2-3 Come on Let's Dance

今日からいよいよ新記事となります
11月以来ブログ移転で精一杯だったので、
新記事は2ヶ月ぶりになります
がんばって定期的に更新できるようにしますので、
今後もよろしくお願いします


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「Come on Let’s Dance (This is the FANKS DYNA-MIX)」は、
TMの第三弾12インチシングルとして、
1986/4/21に発売された
当初は3月発売予定だったが、後に4/2と告知され、
さらに4/21に延期になったらしい
完成は3月後半までずれ込んだようである


ジャケットは「TM NETWORK」のロゴを中心に、
左にウツ、右に小室が、上の方に木根の後ろ姿が配されている
木根の扱いはかわいそうだが、ウツ・小室はかなりかっこいい
躍動感のあるジャケットで、なかなかいけているデザインだと思う
(なんでこの直後の「Gorilla」のジャケットがあんな風に…)


このシングルは一曲当たり5分程度で、
「Dragon The Festival」「Your Song」と比べると短いが、
代わりに3曲収録されており、全体の時間は同じ程度である
表題曲以外は「You Can Dance」「Come on Let’s Dance (the Saint Mix)」である
「Come on Let’s Dance」のオリジナルはシングルには収録されておらず、
後に「Gorilla」に収録される


収録曲のタイトルにはすべてダンスが掲げられている
これはTMのニューコンセプトFANKSを、分かりやすい形で前面に押し出したものと言える
いずれもアップテンポの曲であり、
日常からの解放をよびかけるメッセージ性の強い歌詞である点も共通する
先行シングルの役割が後続のアルバムの雰囲気を伝える点にあるのだとしたら、
その点はよく果たされていると言えよう


「Come on Let’s Dance」は、
初めは中森明菜に提供しようと考えていたが、
変更して自分たちで歌うことにしたという
この曲を聞くと、当時小室が目指していたものがよく分かる
前章で触れた通り、ファンクでありダンスである


「アクシデント」「Your Song」などは、
部屋でじっくり聞くべしという作りだが、
「Come on Let’s Dance」は勢いを重視した、
ダンサブルなFANKS期を代表する曲に仕上がっている


本作はそれまでの曲と比べると、音が重くなっている
生ドラム・生ベース・サックスなど、
生の楽器を積極的に取り入れたことが大きい
ニューヨークでレコーディングされた黒人グループNYCのコーラスも熱い
David BowieやPower Stationのレコーディングにも参加していた面子だった


トラックダウンは「Gorilla」の他の曲も含めて、
ニューヨークのエンジニアに依頼された
これは洋楽的雰囲気を取り入れることにも寄与しただろう
「Come on Let's Dance」は、ミキシングもニューヨークで行なわれている


特にサックスは、「Twinkle Night」でも導入されていたが、
1986年の作品ではその存在感がさらに増している
小室によれば、FANKSにはホーンセクションが不可欠とのことである
これはファンクバンドTower of PowerのLenny Pickettによるもので、
当時は全盛期を過ぎていたとはいえ、なかなか豪勢な起用である


小室は「Gorilla」について、
ダイナミック・レンジの狭さや薄さを解決するために生楽器を採り入れたかったと言っており、
また打ち込みと生演奏の共存の形ができたとも評している
シンセやサンプラーを中心に制作した前作「Twinkle Night」では、
電子楽器の実験を心行くままに行なうことができたのだろうが、
それとともに当時のシンセの音域の限界も感じたのかもしれない


「Come on Let's Dance」イントロ冒頭の部分は、
小室の家で打ち合わせをしていた時に、
久保こーじが二階から駆け下りて来た時の足音からヒントを得たという
オリジナルバージョンはイントロが短く、
「This is the FANKS DYNA-MIX」を聞いた後では物足りなく感じる


この曲は頭に入りやすい
特にサビの部分など、英語であるにもかかわらず一度聞けば頭に入ってしまう
個人的に秀逸と思うのはAメロの部分で、
「時代さまよう天使たち」というフレーズも含め、
最初に聞く者を引き込む魅力を持っていると思う


Aメロ→Bメロ→サビの流れもとてもきれいにつながっている
これに限らず、曲全体の統一感という点において、
FANKS期の楽曲は大変完成度が高い
TKプロデュース期にはタイアップ用にサビだけに力を入れた曲、
あるいはおいしいフレーズのつぎはぎという感じの曲が増えるが、
この頃の小室曲にはまった者としては、
はなはだ不満だった記憶がある


歌詞は神沢礼江で、
アルバム「Gorilla」では、
他にも数曲手がけることになる
小室は神沢に作詞を依頼する時、
Howard JonesやElton John風のメッセージ性のあるものをお願いしたという
この方向性はFANKS期に通底するものであり、
「Childhood's End」「Twinkle Night」期以前には見られなかったものである

時代さまよう天使たち 夢と翼を引きかえに
冷めた欲望満たすけど 何処にも戻る場所がない
信じるモノも見失い チャンスひとつも探せずに
失意の雨に濡れてゆく 自分もつかめずに今夜も
荒れ果てた路上には 飢え渇いた犬たち
自由へと走るのに どうしてぼくたち立ちすくむ


カップリングに収録される「the Saint Mix」は、
「This is the FANKS DYNA-MIX」とほぼ同じオケを使いながら、
ボーカルを一部だけ入れるという実験的なアレンジである
オリジナルとインストの中間的なものとなっている
「Your Song (Special Instrumental Disco Mix)」も含め、
この頃のTMはただのインストではなく、
原曲と異なるアレンジのインスト音源を発表しており、
ある意味でオリジナル音源以上に野心的な音源とも言える


「the SAINT Mix」は、「Come on Let’s Dance」のTVCMで使われた
シングルのカップリングという入手しづらい音源だったが、
「TMN Red」に収録されたことで、現在では容易に聞くことが出来る
なお「The Saint」は当時ニューヨークにあったゲイディスコの名前だという


「You Can Dance」は、「Come on Let’s Dance」と比べると明るい雰囲気で、
ともかく踊れといわれている気持ちにさせる曲だ
「All-Right All-Night」と並び、FANKS期でもっとも勢いのある曲と思う
メンバーは後に、TM風のロックンロールと言っている


サビが全部コーラスで、メインボーカルが歌わない面白い作りだが、
この点でシングル表題曲にはなりづらかったと思われる
「Rainbow Rainbow」もそうだが)
またイントロとサビが同じであるが、
ノリやすいようにあえて単純な構成にしているものだろう
翌年の「Self Control」でも見られる構成である
なおコーラスは渡辺美里である


イントロはしばしば言われるように、
Elton Johnの「Saturday Night's Alright For Fighting」から取られている
「パノラマジック」(←ELO「Twilight」)や、
「Secret Rhythm」(←Motley Crue「Dr. Feelgood」)と並び、
元ネタが分かりやすい曲である
ただしこの二曲と違い、「You Can Dance」は歌の部分は別モノである


この曲で大好きなところは二つ
一つは西門加里(小室みつ子)の歌詞で、
FANKSのコンセプトを大変よく体現していると思う

灯りをつけて夜を照らせ 時間はあるさ
君の足音が この街のリズムを作る
腕を組んだままで ピアノを見つめるのかい
好きなだけkeyを叩けばいい それがメロディ


もう一つはBメロの最後、
「醒めた大人になるなんて 急ぎすぎる」からサビに入る、
タメのところである(コーラス「You Can」のところ)
聞いていて気持ちよい展開だ


「You Can Dance」「Gorilla」の中でも、
「Come on Let's Dance」に次いで代表曲の位置を占める曲である
(シングル「Girl」以上に)
ライブでもFANKS期はほぼ必ず演奏されていた
2003年・2005年の「tribute LIVE」でも、
終盤やアンコールなど重要な場面で演奏されている
ウツソロの「Live Butterfly」でも演奏されており、
ウツが好きなのだろう


このシングルは35位にランクインし、
売上も1万2000枚と、初めて1万枚を超えた
それまでのシングルの成績を確認してみると、
「金曜日のライオン」はランクインせず、
「1974」「Dragon The Festival」は90位台、
「Your Song」はタイアップ付きで60位台だったが、
「Come on Let's Dance」以後は「Get Wild」まで初動30~40位台となる
(ただし「Get Wild」はその後ランクを上げていく)
TMとしては、「1974」以来久しぶりに、
自らの「代表作」といえるものを作ることができたといえるだろう


大きく脱皮したといえば、PVについてもいえる
歴代のPVの中でも「Come on Let’s Dance」は、
もっとも成功した例として挙げられよう
今見ても、普通にかっこ良い
「Gift for Fanks Video」「Decade」「All the Clips」に収録される


メンバーも気合が入っており、
ウツに至っては、PV撮影の最中に長髪を切ったほどである
そのため、PV中では二種類の髪型で登場している(カツラではない)
撮影場所はディスコ(名古屋ダンスホール、原宿Club D)と、
路上シーンは横浜中華街である
3月終わりから4/3まで撮影された
ウツは名古屋での撮影では長髪、原宿・横浜での撮影では短髪だった


小室・木根も登場するが、メインは完全にウツである
ディスコで黒人に囲まれ歌う短髪ウツは、FANKSのコンセプトによく合っている
服装もシャツにジーンズという非常にシンプルなもので、
それまでの派手できらびやかなイメージとは大きく変わっている


また路上で女性と抱き合っているシーンもところどころで挟まれる
撮影時期が3月の寒い日で、しかも水をかけられて撮影したため、
大変寒かったという
ウツは「1974」の時も鍾乳洞で撮影して、寒さのために風邪を引いており、
PV撮影では受難が多い


路上でこごえながら女性を抱くウツ


(2007/1/18執筆 2008/10/13、2017/1/25加筆)

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この記事へのコメント

まっきー
2013年05月06日 22:40
「路上で女性を抱きつつ寒そうなウツ」でまた吹いてしまいました(´▽`人)

小室さんがTMのブレインで、ウツはそれを体張って実践している人で、そして木根さんは......?
というTM最高の時代ですね!

この時代の音楽はすごくいいし、ウツの男らしいカッコいい外観も大好きです。最後まで楽しく読ませていただきます。
青い惑星の愚か者
2013年05月14日 01:55
この頃はサポートも含め、メンバーの役割やキャラクターがはっきりしてくるので、それが今の我々が見てもしっくり来るようになる一因なんでしょうね

ウツや小室さんも本当にかっこいいです
ウツの外見が一番男らしかったのはこの頃でしょうかね

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