2-19 TM VISION Ⅵ & Self Control (Video)

「TM VISION Ⅵ」は、
「Self Control」プロモーションを目的としたもので、
おそらく1987年2~3月頃に公開されたものと考えられる
内容は「Self Control」収録曲のPVと、
「Fanks Dyna-Mix」のライブ映像である


最初は「Bang The Gong」PVで始まる
前章ですでに触れたが、
「Self Control」のジャケットのデザインを利用したもので、
短いがかなりいけていると思う
次は「All-Right All-Night」PVで、通常のPVである


次は「Passenger」「8月の長い夜」
「Fanks Dyna-Mix」のライブ映像である
「Fanks “Fanstasy” Dyna-Mix」に収録されなかった映像で、
共にライブ映像がほとんどない曲なので、貴重である
個人的にもこの2曲は好きなアレンジで、
これが商品化されたのは大変喜ばしい


曲自体はすでにライブの解説で触れたので省くが、
「Passenger」のウツは、
「Fanks Dyna-Mix」中でも特にテンションが高く、
見ごたえがある(無理してサビを歌うところも含め)
また小室の英語ラップの姿が現在見られる唯一の映像でもある
小室のラップ中にウツがかがみ込んで客席を見つめるところなど、
大変セクシーである


「8月の長い夜」は、うって変わって落ち着いた雰囲気である
3人で並んでステージに座り、演奏する映像である
当時のライブに必ずあった、
3人でのシンプルな演奏コーナーである
普通ならばスルーされてしまう曲だろうが、
これを選んだ担当は大変目の付け所が良いと思う
しっとりとして、なかなか良い雰囲気である


「Fanks Dyna-Mix」はライブビデオの編集方針のため、
アップテンポの曲で踊り続けている印象が強いが、
実際はこのように「聞かせる」コーナーも含む多彩なライブだった
願わくは、この曲と続けて演奏した「クロコダイル・ラップ」を是非見たい…
あれ良いのに…


ついで「Self Control」のCMが流れる
「Bang The Gong」「Self Control」のPVの映像を組み合わせ、
BGMに「Self Control」を流したものである


次は「Maria Club」をBGMに「TM VISION HISTORY」が流れる
歴代の「TM VISION」のダイジェスト映像である
さらにビデオ「Fanks “Fantasy” Dyna-Mix」と、
ツアー「Fanks! Bang the Gong」の宣伝が入る


この時に「TM VISION」の総集編をつけたのは、
「TM VISION」シリーズはこれで一区切りつける予定だったのだろうか
実際に1985年から2年間続いたビデオコンサート「TM VISION」は、
ここでその歴史を終えることになった


ただしTMはプロモーション用の映像を作らなくなったわけではなく、
以後は1987/11/11「TM NETWORK in HUMAN SYSTEM」
EPIC/SONYグループの音楽番組「eZ」などで、
TV番組として放映されることになる
おそらくこれはTMだけに関わる問題ではなく、
EPIC/SONYがビデオコンサート自体から撤退する方向に向かっていたのだろう


なおビデオコンサートは、
以後のTMの音楽活動の中で、2度ほど復活したことがあった
一度目は「Fanks Film Collection」で、
1990/3/21~4/8に57会場で開催された
小室のソロツアー「Digitalian is eating breakfast tour」のダイジェスト映像と、
高河ゆん作画のアニメ「CAROL」が放映された


二度目は「“EXPO” 3D Pavilion」で、
1991/9/12~1992/3/18に12都市で開催された
色メガネをかけて3D映像を見るというものだった
「Decade」収録の「Crazy for You」「Think of Earth」は、この時の映像である


またビデオコンサートとは少し異なるが、
1989/8/30の「Closed Circuit Concert」は、
全国10箇所で横浜アリーナのライブを同時中継するというものだった
ただしこの時は会場によって電波障害が起こるなどトラブルが目立ち、
その会場では入場料が払い戻されたという
開催当時は画期的な試みといわれたが、
この時の反省を踏まえてか、以後同様の試みは行なわれなかった


「TM VISION Ⅵ」最後の一曲に触れていなかった
一連の宣伝を終えた後、ビデオの最後は「Self Control」PVで締める
このPVは「Gift for Fanks Video」「All the Clips」にも収録されるが、
歴代PVの中でも人気の高い作品である
世間にTM=SF的なイメージを印象付けたビデオでもあろう


ビデオ冒頭の場面は、子供たちを収容する殺伐とした施設である
子供たちは生気のない顔をしながら焚き火をしている
「Self Control」のアルバムが燃やされているが、
これはおそらく大した意味はない
やがて子供たちは規則通りに管理施設に帰っていく


TM NETWORKの3人が登場する
子供たちの中で訴えるように歌うウツ
子供たちは当初何も反応を示さないが、
最後には一人の男の子が隣の女の子に目覚めを促し、
ついにその女の子とともにすべての子供たちが笑い出す


自らの意思で地下施設を抜け出す彼らを、
地上で迎えるTMの3人
最後に「Let yourself free for it」(自らを解放せよ)というメッセージが出る
この曲のメインメッセージと言ってよいだろう


ビデオのラストシーンでは、
笑顔で子供たちを抱きかかえるウツ・木根と、
沈黙したまま動かない小室を対比的に描いている
冷静に指揮を出す司令塔としての小室と、
その指令を実行するウツ・木根というイメージなのだろう


このビデオの撮影は、1987/1/21・22・24の3日だった
外国人も含めたくさんの子供が出演したが、
撮影に時間がかかり、夜中の2時くらいまで終わらなかったという
なお撮影は銀座の地下道の他、
有明STUDIO・アバコSTUDIOで行なわれた



「見えない明日に迷う時は~♪」



ついでに発売は少し後になるが、
「Self Control and the Scenes from "the Shooting"」についても触れておこう
これはTMとしては初のフィルム撮影のビデオで、
以後の作品はほとんどフィルム撮影となる
ジャケットはアルバム「Self Control」の使いまわしである


内容を確認してみよう
最初は「Bang The Gong」がBGMに流れる
オープニングに当たる部分である
「TM VISION Ⅵ」「Bang The Gong」PVに近い雰囲気の映像である
途中でキーボードに囲まれて横たわり何かを食べている小室が登場する


以後は「Self Control」PVと同じストーリーが展開するが、
「Self Control」はBGMとして流れていない
(ただしBGMには「Self Control」の一部やそのフレーズを用いた部分が含まれる)
BGMの多くは効果音だが、このビデオでしか聞くことができないものである


PVの各シーンはより長く収録されており、PVの素材を集めたものと言える
背景にはフランス語の字幕が流れているが、自分には意味が分からない
以前「Pale Blue Dot」に、佐藤鳳紋氏の日本語訳があったが、
今は消えてしまったようである


子供たちが解放された後エンディングになり、スタッフロールが流れる
「Self Control」のサビをBGMに、
本編でほとんど活躍しなかった木根がところどころに出演する
木根が朝日を背景に「Self Control」とコーラスしながら、
(自分の足で)ぐるぐる回るシーンがあるが、
そのいけてなさぶりは尋常ではない
現在でもウツにネタにされている


この後は撮影風景(「scenes from the shooting」)を編集したメイキングである
BGMは「Time Passed Me By」「Spanish Blue」
エンディングでは野球のシーンなど、メンバーの日常の姿も映される
BGMは「Here, There & Everywhere」
出演者紹介シーンで「Controled Cildren(Childrenの誤)」と表示されるところで少し萎える
フランス語とか出す前に、英語くらいチェックしておいてほしい


このビデオの発売は1987/8/1で、
「Faks Cry-Max」終了後、「Kiss You」発売までのつなぎの時期である
本作はTM史上初のビデオチャート1位獲得作品である
この1ヶ月前もには「Gift for Fanks」で音楽ソフト初の1位を獲得しており、
TMの人気が成果として形になってきた頃だった


この頃のTMは一般に、ツアー終了→レコーディング→アルバム発売というパターンを取ったが、
ツアーと新曲の間の空白期間には、ビデオが発売されるのが常だった

「Fanks “Fantasy” Dyna-Mix」「Fanks “Fantasy” Dyna-Mix」「Self Control」
「Fanks Cry-Max」「Self Control」「humansystem」
「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」「Gift for Fanks Video」「CAROL」
「Camp Fanks!! '89」「Fanks The Live Ⅰ~Ⅲ」「Digitalian is eating breakfast」


よくこのビデオは「Self Control」PVのロングバージョン+メイキングビデオという説明をされるが、
ロングバージョンというのは曲が長いわけではなく、
すでに述べたように、曲は一部しか使われていない
その内容はむしろPV中のストーリーの完全版、
あるいはTMを主人公としたショートストーリーである
おそらくこうしたビデオは、当時珍しかったのではないだろうか
TM自身もこうしたビデオは以後作成しない


これはデビュー当時から音楽と映像の融合を唱えていたTMの、
一つの挑戦であったと言っても良いと思う
ツアー「Fanks! Bang The Gong」も、
シアトリカルなステージをテーマとしており、
この頃TMはストーリー性のある映画的な作品に関心を持っていたようだ
「Dragon The Festival Tour」も、
小室の小説「Electric Prophet」を基にしており、
もともとストーリー性はTMの中で重要なキーワードだった


「Gorilla」期、FANKSを唱えた後は、
ファンタジー的要素を意図的に排除することで、
音楽活動の中のストーリー性も希薄になったが、
この時SF的要素が強まる中で、再び表に出てきたと言ってよいだろう
実現はしていないが、1987年6月のインタビューでは、
翌年夏までに劇場用映画を作る計画まで立てている
ドキュメント的な要素を取り入れたSF映画を考えていたという


これは翌年、「CAROL」の構想として前面に出されることになる
「Self Control」期のキーワードとして取り上げられることはあまりないが、
ストーリー性という要素は、
長いスパンで見た場合、実は重要なポイントだろう


TM NETWORKが自主的に企画したものではないが、
5/28に発売の写真集「Self Control Wizard of Serial Number A Film “Fake” Book」も、
この頃のTMの方向性によく合う企画だった
これは架空の音楽映画「Self Control」の裏話を解説するというスタイルで、
奥平イラの企画・プロデュースで始まったものである


本の中には映画「Self Control」の写真とされるものが収録されるが、
映画自体は実在しない
特殊メイクや大掛かりな舞台なども用いられており、撮影には4日間を要した


この本によれば、映画「Self Control」は、
“何よりも正確で、どれよりも頑丈な六角ネジ”を信条とするクラヴウィッツ・ビューティ・六角ネジ製造株式会社が製作に関わったものだった
社長のクラヴウィッツが社員のM・ササキを呼び出し、
ロック音楽を使った音楽映画製作を命じたことから話が始まった


この企画を進める中で、俳優として、
「マジシャンのように鍵盤をあやつるキーボーダー」
「強力なギター・サウンドと不思議な動きを持つギタリスト」
「熱く人々の心を湧きたたせるヴォーカリスト」
の3人が必要ということになり、これを満たす条件をコンピュータ”ビースト”に調べさせ、
日本のTM NETWORKに白羽の矢が立った


3人はこの依頼を受諾して、映画も撮影されたものの、
何らかの事情で公開されなかった
公開直前にクラヴウィッツが急死したことが原因かとされている
ともかく映画はお蔵入りとなったため、写真集のみを発売した、
というのがこの本の設定である


映画「Self Control」のストーリーも断片的に推測できるようになっている
どうやらこの世界では、六角ネジにシリアルナンバーがあり、
それが重要な意味を持つらしい


主人公はコムロ・キネ・ウツノミヤの3人だが、
この3人はシリアルナンバーを感じ取ることができ、
そのため3人は大衆から熱狂的な支持を得るようになった
3人がナチスを彷彿させる雰囲気で、
ホールで大衆の前に立つ写真があるが、
これはPink Floyd「The Wall」のイメージだという


冒頭の3人の登場シーンはコロラド砂漠であり、
人の形をしてはいるが人ではないらしいことが暗示される
テレビ出演した時には体が溶け出し、皮膚の下の異形の姿が現れ、
スタジオはパニック状態になる
3人は肉体維持用の装置を身につけて地下坑道から脱出する
この設定はTM3人が地球外もしくは未来から来たという初期設定を反映したものだろう


緻密な設定や小道具を伴いフィクションのフィクションを作り上げ、
それを作品とするというのは、
なかなか面白い企画だったと思う
そしてこういう前衛的な企画にTMが関わることができたのは、
TMがまだ大きすぎる存在になっていなかったためであり、
その意味でこの頃が最後の機会だったのかもしれない

(2007/5/9執筆 2008/10/22・2013/3/20・2017/2/23加筆)

Self Control and the Scenes from "the Shooting"
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