5-7 Butterfly

今回は前置きが長いので、本編を読みたい方は、
ぱっとカーソルで真ん中くらいまで行っちゃってください


「Digitalian is eating breakfast 2」
オリコンで初動7500枚、週間9位に入りました
オリコンでは「小室哲哉、本人名義で18年半ぶりTOP10入り」とニュースになり、
一時Yahoo!ニュースでもトップに来ました


前回、初回プレス版は数年間出回るだろうと書きましたが、
発売から数日で売り切れてしまったようです
先週amazonから到着が遅れたのも、在庫確保が難しかったのかもしれません
いっぱい売れたからなのか、
プレス枚数が少なかったからなのかは何ともいえませんが…


チャートで激戦だった4/27を避けたこともあるのでしょうが、
それにしても今回のアルバムは予想外の成績でした
正直、20位には入っても10位に入るとは思っていませんでした
(TM NETWORKの「Easy Listening」「SPEEDWAY」も12位)


コラボ戦略とか色々な要因はあったんでしょうが、
ともかく一定の成果は出せたこと、
小室哲哉の名前で音楽活動をやる余地があることは、
示すことができたと思います


小室さんのオフィシャルサイトでも、
今作に関して感想が書かれていますが、
チャートインの件やまわりの評価などで、
好感触を得ている旨を述べています
あと「Friend's Whistle!」のテーマソング「Always be there」も、
いずれ音源化したいとのことです


思えば21世紀入ってから、
世間での小室さんの作品への注目度は下がる一方でした
それが今世紀の10年目にして、
少なくとも商業的記録としてはようやく再浮揚できたといえると思います


そもそもTKブームとかあったから商業面での落差が強調されてしまいますが、
80年代から音楽活動を続けていて、
まだソロアルバムで10位に入る人はそれほど多くはないと思います


作品の音楽的評価は賛否それぞれあるようですが、
時間を経るとともにだいたい定まっていくことでしょう
私も前回は一回聞いただけで感想書いたんですが、
あれから何度か聞いて、新しい発見とかもそれなりにありました


これからTKブームとかはないでしょうし、
そういう泡沫的な成果を狙う愚はもうしないでしょう
ただ小室さんに注目してくれる人がまだ一定数はいるということですから、
あとは音楽面で貪欲に良作を作って行ってくれればと思います


小室さん、口ではJ-POPの立ち居地とか色々言っていますが、
まだチャレンジしたい音が見えていない感じはしますので、
あとはそれを見出してくれれば、
商業面だけでなく音楽的評価でも再浮揚できるはずです


そういえばすっかり忘れていましたが、
先週「Digitalian is eating breakfast 2」と同時に、
globe15周年記念BOX「15 Years Chronicle」が発売されましたね
レコーディングから2年半にして発表されたglobe版「Self Control」ってどうだったんでしょうか


あとすでに前から告知があったんですが
5/15の18:00から放送のニコニコ動画の「小室みつ子のGet Wild」
ゲストが小室さん(哲哉の方)です
「Get Wild」など、セッションもやるみたいです
「Carry On」もやるんでしょうかね


以上が確かな筋の小室さんの活動ですが、
もう一個話題が無いわけでもないです
本当は触れたくないのですが、被害予防のためにあえて触れておきます
まつはしともという人が「Cry For You Now」という新曲を出すそうで、
5/12に関係者によってyoutubeにアップロードされました


わざとらしく震災の話題を入れたりして、見るだけでうさんくさい内容なのですが、
これ、小室さんの曲だとのことです
一応youtubeに書かれていることを抜粋して引用すると、
これで、かっての小室サウンドが復帰、小室哲哉ファンの方々小室哲哉が以前の様にビックヒットして貰いたいですよね。ファンならそう願うのは当然、であれば、有名アーティスト等は有名アーティストのカラーの楽曲になってしまい、小室哲哉でなくても、ヒットしますし、これでは、小室哲哉が利用されてるだけで、決して小室哲哉のブレイクには成らないでしょう。ならば、以前の篠原涼子や華原朋美のヒットの様に再度小室哲哉が出来るのはこの「まつはしとも」の楽曲を小室哲哉のファンが一丸となって応援するのが、第三の小室サウンド誕生する事は間違いないでしょう。

このまつはしとも、例のイーミュージック所属の歌手で、
前はTAPsというグループにいた人です
小室さん逮捕以後もずっと小室さんの提供曲を出すと言い続けていましたが、
ようやくその実物を出してきたわけです


ただどうでしょうか
これを私が聞いてみて思ったのは、
別人の曲を小室さんの名前で出しているだけじゃないかということです
かつてイーミュージックが小室さんと連絡が取れなかったため、
KAZUKIの暴露本を小室さんに無断で出版したことが思い出されます


ちなみにまつはしは、
今はMedia Music International(以下MMI社)に所属していることになっています
ところがMMI社のHPトップのまつはしの写真とメッセージは、
少し前までイーミュージックHPのトップに使われていたものと同じです
(トップにリンクされているまつはしの写真が同じなのではなく、
 まつはしの写真自体がトップになっており、つまりトップページのデザインが同じです)


とりあえずMMI社HPトップの宣伝文「小室哲哉が…」が、
以前のイーミュージックHPトップの宣伝文と同じことは、
本ブログの以前の記事(2010/8/17)を見ればご確認いただけると思いますが、
何よりも決定的なのは、この会社が八木グループの一つという点です


本グループの代表八木康次は、
以前24億円の横領事件を起こして懲役刑を受け、弁護士資格を剥奪され、
出所後の2009年から少し前までイーミュージックの代表をやっていました
この点はひとまず本ブログ過去記事のコメント欄に書いていますし、
googleなどで「八木康次」の名前を検索するだけでも分かると思います
今のMMI社の代表は八木泰司という人ですが、たぶん八木康次の一族でしょう


早い話、八木が株式会社SVT系列(イーミュージックが所属)ではない会社を立ち上げ、
まつはしの所属を形式的にそこに移したということです
小室曲でまつはしを売り出すに当たり、
イーミュージック関係者であることが気付かれないようにするための細工でしょう
以下、本件は事実上イーミュージックの仕業という前提で話を進めます


イーミュージックがなぜ今小室提供曲の話を出したか考えるに、
一つには4/21に東京簡易裁判所の裁判で、
賃金未払い問題で敗訴したことがあるんじゃないかと思います
(ただし控訴するつもりのようです)


ある一人の原告に対しては100万円あまり支払うことが命令されたようです
他にも多くの被害者がいるようなので、総額はかなり行くのでしょう
(詳しくは「株式会社イーミュージック被害者の会」ブログを参照)
この判決を受けて今回は関わらなかった被害者も裁判を起こす可能性があります
たぶんイーミュージックは今かなり追い詰められていて、
なりふりかまわず収入になりそうなことを始めてみたのじゃないかと思います


今回イーミュージックのHPを久しぶりに見てみたら、Twitterのリンクがありました
関心ある方は見てみてください
完全にチンピラのつぶやきですが、
2ヶ月間中断していたものが裁判敗訴の4日後から急に頻繁に動き出し、
4/27には「お人よしのイーミュージックはヤメだ!」などと吠えています


こいつらが本当にバカと思うのは、
素性をさらしながら内部連絡をTwitterに書いていることです
(しかもリンクがオフィシャルサイトのトップにもあるのに)
特に5/5にイーミュージックが、
「笹原、今日から業務連絡はメッセージでやるぞ。twitterのメッセージ、使い勝手がいいな。」
と書いて以来、内部情報がダダ漏れです


たとえば5/13のTwitterでは、こんなことを書いています
@cashboxman 方針は既に打ち合わせ通り。KTと痰は刑事告発する。ドライにやろう。KTも生殺しよりは塀の中で反省の方がタメになる。豊川痰は今度入ったらカラダが持たないだろうが自業自得だ。紙の爆弾の次は?


この内「豊川痰」は、かつてのイーミュージック社員で、
未払い給与の支払いを求めて裁判を起こして勝訴した豊川誕のことです
KTは検索でひっかからないように注意して「TK」としなかったのでしょうが、
小室哲哉のことでしょう
この一つ前のTweet(5/10)に、
「@cashboxman 小室哲哉お抱えの佐藤弁護士、あのキャラはなんだ?」
とあり、小室さんに何かしようとしているようです


イーミュージックが5/10頃に小室さんの弁護士に接触し、
5/13には小室さんの刑事告訴を企んでいることになりますが、
その間の5/12にイーミュージックが小室さん提供として発表した楽曲、
本物と考えるには不可解すぎます
小室さんから何かを引き出そうとして弁護士に追い払われ、
偽物の小室楽曲を発表する挙に出たのだろうと思います
少なくとも彼らが表向き言っているように、
「かっての小室サウンドが復帰」(変な日本語ですね)することを望んでいるとは考えられません


イーミュージックが連絡を取っているcashboxmanとは、
イーミュージックプロデューサーの笹原雄一です
プロレス団体の関係会社キャッシュボックスの代表取締役で、
今は雑誌に記事を書いたりトークイベントを主催しながら、
イベントの経費を踏み倒したりして問題を起こしているようです
(アホらしいので関係リンクは貼りませんが、適当に検索して下さい)


例のKAZUKIとも関係があるようなので、
その縁でつながったのかもしれません
早い話が、いつもの「イーミュージック的人材」です
ただすでにイーミュージックに不安を覚えているようで
「イーミュージックって大丈夫か?」(5/12)とか言っていますので、
まもなく逃げる可能性もありそうです


笹原がライターを務めている雑誌「紙の爆弾」5/7発売号では、
「私は小室哲哉に提訴された! 「小室もノリピーも商品価値はゼロ」断言できるこれだけの理由」
という記事が出ています
これがイーミュージックとの関係で書かれたことは、
4/27のTwitterに明記されています
(ちなみに酒井法子も、かつてKAZUKIが関わろうとしていたことがあり、
 その関係で付きまとっているものと思われます)
5/10に小室さんに接触しようとしたのも、
あるいはこれが脅迫のネタになると考えたのかもしれません


まあ通常のキオスクやコンビニでは入手困難で影響力もない雑誌ですし、
こいつらでは、事実上avex保護下の小室さんをどうこうすることはできないでしょう
以前から書いている通り心配することはないと思いますが、
とりあえずまつはしともの新曲とやらは、信用しないように気をつけて下さい


ちなみにイーミュージック代表の早川優は、
株式会社SVTで震災復興ビジネスや、
ミャンマー投資の事業を立ち上げるようです
よく疑惑満載の実名をさらしながら、
次々と金集めの名目を立ち上げるものですね


さて、小室さんの近況が長くなってしまいましたが、
今回の本題はウツの話です

-------------------------------
これまで数回の記事では、
TMN本体から飛び出した小室哲哉の動向を追いかけてきた
一方でタイムマシンに残った「本体」の動向はどうだったのか
これについて今後数回に渡って見ていくことにしたい


小室が飛び出した後に残ったのは、ウツと木根の二人である
その他1991年にソロアルバムを出していた浅倉大介や、
すでにソロデビューに向けて動いていた葛城哲哉もおり、
それぞれタイムマシン所属ミュージシャンとして、
今後が期待されていた


ただやはり1992年夏の時点では、
ウツ・木根と浅倉・葛城ではステータスが大きく異なり、
浅倉・葛城に対して最初から大々的な稼ぎを期待することは難しかっただろう


結局小室が抜けた穴を埋める主力となったのはウツだった
TMN休止が決定的になった後、
最初に本格的に動いたのはウツだったし、
実際にTMNファンの受け皿になったのもウツだったと思われる


1989~90年のソロ活動期のウツは、俳優業にチャレンジした
しかし1992年のウツは、この方向には向かわなかった
一つには、俳優の仕事は当時からつらく感じており、
ウツ個人としてもまたやりたいと思えるものではなかったのだろう


そしてもう一つ、むしろこちらが圧倒的に大きいだろうが、
TMNがこのまま消滅する可能性が否定できない状況下で、
「TMN後」を視野に入れた活動が避けられなくなった
後のTMとしての活動が決定していた上での1989年のソロとは、
事情がまったく違っていた


ウツのソロ活動は、
小室哲哉の離脱が確定的になった頃から検討されていたようで、
1992/2/12のインタビューでは、
「音楽的にはソロもやってみたいなと思っているよ」
「今年中には(ソロ楽曲を)だすかもしれない…」
と語っている


ただこの時のウツは、まったくのソロ名義にはならなかった
基本的にソロ活動としての扱いではあるが、
その名称を「T.UTU with The Band」として、
バックで演奏する「The Band」とセットの名称で売り出したのである
この名義は、TMNメンバーとしての「宇都宮隆」と区別することを意識していたという


「T.UTU with The Band」という、バンド+ウツを意味する名称は、
当初からライブを意識していたと見て良いだろう
実際にT.UTUは、デビューシングル発売当時から全国ツアーを発表していた


The Bandのメンバーは、ギターの葛城以外TMNサポートと重ならない
ドラムにはTM NETWORK時代のサポートの山田亘が入ったが、
他の是永巧一(ギター)・土橋安騎夫(シンセ)・FUMI(ベース)・
石井恭史・MIYAKO・YURIA(コーラス)は、
それまでTM NETWORK・TMNに関わったことがないメンバーだった
(YURIAの妹が「金曜日のライオン」PVに出演したという微妙な縁はあるが)
おそらく、あえてTMNとの差別化を図ったものと思う


この中でベースとコーラスとして加わった4人は、キャリアは浅かった
FUMIは海外での音楽活動を経たベーシストで、
現在も子安文として音楽活動をしているようだが
MIYAKO・YURIAはファッションモデル出身で、
どちらかというと見た目で選んだものかもしれない


ただMIYAKOは1999年以後、
金澤美也子名義でる*しろうというバンドで活動しているらしい
ボーカルの他、キーボードなどもこなすようである
(本記事ふぇんべるくさんコメント参照)


FUMI・MIYAKO・YURIAの女性メンバー3人は、
翌年にはThe Bandから消える
後のウツにとって重要な人脈となったのは石井恭史だが、
彼については後に改めて取り上げることにしたい


土橋は1年前に解散したレベッカのリーダーで、
是永は後期レベッカのサポートメンバーとして活動した人物である
両者はレベッカ解散後、Baby's Breathを結成している
是永は「Rhythm Red」のレコーディングにも参加しており、
タイムマシンスタッフと面識があったものだろうか


ただし是永とウツは、T.UTUの時まで顔を合わせたことがなかったらしい
ウツは「Rhythm Red」の頃、ドラマ撮影も並行していたため、
是永とはすれちがってしまったのだろう
ツインギターにしようと提案したのは葛城だったというので、
是永の人選には葛城の意向もあったものかもしれない
そもそも「Rhythm Red」の時、
TMNメンバーに葛城を紹介したのが是永だったことは、かつて述べた通りである


レベッカ解散後、さしたる成果を出していなかった土橋としては、
ウツと組む話は悪くなかっただろうし、
ウツ側としても、話題性のあるビッグネームの参加はありがたいことだった
土橋は以後2年間、The Bandのサウンドの中心となり、
2005年にウツが結成したU_WAVEにも参加している


ただ実は当初The Bandは、
土橋ではない人物を中心に結成することが構想されていた
元Barbee Boysリーダーのイマサ(いまみちともたか)である
Barbee Boysは1992年1月に解散したため、
彼も土橋と同様にその後の去就がまだ定まっていなかった


イマサの起用はプロデューサー小坂洋二のアイデアだったというが、
おそらく土橋の起用も小坂の案だろう
レベッカ(CBS/SONY)もBarbee Boys(EPIC/SONY)もSONYグループ所属だったので、
ウツのソロ活動開始に当たり、彼らを組み込むことが検討されたのである


小坂はイマサのバンド参加構想を前提に、
レコーディングへの参加を打診したが断られた
1992年春から夏頃のことだろう
しかしイマサはザ・タイガースの「シーサイド・バウンド」のカバーをするという話を聞いて、レコーディングに参加した
この音源は2016年に「T.UTU with the BAND All Songs Collection」に収録された


イマサの代わりに土橋が入ったのか、
当初は土橋・イマサの2人が参加することになっていたのかはよく分からないが、
いずれにしろイマサがThe Bandに参加することはなく、
その後リリースされたのは、土橋中心のバンドによってレコーディングされた楽曲だった
おそらくそのためイマサが参加した「シーサイド・バウンド」は、
20年以上未発表のままにされてきたのだろう


なおもう一つ気になるのは、
当初レコーディングされたのがカバー曲だったという点である
小室は少し前に、
自らのアイドルへの提供曲を中心に制作したカバーアルバム「Hit Factory」をリリースしており、
渡辺美里も「Hello Lovers」というセルフカバーアルバムをリリースしている
ともに小坂のプロデュースであることを考えると、
小坂はウツについてもカバーアルバムを作らせる案があったのかもしれない
ただTMNの現況を考えて、TMセルフカバーは避け、
他人の楽曲のカバー集という方向が検討されたのではないだろうか


T.UTUのファーストアルバムは「蝶」をテーマに、
「Butterfly」と名づけられた
「飛翔」「変身」を含意したものという
そのレコーディングもThe Bandのメンバーと共に行なわれた


10曲中、作曲は石井が4曲、土橋が2曲担当した
石井はこの頃から積極的にウツに楽曲を提供し、
2ndアルバム「Water Dance」では、大部分で作曲に関わっている
一方で木根の曲が無いのは、
小室だけがいないことが目立ってしまうのを避けたものだろう


注目すべきは「君が見えなくなった日」で、
ウツが初めてまともな作曲を行なったことだろう
シングル「Dance Dance Dance」カップリングの「Strange Guitar」も、ウツの作曲である
「Butterfly」未収録)


特に後者は古い洋楽ロックの雰囲気の曲だが、十分に聞ける曲だと思う
1986年の発言によれば、ウツは昔自分でも作曲していたらしく(フリースペースの頃?)、
その頃の経験がここで生かされたのである


「終了」時に発表されたTMNの「Another Meeting」では、
ウツがTMNで初めて作曲を行なうが、
T.UTU期の試みはその前提ともなったことになる
ウツの可能性が広がる可能性も秘めた時期でもあったと言えよう


作詞には小室みつ子・川村真澄・三浦徳子の名が見え、
TM時代の延長ともいえるが、
TMN期には薄まっていた人脈でもあり、
一部のファンには歓迎されたかもしれない
この点はTMファンをひき付けるための意図的な人選だろう


なお三浦の作詞は1985年の「Childhood's End」以来だが、
ウツは当時三浦の詞を気に入っていた
「Butterfly」での三浦登用はウツの希望かもしれない


1992年のT.UTUのレコーディングでは、15曲ほど作られたらしい
その中で「Butterfly」には10曲が収録され、
2曲はシングルカップリング、
2曲はビデオ「T.UTU with The Band in Fix Box Flowers」に収録された
これらはすべてツアー「Live Butterfly」で披露されたが、
他にもう1曲、今でもCD化・映像化されていない曲があるはずである


こうしてレコーディングされた楽曲からは、
2枚のリードシングルが出た
1992/11/21「Trouble in Heaven」と、
1993/1/21「Dance Dance Dance」である


「Dance Dance Dance」は、
香港映画「シティーハンター」のテーマソングというタイアップがあった
ポップで覚えやすいサビで印象に残りやすかったこともあろうが、
それとともに「シティーハンター」というタイアップは、
TMファンからすれば当然TMの代表曲「Get Wild」を想起させただろう
(映画の評判は悪いらしいが、原作は同じ漫画である)


この点で何を目指しているのか分からない迷走中のリーダー小室よりも、
ウツ側こそがTMNの本体、あるいは継承者であるという印象を持つファンもいただろう
実際に売上を見ても、ウツ作品は一応の成績を出していた
「Trouble in Heaven」は9位、13.7万枚、
「Dance Dance Dance」は6位、17.8万枚だった
後者はウツ歴代シングル中最高の順位・売上となっている


この勢いに乗り、1993/2/21にリリースした「Butterfly」は、
チャート2位、15.5万枚の成績を出しており、
やはりウツ作品中で最高の売上となった
(順位では1位を取った次作「Water Dance」の方が上)


これを前後の小室作品と比べるに、インスト作品は別としても、
シングルでは「永遠と名づけてデイドリーム」(12.4万枚)・「Magic」(9.2万枚)を上回っており、
アルバムでも「Hit Factory」(15.9万枚)とほとんど変わらない
同時期リリースのtrfのデビュー作と比べれば、倍以上の売上だった


「Butterfly」を引っさげた全国ツアー「Live Butterfly」も、
アルバム発売翌日の2/22から5/11までの3ヶ月間、
武道館4公演を含む25公演という規模で行なわれた
TMNの半分程度ではあるが、
少なくとも1ヶ月半16公演だった小室の「Digitalian is eating breakfast tour」の規模は超えていた
この日程は、1992年9月頃にはすでに決定している



なお本ライブではT.UTU with The Band全曲に加え、Cyndi Lauper「Time After Time」
さらにアンコールではTM曲から、
「金曜日のライオン」「You Can Dance」「All-Right All-Night」「Wild Heaven」
から2~3曲が演奏された
TM曲の演奏は、TMN休止という現実を踏まえたファンサービスであろう


ビデオ「Live Butterfly 10min. Behind」には、
「金曜日のライオン」「You Can Dance」のダイジェスト映像が含まれるが、
「金曜日のライオン」はFanks期のミディアムテンポのアレンジに準じた演奏となっている


また武道館公演のうち、
4/28には松本孝弘、5/11には木根尚登がゲスト出演している
木根は「Time After Time」と自らのソロ曲「H2O」を歌っている


以上の流れを見るに、T.UTU with The Bandは、
TMNの水準には遠く及ばないものの、それなりに堅実な成果を上げていた
あまり意識されていないが、
「Butterfly」期のウツは小室とほぼ同等の成績を収めていた


それどころか、ウツの「Trouble In Heaven」と小室の「Magic」の売上を見る限り、
1992年末の時点ではライブ動員力はもちろんのこと、
CD売上に関しても、ウツの方が人気は上だったようにも見える
1993年になって小室が歩み寄りを見せたのも、
こうした現実がある程度影響していたものかもしれない


さて、以上は数字の話を中心に記してきたが、
この時期のウツの音楽面についても触れておこう
ウツがこの時に試みたのは、70年代のロックである
それも「Rhythm Red」期に試みた刺激的なヘビメタ・ハードロックではなく、
より自然体で聞かせる、「古き良き」ロックである


そこにはウツの憧れだったRod Stewartのイメージも投影されていただろう
ウツ自身も「Trouble in Heaven」には、
ロッド的な部分が出ているかもしれないといっている
早い話、ウツ自身の好きだった音楽を自分でやってみたわけである
基本的に小室のアイデアで動いていたTM NETWORK・TMN時代との大きな違いと言えるだろう


ことあるごとに最新の音、実験的な音をアピールしてきたTMNと異なり、
「Butterfly」の楽曲の作りはある意味でシンプルである
少なくとも新しさを強調することはなく、
特に「Trouble in Heaven」などは古い洋楽っぽさ、
悪く言えば古臭さを感じる


一方で「Dance Dance Dance」は、
当時の流行歌中でもベタと感じるほどポップな作りだった
ライブについても、演奏と歌を中心に据えた正統派の内容で、
コンセプトを盛り込みステージングに力を入れたTMNとは大きく異なっている


これは小室が抜けた結果としての退化と見ることもできるかもしれない
しかしせっかくのソロ活動で、
小室サウンド・TMサウンドの再現・二番煎じを行なうのではなく、
むしろウツ個人の魅力を前面に出そうとしたことは、
唯一の方向性だったかどうかはともかく、
誤った方向性ではなかったと思う


ウツも意識的にTMN時代とは異なるレコーディング方針を採った
TMNでは語尾をすんなりとスムーズに歌うようにしていたが、
「Butterfly」ではあえてしゃくりあげて歌ったりした
次の「Water Dance」も、同様の傾向があるように思う
またテイクの選択でも、あえてラフなものを選ぶことがあったという


そしてウツの魅力という点に関して言えば、
T.UTU期は次の「Water Dance」期も含め、かなり魅力的である
正直に言って、私はT.UTUの楽曲はさほど良いとは思わない
もちろんこれは好みの問題であるが、
楽曲の魅力としてはやはりTMNの方に軍杯を挙げる


だがライブでこれらの楽曲を歌うウツは、
1994年のツアー「Live Water Dance」も含め、実に自然体である
ソロだから当然だとも言えるが、
ウツ自身のやりたい音楽が実現できているように見える
これと比べると、TMNのウツはフロントマンではあっても、
必ずしも主役ではなかったと感じさせられる


ウツはリニューアル当時、TM NETWORKからTMNに変わり、
ライブの自由度が高まって自分の表現をする余地が増えたと言っており、
事実TMN時代にはウツ個人の魅力がよく表現されるようになった
だがそれでもウツが完全に主役となったT.UTUのライブと比べれば、
なお自らを限定的に表現していたのだと思う


なおTMN終了ライブ「4001 Days Groove」は、
特殊な位置付けのライブだけあって、高く評価されることが多い
しかしこのライブでは、
TMNがそれまで重視してきたステージングやライブアレンジの面は、
ほぼ度外視されており、
いわゆるTM的なライブとして見る場合、あまり評価はできないと思う


逆に言えばこのライブは、TMNとしては極めて例外的に、
ほぼ楽曲とメンバーの表現力のみで成立させたライブだった
それでもこのライブが魅力的に見えるのは、
ウツが2度のソロツアーでつちかったものが反映した結果ではなかったか


私は以前、ウツの魅力の最盛期は90年代前半としたことがあるが、
それはこのT.UTU期も含んでの評価である
そしてウツ個人としての最盛期にソロ活動を始めることができたのは、
長い目で見れば良いタイミングだったのかもしれない


ただしT.UTUの活動には、やはり一定の限界もあったと思う
だがこの点についてはここでは触れず、
後ほど別の章で「Water Dance」期の活動を見ながら触れていこうと思う

(2011/5/14執筆、2013/2/11・2016/3/27・2017/12/10加筆)

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この記事へのコメント

りる
2011年05月14日 10:15
以前コメントさせていただいたものです。
T.UTUの『Dance Dance Dance』は山田邦子が司会の頃のCDTVで観ました。
ソロ活動を知らなかった私は、「あれ?ウツが小室さんじゃない曲歌ってる?」と少し驚いた記憶があります。
ウツの背景を知らない私にはロック調に違和感を持った記憶があります。
ウツは小室さんの曲でしょー!と。
ただ今思えば、『ウツ=小室さん曲』という印象が植え付けられていて、おっしゃるとおりウツはフロントマンだけど主人公じゃなかったのかもしれないですね。。


『Dance Dance Dance』と『Angel』(感じたHeartBeat♪ってやつです)は買った記憶あり、『Angel』を聴いて、このままソロなのかな?
と思ったら「一途な恋」が出てきたり…だったような…?
時間的順序の記憶が曖昧ですf^_^;
g2m
2011年05月14日 23:03
いやぁイーミュージックの連中がまだ動いてるのはビックリしました(笑)
どーもKTと書いたのは間違いみたいで、笹原って人がその事で噛み付いてましたよ(笑)
YouTubeに曲がアップされてるようですが、視聴回数が増えるのが悔しいので見ないようにします
今回からウツのソロについての考察が始まりましたね
t.utu~boyobozo~宇都宮隆etc…なんでこんなに名義変えるんだろ?
と思ってたので(笑)この辺りを管理人さんの切り口で語って頂きたいです
のんき
2011年05月15日 21:27
文章中のU_WAVE結成は、2006年ではなく、2005年が正確だと思います。

T.UTUになって、ウツ自身が作曲する楽曲があるのは嬉しいです。
君が見えなくなった日は、好きです。

ただ、ウツが以前言っていた発言で《自分が作っても、良い曲じゃないと歌いたくなんだよね。》って言ってました。

ウツファンとしては、もうちょっと宇都宮 隆作曲が聴いてみたいです。
青い惑星の愚か者
2011年05月18日 01:28
本記事は初め「5-7 T.UTU with The Band①」にしていたのですが、②までしばらく間が空くので、「5-7 Butterfly」に変えました

>りるさん
順番は、一途な恋→感じたハートビー! のはずです
あのタイミングは私もかなり不審に感じていまして、もともと小室さんは一途な恋からTMN本格始動と言っていて、さらに翌年3月にはTMNのアルバムが出ることになっていたのですが、実際にはその後T.UTUが再始動して、3月はT.UTUツアーの真っ最中という事態になりました
今思えば、T.UTU第二段がスタートした時点で、TMNの終わりは相当「ありえる結末」になっていたんだと思います

>g2mさん
そのうち触れますが、BOYO-BOZO自体はT.UTUの時点で存在していました
名称だけでいえば、ウツの活動から土橋さん・是永さんが抜けて、BOYO-BOZOになったということと思います
その後宇都宮隆名義になったのは… 早い話がBOYO-BOZO失敗後のてこ入れです

>のんきさん
U_WAVEの件、ご指摘ありがとうございました
訂正しておきました
こういうケアレスミスって、なかなかなくなりません(汗
ウツの発言を見るに、ウツは基本的に自分を表現者だと位置づけているんでしょうね
それはそれで一つの立場であり結論なのかもしれません
ふぇんべるく
2011年06月25日 00:22
MIYAKOこと金澤 美也子さんは、「る*しろう」というバンドで現在も音楽活動をされていると思いますよ~。1度、「題名のない音楽会」で見かけたような・・・。 twitter:http://twitter.com/#!/le_silo
青い惑星の愚か者
2011年06月28日 02:53
る*しろう、全然知りませんでした
ヨーロッパでもライブとかして、コンセプトも面白いことやっているみたいですね
こういうことになってるとは…分からないもんですねぇ

これでその後が分からないサポートメンバーはYURIAだけですね
badauwaaye
2018年02月11日 17:47
小室さんの引退からこのblogにたどり着きましたfanksです。すごく詳しい内容で最初からとても楽しく読ませていただいています!
一点、細かいことで恐縮ですが、ButterflyでコーラスされていたYURIAさんですが、性格にはYURIAさんはワニ少女のお姉さんだそうです(=YURIAさんの妹がワニ少女)。
Butterflyの本が手元にあり、確認しましたのでご連絡しまーす‼️
青い惑星の愚か者
2018年02月12日 03:00
YURIAさんの件、別のところでもワニを姉としてしまっていて、指摘されていました。
こちらはちゃんと書いているつもりだったんですが、こっちも間違えていますね…
修正しておきました。ありがとうございます。

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