0-5 Base Area

いよいよ2ndアルバムの発売が決まったSPEEDWAY、
まず1980/9/5には、先行シングル「Captain America」が発売された
A面が木根、B面の「Smile Again~Anytime You're My Love~」が小室作曲となる
続いてアルバム「Base Area」が発売された
1980/11/5のことだった
キャッチコピーは「おい、血が熱くなってくるぜ!」


この頃にメンバーも出入りがあった
ドラムの杉本ユウ、パーカッションの荒井カツミが脱退し、
ドラムのHATA☆KEN(河鰭良成)が加わった
HATA☆KENは阿部晴彦とともにスクランブル・エッグを組んでいたメンバーである


小室以外は相変わらずカーリーヘアー



率直に言って「Base Area」は、
完成度の点で「The Esther」よりもはるかに上である
普通に良いアルバムである
原曲自体も良いのだろうが、
オケやアレンジの面で大いに向上している印象がある
もしもSPEEDWAYの作品を聞いてみたいのならば、
ベスト版などではなく、まずは「Base Area」単品を買うべきである
半分が「The Esther」の楽曲で構成されているベスト版よりも良質である


たとえばこのアルバムの代表曲として、
木根作曲の「Captain America」がある
若さに溢れた、聞くだけで盛り上がってくる良曲で、
シングルになったのも納得できる
心地よいミディアムテンポで始まるAメロ、
キーボードの音を強調したBメロから、サビの盛り上がり
ドラムやギターの音も自己主張しすぎておらず、上品な仕上がりだ


ただこの曲は、実は前作の「夢まで翔んで」と同じ系統に分類できると思う
違うのはアレンジの質で、
余計な効果音が耳障りな「夢まで翔んで」とは雲泥の差だ
「夢まで翔んで」がアレンジで台無しになったのなら、
「Captain America」はアレンジで魅力が引き出された
小室加入はSPEEDWAYにとって大成功だったといえよう


なお「Captain America」は、
後に2011年のウツソロツアー「Tour Timesmile」で演奏されている
このツアーはウツソロ20周年の前年に、ウツの歴史をすべて振り返るというコンセプトだったが、
その中でSPEEDWAY時代の曲として、これが選ばれたのである


「Base Area」というアルバムタイトルは、東京の米軍基地の名前にちなんでいる
当時ここにはライブハウスがたくさん立ち並び、
そこでのアメリカ人との交流は、
洋楽にあこがれる彼らにとって刺激的なものだったという
このアルバムはタイトルからして、
アメリカ的なものを自ら再現しようとしたものであることが分かる


アルバムの全体的な雰囲気は、アメリカンロックで、
前作「The Esther」のポップさを残しながらもロックの雰囲気を強めている
一方で歌謡曲臭さはほぼなくなっているが、
小室の参加が如実に反映されたと言って良いだろう


曲数は9曲である
1曲は小室のインスト曲、
あとは小室・木根が4曲ずつで、半分ずつとなっている
SPEEDWAYの3枚目のアルバムというコンセプトで作ったTM NETWORK「SPEEDWAY」でも、
小室6曲(インスト3曲含む)、木根5曲で、ほぼ半分ずつであり、
あるいは「Base Area」のバランスをモデルにしているのかもしれない
作詞はすべて西条俊という人物だが、職業作家だろうか
編曲は前作と同様、すべてSPEEDWAY名義で行なわれた


一曲目を飾るのは、小室作曲の「Oh! Mistake」
おそらくTMしか知らない人がこの曲を初めて聞くと、
結構驚くのではないだろうか
TM期のウツのボーカルは、どちらかというと無機質で、
あまり感情を込めない冷静な雰囲気という印象が強いのだが、
この曲のウツからは、感情があふれている
曲も「Gorilla」期とは違ったファンキーさにあふれている
こんなウツがあったのか、小室がこんな曲を書くのかと、自分は驚いた
あえてTM期で言えば、
「Rainbow Rainbow」「カリビアーナ・ハイ」が近いだろうか


この雰囲気は、「Oh! Mistake」一曲のみに限らない
木根曲の「Nobody Knows」も、同系統の曲である
感情的なウツのボーカルという点では、「Michael」(小室曲)が出色である
洋楽風のロックバラードに乗せたウツの熱いボーカルが絶妙な名曲である


これに対して「Close Your Eyes」「Smile Again」(どちらも小室曲)は、
どちらかというと後のTMに近い雰囲気といえるだろう
「Smile Again 」は、ドラムとキーボードで始まるイントロが印象的である
小室のはまっていたTOTOの「Hold The Line」のイントロに似ている


「Close Your Eyes」は小室節の原点のような曲だ
ポップな曲調に長い間奏など、後の小室的要素が盛り込まれている
1996年のウツソロツアー「Tour easy attraction」や、
2008年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!」でも、
「Close Your Eyes」を歌っている
今でも聞きやすい曲として、選曲としてはベストだと思う


「Love Goes On」「Dreamlike Tale」は、いわゆる木根バラで、
どちらも木根のいい面がうまく引き出されている
「The Esther」では、木根曲は10曲(全曲)で、
バラードは2曲だったが、
「Base Area」では全4曲中バラード2曲で、
明らかにバラードの割合が上がっている
TM期には木根曲はアルバム一枚に付き、
バラード2曲、非バラード1曲くらいが平均だが、
木根のバラードメーカーとしての立場が強くなるのはこの頃である


なお「Base Area」は非常に洋楽的な雰囲気のするアルバムで、
当時小室が聞いていた海外ミュージシャンの影響を受けていると思われる
70年代洋楽に詳しい人なら、
元になったジャンルやミュージシャンを指摘できるかもしれないが
残念ながら自分はそのような知識がない


だが一曲だけ、小室作曲のインスト曲「ACT 810」が、
TOTO「Child's Anthem」の影響を受けていることは分かる
「Smile Again」「Hold The Line」の関係も併せ、
この時代の小室のTOTOへの傾倒を示すものだろう


小室がTOTOにはまっていたことについては、本人の証言もあるが、
小室のポップな曲風の源流の一つであろう
(もう少し後にはDuran Duranも)
ちなみにTOTOのサイモン・フィリップスは、
後にTMの「Major Turn-Round」のレコーディングの際に、
ドラムを担当している
(ただしサイモンは初期TOTOのメンバーではないが)


なお1996/11/24、
「夢まで翔んで―Only One Night Dream Away」という、
一度限りのライブをやった時に、
メンバーのSPEEDWAY時代の曲の評価をうかがわせる発言があった


ウツは「Love Goes On」を「いい曲ですね」と評価しており、
これがTMにつながって行ったんじゃないかと言っている
また「Captain America」「Smile Again」を演奏したいという、
小室の電話コメントもあった
ちなみに個人的には「Captain America」「Michael」あたりが好みである

(2006/8/5執筆 2006/11/24、2008/9/8、2014/1/12、2016/10/3加筆)

BASE AREA
EMIミュージック・ジャパン
2006-09-29
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