4-12 Rhythm Red Beat Black version 2.0

リンクを貼らせてもらっているTWINKLE☆彡NIGHTさんのブログ「ELECTRIC PROPHET」によると、
木根さんのソロライブで、
小室さんが今スタジオで製作活動をしていること、
その曲はTM NETWORKのものではないこと、
今TMの活動をすると「やっつけ」になってしまうので、
TMはいずれちゃんとした形でやろうと3人で話し合ったこと、
などが語られたそうです


小室さん、いよいよ音楽活動を再開したようで、楽しみです
TMがしばらくないのは分かっていたことですし、
3人の判断も妥当だと思います
むしろ、いつになるかはともかくとして、
ちゃんとした形でTMをやるつもりがあるということは分かったので、
じっくり待っていようと思います
来年くらいに何かあると良いですね


もう一つ別の話題
例の事件で発売が延期されていた「The Singles 2」が、
9/30に発売されることになりました
以下にSony Music Shopのサイトより、
初回限定版の情報を貼っておきます(前と変わっていません)

発売日  2009/09/30
品番   MHCL-1587
レーベル GT music
形態   CD
通常価格 \3,150(税込)

デビュー25周年、TM NETWORKシングル集第2弾!
TM NETWORKデビュー25周年企画第2弾。Epicレーベルで発売されたシングルタイトル作品を収録。頂点を極めたアルバム「CAROL」、TMNリニューアル、そして「終了」と激動の中でリリースされた作品はいずれも大ヒット。初回生産限定盤のボーナスディスクには、初商品化含め、まとまって収録されたことのないレア音源を収録。TM NETWORK THE SINGLES 1と併せて聴きたい1枚。


例の事件前から、
商品価値は限りなく低いと言って酷評していたこの作品、
まあやはり価値はほとんどないのですが、
業界の空気としてもTM NETWORK名義の作品を発売できるようになったということなのでしょうから、
この点は素直に嬉しく思います


もともと25周年企画としてのリリースだったこの作品、
今年を逃すとリリースするチャンスがなくなってしまうという事情があって、
多少微妙な空気があってもリリースを強行したということかもしれませんが、
それでも強行しようと思えばできるようになったということです
この流れで、25周年企画の秘蔵音源・映像リリースが続いてくれればと思うのですが…
まあそこまでは高望み過ぎるでしょうね


ちなみに通常版も同日発売で、2520円です
まあ、ファンにとって通常版をわざわざ買う価値はほとんど無いと思いますが、
BOXを買っていない方で、
過去音源をリマスター版で聞いてみたいという場合はどうぞ


さて、例年のことなんですが、
この8~9月は所用が重なるので、本ブログの更新ペースが遅れます
次回更新は多分8月下旬になるかと思います
まあ「Rhythm Red」期は、
だいたい定期的に更新してた気がするので、今回くらいは…とか言い訳


「Rhythm Red」期もあと少しになりました
第4部も折り返し地点までもう少しです
夏には終わるでしょう、きっと…
「EXPO」は、自分的にはなんとなく秋のイメージなので、
タイミングも良いような気が(勝手に)しています


では本題に入ります
今回はテーマ的に書きづらかったんですが、
主観的過ぎな意見にならないように気をつけたつもりです
ご意見などございましたら、コメントなどよろしくお願いします

---------------------------------------------------
「Rhythm Red Beat Black version 2.0」は、
1991/2/1リリースのシングルである
曲は2ヶ月前のシングル「Rhythm Red Beat Black」のリプロダクション版である


ただし名義はTMNではなく、
正確には「TMN VS 電気GROOVE」となっている
この件については後述する


アルバムからのリカットシングルのリミックスということで、
売上もそれほど振るったわけではなかった
一種の企画物として、ヒットを狙った作品でもなかったのだろう
初登場4位、一週で5.6万枚、総売上12.3万枚である
ただ売上が少ないとは言っても、
小室ソロシングル「Gravity of Love」「Christmas Chorus」などよりは多い


リプロダクションシングルと言えば、
1989年にリリースした3枚のシングルが有名だが、
これらは海外のプロデューサーにアレンジを依頼したものだった
これに対して「Rhythm Red Beat Black version 2.0」は、
小室自身の手になるリプロダクションだった


この曲に関してはあまりメンバーの発言がなく、
いつレコーディングされたのかも分からない
ただ12月初め頃のツアーリハーサルでは、
ウツが「Rhythm Red Beat Black」2番の後の間奏で、
「version 2.0」1番冒頭の歌詞を歌っていたことが確認される


ミックスダウンまで済んでいたかはともかく、
これ以前にはおおよそ出来上がっていたのだろう
ただ10月中はほぼツアーリハーサルで埋まっていたので、
9月以前に出来ていたのでなければ(さすがにそれは早すぎる感がある)、
11月のレコーディングと考えるのが穏当だろうか


となると、シングルリリースの2ヶ月前には曲はすでに存在したことになる
制作からリリースまでずいぶん時間がかかった印象である
11月レコーディングといえば、
「Dreams of Christmas」も同じ頃の可能性があることは以前述べた
12/21にはオリジナルの「Rhythm Red Beat Black」が、
「Dreams of Christmas」をカップリング曲としてシングルリリースされたが、
本来の予定は「Rhythm Red Beat Black version 2.0」だったのが、
なんらかの事情で変更になったのかもしれない
(シングルタイアップ元のハウス食品の意見など)


この頃のメジャーシーンで、
ここまで飛びぬけた(自己満足な?)曲をシングルにした例は他にないと思う
当時シングルを聞いた時は、本当に驚いた
まずタイトルこそ「Rhythm Red Beat Black」だが、
歌詞もボーカルもコーラスもオケもまったく別物である
つまり元々あった音源に手を加えたものではなく、
キーワードやメロディを共有する新曲と見るべきである
TMのリミックス曲は数多いが、
その中でもおそらくもっとも強烈なアレンジであろう


曲の長さは9分23秒で、シングルはもちろん、
当時のTMの全楽曲中でも最長である(インスト・ライブ音源は除く)
ついに「Electric Prophet」を超える長さの曲がここに登場した
現在でも32分の「Major Turn-Round」と、
11分の「Get Wild 2015 -Huge Data-」に次いで、
3番目の長さである


原曲の特徴でもあった笑い声のSEは、
イントロ・間奏でさらに強調され、
ウツの「Rhythm」のサンプリングボイスと絡み合って、
印象を深くしている


イントロ・間奏が長く、イントロだけで2分ある
2番サビ前のタメも1分半あり、
その後はサビが2分繰り返される
ボーカルの機械処理も含め、非常にクセのある作りである
日々口ずさまれたり、カラオケで歌われたりすることは考えづらい
(ただ現在ではカラオケに入っている)


その意味でこのシングルは、
カラオケを意識した次の「Love Train」とは、
まったく対極にあったシングルである
TMNの名前がなければ、
ヒットチャートに入ることは到底ありえなかっただろう
逆にそうした制限の無い状態でのチャレンジを、
企画モノというチャンスにやってみたかったのかもしれない


歌詞はすべて英語である
作詞はPatricia Wynnという人だが、何者かはよく知らない
他にTMN作品に関わったこともない
1990/11/21リリースDreams Come True「雪のクリスマス」のカップリング「Very Merry Christmas」の作詞も担当しているので、
「サンタと天使が笑う夜」の英語版)
小室の縁というよりはEPIC/SONYと縁がある人だったのだろう
wikipediaによればSONYの社員だったと言うが、未確認)
この頃のEPIC/SONYは、英語詞シングルの市場を開拓しようとしていたのだろうか


歌詞の内容はサビの英語以外、原曲とはまったく異なるが、
Aメロ・Bメロで女性に心惹かれる男性の心情を綴り、
サビで「Rhythm Red」「Beat Black」というキーワードを連呼するという流れは同様である
英語としての語呂の良さ、響きなどはよく出来ていると思う
次に引くサビ後半のフレーズなどは、特に気に入っている

Ain't no shame in Rhythm Red
Blood so hot in you and me
Guess we pride in Beat Black
Passion whispers secret words
Ain't no shame in Rhythm Red
Walk away don't walk away
Guess we pride in Beat Black
Fade away don't fade away


一聴して雰囲気が原曲と変わっているところはサビ前で、
「it's called red」「it's called black」が、
艶やかな女性ボーカルになっている
Bメロのバックコーラスも女性で、
男性的だった原曲よりも女性的な色気が増している
一方でウツは初の全英語詞に当たりがんばっているが、
正直に言って発音はカタカナっぽい雰囲気が抜けきっていない
ウツはこの曲の歌入れがとても難しかったと発言している


このシングルはタイアップやPVもなく、あまり宣伝されなかった
またこのシングルに言及するのは、
たいてい電気グルーヴファンなので、
話題にされるのは主に電気グルーヴによるカップリングで、
メインのTMNの方はスルーされるか過小評価される嫌いがある


そのため「Rhythm Red Beat Black version 2.0」は、
一般にはかなり知名度が低いと思われる
リアルタイムのファンでも、
「そんなのあったっけ?」くらいの扱いかもしれない
私としてはかなり好きな曲なので残念なのだが、
歴代シングル中でもマイナー曲のトップクラスに属するだろう


オリジナルアルバムにも収録されていないし、
時間が長いのでベスト版にもあまり収録されない
現在これを収録したアルバムとしては、
終了時リリースのダンスナンバーセレクションアルバム
「Takashi Utsunomiya Presents TMN RED」と、
2009年にリマスター音源で発売された「The Singles 2」がある
全シングルを集めたことになっている2012年の「Original Singles」には、
なぜかこれだけが収録されなかった


なお1996年のシングル集「Time Capsule」にも収録されたが、
こちらは収録時間の関係上、何の注意も無く1分半短くされており、
事実上ショートバージョンとなっているので、
注意が必要である(それでも8分あるが)


ライブでは「Rhythm Red Tour」の追加公演で、
半月ほどアンコールで演奏されたのみである
公演数からすれば10公演にも満たず、
生で聞いたことがある人はかなり限られるだろう
その後1992年の「EXPO Arena」では、
「Rhythm Red Beat Black」の間奏で、
「version 2.0」のフレーズが組み込まれて演奏されている


先に述べたように、
このシングルはむしろカップリングが取り上げられることが多い
電気グルーヴによる「Rhythm Red Beat Black」のカバーで、
「Rhythm Red Beat Black version 300000000000」と題した
Versionの部分は文字通りには3000億だが、
当人たちによれば「三那由多」と読むらしい


この話が決まった時点で、
電気グルーヴはまだメジャーデビューしていなかった
メジャーデビューとなる予定だった作品はアルバム「Flash Papa」で、
1991/4/10にリリースされた
このアルバムを制作していた頃、
小室からコラボレーションの申し出があったという


事の始まりは、小室がラップグループとコラボしようと思い、
木根に誰か知らないかと相談したことだった
おそらく「Rhythm Red Beat Black version 2.0」のリリース決定か、
あるいはその計画が前提としてあったのだろう


この頃「木根尚登のオールナイトニッポン」のディレクターが、
電気グルーヴのことを推しており、
番組内で曲をかけたことがあった
すでにインディーズで発表していた「電気ビリビリ」で、
歌詞に「坂本教授も小室哲哉も」と入っているということでかけたらしいが、
そのことで木根の印象にも残っていたようである


なお小室が電気グルーヴに声をかけたのは、
小室が木根のラジオで曲を聞いたことが始まりといわれることがあるが、
当時の発言を元にすると、
ラジオで曲をかけた電気グルーブのことを木根から聞いた小室が、
関心を持って声を掛けることにしたということらしく、
小室が番組を聞いていたわけではないようである
企画の実現に当たっては、
レーベルが同じSONY系列(トレフォート)ということも大きかったのだろう


小室は電気グルーヴの面々を呼び出し、コラボが成立した
電気グルーヴのメジャーデビューは、
コラボシングル「Rhythm Red Beat Black」になったのである
電気グルーヴは3日で仕上げたと言っており、
かなり急な依頼だったらしい
(同曲歌詞でも「三日で完パケ、スタジオ監禁」と言っている)


1990年12月の間には曲が出来上がっていたようなので、
(正月中にラジオで曲がかかっている)
小室と電気グルーヴの初対面は遅くても12月初めだろう
この頃すでに「Rhythm Red Beat Black version 2.0」が出来ていたことは、すでに述べた


小室がラップ版の「Rhythm Red Beat Black」を考えたのは、
この頃に小室のクラブへの関心が明確化したことが背景にあったようである
小室は1991年には「TK Tracks Night」を開催し、
以後プロデューサー期にかけてクラブイベントを断続的に開催するようになる
「Rhythm Red Beat Black version 2.0」のアレンジも、
小室によるクラブ系サウンドへの挑戦だったが、
どのようにアプローチすれば良いか試行錯誤していたようで、
最先端で活躍する新人を通じて新しい音との接点を持ちたかったのだろう


先に述べた通りこのシングルは、
「TMN vs 電気GROOVE / RHYTHM RED BEAT BLACK」
の名義でクレジットされており、
純粋なTMN名義のシングルとはなっていない
ジャケットも上半分がTMN、
下半分が電気グルーヴとなっている


TMN側のジャケットは、
「Rhythm Red」ジャケットのTMNロゴのみのシンプルなものである
ただし「Rhythm Red」では背景が白かったのに対し、
こちらでは赤くなっている
タイトルの「Red」を意識したものだろう


電気グルーヴの方は、
メンバー3人(石野卓球・ピエール瀧の他、この時はCMJK)が、
「CAROL Tour」の衣装(本物)を着てコスプレしている写真で、
卓球=マックスウェル(小室)、ピエール=フラッシュ(ウツ)、CMJK=ティコ(木根)である
ジャケット裏では、同じコスプレで3人が変顔をしている




原曲の歌メロはほとんど参照されず
終始石野卓球とピエール瀧のラップが展開する
歌詞の内容は一応デビュー作として、
自分たちの自己紹介がメインとなっている
上記のコラボの経緯についても言及している


電気グルーヴらしいおふざけ要素はこの時点から満載で、
特に原曲のウツボーカルをサンプリングして使っているところは、
当時からよく言及された
(ウツ自身、「やっぱハイヒールがいいよね」と言っていた)

「火あぶりの刑だ」「(ウツ)Burning Heart」
「水攻めに遭って」「(ウツ)Breathless」
「全裸で街中」「(ウツ)Carnival」
「ケツにはブッスリ刺さって抜けない」「(ウツ)ハイヒール」


曲自体は結構よく出来ている
メインのシンセのフレーズをサンプリングしつつ、
パーカッションやその他の音が効果的に使われ、
より軽快な印象を受けるオケになっている
インストで聞いてもそれなりに良いアレンジと思う
最初に耳に入るイントロ部分を聞くだけでも、
音がいいかげんでないことは分かる


本作は彼らのアルバムに収録されることはなく、
「Rhythm Red Beat Black version 2.0」以上に入手が困難だったが、
2006/2/22「The Greatest Hits-小室哲哉作品集 S-」に収録された
これによって、本作は初めてアルバムで聴くことができるようになった


TMNと電気グルーヴの関係は、これ以後深まることはなかった
ほぼこの時だけの一過性の関係だったと言って良い
関係継続の拒否は、電気グルーヴ側によるものだった
それがいつからだったかは把握していないが、
少なくとも1991年夏頃には明確に小室批判をしている
(というか、バカにする発言)


当然この事は小室の耳にも入っており、
「EXPO」の頃にゲスト出演のラジオ番組で、
飛び入りで彼らが現れた際には、
露骨に不快感を示している


デビュー当時の電気グルーヴの中心的なメディア露出の場は、
1991年6月から始まった「オールナイトニッポン」第二部だった
かなりの大抜擢だが、彼らの話術の賜物だろう
彼らの小室批判はこの番組で展開された
小室のモノマネなど小室をネタにしたトークの他、
小室のフェラーリに性器をなすりつけ、
「ここから腐るぞ」と言ったことは有名である


ただし電気グルーヴもこの番組の最初期には、
上に反抗的なキャラクターで売っていなかった記憶がある
「オールナイトニッポン」第一部パーソナリティの松任谷由実に挨拶に出向いた時など、
むしろ鼻につくほどの媚びへつらいぶりであり、お調子者ぶりだった
デビュー当時の小室やTMNとのトークでも、それは同様である
その後の反骨精神あふれる無礼者のイメージも、
彼らが選択した自らのキャラクター戦略だったと言える


電気グルーヴは後にTMNとのコラボを、
「虎の威を借りる狐作戦」と言っている
事実そうだったのだろう
さほどメディアへのとっかかりもなかった彼らにとって、
TMNという名前は大いに利用価値があった


電気グルーヴ作品は、
売上では「Rhythm Red Beat Black version 2.0」を超える記録があるが
(1997年の「Shangri-La」が44.6万枚)
チャートで4位を超えたことはいまだにない


TMNファンの立場からすれば、
こうした電気グルーヴの行動を非難することもできるだろうが、
そもそもコラボ成立の経緯を見れば分かるように、
彼ら自身がTMNを敬慕して接近したわけでは決してなかったことも、
注意する必要がある
以後長く続く卓球の小室批判を見ても、
音楽家としての小室を評価しているようには見えない


これについて一々縷説はしないが、
卓球の批判における小室は、
クラブの本当の流行を知らない、
流行からずれている、
成果を十分に吸収していない、
といった類のものが中心だと思う


電気の熱心なファンではない身で見ても、
卓球はアシッドハウスなど、
一つのジャンルを極めて行くタイプのミュージシャンで、
小室のような「おいしいとこ取り」の態度は共感できなかったと思われ、
小室への批判は音楽面に関しては本心を相当含んでいると思う


小室も電気グルーヴを「ラップグループ」と呼び、
彼らの中心となるテクノについてはほとんど触れていなかった
もともと小室が彼らに白羽の矢を立てたのは、
ラップができるミュージシャンとしてであり、
彼らの音楽そのものへの理解・評価がどの程度あったか疑問である
小室自身、ヒップホップのグループと思っていたと、後に語っている
ましてやウツや木根については、
電気グルーヴの音楽についての論評を聞いたことがない


こうして見ると、結局TMNは電気グルーヴにとって、
真の意味でパートナーにはなりえなかったとも言える
特にラジオのレギュラーという地盤を獲得した後の電気グルーヴは、
TMNと組み続けて名前を売る必然性も、ほとんどなかった


TMNに密着してそのファン層の獲得を目指すのも、
あまり良い方針とは言えなそうだった
卓球がネタにしたTMNファンからのカミソリレター事件から分かるように、
彼らとのコラボは当時のTMNファンから必ずしも歓迎されていなかった
アルバム「Flash Papa」の成績(33位)を見ても、
この頃の60万のTMNファンは、
ほとんど電気グルーヴに流れなかったらしい
(むしろその後で流れたケースが多かった)


さらにTMNとの関係の継続は、
電気グルーヴにとってマイナスにもなる可能性があった
彼らはシンセを使っていても、
実際には音楽性の面でTMNとは必ずしも近い立場にあったわけではなく、
ましてやTMN・小室のフォロワーだったわけではない
あるいはそうなるべく音を変えることは、
彼らのプライドが許さなかっただろう


だが当時の世間での知名度とその経歴を考えれば、
彼らはどうしてもTMN・小室の弟分と見られかねなかった
それはおそらく、インディーズ時代から彼らを支えてきた(自称)アングラ志向のファンたちを手放すことになる恐れもはらんだ事態だった
このため彼らは自らの音楽性を誤解されないためにも、
小室一派ではないことを強烈にアピールせざるを得なかったのではないか


実際に彼らはこの後、
TMファミリーなどと扱われることは一切無く、
その一方で音楽的には高い評価を得るようになり、
1993/12/1リリースの「Vitamin」で、
セールス面でもブレイクに至った


音楽評論家の世界で今の石野卓球は、
すでに小室哲哉を追い抜いてしまったように見える
こうして見ると、彼らの戦略は見事に成功したのだと言えそうである


なお石野卓球は、2017年に再びTMの作品に関与した
2017/4/5「Get Wild」の様々なトラックを集めた企画アルバム「Get Wild Song Mafia」に、
新作として卓球によるリミックス作品「Get Wild (Takkyu Ishino Latino Acid Remix)」が収録されたのである
本作はアルバムの最大の売りとされた


そして「Get Wild Song Mafia」が一定の成果を上げると(チャート4位)、
avexが配信限定で5/3に「GET WILD 30th Anniversary Collection」なるアルバムを販売したが、
これには「Get Wild (Takkyu Ishino Latino Remix)」が収録された
これは6/21小室哲哉アナログ盤「Get Wild 2017 TK Remix」のB面にも収録されている


さらに9/17には「Get Wild(Takkyu Ishino Full Acid Remix)」とそのインスト音源が配信され、
11/1にはこれらと「Get Wild (Takkyu Ishino Latino Acid Remix)」を含むアナログ盤がリリースされた
以上も「Rhythm Red Beat Black」と同様に、
あくまでも一過性の関係に過ぎないだろうが、
27年ぶりに卓球のTM楽曲リミックスが実現したことは、付記しておきたい

(2009/8/2執筆、2014/8/28・2017/11/9加筆)

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この記事へのコメント

spaced
2009年08月03日 00:37
こんにちは。少し前からBlog読ませていただいてます。更新いつもお疲れ様です!
TMNetworkも電気も好きでしたので、いつ電気との話が出るかなと思ってました。
私も90年代にはTMを卒業し始め、電気等をきっかけにクラブミュージックに傾倒していった口です
卓球が小室さんを批判していたのはちょっと記憶に薄いんですが、小室さんと卓球は確かに全く方向性の違うアーティストだと思います。
90年代を一世風靡した小室サウンドですが、楽曲は良くてもアレンジは本物のクラブサウンドからすると若干古臭いというか、薄っぺらく感じる事もありましたし、卓球の言ってることも分かる気がしますね。
小室さんは元々良い楽曲を書ける人なので、そこに重きを置いて制作してじっくり行けば、坂本教授や卓球等著名人の批判も出なかったのかもしれないですが、90年代バブルの最中、小室さんだけの思惑ではなかったのでしょうし、今思えば、って事になりますね…。

このBlogを読み始めてから、またまたTM熱が再燃しており、ちょっと前の記事で紹介されていたラストライブDVD等も買おうかなと思ったりしています。
やっぱり小室プロデュースよりもTMの方が良いですね。何より夢を見せてもらいました。

長くなってしまいすみません。
またの更新を楽しみにしていますね!
fe
2009年08月03日 17:08
今日は。

最初から「濃い」嗜好で売れた電気グルーヴと
売れてから「濃い」方面に乗り出す小室先生の対比が
面白く表現されたコメントだと思います。

確かに「何でもできる」タイプだと
「器用貧乏」と批判されかねないし
「一直線」だと「ワンパターン」と取られ
かねない紙一重の危険性がありますね。

私としては「アングラ」方面へ本格的に走りだした
小室先生も実は凄い大好きだったりします。

・「TK MUSEUM」
・「Kiss Destination」
・TKD~ROJAM辺りのTM
・「VIZITORS」
・「GABALL」、「SYNTHESIZED TRANCE」
・「TKCOM」

(私的ですが)濃い方面に走りだすとすごく手癖と音が
絡み合ってシンクロしているのに、私生活・性格等が
原因で不完全燃焼なのが悲しく感じます。
GAUZE
2009年08月04日 00:11
こんにちは。TMNと電気グルーブの関連性、とても興味深い記事でした。電気グルーブはいまでこそ日本が世界に誇るテクノ界の大御所ですが、あの頃は何者?と思ってましたよ。電グルの人気が上がってから初期作品や前身である人生というグループの音源やライブ映像を鑑賞してから、根本的にTMとは真逆の感性を持ったミュージシャンなんだなと感じましたね(個人的にはクラブサウンドに傾倒した電グルよりもアングラ街道まっしぐらな人生の方が好きです)。そういえば、昔FOOL'S MATEという音楽雑誌で小室さんの「Digitalian is eating breakfast」を卓球さんがレビューしたときも良い感じでこき下ろしていましたね。だからこそこのシングルリリース後の両者の関係も途切れてしかるべきだったのかなぁって思います。
蒼い惑星の愚か者
2009年08月04日 03:42
>spacedさん
はじめまして
TM熱が再開していらっしゃるとのことで、ブログをやっている甲斐もあります
小室さんの場合、80年代を通じて人気の面で業界の頂点的なところに達してしまった以上、90年代に後進から批判の矢面に立たされるようになるのは宿命だったと思います
90年代は電気に限らず小室さんよりも「新しい」音を紹介する人々が出てきて、先進性を売りにしたTMNの存在感が減退してきたという印象は、リアルタイムに感じていました
ここらへんの評価は異論もあるでしょうが、先進性の象徴だったTMNを終了させ、浮動層のカラオケ需要を見込んで売ることに特化したプロデューサーへ転進することは、ある意味で必然だったのかもしれません

>feさん
売れてから濃い方面に行く(あるいは、メジャー志向の時期とクラブ志向の時期が交互に来る)のは、小室さんの特徴ですね
つまり飽きっぽいということなんでしょうけど(笑
ただ核になるもの(手癖)は一貫していて、それを肉付けする道具としてクラブの音を使ったりするから、そこを専門にやっている人からは反発を受けるんでしょうね

>GAUZEさん
私は人生時代の電気グルーヴは知らないんですが、売れた時期の音を聞いても、小室さんとは目指しているものが違うんだろうとは思います
(あの頃はまりんの嗜好も入っているんでしょうけど)
そもそも小室さんのルーツはロックで、ダンスやクラブはその後に加わった要素だと思っているので、電気とは始まりからして違うんだと思います
それにしても、卓球のdigitalianレビューは読んでみたいですね…
T.Panda
2009年10月06日 09:04
生意気なことを言うようですが、正しい歌詞は「ケツにはブッスリ刺さっちゃいけない」ではなく「ケツにはブッスリ刺さって抜けない」かと存じます
蒼い惑星の愚か者
2009年10月12日 01:17
>T.Pandaさん
おお! ケアレスミスでした
こういうの、大変助かります
(生意気なんてとんでもないです)
訂正しておきました
ありがとうございます

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