1-19 Twinkle Night

年末になって忙しく、なかなか更新ができませんでした
なんとかあと1回更新して、第一部を今年中に完結させたいのですが…
本編に入ります


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TM NETWORK唯一のミニアルバム「Twinkle Night」は、
1985/11/28に発売された
6月リリースの「Childhood's End」に続き、
1985年2枚目のアルバムということになる
1984年末の時点で、1985年は年内2枚のアルバムをリリースする予定とされており、
その予定を遂行したものと言える


本作は「吸血鬼ハンターD」のタイアップ効果と、
全国ツアーの余波も期待していたと思われる
当初「吸血鬼ハンターD」のイメージアルバムとして制作する予定だった
ただしリリース時には、クリスマスアルバムとして広報された


レコーディングは「Childhood's End」リリース後、
3週間全国を回って行なったプロモーション活動が落ち着いてから、
「Vampire Hunter "D"」と同時進行で始まった
アルバムのライナーには1985/8/11~10/13と書いてある


ただ9月終わりから「Dragon The Festival Tour」が始まっており、
そのリハーサルも8月終わりから行なわれたから、
レコーディングに集中できたのは8月に限られただろう
おそらく8月中には制作が終わらなかったため、
仕事の合間に少しずつレコーディングを行なったものと推測される


なおタイトル曲の「Twinkle Night」は、
「Your Song」「Electric Prophet」に先駆けて、
9月半ばにはトラックダウンが終わっていたようで、
1985/9/19の「村田和人のハイヤング京都」出演時には、
完成直後の音源が放送されている


クリスマスアルバムらしく、ジャケットは雪の街を背景としている
中央に白のドレスを着たマネキン
そのマネキンが飾られているショーウィンドウの前に、
TMの3人が立っている
小室のフリル付きの服装やドウラン塗りすぎの顔はどうかと思うが、
「Childhood’s End」「Gorilla」と比べると、格段にセンスがいい


「Childhood's End」ジャケットと比べると割と見られる3人



しかしミニアルバムということもあり、
他のアルバムと比べるとこのアルバムは影が薄い
実際に売上もかなり低く、
チャート57位、4000枚の売上だった
(公式記録に初登場2位、14万枚超の売上とするのは、
1989年のCD化後の売上を加算したものである)


ちなみに前のアルバム「Childhood's End」は40位、13000枚、
先行シングル「Your Song」は66位、7300枚であり、
これらと比較しても成績は悪い


おそらく理由の一つとして、
10分近くの長さの曲が2曲もあったため、
全4曲しか収録されておらず、
しかもその内一曲はインストだったため、
お徳感に乏しかったことがあるのであろう
収録曲は以下の通り

1.「Your Song (Twinkle Mix)」
2.「組曲Vampire Hunter “D”」
3.「Twinkle Night ~あるひとりのロマンチストの誕生~」
4.「Electric Prophet ~電気じかけの予言者~」


しかしながら、このアルバムのクオリティの高さは、
ファンの間では定評がある
とにかく捨て曲が一曲もない 全曲名曲である
メンバーも1986年頃、音が一番きめ細かい作品として挙げている


音について特筆すべき点は、サンプラーEmulatorⅡの多用である
小室によれば、8割サンプリングの音を使って作ったアルバムだという
EmulatorⅡは12インチシングル「Dragon The Festival」「Your Song」でも使っていたが、
その成果がアルバムの形で示されたのはこれが初めてである


「Your Song」「Twinkle Night」では目立つ形で生サックスが使われている
サックスは次の「Gorilla」でも大々的に使われる
担当は「Rainbow Rainbow」でも起用された中村哲だが、
中村は以後も1988年の「CAROL」まで、
TMのレコーディングに参加し続けた


私が「Twinkle Night」を初めて聞いたのは、
1989年のCD化の時だったが、
なぜ今までCD化されていなかったのか、
疑問に思ったほどである
(LPの売上の低さが原因だったのだろうが)
以下でこのアルバムの収録曲の解説をしていきたい


「Your Song (Twinkle Mix)」「組曲Vampire Hunter “D”」は、
以前紹介した曲の別バージョンとダイジェストである
「Your Song (Twinkle Mix)」は、
先行シングルのアルバムバージョンである


12インチ版が6分半を超える長さだったのに対し、
こちらは4分に満たない
平均5分近くあるTM曲の中では、短い部類に属する
12インチ版を聞いてから聞くと、
曲のエッセンスだけを聞いている気分である
なお「Twinkle Mix」とあるのは、
曲の最初に「Twinkle Night」のサビがついているためである


「組曲Vampire Hunter “D”」は、
「Vampire Hunter “D”」の中から、
「魔物たちの夜」「Dのテーマ(登場)」「吸血鬼リィ伯爵」「Dのテーマ(別れ)」「約束(パートⅡ)」
の5曲の一部をまとめたもので、
「Dragon The Festival Tour」の小室のソロ演奏曲目と、
ほとんど同じ構成である


これらの曲はライブではすでに演奏されていたが、
「Twinkle Night」リリース時には、
「Vampire Hunter “D”」のサントラはまだ発売されていないので、
スタジオ録音版については新曲ということになる
実際にサントラを購入するファンはそう多くなかっただろうから、
そのエッセンスをまとめてTMファンに聞いてもらおうということだったのだろう


4曲目「Electric Prophet ~電気じかけの予言者~」は、
一年前からライブで演奏されており、
「Time Machine」と並んでTMのテーマソングとも言うべき曲である
すでに「Vision Festival」でライブバージョンが商品化しており、
そのスタジオ録音版ということになる
「Childhood’s End」に収録する計画もあったが、見送られていた


アレンジはシンプルなライブバージョンとはかなり異なっており、
シンセの音が控えめながら独特な雰囲気をかもし出している
「Vampire Hunter "D"」の雰囲気に近いのは、
レコーディングの時期が近接しているからだろうか


この曲は作曲は小室・木根共作で、作詞は小室哲哉である
詞は基本的にライブバージョンと同じだが、
ライブの「We are surrender」という間違い英語は、
「We surrender」に訂正されている
しかし以後も「終了」まで、
しばしばウツはライブで「We are surrender」と歌っている
その方が歌いやすいのだろう


それはともかく、この曲の小室の詞は神掛かっている
歌詞は以前触れた通り1984年のライブ「Electric Prophet」の物語を表現したもので、
未来人のTM NETWORK(「22nd Century Boy」とある)が現在にやってきて、
「君」に出会うというものである
「Creta Islandたどりついた船は」で始まる歌詞は、
後に意味不明な薄っぺらい詞を量産する人物によるものとは思えない
初期TMのコンセプトを踏まえた上で、言葉選びのセンスも抜群だ


本当ならばここで歌詞を全部転載したいくらいだが、
特に好きな3番の詞を抜粋するに留めておきたい
なおこの歌詞には「our lovers」というフレーズがあるが、
この表現より見て主人公(our)は一人の男性ではなく複数おり、
それはTM NETWORKの3人そのものと考えられる
となればこの曲はTMとファンの関係を擬似的に恋愛に擬したものであり、
「our lovers」はTMのファン一般、
「君」はこの曲を聞いているファン個人を指すことになるだろう

君のSchool Days大切な時だよ
君のPrivate Timeわかっているさ
君のFriends of Yours大切なものだよ
君のDad and Mam素敵な大人さ
何もすてるものはない 何もこわすものもないさ
もしも二人暮らし出しても 今夜のような夢を見せてあげるよ
君だけが間違いじゃない 君だけが不安だらけじゃない
何もかも頼っておくれ Maybe I Can Control Your Mind
捜し求めたOur Lovers 100億のStarlight Kiss in the Night
We are 21st Century Lovers 僕らのためさ
We are inferior to each other We Surrender Everyday
We are inferior to each other We Surrender Every Night


この曲には「電気じかけの予言者」のサブタイトルが付けられていた
「Vision Festival」ではサブタイトルが付いておらず、
おそらく「Twinkle Night」収録時に付けられたものだろう
このサブタイトルは映画「時計仕掛けのオレンジ」を意識したものだという
もともと映画のどこかで流れたらいいなとイメージしながら作った曲だったともいう


ただアルバムバージョンは、ファンの間では不評だった
そもそもアルバムに入れること自体に抵抗があったらしい
この曲は1987年までライブで必ず演奏される曲だったが、
「Twinkle Night」のアレンジで演奏されることは長くなかった
これが初めて実現したのは、
再結成後の「Tour Major Turn-Round」の時である
その後2012年の「incubation Period」でもアルバムバージョンで演奏されている


自分は「Twinkle Night」バージョンも好きだし、
「Time Machine」「17 to 19」の例も考えると、
ともかくレコーディングしてもらえたことは喜ぶべきだと思う


以上3曲は、いずれもライブやシングルでの既発表曲であり、
このアルバムで純粋な意味で新曲といえるのは、タイトルチューンの、
「Twinkle Night ~あるひとりのロマンチストの誕生~」のみである
TM初のクリスマスソングである


「Your Song」のように洗練されつつ派手なキーボードと、
「Rainbow Rainbow」期の軽快でポップな曲調が同居する名曲である
間奏のシンセとサックスの掛け合いも良い
イントロは「Beyond The Time」のサビに似ている


作詞が西門加里=小室みつ子というのも見所である
歌詞の内容は、異世界(おそらく未来)から来た男性が、
誰かを生まれ変わらせるために捜しているというもので、
ロマンチックなSFのコンセプトである


内容から察しが付くように、
主人公はTM NETWORKのメンバーそのものである
これは本アルバムのジャケットにある「I’ve been lookin’ for you. I have to meet you here tonight.」というキャッチコピーと関連している
ここに込められている本アルバムのコンセプトは、
クリスマスの日、地球に降り立った途端人間になった彼らが、
探しものを見つけ出すというもので、
その始まりの日を歌ったのがタイトルチューンの「Twinkle Night」だという


これ以前の小室みつ子作詞曲の代表は、
「1974」「Rainbow Rainbow」であるが、
この「Twinkle Night」についても、
地球に下りてきた異世界の住人の雰囲気をよく出している
小室哲哉の曲にもうまく歌詞を乗せている

Twinkle Night 手をかざしてみても
Empty Heart 奇跡はもう起こらない
Twinkle Night 君を捜さなくちゃ
Come and See 今夜中に
Candleなんてなくてもいい
この手で君をBorn Again


ファンイベントや「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンを除くと、
この曲がTMのライブで演奏されたのは1987/12/24「Kiss Japan Tour」岩手県民ホール公演のみである
当時からメンバー自身が、
12月にライブがあったらお届けするとしながら、
「やるのかな? じゃあ、いつかは」「やんないですね」「やんないよねえ」
と言っているように、
ライブで演奏することはほとんど想定されていなかった
(8月じゃなくても「8月の長い夜」は演奏しているのに)


ライブに関して、この曲と「Your Song」が非常に不遇な扱いになった理由の一つは、
「Twinkle Night」リリース後にライブが行なわれなかったという事情もあった
2005年にウツ・木根で開催された「Spin Off from TM」は、
めったにやらない曲を演奏するというコンセプトだったが、
特に目玉になったのは、「Your Song」「Twinkle Night」だった

(2006/10/25執筆 2006/12/30・2008/10/9・2013/2/10・2016/12/24・2019/7/22加筆)


TWINKLE NIGHT
ソニー・ミュージックダイレクト
2013-02-20
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この記事へのコメント

かっと
2015年02月15日 07:55
叔母が忘れたカセットに入っていたのがこのミニアルバムでして自分の最初のヘビロテでした

https://twitter.com/munemuranaoya/status/566404192160321536

この呼びかけに真っ先にこの曲が浮かびました。もちろん12月の曲だということは知っていましたが、歌詞には直接出てこないよな、と、キラキラしてステキなこの曲をリクエストしました。(他の曲のリクエストもそれぞれの方のセンスが感じられてワクワクしていました。)

当日神戸公演1日目2/14(土)、開演前にかけられていて、多くのリクエスト集めたこの曲がかけられていてうれしくなりました。

眠りにつく前LINEを見たらなんと!!!
2/14 16:41 この曲をキラキラした音色で手弾きされている動画が!!!!!

涙こぼれました
なんてステキなサプライズ!
青い惑星の愚か者
2015年02月17日 04:39
Twinkle Night、LINEにアップされていたようですね
LINEをやっていない私には残念ですが、小室さんがこの曲を覚えていたことが、実はサプライズだったり(笑
maki
2015年10月09日 23:12
昔、Twinkle Night のプロモーションビデオがあったんですよね。小室さんが白い衣装で頭に白いレースのおリボンつけてて。すごく似合っていて幻想的な雰囲気でした。なんとかもう1回見たいのですが。。。
青い惑星の愚か者
2015年10月14日 00:31
あのPV、女性受けはするんでしょうか?
私にはまったく無理なんですが…

あのPVはTM VISIONⅣに収録されていて、2004年発売のWorld HeritageというBOXの特典DVDで見ることができます
1-20 TM VISION Ⅳの記事でも軽く触れていますので、
よろしければ、あのPVの魅力を熱く語って下さいませ
エルレ
2017年07月15日 08:21
RAINBOW RAINBOWでも中村氏が私の好きなイパネマ84や1/2の助走でサックスの演奏しております♫CHILDHOOD'S ENDについてはホーンセクションはありませんね♫今思うと初期TMとして珍しいです。あえてシンセで勝負したいってC-Dragon Project笑の意気込みがあったのかもしれないですね…。
青い惑星の愚か者
2017年08月14日 04:32
サックスはRAINBOW RAINBOWでも使われていましたね。
これはうっかりしていました。
訂正しておきました。
ご指摘ありがとうございます!
ジルラココ
2018年12月26日 17:57
「ELECTRIC PROPHET」のいろんな魅力のうちでも、歌詞については、ある時期本当に励まされたものでした。
管理人さんが転載された、3番のところと、サビの英語のところです。

今日まで数日間で第1部を通読させていただきました。
この83~85年で小室さんが特にこだわったのが、①サウンド ②PV ③世界観(ファンタジーや「宇宙(未来)からきた」) ④そして何よりヒットさせること だとよくわかりました。

この流れの中で、歌詞への重要性というのは、「世界観を表すため」という目的以外には特に感じられなかったのですが、そこへきて「ELECTRIC PROPHET」の「人生観の表現」というのは、なんだか唐突な感じがしました。
この曲は、ファンタジーと人生のリアルさとがうまく混ざり合った傑作だと思います。
しかしそういう曲は、これより前にはないように思います。

以前放送された「みゅーじん」でも小室さんが「YOU CAN FIND」についてコメントされていましたが、小室さんの中には人生のうまくいかなさや、それでも夢を持って前に進もうとすることの大切さを伝えたい、という思いがあったんだとは思います。
それが急にこの85年の「ELECTRIC~」で結実したというのが、
、なんだか不思議に思い、長々とコメントさせていただきました。

この曲をスタートとして、「Still Love Her」、プロデュース期の「FACES PLACES」などを経て、「SCREEN OF LIFE」「ACTION」「I am」へと続いていく、「人生について」歌っている一連の系譜が、小室さんが本当に伝えたい歌詞なのではないかな、と思っています。
青い惑星の愚か者
2019年01月05日 16:53
エレプロは歌詞も曲も、この前後では実に独特な位置にありますよね。
非現実の世界にいるTMが現実の世界にいるファンと出会う歌だから、ファンタジーとリアルが混じり合うんですよね。
初期TMのテーマソングゆえに出来た不思議な歌詞ということだと思います。

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