家や小室の事務所に電話をかけてきた。
小室はパニックに陥ったが、弁護士から「こちらからも訴えて、裁判を起こし、事態を止めましょう」と言われ、10月31日に機先を制してSを神戸地裁に告訴した。
返済する債務がないにも関わらず精神的苦痛を味わったと主張して、Sに名誉棄損による損害額として1億円の支払いを要求したのである。


黙らせるための訴訟という弁護士の提案は、いかにも堅気とは別の世界の住人の発想に見える。
この頃の小室の環境をうかがうことができよう。
小室に債務がないというのは不可解な主張だが、5億円はTribal Kicksとして借りたのであって、小室個人の債務ではないという理屈だろうか。
実際に小室は、自分では送金を受けていないと裁判で主張していた(木村と平根が振込口座を管理し、5億円を借金返済に充てた)。


小室が告訴した2007/10/31は、「SPEEDWAY」制作の大詰めの頃(すでに締切を超過)であり、連日「TM NETWORK -REMASTER-」のリハーサルスタジオとレコーディングスタジオで働き詰めていた。
この頃の小室が訴訟のためにちゃんとした打ち合わせができたかは疑問もあり、訴訟を主導したのはむしろスタッフ側だったのかもしれない(「それでいいからやっておいて」くらいの指示はしたかもしれないが)。
小室は逮捕された当初も何が問題だったのか理解していなかったと発言しており、詐欺当時も告訴時も、事態をあまり分かっていなかった可能性がある。


Sは小室からの訴訟に対し、自らも小室に逸失利益1億円を含む総額6億円の支払いを求める反訴を行なったが、少なくとも訴訟が続いている間は、Sも関係者への電話をかけることもできなかったから、小室へのプレッシャーは表面的には和らいだと思われる。
もちろんこの訴訟は、実際には問題の先送りどころか、自らの破滅を早める行動でしかなかったのだが、ともかく2007年11月からしばらくの間、小室は音楽活動にある程度専念することができただろう。
「TM NETWORK -REMASTER-」「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」は、そのような環境下で実現したものだった。


とはいえ小室はS以外にも各所に借金を負っており、破滅の窮地を脱したとは言え、自転車操業の状態に変わりはなかった。
たとえば小室が立ち上げたTKCOMは2006年9月、貿易事業を展開するある経営者との間に、子供服ブランドSheen KidZと販売代理店の契約を結び、同ブランドの製品を1年間独占的に販売する権利を得たが、契約金20万ドルの支払いは先送りにした。
翌年には6万ドルを支払ったものの、それ以上の送金はしなかったため、この経営者は東京地裁に訴えて、2008年9月に小室の口座を差し押さえている(しかし口座の残高は6000円余りに過ぎなかったため、小室逮捕後に改めて告訴した)。


表に出ていない関係も含め、小室は同様の問題を各処に抱えていたと思われる。
納税にも事欠く状態だったようで、2008年4月には港区役所が滞納された地方税4000万円を取り立てるため、JASRACから支払われる印税の差し押さえを行なうに至る。


当時の小室の印税は差し押さえ分を含め2億円程度だったので、地方税の税率が所得の1割とすれば、地方税4000万円は2年間の滞納分(2006・2007年納付分)と考えられる。
2006年の小室は暴力団系の闇金融への返済に追われ、5億円詐取に手を染めるなど窮地に陥っていた。
この頃にはすでに税金すら支払う余裕もなくなっていたのだろう。


なお吉田麻美は2005年より、JASRACからの印税を年間1億円差し押さえる権利を認められていたが、上記区役所の差し押さえによって、印税の一部が麻美の手に渡らなくなった(税金の徴収は他の権利者よりも優先される)。
小室逮捕後の関係者の取り調べに当たり、麻美はこのことへの憤りを隠さなかった。
2006年に小室が追い詰められた一因は、小室の窮乏を2005年にメディアで暴露した麻美にもあるのだから、一面では自業自得なのだが。


こうして各方面で窮地に陥っていた小室に最終的なとどめを刺したのは、Sだった。
小室はSにふっかけた訴訟について、勝ち目がないと判断したのか、2008年7月に和解に応じてSの要求を呑み、遅延損害金を含む6億円超を9月末日までに支払うことに同意した。


だが実際に期日までに支払われたのは、900万円だけだった。
印税の差し押さえの状況を見るに、無い袖は振れない状態だったのだろうが、一方で900万円を支払ったのは、支払いの意志はあることを示すパフォーマンスでもあったのだろう。
こうして小室は10月を迎えた。


しかし小室側の思惑は外れる。
大阪地検が、本件を刑事事件として捜査を始めたのである。
問題になったのは、小室およびスタッフが5億円をSに振り込ませた時点で、著作権移転を行なうつもりがなかったのか否か、つまりSを騙す意図が初めからあったのか否かだった。
そしてもしもその意図があったのならば、詐欺罪として立件する見込みだった。


11/3、小室は検察から大阪に呼び出しを受けた。
小室によれば2泊3日で帰宅する予定で、ホテルを予約して2泊分の荷物を持って家を出たという。
そして一日ホテルの部屋で取り調べを受けた後、11/4の早朝に大阪地検特捜部によって逮捕され、大阪拘置所に送られた。
地検は当初から逮捕を前提として小室を呼び出したものだろうが、小室の発言を信じれば、小室は家を出た時点では逮捕されることを考えていなかったという。
逮捕に至るほどの事態に至っているという自覚はなかったらしい。


ただしすでに10/31にはゴシップ誌で、小室が逮捕の見込みであることが取り上げられていた。
同じ日にはTMの打ち合わせが行なわれることになっていたが、ウツ・木根側(ウツの事務所M-tresか)は小室の事務所から「それどころではない」との連絡を受けたとのことなので、実際にはこの頃にはかなり緊迫した情勢だったと見てよさそうである。
だが小室はそんな中でも、11/1にNack5のラジオ特番に生出演して、globeのニューシングルの話などをしている。


11/2には小室とマネージメント契約を結んでいたイーミュージックが、11/4のウェブサイトリニューアルの予定を発表している。
この頃には小室の逮捕を見越して、サイト更新の準備を行なっていたのだろう。
11/4にはウェブサイトから小室とKCOの写真を削除した上で、小室とは8月を以てマネージメント契約を解除したことを発表した。
ただし小室が保釈されると、イーミュージックは今度は小室とKCOを所属ミュージシャンとして、写真をサイトに再掲載し、以後長期に渡ってまとわりつくようになる。


この頃イーミュージックは岡村博行(ゴットプロデューサーKAZUKI)という人物を雇っており、小室逮捕後にメディアに対応させている。
岡村は2004年に脅迫の容疑で逮捕された経歴があり、チンピラの類と見られるが、パチンコ関係の雑誌やゴシップ誌・スポーツ新聞などにエッセイや漫画(原作者)を単発で執筆したこともあり、メディア関係者につながりがあると考えられたのだろう。
ただし実際には見るも無残な文章力かつ企画力で、まったく戦力にならず、半年間無報酬で働かされた挙句、翌年3月に解雇された。


岡村は11/3に各処に連絡を取って根回しをしていたらしい。
その一つと見られる熱海市議の村山憲三宛てのメールが村山のブログに転載されているが、そこには「おそらく今日、緊急逮捕されると思います」と記されている。
さらに岡村は、逮捕を見越して日本テレビ関係者を事務所に呼んで取材させ、イーミュージックおよびエンパイアプレイミュージック(これ以前に小室との契約をめぐってイーミュージックともめていた)が被害者である旨を報道させるように仕向けたことも、村山に伝えている。
イーミュージックが、小室の逮捕が自分たちに飛び火しないように対策していたことが分かる。


イーミュージックは小室が自宅を出た11/3の時点で、小室がこのまま逮捕されることを予測していた。
他の関係者の多くも、同様の予測をしていたものと思われる。
だが小室自身は、逮捕を考えていなかったと述べている。
小室のこの発言に虚偽がないとすれば(この点でウソをつく必然性はあまり想定できないが)、いつもの小室の楽観主義のなせる業というべきか、またはスタッフから神輿として担がれながら現実の事態を知らされない裸の王様状態だったのか。


小室が逮捕された11/4から数日間、新聞やワイドショーでは、連日小室の動向が取り沙汰された。
SONYはTMの「The Singles 2」、avexはglobeの「Get Wild」のリリースの中止を、逮捕日に即日発表した。
globeについては既発売CDや配信音源の販売も停止され、ウェブサイトは閉鎖された。


当然それまで進めていたTM25周年企画も水の泡となった。
ウツと木根のスタッフは、TM25周年企画のキャンセルでてんてこ舞いだったと思われる。
小室は保釈後、すぐに木根やウツに連絡を取ったというが、自分のせいで25周年企画が台無しになったことを謝ったものだろう。


大阪拘置所では、11/4の逮捕から11/21までの17日間、連日小室の取り調べが続いた。
気になるのは、小室が初日に検事から言われたという話である(「罪と音楽」)。
小室なりにかみ砕いた説明だが、オール5の通知表で卒業したいなら(=自分の無実を主張するのなら)、今年の卒業(=2008年中の釈放)はできないし、その後も長く苦労しなくてはならないが、オール1で構わないならば(=事実関係を争わずに起訴事実を認める選択をすれば)、「卒業の見込み」(=拘置所からの早期釈放)もあり得るということだった。
要するに、早く拘留を終わらせたかったら、検察の起訴事実についていちいち抗弁せずに認めろと言うことである。


小室は少しでも早く拘置所から出ることを望み、オール1での卒業を選び、初日から検察の起訴事実を全面的に認めて供述を行なったという。
小室は自分が有罪か無罪かよりも、早く拘留の現状から脱却したかったのだ。
検察も当時、小室が取り調べに協力的だったことを述べている。


検察は逮捕以前にすでに捜査を行なっており、おおよその事態は把握していたはずである。
あとは証拠から推測される事実関係について、小室の証言を得て供述調書を作る作業となる。
早期釈放を望んだ小室は、仮に検察の想定に誤りがあり異議があったとしても、それを言うことで時間が費やされると判断すれば、わざわざ口にすることは多くなかっただろう。
小室の望みは真実の確定ではなく、早期の釈放だったのだから。


さらに以前別章で言及したことの繰り返しになるが、取り調べに当たった主任検事前田恒彦の問題もある。
前田は捜査方法に問題のある人物で、この2年後には自らが逮捕され有罪判決を受けている。
検察の想定する事件の構図に合わせるべく文書偽造を行なったことが発覚したためだった。
小室事件の取り調べについても同様の疑惑があったことを証言する関係者もおり、小室の供述調書作成において自らの想定したストーリーを優先させることがあったことは、十分に考えられる。


また小室の「罪と音楽」の21頁には以下のようにある。

取り調べにおいて僕は、何ひとつ拒みも抗いもしなかった。訊かれたことには、知っている限りのことを正直に答えた。ただ、応えたくても知らないことが多々あった。
「細かい数字のことをTKさんに訊いても、答えられないのはわかってますから訊きません」
検事さんから、そう言われたこともある。
僕が何を知っていて、何を知らないのか、それすらも検事さんはお見通しだった。


小室は誰とどのような話をしたのかという類のことは回答できても、日付や金の流れについて詳細は分からないところもあった。
金の管理は木村や平根が行なっていたのだから、当然と言えば当然のことである。
しかし公判で読み上げられた供述調書は、小室が具体的な日付や金額に触れながら、事件の推移を述べる内容となっている。
そこに書かれている金の流れは何らかの裏付けがあると考えられるが、小室自身が本当にそれらすべてを認識していたのかは、相当疑ってかかるべきである。


なお詳細は触れないが、実は供述調書の中には、日付を遡って作成された書類の情報に基づき組み立てられている箇所が存在する。
こうしたことが起こるのは、検察が確保した証拠書類からストーリーを作り上げ、それを小室に認めさせるという手順が取られたからに他ならない。


本ブログではこれまで、公判記録を依拠資料の一つとして利用してきたし、その場合も、できる限り前後関係の検討や他資料での裏付けを行なうようにしている。
だが本件の背後に表には出ない(出せない)事情も存在することは、念頭に置くべきであろう。
本記事の内容もその点で、あくまでも事実の一側面でしかないし、あるいは実態とは異なる部分も含まれている可能性があることは、注意されたい。
以上のことは、以前「7-32 越えてしまった一線」の段で注意喚起をしたところだが、ここで改めて記しておくことにする。


なお2005~06年に小室に高利の融資を行なったA.C.ホールディングスの河野博晶(この返済問題が2006年の5億円詐取の直接の原因)は、小室事件の判決から半年余りを経た2009/12/2に、株式相場操縦の容疑で大阪府警に逮捕されている。
あるいは小室を取り調べる中で得た情報が活用されたのかもしれない。


さて、取り調べに従順な態度を示した小室は、11/21に3000万の保釈金を支払って保釈された。
すでに関係者への聴取も済んでおり、検察は同日に小室とTribal Kicks監査役の木村隆を起訴した(Tribak Kicks社長の平根昭彦は主導的立場になかったと判断されて不起訴)。
なお小室を特任教授としていた尚美学園大学は、この日小室を懲戒解雇した。


小室の保釈金はKCOが各所に連絡し用立てたもので、その一部はかつてのKCOの所属事務所アクシブの社長だったavex副社長千葉龍平が用意した。
千葉は小室の身元引受人にもなった。
小室とKCOはこれ以後半年近く、千葉の家の地下の部屋に間借りすることになる。


なお釈放の翌日は、小室とKCOの6度目の結婚記念日だった。
この日を夫婦で過ごせたことは、小室にとっていくらかの救いになっただろう。


千葉は小室が家に来た時、最初に「2人の関係が変わることがある。僕は教育者となる。悪いことは悪いといい、守れなければ出ていってもらう」と告げたという。
KCOに対しても、朝に起きて食事を作ることや、ジャンクフードではなく自然なものを食べるなど、生活の心構えを説いたという。
これ以前のKCOの生活態度が想像できる。


小室を救ったのは、実質的にはavex社長の松浦勝人と副社長の千葉だった。
この2人はこの頃、小室と疎遠な関係になっていた。
事の始まりは1997年の小室とavexの決別に遡り、90年代終わりには両者間で露骨な対立も見られた。
2000年頃には両者間で歩み寄りもあり、BALANCeのデビューやsong+nationの企画もあったが、昔のような関係に戻ることはなかったようである。


しかし11/4に小室逮捕の報道があると、松浦はavexで緊急会議を開き、役員を全員招集して、「何が理由であれ、小室がいなければ我々はここにきていない」として、小室を全面支援することを決定した。
千葉が小室の身元引受人になったのも、この決定が前提にある。


年が明けると、大阪地裁で裁判が始まった。
初公判(供述調書読み上げ)は1/21、第2回公判(証人尋問)は3/12、第3回公判(弁護人の最終弁論、被告人質問と被害者への証人尋問、検察の求刑)は4/23に開催され、結審となった。
裁判長は杉田宗久で、人情派として知られる人物だったが、それが小室にとって凶と出るか吉と出るかは、判決まで分からなかった。


小室は事実関係を争う意図はなかった。
そのため初公判では、検察が証拠として小室および関係者の供述調書を読み上げ、起訴事実の立証を行なった後も、小室の弁護人から異議を述べることはなかった。


第2回公判では、小室の情状証人が出廷した。
証人は松浦と千葉である。
2人は、音楽業界のトレンドは進行が早いため、刑務所に入り情報が得られなくなることは音楽プロデューサーにとって致命的であるとして、個人としてもavexとしても小室を支え、音楽を作る環境を与えることで更生させると述べ、情状酌量を求めた。


この公判は、後の判決に大きな意味を持つものだった。
小室が詐欺被害者Sに対して弁済を行なったことが明らかにされたのである。
もちろんそれは小室自身が支払ったものではない。
松浦勝人が肩代わりしたのである。


小室の保釈後、松浦は千葉宅で何度か小室と会い話をしたが、そんな中で小室は、ピアノを弾きたいという希望を告げてきた。
逮捕以来楽器を弾く機会がなかったことはつらかったのだろう。
松浦は小室を、閉店後のavex経営のピアノのあるレストランに連れて行ったところ、小室は朝まで一心不乱にこのピアノを弾き続けた。
これ以後も小室は何度かそのピアノを弾きに行ったが、その様子を松浦は「骨董通りのピアニスト」と呼んだという。


松浦はピアノを弾く小室の姿を見て、一緒に音楽を作っていた頃のことを思い出し、改めて手助けをしようと思い、借金の肩代わりを決意したという。
松浦が小室の支援を当初から決めていたことは先に述べた通りで、金を出すことも想定していたはずだが、最終的な決断はこの時だったのだろう。
松浦は小室を信頼して、分割返済ではなく14年後の2023年に一括返済する条件で、借金を肩代わりすることにした。
小室はこれ以前にも別のツテを通じてSへの弁済金の肩代わりをしてくれる人を探していたが、結局松浦に頼ることになった。


松浦は第2回公判2日前の2009/3/10、2008年7月の合意条件に基づく和解金(詐取金5億円+慰謝料1億円)に遅延損害金4800万円を合わせた6億4800万円を、Sの口座に振り込んだ。
だが示談を申し込んだ松浦に対し、Sは誠意が足りないと言って応じなかった。
松浦は「誠意」とはどういうことか代理人を通じて聞いたところ、「お金だ」と言われてショックを受けたと、公判で証言している。
要するに、金を上乗せして気持ちを示せと言うことで、およそ堅気の世界の住人とは思えない要求だったが、松浦がこれに応じることはなかった。


Sの小室への敵意は止むことがなかった。
初公判の後には検察に手紙を送り、「第1回公判の感想ですが、当方は失望と怒りを覚えた。小室被告の服装もノーネクタイだし、あいまいな発言だった。本当に反省しているのか」と伝えたことが、検察によって明かされている。
服装のマナーや発言の曖昧さなどはどうとでも文句が付けられるものであるし、そのことをわざわざ検察に伝えることの意味も分からないが、小室を徹底的に追及して欲しいという感情だけは伝わってくる。


なお小室は第2回公判後にSに手紙を送っている。
その内容は、以下のようなものだった。

私が大きな過ちを犯したことで、多大なご迷惑をおかけしたことをおわびします。詐欺事件で大阪拘置所に入っていたときに、さまざまなことを考えました。大きな過ちを犯したと反省し、おわびの気持ちを表そうと思いました。一刻も早く謝罪しようと思いましたが、公判中でしたし、被害弁償することが第一と思って過ごしてきましたので、結果として、おわびがこの時期になってしまいました。
拘置所にいる間に考え直しました。当時は、本来の仕事である音楽活動の創作も減った状況でした。しかし、改めて、私には音楽活動しかないと認識しました。今までの生活を改めるのはもとより、生まれ変わりつもりで過ごし、許されるなら音楽で社会貢献していきたいです。
平成21年3月23日 小室哲哉


金を振り込んでも示談に応じてもらえなかったことを受け、改めて小室自ら謝罪したというところだろう。
謝罪文としては言葉が不足しているようにも感じるが、それだけに小室が自らの言葉で書いた文章であることがうかがわれる。
だがSはこれを受け取ることはなかった。
第3回公判の証人尋問でも、Sは小室の不実や自らが被った被害を訴えた上で、「小室さんの真人間としての復帰を第一に考え、厳正な判決をしてくれれば幸いです」と述べた。


ただSが述べた「被害」には、言いがかりとしか言えないものも少なくない。
たとえばavexの関連会社が運営している動画サイト(ニコニコ動画)に、自分に疑惑を向ける動画が投稿されたことを挙げて、松浦・千葉がその動画の公開に関わっていると主張したことなどは、完全に妄想というべきだろう。
そもそもニコニコ動画を運営するドワンゴはavexと資本業務提携をしているだけであり、「関連会社」というのは誇張である。
実際に判決に当たっても、この主張は「関与不明」として退けられた。
Sが正常な判断ができないほど感情的になっていたのか、あるいは裁判官に悪印象を与えるための意図的な批判だったのか、どちらかと考えざるを得ない。


なおSの証人尋問が終わった後、裁判官による被告人質問が行なわれる前に、杉田裁判長は気の利いた対応を行なった。
小室に対して、「せっかく(Sが)お忙しいなか来てくれているのだから、何か話したいことはありますか」と言って、Sと話す機会を与えたのである。


この日、Sの証人尋問の前に行なわれた小室への被告人質問で、小室が被害者に謝罪したいので、どうしたらよいのか考えていると述べる場面があった。
杉田はこれを踏まえて、小室に謝罪の機会を提供したのである。
小室はここで、本人に直接謝罪することができた(謝罪した既成事実を作ることができた)。


もっともSはこれで終わらせることは不本意だったようで、自ら「本当に久しぶりなので私の方からも話させてください」と言って、自らも発言を行なった。
その発言は以下のようなもので、要するに許さないから実刑を受けて来いということだった。

事件が起こり不思議と憎しみの感情がない。人としての優しさとか、私は友情を感じていましたが、今は裏切られて悲しい気持ちが大きい。保釈後の対応も感心できたものではない。優しさが精いっぱい感じられません。反省して刑を全うして真人間に戻ってください。それから音楽をつくっていただきたい。最後のチャンスだと思っていつの日かみんなに愛される、みんなを幸せにしてくれて社会貢献してほしい。


このように、小室は被害者の許しを得ることはできなかったものの、謝罪の意を裁判官の面前で示したことは、形式的ではあるが意味があることだっただろう。


以上の手続きを経た上で検察から示された求刑は、懲役5年の実刑だった。
巨額の詐欺事件を犯したこと自体は小室も認めており、この時の裁判の焦点は執行猶予を得られるか否かにあった。
木根を含む小室の関係者やファン6000人からは、減刑嘆願書も提出された。


小室にとって期待ができたのは、何と言っても詐取金や慰謝料を弁済したことである。
また今後の音楽活動における万全なサポート体制を確保していることも、有利な条件であった。
一方でSが小室を最後まで許さなかったという不利な条件もあったが、小室から謝罪の意を示すことができたことは、その不利を多少とも薄める効果があったと思われる。


以上3回の公判を踏まえた判決が大阪で言い渡されたのは、5/11のことだった。
通常の裁判では、量刑を伝える判決の主文を言い渡した上で、判決理由を述べる手順を取るが、この時杉田裁判長は主文言い渡しを後に回し、判決理由から述べる異例の形式を取った。
判決理由の読み上げでは、主犯が小室ではなく木村隆であることを認めた上で、

総じて見れば、犯行に至る経緯や動機をみても、多くの酌むべきものを見いだすことは困難である。

手口は著作権を悪用した狡猾なものだ。自己のネームバリューを利用しており、音楽家としての矜持すらかなぐり捨てている。自己がこれまで創作し続けた歌の数々を詐欺の道具に用い、果ては被害男性の信頼を取り戻すために歌を作ってプレゼントするなどは、長きにわたり人の心を打つ歌の数々を世に送り出してきた被告人の振るまいとして、あまりに嘆かわしい。


などと述べられた。
小室からすれば、時間とともに絶望が高まっていったに違いない。
実際に小室自身、この時は実刑を覚悟したと言っている。
ただ判決理由読み上げの後半になると、次第に雲行きが変わってくる。

被告人を師と仰ぐエイベックス・エンタテインメント社長の松浦勝人氏が、被告人になり代わり、慰謝料などを含めて総額6億4000万円を耳をそろえて支払っており、完璧に被害弁償を終えていることは特筆すべきものがある。なお、被害男性は共犯者(木村隆)からも1億2000万円を支払いを受けており、総額2億5000万円もの慰謝料を得ている。松浦社長らは、いわばエイベックスが丸抱えで被告人を更生させることを誓約しており、被告人の将来の更生に大きな期待を抱かせるものがある。

*以上は産経ニュースによるが、木村が支払った慰謝料は、後日行なわれた木村の裁判の判決では1億5000万円とされているので、上記の1億2000万円は1億5000万円の誤りかもしれない。なお松浦が立て替えた慰謝料は6億4800万円中1億円だから、木村が支払った慰謝料が1億5000万円ならば、総額は上にある2億5000万円に一致する。



さらに裁判長は、小室の真摯な反省およびSへの直接の謝罪などにも言及した上で、「被告人を懲役3年に処する。この判決確定の日から5年間、刑の執行を猶予する」という判決主文を読み上げた。
小室は望み通りに、執行猶予を獲得したのである。


この時の杉田裁判長は、小室への教育的指導の意味も込めて、実刑判決の可能性を脳裏によぎらせて反省させる形で、判決文を読み上げたのだろう。
その後の杉田の人間味あふれる発言の様子を、当時の産経ニュースの記事から抜粋しておく。
ここには書かれていないが、小室はこの言葉に対して涙声で「分かりました」と答えたという。

裁判長「執行猶予とは、5年間あなたの更生を見守るということです。二度とこういう、ばかなことをしないようにしてください。すべてを判決文に書き尽くしているので、新たに付け加えることはありませんが、初心に立ち返って愚直に生きてほしい。それでは被告人は退廷してください」

《小室被告は、杉田裁判長の一言一言に、小さく小刻みにうなずいた。傍聴席に向かって軽く一礼し、退廷する小室被告。扉の前まで進むと振り返り、あらためて裁判官に深く頭を下げ、法廷を後にした》


小室は法廷から退出して1時間後、大阪弁護士会館で記者会見を行なった。
小室は冒頭に謝罪の言葉を述べて深々と頭を下げ、記者からの質問を受け付けた。
最初に今の気持ちを聞かれた時は、「判決を心から真摯に受け止めて、これから人生を歩んでいきたいと思います」と述べた。


小室はこの後、記者からつるし上げにあうことを覚悟していたが、意外と「今後」のことを多く聞かれたので、ありがたく思ったという。
「ファンの皆さんの気持ちをこれ以上裏切ってはいけない。小室哲哉の音楽を一回でも好きになってよかったと今後思えるようにしなければと感じました」と述べたところでは、涙ぐむ場面も見られた。


小室はSに対してとともに、何十年も自分の曲を聴いてくれたファンに対しても、申し訳ないと思う気持ちを述べた。
その上でファンの気持ちや松浦・千葉の恩に報いるためにも、音楽活動で再起したいと語った。
この段階では必ずしも頭の整理はできていなかっただろうが、音楽を続けられることは本当に嬉しかったようで、「正直すごく働きたいです。ああ、これで音楽をやらしていただけるのか、働けるのか、というのが率直な気持ちです」という言葉などは、真実味を感じられる。


会見を終えた小室は、飛行機に乗って東京に向かった。
昨夜から一睡もしていなかったため、千葉宅に戻った後はベッドに倒れ込んだという。
検察が高裁に控訴する可能性はなお残っていたが、控訴期限日の5/25には検察が控訴の意向がないことを公表した(Sによる民事裁判ならば控訴されていただろうから、この場合は刑事だったのが幸いした)。
こうしてこの日の午後、小室の執行猶予付き有罪判決は決定を見たのである。
その数日後、小室はKCOとともに千葉宅から出て、仮住まいに引っ越した。


なお小室とともに起訴された木村隆については、なぜか裁判の開始が遅れ、初公判は2009/9/17のことだった。
Sは木村隆からは慰謝料を受け取り、示談に応じている。
主犯は木村だったのに、こちらは許すとは、なんとも不思議な話である。
裁判長は小室と同じく杉田が担当し、10/21に懲役2年6ヶ月、執行猶予4年の判決を言い渡した。
小室よりも刑が軽かったのは、示談成立によるものか。


小室は判決が出てから、減刑嘆願書を書いてくれた人々に礼状を出して感謝の意を伝えるとともに、avexの下で音楽制作の準備に取り掛かった。
avexとの間には専属契約を結び、7/13には初めて楽曲制作のためにスタジオに入った。


8/1には個人事務所a-nineを設立した。
社長の大竹登はavexの関係者で、千葉の親友だった。
もともと小室の世話をしていた人物でもあり、2008年の逮捕前にも小室と関わっていたことから、この人選になったものだろう。
小室の個人事務所Tribal Kickや小室の友人喜多村豊のTK Tracksに移していた著作権使用料取得権も、小室の元に戻された。


a-nineのaは、avexのイベント名a-nationと同様に、avexを意味するものと考えられる。
小室がavexの管理下で音楽活動を始めたことを象徴する事務所名でもあった。
nine(9)は設立年の2009年を意味しているが、a-nine(a9)で「A級」「永久」という語呂合わせも行なわれた。
さらに小室が好きなadd9というコードも意識していたという。


小室は保釈中の半年間、ピアノを弾くことはあっても、楽曲制作を行なうことのできる精神状態ではなかったが、ここにようやく音楽活動の構想を練りだした。
当初小室が提示したのは、a-nine feat. 〇〇の形でavexミュージシャンとのコラボ楽曲を50曲同時にリリースするというプランだった。
この計画は当時も無茶な印象を受けたし、実際に実現しなかったものの、avex所属のプロデューサー・ミュージシャンとして、avexを核に活動するという基本方針があったことがうかがうことができる。


小室によれば、判決後の早い時点で作曲の依頼があったという。
「My Revolution」「Get Wild」「Departures」を超える曲が欲しいという注文だった。
小室はこの依頼にプレッシャーを感じたが、これを引き受けた。


おそらくこれは、やしきたかじんの依頼である。
たかじんが小室に作曲の依頼をしたという報道が、2009/7/1に出ている(作詞は秋元康に依頼)。
「My Revolution」などを超える楽曲というハッパのかけ方も、いかにも大物の依頼の空気が漂っている。
たかじんはかつて小室を大っぴらに批判していたが、詐欺事件の経緯を見て、復帰への助け舟を出したものと考えられる。
これは2010/11/24に「その時の空」としてリリースされた。
カバー曲を除けば、12年ぶりのたかじんの新曲であり、また最後のシングルでもあった。
ただしたかじんの依頼の受諾は、年末まで公表されなかった。


8/1にはSONYが発売中止にしていたTM NETWORK「The Singles 2」を9/30にリリースすることを発表した。
5月末の小室の刑確定を受けて、6~7月にSONYで決定されたものと見られる。
小室の判決が確定したことで、メーカー側の自粛も次第に緩められていく方向に向かったらしい。


ただ過去音源のリリースと比べ、本人の活動の再開はさらにハードルが高かったはずである。
巨額詐欺という大事件を引き起こした後だけに、その活動に批判が寄せられることは目に見えており、小室の復活劇は慎重に進められた。
しかし長期間活動をしないのも、音楽家としての勘を鈍らせることになりかねない。
2009年後半の小室は早期の活動実現のために、世間の様子を見ながら活動を徐々に再開させていった。


その最初の狼煙となったのは、8/22に東京の味の素スタジアムで開催されたavex主催の夏フェス「a-nation ‘09」だった。
事前告知はなかったものの、この時サプライズゲストとして小室が出演したのである。
小室はピアノで「Departures」「Sweet 19 Blues」「Get Wild」「Seven Days War」などを披露した。
1年前にglobeとして出演した「a-nation ‘08」以来のステージだった。


その後小室は立ち上がり、38秒間もの間お辞儀した後、観客に向けて以下のように述べた。

小室哲哉です。大変ご迷惑をおかけしました。そして、心配も沢山かけました。こうやってステージで弾けるような環境を作ってくれたavex、a-nationに感謝します。ありがとう。そして、ピアノに耳を傾けてくれたファンの皆さん、a-nationのファンの皆さん、本当にありがとうございます。


小室の発言が終わると、KCOとMarc Pantherがステージに現れる。
ここで再集結したglobeの3人で演奏が始まった。
1曲目「Face」は、歌詞で気持ちを伝えようとしたものだろうか。

反省は毎日で 悔やまれることが多すぎて
青春が消えていく でも情熱はいつまでつづくの
少しくらいはきっと訳にはたってる でもときどき自分の生きがいが消えてく
泣いてたり吠えてたりかみついたりして そんなんばかりが女じゃない


2曲目「Many Classic Moments」「Face」と比べると知名度が落ちるが、この頃の小室や松浦が傑作として評価していたことにより選ばれたのだろう。
またこの曲も、歌詞で気持ちを伝えようとしたものかもしれない。

ちょっと今から思えば 不思議で変で懐かしいかな 
病んでいたもんね 心とか体とかじゃなく立っていたポジションが

今からでも遅くないかな 今からでも歩けるかな 今からでもつくれるかな


globeは以上2曲の演奏を終えると、3人でお辞儀をして退場した。
小室はその後のTRFのステージでも呼び出されて、最後の「survival dAnce」でキーボードを演奏した。
TRFと小室のステージ上での共演は、何年ぶりのことだっただろうか。
YUKIは涙声でこの曲を歌いあげ、SAMは小室の肩を抱いて、一緒にステージに上がれたことを喜んだ。

7-43.png

小室はさらに8/30に大阪長居スタジアムで開催された「a-nation ‘09」最終公演にもゲスト出演した。
この時もピアノソロとglobeの演奏を披露した。


「a-nation」の小室出演は、小室の復帰を象徴するものだった。
浅倉大介はおそらくこのこと事前に知っていたと見え、「a-nation」東京公演と同日にお台場潮風公園で開催されたガンダムイベント「DA METAVERSE 'n' GUNDAM」で、DJとしてTMの「Beyond The Time」をトランスバージョンにして流したという。
それまで、さぞかし小室を心配していたに違いない。


小室が「a-nation」東京公演で復帰を果たすと、avexは終演とともに会場で、小室逮捕後停止していたglobe楽曲の配信を再開することを告知した。
2008年11月リリース予定だったglobe版「Get Wild」も、配信が始まった。
なお東京公演の小室・globeの様子は、avexが運営する携帯電話向けサービスBeeTVで独占配信された。


こうして小室は判決後3ヶ月で、2009年8月に復帰を果たした。
もちろんこれには早すぎるという批判が寄せられる可能性もあった。
avexもその可能性を考え、自ら主宰するイベントでのサプライズゲストという扱いで復帰させたと考えられる。
ただし数万人規模の会場は復帰宣言の舞台としては最良であり、よくできた復帰プランでもあった。


実際にはメディアでもこの復帰はおおむね好意的にとらえられた。
おそらくavexは、「a-nation」後の世間の反応をうかがった上で、小室の復帰を進めることができると判断したのだろう。
9/16には幻冬舎から、小室のエッセイ「罪と音楽」が刊行された。
この本は8月にはすでに刊行準備が整っていたはずだが、刊行は発売日直前になって発表され、宣伝はまったく行なわれなかった。
批判的な意見が噴出するのを避けるためだろうが、avexがいかに慎重にことを運ぼうとしていたかうかがわれる。


小室は本書で自ら事件に至る経緯を語るとともに、これまでの音楽活動を振り返り、最後にはa-nineを拠点とした今後の構想にも言及している。
自らの起こした事件について説明を行なって、すべての過ちを洗いざらいさらすことによって、次の活動に進むステップとしようとしたものと考えられる。


本書の刊行に当たっては、小室がワイドショーのインタビューに応じた(9/16「とくダネ!」など)。
これが逮捕後初の小室のTV出演となる。
9/23には銀座の福家書店、9/26には有楽町の三省堂書店で、小室のサイン会が開かれた。
そこでも小室は、改めてメディアの取材に応じるとともに、来場したファンに対しても一人一人言葉を交わして、再起の気持ちを伝えた。
サインも新しいものに変わったが、これも気持ちを一新したことを示したものだろう。


11/13には、新木場ageHaで開催されたavex主催のクラブイベント「HOUSE NATION Fiesta」に出演した。
この時はサプライズゲストではなく、事前に出演が告知されている。
小室の音楽活動のハードルも、次第に下がってきたということだろう。


小室は深夜に登場し、ライブとDJプレイを組み合わせたパフォーマンスを披露した。
おそらくDJ TK時代も同様のパフォーマンスだったのだろうが、この形態は2010年以後にも受け継がれる。
時間は45分程度で、プレイ楽曲は「Speed TK-Remix」「Self Control」「Love Again」「Wow War Tonight」「Many Classic Moments」などだった。


なおこの時は鈴木亜美(もと鈴木あみ)もDJとして出演し、最後は自ら「Be Together」を歌った。
小室と直接話すことがあったかは不明だが、小室・亜美が久しぶりに同じ会場に現れた日だった。


その他、avex関連の仕事では、12月某日に音楽講座「avex artist academy」で、ゲスト講師として講義を行なっている。
尚美学園の授業体験も生かされただろう。


これまで小室は、記者会見、「a-nation」「罪と音楽」、サイン会などで、何度も謝罪の意を示しながら、新たな活動を行なうための地ならしを続けてきた。
この流れの最後に位置するのが、12/20放送のフジテレビ「芸能界の告白特別編」への出演である。
この番組では小室哲哉をゲストに迎え、1時間以上の時間をかけて事件の経緯を追った。


番組は「罪と音楽」の筋書きに沿って小室の行なってきたことを明らかにし、小室自身も反省の弁を何度も述べた。
松浦勝人のコメント映像も流されたが、かつての小室の不義理を非難するなど、必ずしも全面的に擁護していなかった。


もちろん小室の反省や小室への非難だけがこの番組の目的ではない。
それを踏まえた上で、小室は音楽の仕事を続けていきたいと強く訴えたのである。
松浦も最終的には、小室にいつまでもクリエイターでい続けて、良い曲を書いてもらいたいと述べている。
要するに小室・avex側の意図は、過去の過ちを認めて反省するから、音楽活動を再開したいという意志を、番組を通じて世間の人々に伝えることだった。


司会のみのもんたも最後には小室に激励の言葉をかけた。
番組の締めくくりは、小室の「Feel Like Dance」「Wow War Tonight」のピアノ演奏だった。
あくまでも小室の音楽家としての印象を残す番組構成だった。


この年末の特番を持って、小室のミソギ期間は終わったと考えられる。
番組放送の翌週、12/26には、小室が先述のやしきたかじんの作曲依頼を引き受けたことが公表された。
さらに年が明けて2010年になると、avexは小室の音楽活動の予定を次々と発表するようになる。


逮捕と有罪判決という大きな代償を払いつつ、小室はグレート・リセットを行なって環境を一新した。
小室の音楽活動は、ここに新しい段階に入った。
そしてTM NETWORKの次の活動も、その中で実現することになるのである。

罪と音楽 - 小室 哲哉
罪と音楽 - 小室 哲哉

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