3-17 Reproduction Singles

先々週、「笑っていいとも」の最後の曜日対抗の競技コーナーで、
BGMが「Come on Let's Dance」だったという情報を得ました
マジで? 見てなかったですよ…
まあ落ち込むほどのことじゃないけどね


今度のうんこらいぶ、FC先行予約申し込みが明日までですね
今回は一般のチケットでもプレオーダーの設定とかないし、
かなりの品薄になりそうな予感です
つうか、この間の渋谷C.C.Lemonホールでさえ激戦だったんだから、
あのクラス以上じゃないと一般ではチケット取れませんよ…
今回は新規の人が来ることを期待していないから、
確実に満員になることを目指したんでしょうか
(そんならTK HITSとか微妙なものいれないで欲しいですが)
そりゃあZEPPレベルなら満員になるでしょうさ
tribute LIVEですら埋まるんだから…
けどねぇ…


まあそれはいいとして、本題に入ります


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1989/4/15、
3枚のリプロダクションシングルが同時発売された
「Come On Everyobody (with Nile Rodgers)」「Kiss You (Kiss Japan)」「Get Wild '89」である


チャートではそれぞれ5位、7位、3位にランクインした
順位は原曲の知名度の差によるものだろう
前の週には「Just One Victory」が7位に入っており、
これと入れ違いでのランクインである
この週は「Just One Victory」は15位で、
20位以内に4曲同時ランクインという快挙を成し遂げた


90年代後半には3枚同時発売は珍しくなくなったが、
この時期には極めて特異なリリースパターンで、
そのチャートアクション自体が注目を集めた
すべてリプロダクション作品という点も注目された


3枚のシングルでもっとも売上が高かったのは、
「Get Wild '89」である
当時テレビでプッシュしていたことも影響しているのだろう
他の二枚はほぼ同じ売上である
数字を挙げれば、「Get Wild '89」は12.9万枚、
「Come On Everybody (with Nile Rodgers)」は8.9万枚、
「Kiss You (Kiss Japan)」は8.2万枚だった


「Get Wild '89」の3位は、
当時のTMのシングルのランクとしては、
「Come On Everybody」と並ぶタイ記録であり、
売上は「Beyond The Time」以後の3枚にこそ及ばなかったものの、
「Just One Victory」は上回った
三枚同時リリースという条件を考えれば、
立派な成績と言えるだろう


2週目には「Get Wild '89」が9位となり、
他の2枚は10位外に落ちる
「Just One Victory」は20位外)
3週目には「Get Wild '89」も10位外となったが、
その後も粘り、ベスト20には7週ランクインした
5週目にはアルバム「Dress」がリリースされたにも関わらず、
「Get Wild '89」は17位から11位にランクアップしている


ジャケットのデザインは3枚セットになっており、
水性絵具と油性絵具を混ぜ合わせたようなマーブル模様を背景に、
左から木根・ウツ・小室が並んでいる
(表現がしづらい…)


メンバーの服や髪型などは三枚とも同じで、
同時に撮影したものであろう
「Dress」のジャケット写真も同じ)
木根はYシャツにネクタイ、ウツはYシャツにノーネクタイ、
小室はTシャツにジーンズというカジュアルなスタイルで、
3人とも上からジャケットをはおっている


ジャケットには、「The FANKS!! '89」のロゴが入る
なおこのジャケットは、
「Come On~」「Kiss You」「Get Wild '89」の順で並べると、
写真の下のところに、
「TM NETWORK」の文字がつながって現れるデザインだった





同時に3枚をリリースしたのは、
「Get Wild '89」でユーロビートを、
「Kiss You (Kiss Japan)」でファンクを、
「Come On Everybody (with Nile Rodgers)」でハウスを、
それぞれ試したかったからである
新しいTMの音を3パターン呈示したわけである


結果としては「Get Wild '89」が一番受けが良く、
小室は日本人にはユーロビートだと確信したらしい
この曲は当時のディスコチャートで、
邦楽としては異例の29位に入ったという


個別の楽曲に関して見ていこう
「Get Wild '89」は、
PWLのPete Hammondがプロデュースしたものである
小室は複数のプロデューサーに数曲ずつリプロダクションを依頼したが、
Peteに対しては初めから「Get Wild」だけを依頼したという
依頼料金が高額だったのだろうか


PWL(Pete Waterman Ltd.)は当時欧米でダンスミュージックを中心に、
次々とヒット曲を送り出していたミキサー・プロデューサー集団である
その中心的存在だったStock /Aitken /Watermanは、
Dead or Alive「You Spin Me Round」をプロデュースし、
以後Dead or Aliveの全盛期をサポートし続けた
他にもKylie Minogue、Rick Astley、Sinitta、Bananaramaなど、
1980年代洋楽の著名人たちをプロデュースしている
小室もロンドン在住中に、PWLのMatt Aitkenと対談をしている


小室は「Get Wild '89」について、
日本人ならもう少しひねるだろうところが、
まったく予想通りのものが出来てきたという
確かに小室だったら、
ここまでストレートなものは出してこないだろう
「Get Wild」+ユーロビートを、
余計なことをせずに作り上げたらこのようになるだろうという音である
だがそれだけに、直球で耳に入ってくる音ではある


特にインパクトが強いのは1分半に及ぶ長いイントロと、
鳴り響き続ける「GeGeGeGeGe…Wild and」のサンプリングボイスだろう
曲全体の長さについても、
「Get Wild」オリジナルはTMの曲としては短めの4分だが、
「Get Wild '89」は7分近い


実はライブの「Get Wild」では、
すでに「GeGeGeGe」のサンプリングボイスは使われていたし、
これ以上の長さのイントロも存在した
しかしそうしたライブアレンジは、
熱心なファン以外にまで広く知られていたわけではない


ところが「Get Wild '89」がCDとして発売され、
テレビやラジオでヘビーローテーションで流れたことで、
極めて長いイントロや連打されるサンプリングボイスが、
TMの音として広く印象付けられることになった
これは当時のヒット曲にはなかった音であり、
一般の人々に強烈なインパクトを与えた
なおPeteによれば、イントロでサンプリングボイスを使うアイデアは、
TMのライブアレンジを参考にしたものではなく、自分で考えたものだという


Peteが「Get Wild '89」を完成させたのは1989/2/2のことだった
音源がTMのもとに届いたのはこの数日後だろう
「Get Wild '89」はPeteのマスターテープでは、
「GET WILD (12'' MASTER)」と題して収録されているが、
実はこの時には他にも3テイク納品されており、
「7'' MASTER」「BACKING TRACK -NO FADE」「INSTRUMENTAL -WITH FADE」と題されていた


「Get Wild '89」に当たる「12'' MASTER」は6:44だが、
「7'' MASTER」は3:48で、
オリジナル音源(4:00)よりもむしろ短くなっている
Peteは初めに「7'' MASTER」を作り、
それを元に「Get Wild '89」を作ったという


なお「7'' MASTER」に当たる音源は、
2017/4/8ネットラジオ特番「Get Wild Hunter」で、
「Get Wild Another '89」と題してオンエアされた
当然ながら全体的に「Get Wild '89」よりも短くなっているが、
最大の違いは「GeGeGeGe」のサンプリングボイスがないことで、
「Get Wild '89」とはかなり印象が異なる


他の2テイクは「7'' MASTER」のインストで、
「BACKING TRACK」はカットアウト、「INSTRUMENTAL」はフェードアウトで終わるものである
「INSTRUMENTAL」の収録時間は「7'' MASTER」と同じ3:48なので、
「7'' MASTER」もフェードアウトで終わるのだろう
なお「INSTRUMENTAL」は、収録時間とフェードアウトによる終わり方から見て、
1991年EPIC/SONYリリースのカラオケ音源コンピアルバム「BEAT EXPRESS ORIGINAL KARAOKE VOX for men」に収録されている「Get Wild '89」のインスト音源に当たると思われる


これに対して「BACKING TRACK」はフェードアウトしない音源で、4:06ある
2012年リリースの「Original Single Back Tracks」に収録された「Get Wild '89(オリジナルカラオケShort Version)」は、
あるいは「BACKING TRACK」を元に日本で作ったものだろうか
これはフェードアウト音源だが3:57あり、「INSTRUMENTAL」とは別のもので、
「INSTRUMENTAL」にはないコーラスなども入っている


「Get Wild '89」は、
当時リプロダクションの代表曲として演奏されたこともあり、
現在でもオリジナルに匹敵する人気を誇っている
3枚のリプロダクションシングル中で、ウツが一番好きだったのもこの曲だった
高揚感があるという理由からだったという
現在まで三度に渡って行なわれている「tribute LIVE」でも、
必ず「Get Wild '89」が演奏されている


ついで「Kiss You (Kiss Japan)」は、
Bernard Edwardsのプロデュースである
1970年代には、次に触れるNile Rodgersと共に、
Chicでベーシストとして活動していた人物である
Duran Duranメンバーを含むPower Stationのプロデュースもしている
Duran Duranと小室は「humansystem」レコーディング以来の縁であり、
ここらへんも関係しているのかもしれない


小室はPWLを除くプロデューサー陣には、やってほしい曲を皆聞いてもらったが、
Bernardは「Kiss You」をやりたいと言ってきた
奇遇にも小室もBernardに「Kiss You」を依頼したいと思っていたと言う


アレンジとしては、ドラム・ベースが従来よりも強調されている印象がある(特にイントロ)
ロック的な音だった「Kiss You (More Rock)」以上に、
重々しい雰囲気をかもしだしている
「Dress」で聞くと、前後が「Be Together」「Don't Let Me Cry」というシンセ色の強いサウンドなので、なおさらそう感じる
なおベースはBernard自身による演奏である


Bernardは他に未発表ながら「Nervous」のアレンジも担当したらしい
「3-16 FANKS!! '89」のまさと氏コメント参照)
「Nervous」はTMのファンク曲の代表であり、
おそらくBernardはファンクアレンジが期待されていたものだろう
小室によれば、「もろPower Station」のアレンジだったというが、
その音源は現在まで公開されていない


「Come On Everybody (with Nile Rodgers)」は、
サブタイトルにある通り、Nile Rodgersのプロデュースである
NileはChicのリーダー・ギタリストであり、
1980年代にはDavid Bowie「Let's Dance」、Madonna「Like a Virgin」、Duran Duran「The Reflex」「Notorious」など、
ビッグヒットアルバムを次々とプロデュースした
当時のダンスシーンでも大御所的な人物だった


小室もリプロダクションの外注を考えた時、
まずNileのことが浮かび、CDを送って頼んだが、
Nileは当初あまり乗り気ではなかった
しかしライブビデオを送ったところ、TMに関心を示し、
リプロダクションに応じてくれた
特に自ら関わった「Come On Everybody」は気に入っていたという


小室はNileに依頼をする時、Duran Duranが念頭にあったという
NileによるDuran Duran楽曲のリミックスは、小室が早くから注目するところだった
すなわち小室は1985年、
12インチシングル「Dragon The Festival (Zoo Mix)」で、
初めて楽曲の大胆なリミックスを試みたが、
その際に念頭にあったのは、NileによるDuran Duran「The Reflex」のリミックスだった


おそらく小室にとってNileは、
リプロダクション企画の着想の根源となったプロデューサーである
そのNileに自らの作品を担当してもらえることは、
小室としては嬉しかったに違いない


「Come On Everybody」は3枚のシングル中でも、もっとも様変わりした曲である
ユーロビート風に作られたこの曲が、
見事にハウスサウンドに生まれ変わっている
ボーカルは同じなのに、
オリジナルのスピード感が抑制されているあたり、見事である
小室はリプロダクション作品中で、
もっとも気に入った作品と言っている


ただし「Get Wild '89」とは対照的に、
一聴して耳に残る作りではなく、
そのためメディアでのプロモーションも、
「Get Wild '89」が優先されることになったものと思われる
なおこの曲のギターはNile本人の演奏である


このシングルは、3枚の中で唯一の両A面シングルである
もう一曲は「Come on Let's Dance (Dance Supreme)」で、
やはりNile Rodgersのプロデュースである
ジャケットでもこの曲はC/Wとされておらず、
「Come On Everybody (with Nile Rodgers)」と同じ大きさのフォントで曲名が書かれている


「Come On Everybody」「Come on Let's Dance」ライブバージョンのアウトロから生まれたという経緯があり、
関係の深い曲である
この2曲が同じプロデューサーに依頼され一枚のシングルとなったのは、
もとより意図的なものだろう


イントロはサビの「Come on Let's Dance」「Everybody Needs」のフレーズで始まり、
聞く者にインパクトを与える
ただ「Come On Everybody」と同様に、
こちらも原曲よりはスピード感が抑え目の印象を受ける
単純にノリを追求した「Get Wild '89」と異なり、
考えた上で新しい音を実験してみたという感じだろうか
ボーカルには各所にエコーを加え
サウンドも原曲とまったく異なる派手なものに変わっている


以上4曲はいずれも「Dress」に収録された
これに対してA面扱いでない残りの2曲、
「Fool on the Planet (Where Are You Now)」と、
「Get Wild '89」カップリング)
「TIME (Passes So Slowly)」は、
「Kiss You (Kiss Japan)」カップリング)
「Dress」のみならず後のベスト版にもなかなか収録されなかった


この2曲が初めてアルバムに収録されたのは、
2004年の「Welcome to the Fanks!」である
現在では2009年発売の「The Singles 2」限定版特典ディスクや、
2013年発売のBlu-Spec2版「Dress」のボーナストラックでも聞くことができる


この2曲はいずれもバラードで、
Jimmy Bralower & Peter Woodのプロデュースである
「Dress」収録の唯一のバラード「Confession」のプロデュースも彼らであり、
バラードは彼らの担当だったのだろう
それぞれドラムプログラマーとキーボードプレイヤーで、
Cyndi LauperやPink Floydのレコーディングやライブで演奏した経歴を持つ


「Fool on the Planet (Where Are You Now)」は、
原曲にあったコーラスや間奏のシンセリフを取り除き、
サックスを入れ、ボーカルの処理もやり直している
大きなアレンジがし難いバラードだが、
かなり雰囲気を変えることに成功している
もともとあった音がかなり消えているのに、
幻想的な雰囲気はより増している
また全体としてボーカルがより目立つアレンジになっている
かなりの神アレンジではないかと思う


自分は、リプロダクション楽曲に関しては、
だいたいオリジナル派なのだが、
この曲はリプロダクション版の方が好きだ


TMを聞き始めた頃、
「Self Control」収録のオリジナルを聞いた時には、
それほど気になっていなかったのだが、
リプロダクション版を聞いて、一気にはまった
一度このアレンジでライブ演奏を聞いてみたい
なおこの曲は後に「木根尚登のオールナイトニッポン」で、
エンディングテーマとして使われた


「TIME (Passes So Slowly)」は、
リプロダクション曲の中で例外的にボーカルを撮り直した曲である」
オリジナルの絞り出すような歌い方と比べ、余裕を持って歌っているが、
いつレコーディングしたのか分からない
ウツが好きな曲なので、ウツが歌い直したいと希望したのかもしれない


ウツは後に「TIME」について言及した時、
歌い切るバラードとして大好きだったが、
ある時期からバラードを歌い上げずサラっと歌って表現することに関心が向かうようになったと述べている
あるいはこの曲の歌い方の変化の背後には、
こうした考え方の変化があったのかもしれない


曲はイントロがかなり大きく異なるが、
正直に言うと、イントロはオリジナルの方(雑踏の音からスタート)が好きだ
ただ全体の音については、リプロダクション版の方が好きである
特にAメロで目立つストリングス系の音が好みである

(2008/2/19執筆 2008/12/17・2010/12/26・2017/7/27加筆)


COME ON EVERYBODY
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この記事へのコメント

Maki
2018年04月30日 19:36
そういえば、"Fool~"流れていましたね。
オープニングやCM明けでしょうか、"Don't Let Me Cry"のイントロや"Be Together"の間奏が使われていて、『Dress』よりもラジオを先に聞き始めていた為、「この曲だったのか~!」と驚いた覚えがあります。
青い惑星の愚か者
2018年05月10日 20:29
ドンレミやビートゲはCome on Fanks!だったと思います。
カッコよかったですね。
オールナイトニッポンは、木根さんがオリジナルジングルを作っていました(割と寒いヤツ)。

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