7-37 TM NETWORK -REMASTER-①
2/27と3/6、ウツと木根さんがニコ生に出演しました。
2/27は「tribute live SPIN OFF T-Mue-needs Tour Blu-ray」視聴会、3/6は「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク〜ハタシテ?ドチラが勝つでショー〜!」視聴会です。
FC盤Blu-rayの申込締切が3/7のため、その販促のために企画されたものです。
また4月から開催される「K-Folk 2021」と5月から開催される「LIVE UTSU BAR 2021〜それゆけ歌酔曲!〜」の宣伝も行なわれました。
内容はウツと木根さんがライブ映像を見ながらコメントをするという、他愛もないものですが、意外と知らなかったネタも出ました。
たとえば「CAROL Tour」で当初は松本孝弘さんが空を飛んで襲い掛かってくる演出が想定されていたのに(松本さんは悪魔役なので自然な設定です)、事務所から制止されたため、木根さんが空を飛んでキャロルを救いに来る演出に変わったという話などは、多分これまで出たことがなかったのではないでしょうか。
木根さんが高校卒業後に開催したプログレのソロライブというマニアックな話題も出ましたが、この時はウツもアコギとコーラスでサポート参加したそうです。
ウツがコーラスで木根さんがメインボーカルのライブだったんですね。
最近の話では、本来「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」で小室さんが参加するのは1曲だけだったけれども、「あの素晴らしい愛をもう一度」でも参加することが、当日のリハーサルで決まったということが分かりました。
小室さん、出たかったんでしょうね(笑)
番組の最後には木根さんが、次回は小室さんも含めた3人で出たいと言っていました。
2/24には「Digitalian is eating breakfast Special Edition」「tk-trap Re:2021」がリリースされました。
意外なことに「Digitalian is eating breakfast Special Edition」は、2/23付けアルバムデイリーチャートで8位、2/24付けで40位を獲得しました。
週間チャートでは19位・2714枚です。
また「tk-trap Re:2021」は、2/23付け音楽BDデイリーチャートで3位、翌日も8位に入りました。
週間では4位・1318枚です。
マジですか!?
まあ冷静に見れば、売上自体は大したことないんですが、ランキングだけならなかなかのところに行きました。
最後に、2/26に山田桂子氏がavexのサイトで直筆メッセージを公開し、小室さんとの離婚が成立したことを発表しました。
すでに2019年には離婚協議に入っていることが報道されており、同年10/21に5回目の調停が行なわれていたとされています。
調停は26ヶ月にわたり行なわれたとも報道されていますので、調停期間は2019年1月から2021年2月ということになります。
報道後小室さんがどれくらい叩かれるかと危惧しましたし、実際にゴシップ誌は盛んに書きたてましたが、話題としても賞味期限を過ぎたのか、大して盛り上がらなかった印象です。
本件がすっきりしたことで、小室さんが音楽活動に専念できる環境が整えば嬉しいです。
あと決着がついたことですし、小室さんにこれ以上圧力をかけても取れる金額が増えるわけではないので、先方の方々もゴシップ誌にネタを提供し続けることは、いい加減にやめてほしいものです。
今回小室さんは、相応の財産分与を行なったと報道されています。
2008年の逮捕時に松浦さんに負った借金の返済は2023年となっていますが、その返済はちゃんとできるのでしょうか。
小室さんには、なにとぞお仕事を頑張っていたただければと思います。できればTM中心で。
まとまった収入を期待できるコンテンツとなると、結局TMが一番有効と思うんですよね。
以上、近況の整理でした。
それでは本題に入ります。
-------------------------------------
これまで触れてきたように、2004年以来止まっていたTMが動き出したのは、2007/11/2・3にパシフィコ横浜で開催される「楽器フェア 2007」のライブイベントへの出演打診がきっかけだった。
このライブは8月には、「TM NETWORK -REMASTER-」というタイトルで発表された。
2004年のTM20周年では、SONYから過去音源がBOXやベスト盤の形で再発売され、2007年にもBOX収録のアルバムのバラ売りが行なわれた。
これら音源は再マスタリング処理が施され、それは「リマスター」と呼ばれた。
この頃はTMに限らず過去作品の「リマスター」盤再発がよく見られたが、それをこの時はライブタイトルとして取り入れたのである。
それまでTMのライブは、「終了」ライブという特殊な位置づけだった「TMN 4001 Days Groove」を除き、スタジオのオリジナル音源とは大きく異なるアレンジで演奏されるのが常だった。
2004年の「Double Decade “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA」に始まる20周年ライブも、過去曲の多くがトランスアレンジで演奏された。
これらはいわばライブ用の「リミックス」というべきものであり、それがTMライブの醍醐味でもあった。
ところがこの時掲げられたのは、「リミックス」ではなく「リマスター」だった。
このタイトルは、オリジナル音源にライブ用のアレンジを加えるのではなく、原曲のアレンジを高音質でリスナーに届けることを目指したものと解することができる。
たとえば小室は2007/9/20「スポーツ報知」の記事で、以下のように語っている。
実際に「楽器フェア」(以後「TM NETWORK -REMASTER-」パシフィコ横浜公演をこのように表記)では、楽曲のライブアレンジが大幅に加えられることはなく、原曲に準じたアレンジで演奏された。
この頃は「Get Wild」がオリジナルのままで演奏することもアピールされた(変わったアピールだと思う)。
またもう一点、「みなさんが知っている曲」から選曲するという方針も示されている。
誰が来ても楽しめるように、メジャーな曲でセットリストを組み立てるヒットメドレー形式を採るということである。
この方針は、定番曲をほとんど排し新曲を軸に据えた「Tour Major Turn-Round」などとは大きく異なるものである。
こうした方針になったのは、アルバムリリースを前提とせずに企画されたライブだったこともあるだろう。
シングル「Welcome Back 2」はライブ開催直前にリリースされたが、これだけではライブの軸とすることはできない。
ヒットメドレー的ライブになることは必然的だったともいえる。
小室は当時のインタビューで、「せっかくやるならみなさんに喜んでもらえるものをやろうと思った」とも発言している。
この方針は、「みなさんが知っている曲」という基準から分かるように、小室の目指す音を提示するというものではなく、観客の求めるものに応じようとするものだった。
こうした方針を採用したのは、「自分が好きなロックバンドのライブDVDを観ても、コンサートに行っても、知っている曲が次々に出てきた方が圧倒的に楽しいから」という理由だと、小室は語っている。
木根が8月のライブMCで語ったことによれば、小室はChage & Askaのライブを見に行ったが、知らない曲ばかりでつまらなかったと言っていたという。
これは7/22にNHKホールで開催された「Tour 2007 Double」のことと考えられる。
ニューアルバム「Double」を軸にしたツアーだった。
おそらくこの体験に基づいて、小室は「みなさんが知っている曲」という基準を作ったのである。
小室がこれまで自分がやりたい音楽に徹底的にこだわってきたことを考えると、この時の基準はいかにもファンにおもねったものという印象を受ける。
小室は自信を失い、何をやるべきかを自らの音楽的関心からは提示できない状態だったのかもしれない。
この時に選曲されたのは、大部分が1987~88年の楽曲だった。
「楽器フェア」で演奏された曲を見ると、非インストの14曲中、9曲がこの時期の楽曲である。
特にこの時は、「Beyond The Time」を演奏することがアピールされた。
意外なことに、この曲のライブ映像は、これ以前に一度も商品化されていない。
知名度の割には演奏頻度が低かったことも事実で、これを聞きたいというファンの声もあったのだろう。
他に演奏されたのは、TMN時代の3曲(1990~91)と、ニューシングル「Welcome Back 2」およびそのカップリング「N43」である。
1986年以前の楽曲や、新曲以外の再始動後の楽曲は1曲もない。
その長いキャリアにもかかわらず、1987,1988,1990,1991,2007の5年間に発表した曲だけでライブを行なったことになる。
要するに「楽器フェア」は、TMが売れていた時代を重点的に振り返るライブだった。
この点は、「Welcome Back 2」のコンセプトに通じるものでもある。
なお実際には演奏されなかったが、「Dreams of Christmas」も候補に挙がっていたことが知られる。
同じクリスマスソングの「N43」とセットで演奏する計画だったのだろうか。
もう一点、このライブについて触れておかねばならないのは、小室の関与の少なさである。
本ライブのリハーサルは10/27~31に行なわれたが、小室はあまり現れなかった。
曲順を決める段になってもいなかったため、リハーサルは難航したらしい。
おおまかな演奏曲候補は3人で考えていたのだろうが、細部についてはリハーサルスタジオで詰める予定になっていた。
これは小室がサボっていたのではなく、前回の記事で触れたように、「SPEEDWAY」のレコーディングのためである。
本来「SPEEDWAY」は10/20以前にレコーディングを終えているはずだったが、これを1週間過ぎても終わっておらず、TMはレコーディングとリハーサルを同時にこなさざるを得なかった。
特に音源作りを担当する小室は余裕がなかった。
小室は10/28には体調を崩して病院に搬送され、翌日もリハーサルに顔を出さなかった。
この間はウツがその場を仕切ることになった。
その後もリハーサルの期間はもちろんのこと、ライブ当日の早朝までレコーディングは続いた。
満足なリハーサルが終始できなかったことは推測できる。
「楽器フェア」で演奏ミスが目立ったのも、これが一因だろう。
こうした中で用意されたライブ音源の作成に、小室が深く関与したとは考えられない。
おそらく音源作りはスタッフに丸投げであり、ライブ当日の事前リハーサルで微調整を加える程度だっただろう。
これは原曲通りに演奏するというコンセプトだからこそ可能だったとも言えるが、逆にいえば小室はこのコンセプトを提示した時点で、音源制作はスタッフに丸投げするつもりだったのかもしれない。
TMは前回の「Double-Decade “NETWORK”」ではバンド色を排し、葛城哲哉のギターを除くほぼすべての音を小室がリアルタイムミックスによって制御するという、挑戦的な試みを行なった。
だが「楽器フェア」では生のギター・ベース・ドラムが加わり、一般的なロックバンド編成によって演奏された。
その点では「Double-Decade “NETWORK”」の前に開催された「Tour Major Turn-Round」に近いものになったと言える。
以上のように「楽器フェア」は、オリジナルアレンジ・著名曲中心・音源制作丸投げ・バンド演奏という特徴を持つライブだった。
この特徴から受ける印象は人によって異なるだろうが(たとえば著名曲中心というのは歓迎する観客もいただろう)、私としてはバンド演奏という要素以外については、久しぶりのライブだったのに非常に残念な思いを感じたというのが正直なところである。
ただオリジナルアレンジでの演奏については、おそらく前例があった。
これ以前の2003~07年に開催された「tribute LIVE」「Spin Off from TM」「Spin Off from TM 2007」である。
これらのライブは過去の楽曲の魅力を伝えるために、TM楽曲をオリジナルのままで演奏するというコンセプトだった。
「楽器フェア」のライブスタッフも中心はウツ事務所のM-tres関連者で、「tribute LIVE」等と同じだったと考えられる。
小室に積極的なプランが浮かばず時間もあまりなかった中で、この頃ウツ・木根によるオリジナル演奏のライブが常態化していたことは、ライブの構想に当たり参考にされた可能性がある。
しかもそうしたライブツアーが3回も開催されたことから分かるように、これを支持するファンも少なくなかった。
TMの活動が行なえない間のつなぎとして開催されてきたtribute LIVEの形式が、本体のTMの活動に影響を及ぼしてしまったということもできる。
セットリストは、オープニングでインスト曲をSEとして流し、2~3曲ごとにMCを挟み、インスト曲の後で最後の盛り上げ曲を続けて演奏するという、tribute LIVEと同様の構成だった。
これはウツ・木根中心で曲順を決定したことによる必然的なものといえる。
その意味でも本ライブはtribute LIVEの延長としての性格がある。
ライブの時間は100分超に過ぎなかった。
この間にMCやアンコール待ちの時間もあったので、実質的な演奏時間は80分程度である。
再始動後は「Tour Major Tunr-Round」「Double-Decade “NETWORK”」などでも短時間のライブが続いていたが、それでも2時間近い時間は確保されていた。
「楽器フェア」と同程度の公演時間だったライブとして、「Log-on to 21st Century」があるが、後者が短時間になったのは、本来対バンとして企画されたものがワンマンライブに変更されたという事情もあった。
「楽器フェア」はこうした特殊なライブと同程度の短さのライブだった。
ただしこれはTM側の事情というよりも、「楽器フェア」主催者側の事情で、公演時間が制限されていたものかもしれない。
後述の追加3公演では、いずれも2時間近い公演時間となっている。
演奏曲数はインストを除き14曲である。
「Double-Decade “NETWORK」「Double-Decade Tour」は16曲、「Double-Decade Tour Final」は17~19曲であり、しかも長大なライブアレンジが施された曲も含まれた。
これらと比べると「楽器フェア」は、やはり物足りないライブだったと言えるだろう。
さて、TMの活動再開に当たって本来予定されていたのは、出演打診を受けた11/2・3の「楽器フェア」だけだった。
だが前章までで見てきたように、TMはこれを引き受けた後、シングル・アルバムのリリースを決定した。
おそらくこれと合わせて、「楽器フェア」以外のライブも開催することになったらしい。
ライブタイトルを単に「楽器フェア」とせず、「TM NETWORK -REMASTER-」という独自のものを付けたのも、おそらくこのことと関わるだろう。
9月半ばには3人のFCで、シングル「Welcome Back 2」のリリースおよび11/26・27の渋谷C.C.Lemonホール公演と12/3の日本武道館公演の開催が発表された。
結局「TM NETWORK-REMASTER-」は、「楽器フェア」も含めて全5公演となり、すべて首都圏で開催された。
小室や木根は「REMASTERツアー」と言っており、ライブツアーという認識だった。
渋谷公演と武道館公演のセットリストは、横浜の「楽器フェア」から変更になった。
具体的にはライブのオープニングSEが、「楽器フェア」は「nuworld」、渋谷公演は「EXPO」、武道館公演は「Malibu」となった。
また「楽器フェア」の演奏曲の内、渋谷公演では「Here, There & Everywhere」「N43」「Wild Heaven」の3曲が除かれ、代わりに「Love Train」「Come On Everybody」「Action」が追加された。
武道館では以上の入れ替わり6曲の内、「Here, There & Everywhere」を除く5曲が演奏されたため、演奏曲数としては2曲増えた。
特に変わった演出があったのは渋谷の2公演である。
この2公演は小室の誕生日11/27に前後して設定されたが、小室はサプライズのバースデーケーキなどはいらないから、好きなことをできる時間をプレゼントして欲しいと、スタッフに交渉した。
小室がこの時間で行なったのは、当時小室がデビューさせようとしていたバンドPurple Daysの出演だった。
彼らはこれがバンドとして初めてのプロのステージだったと考えられる。
この時はオリジナル曲「Shine of Love」「あなたが笑う度、恋をする」の2曲を披露している。
なお渋谷公演でのTMの演奏曲数は「楽器フェア」と同じだったが、Purple Daysの2曲があったため、時間は合計2時間程度になった。
武道館も公演時間は同じ程度だったが、Purple Daysの2曲が削られた代わりに、TM曲が2曲増えた。
「TM NETWORK -REMASTER-」5公演では、いずれも凝った演出は見られなかった。
ただ渋谷・武道館公演では、ステージの後ろにタイムマシーンを意識したと思しき巨大な時計のオブジェが置かれた。
これは「SPEEDWAY」のジャケットにも見られるもので、翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でも使われた。
ライブパンフレットは「楽器フェア」では作られなかったが、渋谷・武道館公演では販売された。
内容は、「楽器フェア」の写真・レポートを中心にしたものである。

サポートメンバーは、ギター北島健二、ベース吉田建、ドラムそうる透である。
北島・吉田は2002年のイベント「Laugh & Peace Premium Night」でもサポートを務めたことがあるが、吉田はフルライブでのサポートは初めてである。
北島は「4001 Days Groove」「Double-Decade Tour Final」でサポートを務めたことがあるが、前者は葛城哲哉との共同サポートで、後者は冒頭6曲とアンコールのみのサポートだった。
北島とTMの長い交友関係を考えると少々意外だが、TMのフルライブを通して1人でギターを担当したのは、この時が初めてと思う。
そうる透は「Welcome Back 2」のレコーディングにも参加しており、その縁でサポートを依頼されたものだろう。
THE ALFEEのサポートなどを務めてきたベテランドラマーで、実は小室と同い年である。
ライブでは強く主張するドラムプレイを披露したが、これは生ドラムのなかった「Double-Decade “NETWORK”」と比べると、大きな相違点である。
このサポート陣は、それまでのTMのライブとはかなり様変わりしたものとなっている。
北島とそうるは翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でもサポートを務めており、この時期の音を特徴付けていると言って良い。
なおギターのサポートは、葛城哲哉が1990年の「Rhythm Red Tour」以来、すべてのフルライブで担当してきたが、この時から外れることになった。
ライブステージ上の配置は、客席から見てウツが前方中心におり、小室が右、木根が左である。
小室と木根の位置は「Log-on to 21st Century」「Tour Major Turn-Round」と逆で、「終了」前の配置に戻った。
ステージ後方には、中央にそうる透、右に吉田、左に北島がいた。
これは横浜・渋谷・武道館に共通である。
衣装は各会場で変化した。
「楽器フェア」では、ウツが黒のシャツの上に赤茶のジャケット、小室が白の半袖Yシャツの上にベージュのジャケット(ジャケットは途中で脱ぐ)、木根が黒地に柄付きのTシャツの上に黒のポイント入りの白いジャケットを羽織った。
木根は普段と雰囲気の異なるサングラスをかけており、一瞬電撃ネットワークの南部虎弾に見える。
風貌としては、3人ともイケていると思う。
渋谷公演は、木根は横浜と同じ衣装だったが、小室はカジュアルな黒地のシャツの上に黒のジャケットを羽織り、ウツは銀色のコートを羽織っている。
武道館では、ウツ・木根は渋谷と変わらなかったが、小室は渋谷とは異なるフォーマルな仕様の黒ジャケットを羽織り、下にはフリル付きのシャツを着ている。
本ライブについてもっともまとまった資料は、DVD「TN NETWORK -REMASTER- at NIPPON BODOKAN 2007」である。
武道館公演の様子を全編収録したもので(ただしMCは一部カット)、通常盤はR&Cより2008/4/2にリリースされた。
今後触れるタイミングもないので、ここで本商品にも言及しておこう。
本作のジャケット原画は「Welcome Back 2」と同じものだが、「Welcome Back 2」とは別の部分(下の部分)をトリミングして用いている。
ライブ映像の他にボーナストラックがあり、「SPEEDWAY」のMV2種(BGMは「Action」)、「Welcome Back 2」MV、ライブリハーサルのダイジェスト映像(BGMは「Red Carpet」)が収録されている。
本作にはFC限定版も存在する。
こちらはライブの様子を撮影したブックレットおよびドキュメントDVD「TM NETWORK Document 2007 Kick Into Action」が同梱されている。
非常にいやらしいことに、FC盤には通常盤のボーナストラックが収録されていないため、すべての映像を入手したい場合には、数分のボーナストラックのために5000円(税別)で通常盤を購入しなくてはならなかった。
「Kick Into Action」は「Welcome Back 2」のリリースから渋谷公演に至る日々のドキュメント映像を収録したものである(2007/9/16~11/27)。
この時期のレコーディングの過程は他の時期と比べて情報が少ないため、貴重である。
本ディスクには11/2「楽器フェア」オープニングの「nuworld」と、11/27渋谷公演の「Action」の様子も収録されている。
両公演の映像が商品化しているのはこれだけである。
2007/12/23にはTV番組「みゅーじん」で、TMの活動を追った特集が組まれた。
映像の素材は「Kick Into Action」と同じものを使ったと思われるが、使われている映像はほぼかぶっておらず、これも貴重な情報源である。
番組では特に「You Can Find」制作の過程に焦点を当てているが、ライブ映像としても「楽器フェア」から「Be Together」「Get Wild」、武道館公演から「Love Train」「Seven Days War」「Get Wild」「Action」をそれぞれ一瞬放送している。
「楽器フェア」の演奏シーンは「Kick Into Action」にはなく、これ以外で見ることはできない。
以上が、「TM NETWORK -REMASTER-」の概要である。
具体的なライブの内容については、次章で扱うことにしたい。
![TM NETWORK -REMASTER- at NIPPON BUDOKAN 2007 [DVD] - TM NETWORK, TM NETWORK](https://m.media-amazon.com/images/I/51FnRCG5LBL.jpg)
TM NETWORK -REMASTER- at NIPPON BUDOKAN 2007 [DVD] - TM NETWORK, TM NETWORK
2/27は「tribute live SPIN OFF T-Mue-needs Tour Blu-ray」視聴会、3/6は「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク〜ハタシテ?ドチラが勝つでショー〜!」視聴会です。
FC盤Blu-rayの申込締切が3/7のため、その販促のために企画されたものです。
また4月から開催される「K-Folk 2021」と5月から開催される「LIVE UTSU BAR 2021〜それゆけ歌酔曲!〜」の宣伝も行なわれました。
内容はウツと木根さんがライブ映像を見ながらコメントをするという、他愛もないものですが、意外と知らなかったネタも出ました。
たとえば「CAROL Tour」で当初は松本孝弘さんが空を飛んで襲い掛かってくる演出が想定されていたのに(松本さんは悪魔役なので自然な設定です)、事務所から制止されたため、木根さんが空を飛んでキャロルを救いに来る演出に変わったという話などは、多分これまで出たことがなかったのではないでしょうか。
木根さんが高校卒業後に開催したプログレのソロライブというマニアックな話題も出ましたが、この時はウツもアコギとコーラスでサポート参加したそうです。
ウツがコーラスで木根さんがメインボーカルのライブだったんですね。
最近の話では、本来「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」で小室さんが参加するのは1曲だけだったけれども、「あの素晴らしい愛をもう一度」でも参加することが、当日のリハーサルで決まったということが分かりました。
小室さん、出たかったんでしょうね(笑)
番組の最後には木根さんが、次回は小室さんも含めた3人で出たいと言っていました。
2/24には「Digitalian is eating breakfast Special Edition」「tk-trap Re:2021」がリリースされました。
意外なことに「Digitalian is eating breakfast Special Edition」は、2/23付けアルバムデイリーチャートで8位、2/24付けで40位を獲得しました。
週間チャートでは19位・2714枚です。
また「tk-trap Re:2021」は、2/23付け音楽BDデイリーチャートで3位、翌日も8位に入りました。
週間では4位・1318枚です。
マジですか!?
まあ冷静に見れば、売上自体は大したことないんですが、ランキングだけならなかなかのところに行きました。
最後に、2/26に山田桂子氏がavexのサイトで直筆メッセージを公開し、小室さんとの離婚が成立したことを発表しました。
すでに2019年には離婚協議に入っていることが報道されており、同年10/21に5回目の調停が行なわれていたとされています。
調停は26ヶ月にわたり行なわれたとも報道されていますので、調停期間は2019年1月から2021年2月ということになります。
報道後小室さんがどれくらい叩かれるかと危惧しましたし、実際にゴシップ誌は盛んに書きたてましたが、話題としても賞味期限を過ぎたのか、大して盛り上がらなかった印象です。
本件がすっきりしたことで、小室さんが音楽活動に専念できる環境が整えば嬉しいです。
あと決着がついたことですし、小室さんにこれ以上圧力をかけても取れる金額が増えるわけではないので、先方の方々もゴシップ誌にネタを提供し続けることは、いい加減にやめてほしいものです。
今回小室さんは、相応の財産分与を行なったと報道されています。
2008年の逮捕時に松浦さんに負った借金の返済は2023年となっていますが、その返済はちゃんとできるのでしょうか。
小室さんには、なにとぞお仕事を頑張っていたただければと思います。できればTM中心で。
まとまった収入を期待できるコンテンツとなると、結局TMが一番有効と思うんですよね。
以上、近況の整理でした。
それでは本題に入ります。
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これまで触れてきたように、2004年以来止まっていたTMが動き出したのは、2007/11/2・3にパシフィコ横浜で開催される「楽器フェア 2007」のライブイベントへの出演打診がきっかけだった。
このライブは8月には、「TM NETWORK -REMASTER-」というタイトルで発表された。
2004年のTM20周年では、SONYから過去音源がBOXやベスト盤の形で再発売され、2007年にもBOX収録のアルバムのバラ売りが行なわれた。
これら音源は再マスタリング処理が施され、それは「リマスター」と呼ばれた。
この頃はTMに限らず過去作品の「リマスター」盤再発がよく見られたが、それをこの時はライブタイトルとして取り入れたのである。
それまでTMのライブは、「終了」ライブという特殊な位置づけだった「TMN 4001 Days Groove」を除き、スタジオのオリジナル音源とは大きく異なるアレンジで演奏されるのが常だった。
2004年の「Double Decade “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA」に始まる20周年ライブも、過去曲の多くがトランスアレンジで演奏された。
これらはいわばライブ用の「リミックス」というべきものであり、それがTMライブの醍醐味でもあった。
ところがこの時掲げられたのは、「リミックス」ではなく「リマスター」だった。
このタイトルは、オリジナル音源にライブ用のアレンジを加えるのではなく、原曲のアレンジを高音質でリスナーに届けることを目指したものと解することができる。
たとえば小室は2007/9/20「スポーツ報知」の記事で、以下のように語っている。
一連のコンサートでは、オリジナルバージョンのアレンジや演奏に重点を置き、楽曲のポテンシャルを引き出す方向で考えています。 みなさんが知っている曲を知っているアレンジで連発する予定でいます。
実際に「楽器フェア」(以後「TM NETWORK -REMASTER-」パシフィコ横浜公演をこのように表記)では、楽曲のライブアレンジが大幅に加えられることはなく、原曲に準じたアレンジで演奏された。
この頃は「Get Wild」がオリジナルのままで演奏することもアピールされた(変わったアピールだと思う)。
またもう一点、「みなさんが知っている曲」から選曲するという方針も示されている。
誰が来ても楽しめるように、メジャーな曲でセットリストを組み立てるヒットメドレー形式を採るということである。
この方針は、定番曲をほとんど排し新曲を軸に据えた「Tour Major Turn-Round」などとは大きく異なるものである。
こうした方針になったのは、アルバムリリースを前提とせずに企画されたライブだったこともあるだろう。
シングル「Welcome Back 2」はライブ開催直前にリリースされたが、これだけではライブの軸とすることはできない。
ヒットメドレー的ライブになることは必然的だったともいえる。
小室は当時のインタビューで、「せっかくやるならみなさんに喜んでもらえるものをやろうと思った」とも発言している。
この方針は、「みなさんが知っている曲」という基準から分かるように、小室の目指す音を提示するというものではなく、観客の求めるものに応じようとするものだった。
こうした方針を採用したのは、「自分が好きなロックバンドのライブDVDを観ても、コンサートに行っても、知っている曲が次々に出てきた方が圧倒的に楽しいから」という理由だと、小室は語っている。
木根が8月のライブMCで語ったことによれば、小室はChage & Askaのライブを見に行ったが、知らない曲ばかりでつまらなかったと言っていたという。
これは7/22にNHKホールで開催された「Tour 2007 Double」のことと考えられる。
ニューアルバム「Double」を軸にしたツアーだった。
おそらくこの体験に基づいて、小室は「みなさんが知っている曲」という基準を作ったのである。
小室がこれまで自分がやりたい音楽に徹底的にこだわってきたことを考えると、この時の基準はいかにもファンにおもねったものという印象を受ける。
小室は自信を失い、何をやるべきかを自らの音楽的関心からは提示できない状態だったのかもしれない。
この時に選曲されたのは、大部分が1987~88年の楽曲だった。
「楽器フェア」で演奏された曲を見ると、非インストの14曲中、9曲がこの時期の楽曲である。
特にこの時は、「Beyond The Time」を演奏することがアピールされた。
意外なことに、この曲のライブ映像は、これ以前に一度も商品化されていない。
知名度の割には演奏頻度が低かったことも事実で、これを聞きたいというファンの声もあったのだろう。
他に演奏されたのは、TMN時代の3曲(1990~91)と、ニューシングル「Welcome Back 2」およびそのカップリング「N43」である。
1986年以前の楽曲や、新曲以外の再始動後の楽曲は1曲もない。
その長いキャリアにもかかわらず、1987,1988,1990,1991,2007の5年間に発表した曲だけでライブを行なったことになる。
要するに「楽器フェア」は、TMが売れていた時代を重点的に振り返るライブだった。
この点は、「Welcome Back 2」のコンセプトに通じるものでもある。
なお実際には演奏されなかったが、「Dreams of Christmas」も候補に挙がっていたことが知られる。
同じクリスマスソングの「N43」とセットで演奏する計画だったのだろうか。
もう一点、このライブについて触れておかねばならないのは、小室の関与の少なさである。
本ライブのリハーサルは10/27~31に行なわれたが、小室はあまり現れなかった。
曲順を決める段になってもいなかったため、リハーサルは難航したらしい。
おおまかな演奏曲候補は3人で考えていたのだろうが、細部についてはリハーサルスタジオで詰める予定になっていた。
これは小室がサボっていたのではなく、前回の記事で触れたように、「SPEEDWAY」のレコーディングのためである。
本来「SPEEDWAY」は10/20以前にレコーディングを終えているはずだったが、これを1週間過ぎても終わっておらず、TMはレコーディングとリハーサルを同時にこなさざるを得なかった。
特に音源作りを担当する小室は余裕がなかった。
小室は10/28には体調を崩して病院に搬送され、翌日もリハーサルに顔を出さなかった。
この間はウツがその場を仕切ることになった。
その後もリハーサルの期間はもちろんのこと、ライブ当日の早朝までレコーディングは続いた。
満足なリハーサルが終始できなかったことは推測できる。
「楽器フェア」で演奏ミスが目立ったのも、これが一因だろう。
こうした中で用意されたライブ音源の作成に、小室が深く関与したとは考えられない。
おそらく音源作りはスタッフに丸投げであり、ライブ当日の事前リハーサルで微調整を加える程度だっただろう。
これは原曲通りに演奏するというコンセプトだからこそ可能だったとも言えるが、逆にいえば小室はこのコンセプトを提示した時点で、音源制作はスタッフに丸投げするつもりだったのかもしれない。
TMは前回の「Double-Decade “NETWORK”」ではバンド色を排し、葛城哲哉のギターを除くほぼすべての音を小室がリアルタイムミックスによって制御するという、挑戦的な試みを行なった。
だが「楽器フェア」では生のギター・ベース・ドラムが加わり、一般的なロックバンド編成によって演奏された。
その点では「Double-Decade “NETWORK”」の前に開催された「Tour Major Turn-Round」に近いものになったと言える。
以上のように「楽器フェア」は、オリジナルアレンジ・著名曲中心・音源制作丸投げ・バンド演奏という特徴を持つライブだった。
この特徴から受ける印象は人によって異なるだろうが(たとえば著名曲中心というのは歓迎する観客もいただろう)、私としてはバンド演奏という要素以外については、久しぶりのライブだったのに非常に残念な思いを感じたというのが正直なところである。
ただオリジナルアレンジでの演奏については、おそらく前例があった。
これ以前の2003~07年に開催された「tribute LIVE」「Spin Off from TM」「Spin Off from TM 2007」である。
これらのライブは過去の楽曲の魅力を伝えるために、TM楽曲をオリジナルのままで演奏するというコンセプトだった。
「楽器フェア」のライブスタッフも中心はウツ事務所のM-tres関連者で、「tribute LIVE」等と同じだったと考えられる。
小室に積極的なプランが浮かばず時間もあまりなかった中で、この頃ウツ・木根によるオリジナル演奏のライブが常態化していたことは、ライブの構想に当たり参考にされた可能性がある。
しかもそうしたライブツアーが3回も開催されたことから分かるように、これを支持するファンも少なくなかった。
TMの活動が行なえない間のつなぎとして開催されてきたtribute LIVEの形式が、本体のTMの活動に影響を及ぼしてしまったということもできる。
セットリストは、オープニングでインスト曲をSEとして流し、2~3曲ごとにMCを挟み、インスト曲の後で最後の盛り上げ曲を続けて演奏するという、tribute LIVEと同様の構成だった。
これはウツ・木根中心で曲順を決定したことによる必然的なものといえる。
その意味でも本ライブはtribute LIVEの延長としての性格がある。
ライブの時間は100分超に過ぎなかった。
この間にMCやアンコール待ちの時間もあったので、実質的な演奏時間は80分程度である。
再始動後は「Tour Major Tunr-Round」「Double-Decade “NETWORK”」などでも短時間のライブが続いていたが、それでも2時間近い時間は確保されていた。
「楽器フェア」と同程度の公演時間だったライブとして、「Log-on to 21st Century」があるが、後者が短時間になったのは、本来対バンとして企画されたものがワンマンライブに変更されたという事情もあった。
「楽器フェア」はこうした特殊なライブと同程度の短さのライブだった。
ただしこれはTM側の事情というよりも、「楽器フェア」主催者側の事情で、公演時間が制限されていたものかもしれない。
後述の追加3公演では、いずれも2時間近い公演時間となっている。
演奏曲数はインストを除き14曲である。
「Double-Decade “NETWORK」「Double-Decade Tour」は16曲、「Double-Decade Tour Final」は17~19曲であり、しかも長大なライブアレンジが施された曲も含まれた。
これらと比べると「楽器フェア」は、やはり物足りないライブだったと言えるだろう。
さて、TMの活動再開に当たって本来予定されていたのは、出演打診を受けた11/2・3の「楽器フェア」だけだった。
だが前章までで見てきたように、TMはこれを引き受けた後、シングル・アルバムのリリースを決定した。
おそらくこれと合わせて、「楽器フェア」以外のライブも開催することになったらしい。
ライブタイトルを単に「楽器フェア」とせず、「TM NETWORK -REMASTER-」という独自のものを付けたのも、おそらくこのことと関わるだろう。
9月半ばには3人のFCで、シングル「Welcome Back 2」のリリースおよび11/26・27の渋谷C.C.Lemonホール公演と12/3の日本武道館公演の開催が発表された。
結局「TM NETWORK-REMASTER-」は、「楽器フェア」も含めて全5公演となり、すべて首都圏で開催された。
小室や木根は「REMASTERツアー」と言っており、ライブツアーという認識だった。
渋谷公演と武道館公演のセットリストは、横浜の「楽器フェア」から変更になった。
具体的にはライブのオープニングSEが、「楽器フェア」は「nuworld」、渋谷公演は「EXPO」、武道館公演は「Malibu」となった。
また「楽器フェア」の演奏曲の内、渋谷公演では「Here, There & Everywhere」「N43」「Wild Heaven」の3曲が除かれ、代わりに「Love Train」「Come On Everybody」「Action」が追加された。
武道館では以上の入れ替わり6曲の内、「Here, There & Everywhere」を除く5曲が演奏されたため、演奏曲数としては2曲増えた。
特に変わった演出があったのは渋谷の2公演である。
この2公演は小室の誕生日11/27に前後して設定されたが、小室はサプライズのバースデーケーキなどはいらないから、好きなことをできる時間をプレゼントして欲しいと、スタッフに交渉した。
小室がこの時間で行なったのは、当時小室がデビューさせようとしていたバンドPurple Daysの出演だった。
彼らはこれがバンドとして初めてのプロのステージだったと考えられる。
この時はオリジナル曲「Shine of Love」「あなたが笑う度、恋をする」の2曲を披露している。
なお渋谷公演でのTMの演奏曲数は「楽器フェア」と同じだったが、Purple Daysの2曲があったため、時間は合計2時間程度になった。
武道館も公演時間は同じ程度だったが、Purple Daysの2曲が削られた代わりに、TM曲が2曲増えた。
「TM NETWORK -REMASTER-」5公演では、いずれも凝った演出は見られなかった。
ただ渋谷・武道館公演では、ステージの後ろにタイムマシーンを意識したと思しき巨大な時計のオブジェが置かれた。
これは「SPEEDWAY」のジャケットにも見られるもので、翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でも使われた。
ライブパンフレットは「楽器フェア」では作られなかったが、渋谷・武道館公演では販売された。
内容は、「楽器フェア」の写真・レポートを中心にしたものである。

サポートメンバーは、ギター北島健二、ベース吉田建、ドラムそうる透である。
北島・吉田は2002年のイベント「Laugh & Peace Premium Night」でもサポートを務めたことがあるが、吉田はフルライブでのサポートは初めてである。
北島は「4001 Days Groove」「Double-Decade Tour Final」でサポートを務めたことがあるが、前者は葛城哲哉との共同サポートで、後者は冒頭6曲とアンコールのみのサポートだった。
北島とTMの長い交友関係を考えると少々意外だが、TMのフルライブを通して1人でギターを担当したのは、この時が初めてと思う。
そうる透は「Welcome Back 2」のレコーディングにも参加しており、その縁でサポートを依頼されたものだろう。
THE ALFEEのサポートなどを務めてきたベテランドラマーで、実は小室と同い年である。
ライブでは強く主張するドラムプレイを披露したが、これは生ドラムのなかった「Double-Decade “NETWORK”」と比べると、大きな相違点である。
このサポート陣は、それまでのTMのライブとはかなり様変わりしたものとなっている。
北島とそうるは翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でもサポートを務めており、この時期の音を特徴付けていると言って良い。
なおギターのサポートは、葛城哲哉が1990年の「Rhythm Red Tour」以来、すべてのフルライブで担当してきたが、この時から外れることになった。
ライブステージ上の配置は、客席から見てウツが前方中心におり、小室が右、木根が左である。
小室と木根の位置は「Log-on to 21st Century」「Tour Major Turn-Round」と逆で、「終了」前の配置に戻った。
ステージ後方には、中央にそうる透、右に吉田、左に北島がいた。
これは横浜・渋谷・武道館に共通である。
衣装は各会場で変化した。
「楽器フェア」では、ウツが黒のシャツの上に赤茶のジャケット、小室が白の半袖Yシャツの上にベージュのジャケット(ジャケットは途中で脱ぐ)、木根が黒地に柄付きのTシャツの上に黒のポイント入りの白いジャケットを羽織った。
木根は普段と雰囲気の異なるサングラスをかけており、一瞬電撃ネットワークの南部虎弾に見える。
風貌としては、3人ともイケていると思う。
渋谷公演は、木根は横浜と同じ衣装だったが、小室はカジュアルな黒地のシャツの上に黒のジャケットを羽織り、ウツは銀色のコートを羽織っている。
武道館では、ウツ・木根は渋谷と変わらなかったが、小室は渋谷とは異なるフォーマルな仕様の黒ジャケットを羽織り、下にはフリル付きのシャツを着ている。
本ライブについてもっともまとまった資料は、DVD「TN NETWORK -REMASTER- at NIPPON BODOKAN 2007」である。
武道館公演の様子を全編収録したもので(ただしMCは一部カット)、通常盤はR&Cより2008/4/2にリリースされた。
今後触れるタイミングもないので、ここで本商品にも言及しておこう。
本作のジャケット原画は「Welcome Back 2」と同じものだが、「Welcome Back 2」とは別の部分(下の部分)をトリミングして用いている。
ライブ映像の他にボーナストラックがあり、「SPEEDWAY」のMV2種(BGMは「Action」)、「Welcome Back 2」MV、ライブリハーサルのダイジェスト映像(BGMは「Red Carpet」)が収録されている。
本作にはFC限定版も存在する。
こちらはライブの様子を撮影したブックレットおよびドキュメントDVD「TM NETWORK Document 2007 Kick Into Action」が同梱されている。
非常にいやらしいことに、FC盤には通常盤のボーナストラックが収録されていないため、すべての映像を入手したい場合には、数分のボーナストラックのために5000円(税別)で通常盤を購入しなくてはならなかった。
「Kick Into Action」は「Welcome Back 2」のリリースから渋谷公演に至る日々のドキュメント映像を収録したものである(2007/9/16~11/27)。
この時期のレコーディングの過程は他の時期と比べて情報が少ないため、貴重である。
本ディスクには11/2「楽器フェア」オープニングの「nuworld」と、11/27渋谷公演の「Action」の様子も収録されている。
両公演の映像が商品化しているのはこれだけである。
2007/12/23にはTV番組「みゅーじん」で、TMの活動を追った特集が組まれた。
映像の素材は「Kick Into Action」と同じものを使ったと思われるが、使われている映像はほぼかぶっておらず、これも貴重な情報源である。
番組では特に「You Can Find」制作の過程に焦点を当てているが、ライブ映像としても「楽器フェア」から「Be Together」「Get Wild」、武道館公演から「Love Train」「Seven Days War」「Get Wild」「Action」をそれぞれ一瞬放送している。
「楽器フェア」の演奏シーンは「Kick Into Action」にはなく、これ以外で見ることはできない。
以上が、「TM NETWORK -REMASTER-」の概要である。
具体的なライブの内容については、次章で扱うことにしたい。
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