5-14 Water Dance

結構前の情報ですが、9/26付けのオリコンで、
9/14リリースのAAA2枚目のベスト版「#AAABEST」一位を獲得しました
アルバムで一位は、彼等にとって初めてのことのようです


内容はここ3年間のシングルをまとめたもので、
去年から今年にかけて小室さんが提供した5曲も収録されています
去年は小室さんのシングルで売上の記録を更新し、
今年は小室さん曲メインのアルバムで売上の記録を更新し、
今回は初の一位ということで、嬉しいですね


小室さんの力でこうなったというつもりはないですが、
少なくとも小室さんの楽曲提供が失敗には終わらなかったことは認めて良いと思います
ネットニュースでも小室さんの曲が褒められたりしています
(「小室哲哉の曲で求心力高まる」とか、なんかよく分からない褒め方ですが)


小室さんは10/15、「ASOBINITE!!」でライブを行ない、
最後は中田ヤスタカさんと共演したようです
また11/5、「早稲田祭2011」の企画「UBC-jam vol.25 」にも出演するそうです
早稲田大学のイベントサークルの企画のようです
入場は無料ですが、チケットは10/17より早稲田大学キャンパスで販売し、
10/24よりweb受付を行なうとのことです


では本題に入ります
いよいよ1994年に入ります

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ウツは1993/11/21、T.UTU with The Band名義で、シングル「Angel」をリリースした
チャートで20位、7.2万枚の成績だった


10ヶ月前のシングル「Dance Dance Dance」は6位、17.8万枚を売ったが、
これと比べると「Angel」は大幅な成績低下と言える
「Angel」が作詞小室みつ子・作曲西村麻聡という、
旧TMファンをひきつける作家陣だったにもかかわらず、である


一方、翌年1/21リリースの2ndアルバム「Water Dance」は、
ウツソロ作品唯一の首位獲得を果たした
初動売上も、「Butterfly」(4.8万枚)より多い5.8万枚である


だが総売上では、むしろ成績は落ちた
「Butterfly」は15.5万枚なのに対し、
「Water Dance」は11.9万枚である
早い話ウツソロ第二段は、
商業的には第一弾ほど成功しなかった


一見して、アルバムと比べてシングルの落ち幅が大きい
ただ前シングル「Dance Dance Dance」の売上は、
映画タイアップ効果で底上げされたものと考えるべきで、
アルバムの方が実質的な人気を反映していると思われる


「Angel」「Water Dance」の6割を売っているが、
タイアップ効果が少なかった他のTMN関係シングルを見るに、
TMNの「EXPO」(64.8万枚)と「Wild Heaven」(39.9万枚)や、
小室の「Hit Factory」(15.9万枚)と「Magic」(9.2万枚)も、
だいたいアルバムセールスの6割がシングルセールスという関係になっている


そう考えると、「Dance Dance Dance」の2ヶ月前(1992年11月)、
タイアップ無しでリリースされ13.7万枚売った「Trouble in Heaven」の頃は、
「Butterfly」リリース時よりも潜在的には多くのファンが付いていたと考えることもできる
つまりシングルの固定購買層の規模は1年かけて、
ソロデビュー当時の14万(1992/11)から7万(1993/11)へと半減した
1995年のウツのユニットBOYO-BOZOのデビューシングル「JUMP」(6.2万枚)は、
よく酷評されるものの、
実はT.UTUの1年間と比べればまだ健闘していたとも言える


「Trouble in Heaven」から「Buttefly」の間の固定層減少は、
TMN的な音を求めていたファン層が、
T.UTU with The Bandの目指す音を知って離れていったこともあるだろう
同じ頃にTMNにより近いスタイルを取ったaccessがファンを増やしたことも、
これと関わるのかもしれない


だが「Angel」の場合はどうだろうか
本作はカップリング(正確には両A面)の「ゼロよりも少ない始まり」とともに、
「Butterfly」期のオールドロック的雰囲気は薄い
むしろポップス的要素が強く、TMNの音との差はあまりない
これは「Water Dance」全体を通じていえることである
TMNとの差の大きさがTMNファンを見限らせて、
売上減少の原因となったと考えることは難しいだろう


もちろん「Butterfly」期に、
旧TMNファンではない新規ファンがいなかったわけではないだろう
そのようなファン層が「Water Dance」で離れたこともあったかもしれない
しかしそれが15.5万人中の3.6万人(「Butterfly」「Water Dance」の売上の差)もいたと考えるのは無理だろう


直接的な原因としては、
ファン層のaccessへの流出が続いたことも考えられるが、
おそらくそれだけではなかったと思う
当時の私の感覚から言えば、
もうT.UTUはいいんじゃないか、という印象だった


つまり「Trouble in Heavem」「Butterfly」の時は、
TMNの活動はまったく白紙で、
ファンの間でもTMNの自然消滅の可能性は想定されていた
こうした中で、とりあえず小室・木根も含めて、
各メンバーのソロ活動を把握しておこうというファンもいただろう


しかし「Angel」リリースの直前、
TMNは活動の再開を宣言していた
やっとTMNが見られるはずと思っていたファンからすれば、
「なぜ?」という印象を抱いた者も多かったのではないか


現実にTMNの新作はリリースされなかったのだから、
熱心なファンはなおT.UTUの活動を追っただろう
しかしそのようなファンばかりではなかったことが、
アルバムセールスの1/4減少という結果に現れているのだと思う


個別の楽曲については、私は前作より「Water Dance」の方が好きである
「ゼロよりも少ない始まり」「Cool Jam, Cool Mode」
などは、なかなか良い出来だと思うし、ソロライブでもよく演奏された
だが「Butterfly」ではウツがTMNでやれなかった音を試みたのに対し、
ポップさを前面に出した「Water Dance」はそのような積極的意義があまり見出せない
いわゆるTM風の楽曲と比べればロックテイストが強いが、
聞きやすい分、何を目指したのか分かりづらい「普通」のアルバムになっている
つまり「Water Dance」期のT.UTUは、
TMN復活宣言の裏であえて活動を再開するには、
その楽曲はいささか特色の弱いものだった


さらにこれはスタッフの問題と思うが、
T.UTUは新曲のアピールのために話題を仕掛けようとする発想が薄い
意図的に話題性のある行動を起こし注目を集めようとする小室流のやり方は、
当時のタイムマシンでは木根ソロも含め皆無である


概して小室が抜けた後のタイムマシンスタッフは、
音楽を続けることには関心があっても、
どうアピールしてリスナーに届けるのかという、
小室が常に重視してきた部分はほぼ置き去りにしてきた
この志向は、2005年以後のM-tresやTMの活動にも通じるものである


地道に音楽活動を行なえば、ファンはついて来るという発想なのかもしれない
実際にオリジナルアルバム60万枚を売るTMNの人気や、
全国でも最大規模と言われたTMNファンクラブの組織率の高さを見れば、
TMNファンの何割かを動員するだけでかなりの稼ぎは可能である
そしてウツはメンバー3人の中で、
TMNファンをもっとも多く動員させることに成功した


だがその活動は、旧TMNファン以外にどの程度届いていただろうか
決して皆無ではなかったと思うが、
少なくとも私は当時ソロ期からのウツの新規ファンを見なかった


また世間でウツがソロ活動をしていた事実を知る者は少なくなかっただろうが、
その楽曲を具体的に知っている者が今どれだけいるかは、相当心もとない
活動をしている話は聞こえてくるが、既存ファン以外はほとんど食いついてこなかったというのが、
当時のウツのソロ活動の実態に近かったと思う


そしてもしもソロファンの母体がTMNファンであるならば、
その中でもTMNへのつなぎとしてソロ活動についてきた程度のファンにとって、
TMN再開宣言後のウツソロ第二段にどの程度の魅力があっただろうか
つまり「Water Dance」期のセールス減少は、
その支持基盤によるところが大きかったのではなかろうか


いささか小室寄りの言い方をすれば、
これこそ「EXPO」期の小室がもっとも忌避した活動形態だったはずである
TMN休止前、活動を広げようとする小室は、
堅実に音楽中心の活動を目指すスタッフとの間で意見の対立があったというが、
小室がタイムマシンから離れた直接の契機はともかく、
根本の理由はこうした志向の違いなのかもしれない


T.UTU with The Bandは93~94年、TMNファンの離反をある程度食い止め、
いずれ来るべき(来なかったが)活動再開まで待たせた点では、成功したと思う
だがウツ個人として見た場合、成功裏に終わったとはなかなか言いがたいと思う
失礼な物言いをすれば、TMN時代の遺産をすり減らしつつ1994年まで持たせたという印象である


一方で「Water Dance」リリースの半月後、小室はtrf「World Groove」をリリースし、
1994年度のみで88万枚、年間9位という大成功を収めた(最終的には97万枚)
これはウツのアルバムの8倍、accessの3~4倍の売上である
(1993/9/22「ACCESS Ⅱ」25.4万枚、1994/5/25「Delicate Planet」27.6万枚)


「World Groove」購買層にはTMNファンも含まれただろうが、
TM全作品をしのぐセールスを実現している以上、
TMNファンの一部を動員しただけの成果ではありえない
trfには明らかにTMNファン以外の新たな支持層が多く付いていた
その結果として、小室はタイムマシン側を大きく上回る成果を出したのである
これは1年前、1993年2月とは真逆の結果だった


ただこの後、ウツ・木根はジリ貧状態でファンの規模を減らしつつも、
一応は音楽活動を継続させているのに対し、
小室は邦楽史上に残る大ブームを一時的に起こしながら、
その後急激に没落していくことになるのであり、
どちらが正解とはなかなか言いづらい問題だとは思う
結局は音楽で何を目指すのかという、
人生観の相違としか言えないのかもしれない


さて、「Water Dance」の内容についても触れておこう
本作にはインタールードの「Water Dance Ⅰ」「Water Dance Ⅱ」を含めて、
全13曲が収録される
小室みつ子・川村真澄というTM NETWORK時代の作家陣が主に作詞を担当したことは、
前作「Butterfly」と同様である
他に前作でも関わった西尾佐栄子の作詞が2曲と、石井恭史の詞が1曲ある
三浦徳子の詞はなくなった


楽曲制作がウツ・石井・土橋安騎夫を中心に行なわれたのは前作と同様だが、
一見して気が付くのは、シングル2曲とインタールードを除く大部分が、
BOYO-BOZO名義の作曲となっていることである
これはウツ・石井両名の名義で、
ウツによると「いい仲間」という意味の造語らしい
他に石井単独名義の「Eternal Date」を加えれば、
石井は本アルバム13曲中で9曲を担当したことになる


石井は1991年12月の「EPIC/SONY Face to Face」というオーディションで入賞し、
プロデビューのきっかけをつかんだ
1992年5月にはタイムマシンの事務所に来て、ウツと初対面を果たしたと言う
当時はまだウツのソロ活動は始まっていなかったが、
その準備と関わるものかもしれない
その後石井は、T.UTU with The Bandにコーラスとして参加した


1992/11/21には石井作曲の楽曲がシングルとして2枚同時リリースされた
一曲はT.UTU with The Bandのデビュー曲「Trouble in Heaven」
もう一曲は渡辺美里「メリーゴーランド」である
かなりの抜擢と感じるが、もともと作曲能力を買われていたものかもしれない
ただし「メリーゴーランド」は14位で終わり、
美里のブレイク以後のシングルの最低記録となってしまった
(ただし売り上げは前作「泣いちゃいそうだよ」を上回った)


ウツは石井の楽曲を気に入っていたらしい
ウツはTMN「終了」後の1995年、
BOYO-BOZOとして石井と二人で活動を行ない、
CDのリリースや全国ツアーも行なっている


このユニットは同年中に活動を終えたが、
その後2002年にはウツシングル「Remedy」カップリングで、
「Sing A Song, miss clear light」がBOYO-BOZO名義で作曲されている
ウツソロ曲の中でも名曲の一つと思う
以後BOYO-BOZO名義は用いられていないが、
石井は以後もウツにソロ楽曲を提供し、
2005年にはウツ中心に結成されたU_Waveに土橋らとともに参加している(後に脱退)


このアルバム曲のレコーディングは、
「Live Butterfly」の公演期間中、1993/5/3に始まったという
この時点ではウツと石井の二人だけのレコーディングだった
その曲は「Live Butterfly」最終公演近くにも披露されたという
ただしレコーディングが本格的に始まったのは8月のことだった
完成は11/9のことである


当初ウツは、「Live Butterfly」とともにT.UTU with The Bandは解散すると考えていたという
まずはウツが石井と二人でレコーディングを行なったのも、
土橋安騎夫らが次作でも参加することの確証がとれておらず、
確実に動ける二人で試験的に行なったものだろう


「Water Dance」期のT.UTU with The Bandメンバーは、
1993/9/2に最終的に決定した
8月にはおおよそ決定していただろう
メンバーからは女性のFUMI・MIYAKO・YURIA3人が外れ、
宇都宮隆・葛城哲哉・是永巧一・山田亘・土橋安騎夫・石井妥師の6人となった
石井は「Live Butterfly」ではコーラスを務めたが、
この時はベースを担当している


アルバムリリース前日には特別ライブ「Club Water Dance」をClub Citta' 川崎で開催し、
一週間後の1/27からTMN10周年の前日4/20の三ヶ月間、
全国ツアー「Live Water Dance」を開催した
「Live Butterfly」と比べると、
武道館公演はファイナル2本に減ったが、
全体の本数は28本で、むしろ増えている



なお「Live Butterfly」では、アンコールでTM曲を演奏したが、
「Live Water Dance」ではTM曲はなかった
アルバムが2枚リリースされて曲数も十分になっていたこともあろうが、
TMN再始動の可能性が消え行く中で企画されたツアーだったため、
TM曲を演奏することでファンを期待させることがためらわれたのかもしれない


代わりに本ツアーでは中盤に日替わり曲として、
The Beatlesなど洋楽のカバーが演奏され、
さらにレベッカの「Monotone Boy」が演奏された
もちろん旧レベッカメンバー土橋の縁である(ビデオには未収録)

(2011/11/16執筆、2016/4/10加筆)

Water Dance
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この記事へのコメント

kuri566
2011年10月16日 23:34
当時、学生だった身分で投資するとなると、やはりtrf→access→ウツ・木根の順でしたから。私個人の投資傾向と全体的な売り上げがぴったり一致ですね。当時のファンの中には、もちろんウツ個人を追っていた子もいましたが、TMファンの心理としては、ウツは小室・木根の曲を歌ってなんぼ、別な言い方をすれば、他人の曲を歌うウツには、ジェラってしまうというか、あまりやってほしくないという心理。小室センセはシンセやってましたから、個人としてインストだろうがなんだろうが投資する気持ちがありましたけど。ウツと木根に対しては、もちろん活動は追っていましたし、楽曲も好きでしたが、3人そろってこその応援をしたいという感じでしたからね。後にウツが小室提供曲を歌ったときはもう少し売り上げていると思います、たぶん。
GAUZE
2011年10月18日 17:33
こんにちは。Water Danceも良いアルバムですよね。個人的に好きな曲は、「カーニバルの騎士たち」と「Indian Runner」が好きで、前者はオリエンタルな曲調がクセになるし、後者は壮大で美しいバラードで当時ウツが一番気に入ってたらしく、去年のディナーショーでもラストを飾っていました。そういえば、どこの会場かは覚えてませんがツアー中MCで土橋さんがポロっとTMがリハやってると言っちゃって客席がどよめいたことがあり、すかさずウツがその場を取り繕ったことがあったみたいですね。
kuri566
2011年10月18日 19:16
>GAUZEさん
それは、終了宣言をする4/21の前日、ウツソロのツアーファイナル日でのことです。トークコーナーで「5月はTMのドームを見に行く」とぽろっといってしまったことです。ただ、当時は終了なんて誰もが考えてませんでしたから、「おー。10周年にふさわしい会場でやっぱやるんじゃん。」と思ってましたけど。そして、翌日、新聞を広げて脳天ぶんなぐられる思いをするんですけどね。あの終了宣言のリアルタイムの衝撃具合といったら、サッカーのドーハの悲劇ぐらいのうちのめされっぷりでしたよ。
GAUZE
2011年10月18日 23:29
>Kuri566さん
詳細ありがとうございます。ツアーファイナルだったんですね。それにリハじゃなくてドームを観に行くでしたか。曖昧な記憶でコメントしてしまい申し訳ありませんでした。そのライブの終了後、土橋さんは怒られたり注意されたりしたんでしょうか?。ちょっと気になりますね
青い惑星の愚か者
2011年10月21日 00:33
「終了」が前日のウツライブでばれちゃったってのは聞いたことあります
武道館だから1万人以上にばれたんですよね

ただ私はその場にいなかったので情報が錯綜しているんですが、てっきり「終了」をほのめかすことまで言ってしまったのだと思っていました
4/20の時点でバレてたのはTMNのライブがあるということだけだったんですね
kuri566さんはその場にいらっしゃったんでしょうか?

私はウツライブの情報はまったく知らず、いきなり新聞で広告見て、なんじゃこりゃ?って感じでした

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