7-34 TM NETWORK再開のプロセス

明けましておめでとうございます。
今年は世間が通常に戻ると良いですね。
せめてミュージシャンが普通にライブを開催できるくらいに…。


去年12/29にはLINE CUBE SHIBUYAで、ウツと木根さんによる「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク 〜ハタシテ?ドチラが勝つでショー〜」が開催されました。
こちらはニコ生でも、プレミアム会員限定で配信されました。
内容は、ウツと木根さんが順番に歌謡曲とフォークを演奏し、会場およびニコ生視聴者の投票および「特別審査員」の採点でその勝敗を決めるというものでした。


正直私は興味なかったし、ニコニコプレミアムにも登録していなかったので、チェックする気もありませんでした。
ところが放送終了後、驚くべき情報が入ってきました。
小室さんも会場に来てステージに上がり、ウツ・木根さんと一緒に演奏したというのです。
要するに、TMの3人がステージ上に集結したということです。


私もその話に驚き、深夜にプレミアム会員登録をしてアーカイブを確認しましたが、小室さんはライブ終盤ではなく、すでにライブ前から登場していました。
野村義男さんが趣旨説明をする時に、会場に「特別審査員」が来ていると言って、客席後方に座っている小室さんを指さしました。
なんと小室さん、普通に客席に座ってステージを見ていたのです。


ウツと木根さんの勝負が終わり、30分ほど両者のセッションによる懐メロメドレーが終わると、勝敗発表の時間が来ました。
これを発表するためにステージに現れたのが、特別審査員の小室さんでした。
小室さんは両者の演奏の感想を述べ、ウツが100点、木根さんが88点としましたが、観客・ニコ生視聴者の採点と合わせてウツ190点・木根さん198点となり、木根さんの勝利となりました。


まあ勝敗は別にどうでも良いのですが、問題はその後です。
野村さんが小室さんに、「せっかくいらっしゃったんで、なんかやりませんか、ピアノあるし」とそそのかしたのです。
もちろん事前に決められていた筋書きでしょうけど、それはともかくこんな意外な形で5年ぶりの3人の演奏が実現したわけです。


演奏は1曲目はTMの「Time Machine」、2曲目は加藤和彦と北山修の「あの素晴らしい愛をもう一度」でした。
特に1曲目は涙ものでした。
小室さんはアウトロを追加して演奏するなど、見せ場をもらっていました。
演奏後に3人は、この曲東京ドーム以来ですっけ?とか5年ぶりとか、適当なことを言っていました(実際は2012年「Incubation Period」以来8年ぶり)


「あの素晴らしい愛をもう一度」では、最後にサポートメンバーが順番にサビの「あのすばらしい愛をもう一度」のフレーズを歌いましたが、小室さんも最後にちゃんと、あのねちっこい声で歌ってくれました。
小室さんが歌うのっていつぶりだっけ?と思いましたが、考えてみれば2015年の「スカパー!音楽祭」でも「背徳の瞳」「永遠と名づけてデイドリーム」を歌いましたね。


あと「永遠と名づけてデイドリーム」は、2018年1月のPANDORAのライブでも歌っていましたし(本記事オルさんコメント)、2017年12月の木根さんのライブに出演した時も「Dreams of Christmas」「Christmas Chorus」を歌っていましたから、実は小室さんの活動歴の中では最近割と歌っていたわけですが、TM3人のライブで歌ったのはかなり久しぶりだったと思います。
もしかしたら2003年の「Fan Event in Naeba」「Dreams of Christmas」以来かもしれません。


ちなみにある方のtweetで知ったのですが「あの素晴らしい愛をもう一度」は、サブタイトルを「TO BE TOGETHER AGAIN」と言うそうです。
もしかしてウツと木根さんは、「また一緒にいるために」という気持ちを込めてこの曲を選んだのでしょうか。


あと小室さん、金髪にして、かっちりとしたいでたちになっていました。
これはやる気になっているモードなんじゃないか?と(勝手に)感じました。
「Route246」での復活以来、なんかくたびれた感を感じていましたが、まだがんばれるんじゃないの?て思います。


ともかくこうしてTM3人の演奏は、2015/3/22「TM NETWORK 30th Final」以来5年ぶりに実現しました。
おそらく去年12/18に3人で「SF Rock Station 2020」に出演した時点では決まっていたんでしょう。
さらにいえば、「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」の開催が発表された12/1・2「Spin Off T-Mue-needs」の時点でも、小室さんの出演は前提になっていたんだと思います(12/2に小室さんがライブを見に来たのも、多分それが前提)。


もっとも今回は3人とも、TM NETWORKの名前を出すことはありませんでした。
宇都宮隆と木根尚登のライブに小室哲哉がゲスト出演し、3人で一緒に演奏したという形です。
1996年にはTMが復活しないままで、小室哲哉・宇都宮隆・木根尚登の連名で新曲「Detour」が発表されましたが、それに近い状況かと思います。
もっともその頃のようにTMが「終了」しているわけではないですから、むしろ1998年年始にTM復活宣言をした後、活動再開を果たす以前の1999年元旦の特番「TK Presents Nice Dream」で、3人が「Seven Days War」を演奏した時に近いのかもしれません。


ただそれでも、少しずつ本格的な活動再開に近づいているは確かであろうと思います。
小室さんは2018年1月に引退を宣言し、その後表舞台から退いていましたが、同年秋にはウツがシンセ3人という異例編成のソロツアー「Tour Thanatos」で小室さんの楽曲を多く演奏し、翌2019年秋からはウツなりのTM35周年という趣旨で、同様の編成でTM曲のみを演奏する「Dragon The Carnival」を開催しました。
2020年6月には小室さんがラジオ「TOKYO SPEAKEASY」に出演して近況を報告し、翌月乃木坂46への「Route246」提供で2年ぶりに音楽活動を再開、9~12月にはウツと木根さんを中心にTM曲を演奏する「Spin Off T-Mue-needs」が開催されました。
そして2020年年末に、3人での演奏がここに実現したわけです。


先の2018年の小室さん引退により、1994年の「終了」と2008年の逮捕に続く3回目のTM中断期が訪れました。
しかしその終わりもそろそろなのかもしれません。
2021年に、コロナウィルスの鎮静化とともにTMが3度目の復活を果たすというのも、まったくの夢想ではなくなってきた感が出てきました。
楽しみですね。


他に近況としては、木根さんが12/29に文化放送「楽器楽園~ガキパラ~ for all music-lovers」に出演したそうです。
また木根さんが2019/12/14に開催したライブ「ニューロマンティックシアター」のライブCD2枚組が、予約限定版としてリリースされます。
締切は1/11です。
ただし先着100名限定のシリアルナンバー・サイン入りCDはもう定員に達し、またTシャツ付き限定セットも締め切られていますので、現在注文できるのは通常盤(3000円+送料)のみとなります。


では本題に入ります。
タイトル「TM NETWORK再開のプロセス」が、くしくも近況整理にも絡むものになりました。

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詐取した5億円によって当座差し迫った借金を返済した小室哲哉は、2006年秋から再起に向けた活動を始めた。
この中でTM NETWORKも活動再開に向けて動き出す。


以前述べた通り、小室はTMの活動が中断した2004年後半の時点で、翌年までのTMの活動を想定していなかった。
それは2005/8/9までglobeの10周年の活動が予定されていたからと考えられる。


実際のTMの活動再開まではさらに2年を要したが、ウツによればその間にも、再開の話は何回か出ていたという。
その一つはおそらくglobe10周年の後だろう。
木根は2005年8月、小室と2人で打ち合わせを行なったことが知られる。
木根は2005/8/9の「globe2 pop/rock」リリースパーティに参加しているので、おそらくこの時に打ち合わせの約束を取り付けたものだろう。


この打ち合わせの結果として発表されたのは、9/25のコムック(小室FC)対Hot Legs(木根のサッカーチーム)のサッカーイベント開催だった。
コムックチームはファンクラブ会員とは関係なく、吉本芸人で構成されたチームである。
小室は葛城哲哉とともに、監督として出場した。
要するにベンチで傍観していただけだろう。


もちろん木根が小室に会ったのは、このどうでもよい企画のためではないだろう。
TMをどうするかの相談も行なったに違いない。
8月末の小室FC会報でも、木根とTMのことを話したことが述べられている。
ただその時の結論は、TMは毎年行なう活動形態ではなくなっているので、無理に絞り出さなくても良いというものだった。
この頃globeの活動を継続させることが決まっていたこともあり、TMの活動を見合わせることが確認されたのだろう。


こうしてTMの活動再開は進まなかった。
ウツは2006/1/24「笑っていいとも」のテレフォンショッキング出演時、最近小室とはほとんど会っていないと発言しており、この時点でもウツと小室を含む打ち合わせは行なわれていなかったと見られる。
ここにウツは、2005年に始めたU_WAVEを翌年も継続させることになった。


小室はこの頃、TMは変に新しいことをする場ではなく落ち着ける場になってきたとも発言している。
また常に新しい試みがあるglobeに対して、次のTMはみんなでいろいろ思い出して懐かしい話で盛り上がる、同窓会的なものにしても良いと考えていることも述べている。
かつてTMは新しいことをすることを至上命題のように掲げていたが、ここに至ってそのような建前は捨て去られている。


ただこの頃の小室が金策やノルマに追われる日々を送っていたことを考えれば、小室がそうしたものから離れた安らぎの場としてTMを見出すようになっていたと見ることもできる。
小室は2005/12/16、木根の「talk & live vol.9 Special」渋谷DUO Music Exchange公演にゲスト出演して「Dreams of Christmas」を演奏したが、この時は予定時間をはるかに越えた長時間トークも行なっている。
これも昔からの音楽仲間と過ごす気楽な時間の心地よさ故だったのかもしれない(なお小室は2018年の引退直前にも、2017年12月の木根のライブにゲスト出演して、予定を大幅に上回る時間トークを続けた)。
DJ TK作品に見るように、小室の懐古の姿勢はこの頃から始まっていたが、あまりにも辛すぎる現実を前に、過去を懐かしむ気持ちが高まってきたのではないか。


小室は2006年8月初旬のFC会報のインタビュー(7月末頃のものか)で、興味深い発言をしている。
iTunesでSPEEDWAYの音源を購入してみたところ、歌謡曲でもなくロックでもないこの頃のウツのボーカルを魅力的と感じたというのだ。
そこで小室はそのことを、ウツの事務所M-tresの石坂健一郎に伝えた。
木根も電話で小室から同様のことを言われたと述べており、小室は関係者各所に連絡したのかもしれない。


小室はFC会報のインタビューで上記の件を述べた時、インタビュアーから今後のTMの活動について問われた。
すると小室は、自分がいきなりやりたいと言っても、U_WAVEで活動中のウツが困るだろうと答えた。
これは、小室自身はTMをやりたいと思っているということの裏返しに違いない。
そもそも会報で、わざわざTMの活動の可能性をファンに示したこと自体が、小室がTMの活動への意欲を高めていたことを示している。


このインタビューが行なわれた7月頃は、小室が破滅寸前に至り、5億円詐取計画を動かし出していた頃である。
小室はいよいよ破滅を意識した段階で、若い頃の自分を振り返りたくなり、SPEEDWAYを思い出したのではないだろうか。
そしてその思いは、詐取が成功した8月以後もくすぶっていたはずである。


こうした中、YAMAHAからM-tresに打診が来た。
2007年11月に2日間開催される「楽器フェア2007」の関連イベントで、TM NETWORKとしてライブを引き受けてくれないか、ということだった。
そこでM-tresが小室に意向を聞いたところ、小室からただちにOKが出たため、引き受けることになったという。
この時点では2日間のライブだけの話だったが、ともかくTM再開の糸口がここで開かれた。

7-34 001.jpg楽器フェアの様子



この打診の時期はよく分からない。
2007年春には「楽器フェア」出演が確定していたことが確認できるが、それ以前のいつのことなのか述べた資料は知らない。
ただウツは2007年の活動を振り返った発言で、2007年年頭にはまだTMがどんな動きになるか定まっていなかったと言っている。
この言い方からは、年始にはTMが動くこと自体は決まっていたように見える。
もしもそうならば、「楽器フェア」の打診は2006年中に遡ることになろう。


TM再開が最初に明言されたのは、2007年2月末の小室FC会報である。
小室はここで、4月頃からTMを再開することを宣言した。
小室はこの年、5/9までDJ TKのレコーディングを行なったが、本来はもっと早く終わるはずだったというから、4月中にDJ TKを終えてTMの活動に移行することを考えていたのだろう。
「楽器フェア」の半年以上前から活動を始める目標が掲げられていたのは、この時点で新曲のレコーディングも念頭にあったからにほかなるまい。


ただウツ・木根はこの時点では、TM関連の情報を一切出していなかった。
TMに積極的な小室と、慎重なウツ・木根という対比がうかがえる。
TM20周年やその後の小室を見てきたウツ・木根は、小室が本当に動けるのかなお心配なところがあり、拙速に動くのは控える判断をしたのだろう。


もっともすでに引き受けていた「楽器フェア」出演は、キャンセルできない案件だった。
ウツ・木根が「Spin Off from TM 2007」の最終公演(2007/6/7・8)で本件を告知したのは、これだけは確実にやることだったからに他ならない。
一方で新譜の制作計画については、なおしばらく秘せられた。
いつもはライブMCなどで余計なことまでペラペラしゃべってしまう木根すら8月まで言及しておらず、本件をめぐる慎重な態度がうかがわれる、


むしろこの時点のウツ・木根は、TMの活動への意欲を述べつつ、2007年の活動よりは、その2年後の2009年のTM25周年を念頭に置いた発言をしていた。
たとえば木根は4月初め、TM25周年で結果が出せれば「Spin Off from TM 2007」の意味が出てくるだろうと発言している。
また「楽器フェア」出演を公表した6月には、小室と一緒に音楽を作りライブをしたいという気持ちが高まったことや、TM25周年を楽しみたいことを述べている。
ウツも5月頃には、小室がTMの企画を練っていると言った上で、「Spin Off from TM 2007」をTM25周年につなげたいと述べている。
阿部薫も「Spin Off from TM」は楽しかったと述べる一方で、小室もいてTMがやれるのが一番うれしいと言っている。


こうした発言から判断するに、彼らは「Spin Off from TM 2007」の先にTM25周年を意識しており、その架け橋となるものとして「楽器フェア」を見ていたと考えられる。
一方で近く行なわれるかもしれなかった新曲レコーディングについては、実現の可否を見極めるまで言及しないように気をつけていたように思われる。


「Spin Off from TM 2007」は、開催告知が2006年11月中旬だった以上、企画立ち上げはどんなに遅くても10月には遡るはずだが、「楽器フェア」出演も2006年中に決まっていたと見られることを踏まえれば、両件はもともと連動するものだった可能性がある。
つまり「楽器フェア」出演が決まり、TMの再開が視野に入ってきた段階で、「Spin Off from TM 2007」開催が企画されたのではないか、という推測である。


かつて開催された「tribute LIVE」「Spin Off from TM」は、それぞれTM20周年企画の代替措置、ウツの新たな活動の宣伝企画という意味があったが、「Spin Off from TM 2007」についてはそのような意義が見いだせず、公式にもライブ開催の趣旨がまともにアナウンスされない謎企画だった。
だが上記のように考えれば、TM再開に先立ってファンを盛り上げるという重要な役割が意識されていたことになる。


以前触れたように、「Spin Off from TM 2007」ではTMの最新アルバム「Easy Listening」の楽曲が多く演奏されたが、これも「今」のTMを意識させるための選曲だった可能性がある。
だが実際にはTM再開の方針がなかなか確定せず、ウツ・木根は先行き不透明と判断し、TMの再開の情報を出すのも最終公演まで遅れてしまったため、結果として謎企画になってしまったのではないだろうか。


なお「Spin Off from TM 2007」は当初2007/4/19までの予定だったが、後に発表された追加公演は5月に2本、6月に2本で、本公演との間に長期の間隔が挟まれた。
これもTMの活動方針が固まるのが遅れることを見越した上で、その発表を行なうためにあえて遅く設定したものかもしれない。
ウツがライブで「リーダーがリーダーなもんで、(楽器フェア出演は)決定はしましたが、詳しいことはまだ決まっていないので」と発言したのも、そうした流動的な情勢を物語るものではないか。


以上、確実なことは言えないが、もしも「Spin Off from TM 2007」「楽器フェア」の出演決定を関連付けて考える場合、両件は2006年10月以前には決定していたことになる。
これについて気になるのは、ウツが2006/9/6に公開されたインタビューで、TMやソロでの活動の予定を聞かれた時、「その辺のミーティングはもう始まってますね。何はいつやるとかはまだ公開できないんですけど、来年はU_WAVE以外のモノが展開されると思います」と述べていることである。
2年続けてきたU_WAVEを2007年にはいったん中断するという方針が、この時点で決まっていたらしい。


これが「楽器フェア」を前提としていたならば、「楽器フェア」出演は8月中には決まっていたことになるだろう。
だとすれば小室は、8月末に5億円詐取が完了する以前、あるいはその進行中に、TM再開にGOサインを出した可能性がある。
もちろんウツも木根も、そんなことが起こっていることなど、知る由もなかっただろうが。


以上の「楽器フェア」をめぐる動向の詳細は推測以上のものではないが、いずれにしろ2006年後半には翌年のTM再開が確定していたと見られる。
もちろんその前提に小室の5億円詐取があったことを考えれば、手放しでは喜べない活動だったのだが、ファンも当時はそのようなことはまったく知らず、3年ぶりのTM再開に期待を寄せた。
以後は捨て身の行動で時間を確保した小室によって、逮捕というX-DAYまでの間、TMのかりそめの活動が展開されることになる。


最後に、2007年の小室に関連して、もう一つ確認しておかなくてはならないことがある。
それは6月末日、小室の吉本とのマネージメント契約解除である。


週刊誌ではすでに2006年8月に小室が吉本を出たとの報道があった。
これ自体は誤報だったが、小室はこの頃から吉本での楽曲制作を行なわなくなっていた。
おそらく小室はこの頃には吉本から離れる意向を強めており、それが最終的に決まったのが翌年のことだったのだろう。
小室はSONYから契約解除された2001年5月以来、6年余りで吉本から離れることになった。
ただし吉本R&Cは、以後もTM NETWORKの活動については協力すると明言しており、実際に単発契約ではあったが、CD・DVDのリリースはR&Cから引き続き行なわれた。


吉本に代わって小室と組んだのが、イーミュージックだった。
会社設立の中心になった早川優はこれ以前にも役所に提出した届出書で虚偽申告をして逮捕されている。
他にもこの会社の重役となった人物は、ことごとくいわく付きの人物である。


早川に小室を紹介したのは、木村聡一郎という人物である。
木村はもとavex関連会社の社長で、TKブーム期にも小室と面識があったと見られる。
2005年にはいとこが社長を務める大阪の老舗ソースメーカーイカリソースに近づいて、大型の詐欺事件を起こし有罪判決を受けている。
これ以後日の当たる場所にはいられなくなり、裏社会の人脈の中で生きてきたのだろう。
木村はこの頃から、事実上の小室のマネージャーとして、あるいは代理人として活動する。


小室は2007年6月に早川に会うと、資金援助を依頼した。
これがきっかけとなって早川は、自らが代表を務める株式会社SVTの子会社として音楽プロダクション会社を設立することになった。
2007年7月のことである。
この話が進む中で、小室は「良い投資家と知り合った」と言って、吉本との契約を6月末日を以て解除したのである。


早川の会社は小室の案で、いい音楽を作るという意味で「イーミュージック」と名づけられ、小室楽曲の原盤権を得ることになった。
ただし原盤権契約は小室楽曲全般ではなく(TM楽曲は含まれず)、今後制作されるKCOとPurple Days(当時小室がTM Jr.として売り出そうとしていた)の楽曲が対象とされた。
当初は2007年1月にKCO、2月にPurple Daysのアルバムをリリースする計画だった。
ただし実際にはKCOのシングル「春の雪」は2008/3/12まで、アルバム「O-Crazy Luv」は2008/4/30までリリースが遅れ、Purple Daysに至っては小室の逮捕まで楽曲のリリースは実現しなかった。


木村と早川の狙いは、小室の名前を利用したビジネスだった。
2人はイーミュージックを設立すると、9月にEMサポートクラブなる組織を作り、会員を募った。
これに入るには一口10万円の会費が要求された(イーミュージックの未公開株との抱き合わせ)。
2人は熱心なファンなら応じる者もいるはずと考えたのだろうし、小室の名前を出すことで配当も見込めるとアピールもしただろう。
すべてがファンが買ったものとは限らないが、イーミュージックは1300株を売り、1.3億円を集金したと報道されている。
早川はこうした集金のための広告塔として、小室に価値を見出したものと考えられる。


なおイーミュージックをめぐっては、様々なトラブルが起こった。
小室も2007年中にはイーミュージックから離れようとしていたようで、2008年1月にエンパイアプレイミュージックの井上勇と原盤権契約を結んでいる。
またこの会社は小室との間に、専属マネージメント契約も締結していた。


ところがイーミュージックはこの契約を知って介入し、エンパイア社が支払った契約料の立替を行なう形でこれを解除させた。
以後イーミュージックは、形の上では小室のマネージメントも行なうことになった。
ただこの手続きをめぐっては両者の間でいざこざが起こり、エンパイア社は小室逮捕後にイーミュージックと小室を提訴するに至る(両者の主張も錯綜している)。
結局2009年には、イーミュジックによるエンパイア社の吸収合併というよく分からない結末になったが、小室を使ったビジネスが小室逮捕により成立しなくなったことを受け、何らかの手打ちが行なわれたものだろう。


なおエンパイアプレイミュージックの井上勇は、準暴力団に指定されている関東連合の元メンバーである。
2019年には、全国のATMから総額18.6億円が不正に引き出された事件(2016年)の主導役として逮捕されている
またイーミュージックは、2010年代になっても小室にまとわり続けた(その都度avexによって追い払われたが)。
小室逮捕後に彼らがメディアで応じたインタビューなどは、広報の機会として利用しようとした彼らの意図とは別に、小室がいかに劣悪な連中と付き合っていたのかを世間に知らしめた点で、間違いなく小室の印象悪化に一役を買っていた。


小室がこの頃頼りにしていたのは、木村・早川も含めて明らかに裏社会の人間ばかりであり、彼らをめぐる動向に様々な裏事情があったことは想像できる。
この後1年間のTM NETWORKは、このような劣悪な環境下の小室が率いる形で活動することになる。

SPEEDWAY - TM NETWORK
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この記事へのコメント

オル
2021年01月02日 03:53
ブログ公式お疲れ様です
ありがとうございます

小室さんが公の場で歌ったのは
という話がありましたが、
2018年のPANDORA Billboard LIVE で
永遠と名づけてデイドリーム
を歌ってくれてますね

この年末にこんなプレゼントがあると思ってなかったので
大変嬉しかったです
来年から、忙しくなりますよ(惑星さんが)

にゃろ
2021年01月02日 09:41
惑星さん明けましておめでとうございます(^-^)今年もブログ更新楽しみにしています。
今年は、TMの悪巧みを色々やってくれて、本編の更新が進まないー!なんてぐらいになったらいいな~なんて思っています(((*≧艸≦)
また、気兼ねなくお会いできる時がくることを願って、今年もよろしくお願いします。
GAUZE
2021年01月02日 10:06
あけましておめでとうございます(^^)/。12月29にBUCK-TICKの武道館コンサートを観に行ってしまった裏切り者FANKSです。こっ、後悔なんてしてないんだからね!(←無意味なツンデレ ´Д`)。

去年は本当にとんでもない一年でしたね…。惑星さんを始めとした方々にもほとんどお会いすることなく終わった残念な一年でしたが、今年は少しでも良い年になりますよう切に願います(-人-)。

そんな中で、年末は嬉しい話題がありましたね〜。一夜限りのSF ROCKSTATION復活で3人が揃ってグダグダトークを繰り広げたかと思えば、12月29日の歌酔曲vsフォークで小室さんがまさかの特別審査員で登場したかと思えば、2曲とはいえ一緒に演奏まで。3人が並んだ映像を観た時はブワっときてしまいました…( ;∀;)。こうなるといち早いTMの活動を否が応でも期待してしまいますね(*´ω`*)。

通史の方は相変わらず辛い状況が続く重い内容で毎回心して拝読しておりますが、記事を作る惑星さんの方はもっと辛いと思いますので、めげずに更新頑張って下さいませ〜(^^;ゞ。
nob
2021年01月02日 11:25
惑星さん あけましておめでとうございます。
辛い時期のブログ更新で大変ですが投稿お疲れ様です。
今年もブログ楽しみにしております。

最近の先生のメディア出演は大変感激しています。
12/30 出演はかないませんでしたが
YouTubeのTK Nextに出たくてしょうがない様子でした。
100人にも視聴してないところ500人になったら
登場すると言い始めましたが
10分くらいでは伸びないのはわかって100人ならと
ハードルを下げてきました。
年末もあり話したかったのでしょう
(もう少しで100人だったのに、
コージの制止がなければ出ていたでしょう。チクショ)
ライブ再開に向けとても良い兆候と思い期待しています。
haru
2021年01月02日 11:37
 明けましておめでとうございます。

 ドラカニBlu-rayからラジオ特番、そして歌謡曲vsフォークでの演奏とTM再開に向けて着々と布石を打っていますね。2021年、新たな活動が始まることを期待しています。

 昨年はお忙しい中、私の自己満な思い出話に度々返信していただきありがとうございました。今年も時間があれば過去記事にコメントを書き込んでいきたいと思っていますが、その際記事に関するミスを指摘することがあるかもしれません。(粗探しするつもりは無いんですが…。)

 今年もよろしくお願いします。
オル
2021年01月02日 15:10
ブログ公式 ×
ブログ更新 ○ です
艦長
2021年01月02日 17:31
惑星さん、あけましておめでとうございます。惑星さんのブログは最新情報の取得と過去の検証が同時にできるので、大変貴重です。今年も楽しみにしています。
早くTMの新しい活動が始まるといいですね。事務所やレコード会社がどうなるのか心配ではありますが、貴重な60代の時間を有意義に使って1曲でも多くTMの作品を残してほしい。他の方も書かれているとおり、過去の記事を書く時間がないほどTMの動きが活発になることを祈っています。
青い惑星の愚か者
2021年01月02日 18:09
>オルさん
あー、ビルボードの件は私行かなかったので印象薄かったんですが、そういえばありましたね。
本文に加筆しておきます。
ご指摘ありがとうございました。
忙しくなると嬉しい悲鳴ですねえ。


>にゃろさん
今年もよろしくお願いします。
2014年頃はブログ本編の更新が中断して近況報告ブログになってしまいましたが、またそんなことになったら嬉しいですね。
まあ春の終わりくらいまではウツの歌酔曲が控えているので、TMが動いても下半期からだと思います。
それまでに第7部を終わらせたいです。


>GAUZEさん
明けましておめでとうございます。
小室さんが来ることが分からなかったら、そりゃあバクチク武道館を取るでしょう(笑)
年末に明るいニュースをもらえたことは、FANKSには本当に幸運なことでした。
きっと2021年は、少なくとも2018~20年よりは良い年になると思います。
地獄のブログ第7部は、がんばればあと半年くらいで終わるはずなので、TM本格始動前にケリをつけます。


>nobさん
明けましておめでとうございます。
TK NEXT、まったくチェックしていませんでした。
アーカイブの類も残っていないみたいですね。
nobさんのお話では、小室さんもみんなの前に姿を現したがっているようなので、今年はその欲望を解放していただきたいですね。


>haruさん
明けましておめでとうございます。
TM再開は、そろそろ覚悟(?)しても良くなってきたかもしれませんね。
過去記事の誤りは、いくらでも指摘してください。誤字の類でも結構ですんで。


>艦長さん
明けましておめでとうございます。
残っている時間は多くなさそうなので、少しでも早く動いてほしいというのは本当に思います。
そのことは本人たちが一番強く感じていると思いますが。
意外と動く時は一気に動く人たちなので、それに向けて待機していましょう。
NutRocker
2021年01月03日 01:40
今年もよろしくお願いいたします!SFROCKSTATIONで満足して12/25のニコニコも歌酔曲もスルーしていたので、こちらでTimeMachineのことを知り、あわててニコニコプレミアム登録して先程観ました。感涙でした!自分は情報収集にムラがあってこういうことがよくあるのですが、こちらで知ることができて良かったです。ありがとうございました。
今回の一連の動き、宇都宮さんがすごくTMへの強い気持ちがあるように感じますが、ALL THAT LOVEのときと似た印象を受けました。(いつもあまり喋らないのに頑張って喋ったり)
TimeMachineで気が動転して、記事本編の方がなかなか頭に入らず、「早川優」を「早見優」と読み違えて、宇都宮さんが早見優のファンだった気がするけどなんでここに早見優が出てくるのか…と思いながらしばらく読み進めてしまいました(・_・;
椎名
2021年01月10日 20:12
昨年から何度かコメントを残させていただいております。
今年もよろしくお願いいたします。

ロックステーション、YouTubeで聴きました。
今後に繋がるような直接的な発言はありませんでしたが、
withコロナの今だからこそ、
メッセージ性の強い曲が作れそうな気がします。
哲ちゃんはそういうの、案外得意ですからね。

ところで、記事の内容に関して、
イーミュージックがつい最近まで哲ちゃんに絡もうとしてたこと、
エンパイアが関東連合絡みだということに驚きました。
華やかな世界には必ず闇があり、
それはかなり深いものだということを改めて認識しました。
青い惑星の愚か者
2021年01月17日 00:08
>NutRockerさん
お役に立てたようでよかったです!
今回は私もまったく油断していました。
早見優について、私は今回まったく脳裏をよぎりませんでしたが、たしかにTM関連ワードでしたね。
次回から早川が登場する時には、脳内で早見に変換して精神的負担を軽減するようにします。


>椎名さん
実はオンライン中心とか、音楽が果たす使命とか、本来TMでやりたかったミッションが、今リアルに影響力のあるものとして実践できるチャンスであるようにも感じています。
あとはそういうのをバックアップできる人や企業がついていればいいんですけどね。
イーやエンは、本当にうんざりですよね。
私も書きたくないので最小限に留めたのですが、彼らは数回後に再登場することになると思います。

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