1-12 Bee Presents TM VISION Ⅰ~Ⅲ

初期のTM NETWORKはPV中心の活動を想定していた
PVについてのエピソードが語られるのは1984年が多いため、
その頃の印象が強いが、
こうした活動形態にもっとも力を入れていたのは、
実は1985年である


1984年に作成されたPVが、
「金曜日のライオン」「Rainbow Rainbow」「1974」「1/2の助走」の4本だったのに対し、
1985年には「アクシデント」(3種)、「Dragon The Festival」(4種)、「Your Song」(2種)、「Fantastic Vision」、
「永遠のパスポート」、「8月の長い夜」、「Faire La Vise」、「Twinkle Night」、「Electric Prophet」
と、
実に15種も作成された
1984年の時点では、「Childhood's End」収録曲は全曲PVを作成する案まであった


この頃EPIC/SONYは盛んに無料のビデオコンサートを行なっており、
1984年にもTMのPVは「ミュージック・フラッシュ」というビデオコンサートで放映されていたが、
1985年からはBEEで放映するために、
「TM VISION」という30分程度のビデオを作るようになった
この時期のPVの多くは、
「TM VISION」というビデオコンサートの映像用に作られた
製作を担当したのはEPIC/SONYのBEE PROJECTで、
TM以外にも多くの映像を製作していた


「TM VISION」はⅠ~Ⅵの6作あるが、
その内最初の4作は1985年に作られている
長く商品化されず、ファンの間でコレクターアイテムとなっていたが、
(商品化前にどういうルートで流れていたのかよく分からないのだが)
2004年に20周年記念BOX「World Heritage」の特典としてDVD化された


内容は、Ⅰは「Electric Prophet」渋谷公演のライブビデオだが、
Ⅱ~ⅣはPV集となっており、この頃PVに力を入れたことを反映している
なおFANKS期のⅤ・Ⅵはライブビデオの要素が強いものとなっている


各ビデオの公開日については、
「TM VISION Ⅵ」の最後に記され、
Ⅰは1985/4-5、Ⅱは1985/6-7、Ⅲは1985/10、Ⅳは1986/3、Ⅴは1986/10となっている
だがこれとは別の資料に、
「TM VISION」シリーズの公開日を記すものがあり、
そこではⅠ=1985/3、Ⅱ=1985/4、Ⅲ=1985/6、Ⅳ=1985/11、Ⅴ=1986/10、Ⅵ=1987/2とされている


この中でⅠ~Ⅲについては、1985年5月頃に配布された「Childhood's End」販促用パンフレットに、
3~7月に開催予定であることが明記されており、
また別の資料によれば、
Ⅰは1985/3/3、Ⅱは4/27、Ⅳは11/1から上映されたとされている
またⅠの最後にはⅡの予告、Ⅱの最後にはⅢの予告があるが、
そこではⅡが4月下旬、Ⅲが6月上旬の予定とされている


以上を認めれば、「TM VISION Ⅵ」にあるⅠ~Ⅲの日程は、
実際にはⅡ~Ⅳの日程を誤ったものである可能性が高いように思わる
なおⅤについては、1986/10/25上映とする資料があり、
ここについては「TM VISION Ⅵ」の情報も誤っていないようである


ただしBEEは会場ごとに上映期間がばらつきがあり、
たとえばⅥについては1987/3に上映された会場も確認される
上記の公開日は公開開始日を指しており、
実際の上映期間は1ヶ月程度の幅を持たせて考えるべきである
上映期間の間に一部内容の差替えもあったようで、
「World Heritage」に収録されているのはその最終版と考えられる


一つ気になるのが、
「TM VISION Ⅵ」がⅤの日程として記す1986/3である
これに該当するビデオコンサートの存在は、現時点で確認できないが、
あるいはDVD化されず埋もれている映像があるのかもしれない


実は1986年1月の時点で、3月にⅤを上映するという告知が行なわれている
あるいは「TM VISION Ⅵ」に見えるⅣの日程は、
これを記録してしまったものかもしれない


実際には「TM VISION Ⅴ」と名づけられたビデオコンサートは10月に上映された
だがこれとは別に、3月にTMのビデオコンサートがあった可能性も考えられる
この頃は新曲「Come on Let's Dance」の発表や全国ツアー「Fanks Dyna-Mix」のチケット発売を控えており、
広報用にビデオコンサートを行なう動機はあった


実はこの頃BEEが編集した映像が存在する
「TM NETWORK in THE VISION」である
これは年2~3月に全国TV局で放送された特番で、
PV及び「Electric Prophet」渋谷公演・「Dragon The Festival Tour」日本青年館公演のダイジェストである


これはあくまでもTV番組だが、当初ビデオコンサートとして計画していたものを、
テレビ特番に切り替えたものなのかもしれない
または実際にビデオコンサートで上映された場所もあり、
「TM VISION Ⅵ」はこれを誤ってⅤとして入れてしまったものである可能性もある


なお1月の告知によれば、
Ⅴでは1985/10/20「Dragon The Festival Tour」大阪厚生年金会館公演の様子と新曲のPVが上映される予定だった
もっとも新曲「Come on Let's Dance」のPV撮影は4/3まで行なわれたから、
仮に3月にビデオコンサートがあったとしても、PVの上映はできなかっただろう


だがむしろ気になるのは、大阪公演上映の予定である
現在公開されている「Dragon The Festival Tour」の映像は、
広島・札幌の断片的な映像を除けば日本青年館公演と山口市民会館公演のみである
大阪公演の映像はまったく公開されていないが、撮影されていたのだろうか



Ⅳ・Ⅴ・Ⅵについては別章に譲ることにして、本章ではⅠ~Ⅲについて述べることにしよう
これらはシリーズものとして制作されたものであり、
1985年の3月・4月・6月と、極めて短期間に公開された
「Childhood's End」発売の前後にTMを盛り上げていこうという意気込みが感じられる


「TM VISION Ⅰ」の内容は、
「Electric Prophet」渋谷公演の「Rainbow Rainbow」「カリビアーナ・ハイ」「1/2の助走」「1974」の映像と、
新曲「Fantastic Vision」のPVである
「Rainbow Rainbow」「1/2の助走」「Vision Festival」に収録されるが、
他はこれでしか見ることができない
特に「1974」は必見だ


「Fantastic Vision」はPVとは言っても、
静止画とアニメーションを使ったものである
風貌から見て1985年初めに撮影したものと考えられる
当時は「Childhood's End」のレコーディング中であり、
映像を見ても、レコーディングスタジオで撮影した写真を使ったものだろう
「Childhood's End」収録版とアレンジが異なるのも注目されるが、
これらについてはすでに「1-8 アクシデント」で触れた


なお1984年11月の告知では、
1月中旬からビデオコンサートを全国150カ所で開催する予定とされているが、
実際には3月3日から90カ所で開催された
また同告知では「金曜日のライオン」「1974」などのPVが上映予定とされていたが、
「TM VISION Ⅰ」に両PVは含まれていない
ビデオの構想には紆余曲折があったらしい


「TM VISION Ⅱ」は、
「Electric Prophet」「Rainbow Rainbow」以外は、
「Childhood's End」収録の新曲のPV集となっている
収録曲は「Dragon The Festival」「8月の長い夜」「永遠のパスポート」「アクシデント」である
すべて相模湖ピクニックランドでロケをしたもので、
森の中にキーボードを置いて3人が演奏している様子を撮っている


これらPVは4/11に「Childhood's End」のレコーディングが終わってすぐ、
4/13・14に撮影された
公開は4/27だから、ビデオの撮影・編集はかなり短期間に行なわれたものということになる


「Dragon The Festival」「永遠のパスポート」が日中(早朝?)、
「8月の長い夜」「アクシデント」は夜の撮影である
「8月の長い夜」が夜なのは、曲名を考えてのことだろう
3人の服装はスーツ姿である
木根の微妙なサングラスと縛った後ろ髪がどうも気になる


「Dragon The Festival」は、曲はアルバムバージョンだが、
後に12インチシングルで使われる「ラエンランラエンラン」のサンプリングボイスが最初についている
あるいはEmulatorⅡを使った最初のTMの音かもしれない


「8月の長い夜」はスモークの中で鮮やかな照明が光る
「永遠のパスポート」はウツ一人で歌っている
「TMN 4001 Days Groove」でこの曲を演奏した時は、
このPVが会場のスクリーンに流れた


「アクシデント」は小室が絵コンテを書いたらしい
ファンクラブメンバー?らしい女の子がボールや旗を持って、
3人の周りを走ったり飛び跳ねたりしてる


いずれも、良くも悪くも無難な作りのPVという感じだが、
正直言って1984年は冒険し過ぎのPVで食傷気味だったので、
「TM VISION Ⅱ」収録のPVはかなり安心してみることができる


特に「アクシデント」は、
女の子集団の行動の意味はさっぱり分からないが、
何も考えずに雰囲気だけ味わえば、それなりに良いビデオだと思う
ここに来てやっとPVがまともになってくれたという安堵感で一杯である
「All the Clips」では、
3種ある「アクシデント」のPV中でこれが収録されている


むしろ「TM VISION Ⅱ」で(ノ∀`) アチャーなのは、
「THE FACES OF TM STAFF」のコーナーだ
小室が書いたスタッフやメンバーの絵を、
木根が解説付きで紹介するコーナーである
BGMは「Fantastic Vision」である
もしも当時本人たちと知り合いだったら、
「何を目指しているのですか…?」と、
問い詰めたい気分にさせるコーナーだ


まあ小室の絵を見れる機会はそうそう無いので、
貴重といえば貴重である
「Childhood's End」の頃からスタッフとなった久保こーじの絵もある
木根が「木根尚人」と誤植されている
木根のコーナーなのに…


なおⅡの上映会場数は、
Ⅰの90カ所から倍増して200カ所になった
ニューアルバムのアピールに向けて、
スタッフも気合が入っていたことだろう


「TM VISION Ⅲ」に収録されるPVは、
「Dragon The Festival」「アクシデント」である
前作と同じく3人が演奏するシーンを撮影したものだが、
ロケ撮影のⅡから変わって、スタジオでの演奏風景となっている
撮影場所はIMAGE STUDIO 109というスタジオである


個人的には、ウツの化粧の濃さが気になって仕方がない
あと相変わらず木根のサングラスが微妙である
PV自体は前作同様無難な作りである


前章でも触れたが、このビデオはTAMCOスタジオというところで小室と小泉洋が、
「Dragon The Festival」のアレンジをしているシーンからスタートする
7月発売の12インチシングル版の制作風景だろう
小室が「カカカカモン」とサンプリングボイスをいじっているところに、
次第に音も加わってきて、「Dragon The Festival」がスタートする
割と好きな始まり方である
ただし気になるのは、タイトルが「Doragon The Festival」となっているところである
スタッフ誰か気付けよ!


オケはアルバムバージョンである
本作は6月のアルバムリリース直前の公開であり、
アルバムの宣伝用に作ったものだろうから、この点は当然だが、
むしろこのビデオを見てアルバムを買ったファンは、
スタジオのシーンの意味がさっぱり分からないだろう


ビデオでは小室がパソコンのキーボード(楽器のではなく)を叩いて演奏しているシーンがあるが、
もちろん実際にこれで演奏しているわけではない
コンピュータで音楽をやっているという印象を付けるための演出だろう


「Dragon The Festival」では3人一緒のパフォーマンスを撮っているのに対し、
「アクシデント」では3人の映像が個別に撮影されている
「how long do I have to live in the memory of you?」のコーラスのところで、
3人の顔が重なり合う演出などは面白い


「TM VISION Ⅲ」収録PVはこの2本のみである
最後に「Electric Prophet」「1974」のダイジェスト映像も入っているが、
Ⅰ・Ⅱと比べると収録内容が薄く感じられるかもしれない


しかし実は歴代「TM VISION」の中で、
このⅢがある意味ではもっとも存在感があるものである
前回の小室画紹介コーナーも相当の迷走ぶりだが、
何の間違いかこのビデオは、この方向をさらに極めてしまった
それは木根尚登第一回監督作品の映画「日本一のバンド男」である


内容は全部で20分くらいの短いものだが、
これ以上長いものを作られても見る気はしないだろう
というか、20分でも長く感じる
当時のビデオコンサートでこれを放映した時の、
会場の雰囲気を知りたいものである


あらすじは…書く気もしないので、
見たことが無い人はどこかで見て欲しい(投げやり)
一言で言えば、TM解散後の木根を主人公にした三流コメディである
一瞬、木根ギャグ集をまとめようと思ったのだが、気が乗らないのでパスする
まあ内容はどうでもいいのだが、ともかくTM史上に残るビデオである


ライブ当日、マネージャーから「(サポートのドラマーが)死にました」と聞いた木根、口に含んだお茶をブー


なお本作は、クレジットでは主演・脚本・監督木根尚登/監修小室哲哉となっているが、
小室の当時の発言によると、
小室がレコーディングスタジオにいた間に出来ていたとのことで、
小室はおそらくほとんど関わっていない
「Dragon The Festival (Zoo Mix)」のレコーディングの頃だろうか


ただオープニング映像冒頭の音は、
「吸血鬼ハンター"D"」「魔物たちの夜」の音と同じものだという
「TM VISION Ⅲ」の公開は6月、
「吸血鬼ハンター"D"」のレコーディングは7~8月なので、
この音は「魔物たちの夜」の転用ではなく、
むしろ「魔物たちの夜」の冒頭がこの音を再利用したものということになる
思わぬところで「日本一のバンド男」の音楽的価値が明らかになってしまった


台本はBEEスタッフの小林浩(マネージャー役)が考えたという
おそらく木根を前面に出すために、脚本・監督を木根ということにしたのだろう
なお驚くべきことに、「TM VISION Ⅲ」のドラマは、
本来小室が台本を書くことになっていたとのことである
小室はこれが不本意で、後日「日本一のデビュー男」という台本を書いたが、
結局お蔵入りしたようである
そんなに書きたいものなのかなあ…?


「TM VISION Ⅳ」は少し間が開いて、1985/11/1に公開された
11/28発売の「Twinkle Night」の宣伝を目的としたもので、
「Twinkle Night」収録の3曲はすべてPVが収録されている
他には「Faire La Vise」のPVもある


これらのPVについては後の章で触れることにするが、
このビデオについて一つだけ、
「木根尚登スペシャル お休みのお知らせ」について触れておきたい
「Dragon The Festival Tour」の楽屋で、
木根が釈明の会見をしているものである

今回のビデオコンサートで、
木根尚登スペシャルを予定していたんですけども、
本当にギャグが出尽くしまして煮詰まってます。
ギャグが出ない代わりに熱ばっかり出ちゃって、
もうどうしようもないです。
すみません、ごめんなさい。
今度はね、すばらしい、面白いのを考えてますんで、
よろしくお願いします。


まだ何かやるつもりだったのか木根…
正直中止でよかった…
ちなみに「TM VISION Ⅳ」は、
なぜか「Your Song」のPVが2回収録されているが、
おそらく木根尚登スペシャル中止のために、
時間が余ってしまったのだろう

(2006/9/16執筆 2006/12/9、2008/9/28、2014/1/12、2016/12/17、2017/3/18、4/22、2019/6/13加筆)

TM NETWORK WORLD HERITAGE~DOUBLE DECADE COMPLETE BOX~
ソニーミュージックエンタテインメント
2004-03-31
TM NETWORK

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この記事へのコメント

N/O
2012年04月29日 16:55
Dragon the festivalの、ファンがいっぱい出てくる部分の収録は東武動物公園にて行われたと、BEE Magagine創刊号に書かれていました。ZOO MIXなだけに(^曲^)
トラクター等その他の部分は長野県霧ケ峰高原です。
青い惑星の愚か者
2012年05月09日 03:14
色々とご指摘ありがとうございます(ここに限らず)
東武動物公園のロケはTM VISIONではなく、VISION FESTIVALのDragon The Festival PVですよね
そちらはTM VISIONの記事で別に書いていますが、東武動物公園の件は書いていたのですが、霧ヶ峰高原の件は書いていませんでした
TM VISIONの方で直しておきます

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