1-17 Vampire Hunter "D"

12/23と1/2、
小室がまた「ズバリ言うわよ!SP」に出演するようですね
細木以外出る番組ないのか…
それ以前に、KEIKOと結婚して以来の細木べったりは、
いつまで続くんでしょうか
もう痛々しくて…
それはともかく、痛々しくない頃の小室の話を書きます


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1985/12/21公開のアニメ映画「吸血鬼ハンターD」は、
菊地秀行の小説をもとにしたものである
EPIC/SONYより同日にビデオも発売されている
アニメの出来は原作者の満足できるものではなかったようで、
小説のファンにも評判はあまり良くないようだ


この映画の音楽の担当が小室哲哉に決まった
決定した時期はよく分からないが、
1985/5/19の「新おもしろザウルス」でアニメ音楽の話が出ており、
これ以前には決まっていたはずである


小室哲哉のTM NETWORK以外の主要な仕事として、
アイドル・アーティストへの楽曲提供や、映画音楽の製作が挙げられるが、
その内で映画音楽の最初を飾るのが、この「吸血鬼ハンターD」である


この映画については、2021年に意外な情報が明らかにされた
「Player Special」2021年11月号別冊の「Respect EPIC」の丸山茂雄のインタビューによれば、
「吸血鬼ハンターD」はEPIC/SONYがアニメ制作会社に作らせた映画で、
丸山の考えでは「TM NETWORKの音楽をよく見せるためのビデオ」だったというのである
丸山にはアニメをビジネスにするつもりは毛頭なかったとのことであり、
このアニメ映画はまったくTMのために立ち上げた企画だったことになる
意識としては、長編のPVというものだったのかもしれない


もちろんアニメ業界側からすれば、
TMを主題歌に登用するという条件を飲むことで、
多額の制作費を受けられたのは悪い話ではなかっただろうが、
「吸血鬼ハンターD」がEPIC/SONYの主導性が強い作品だったことは間違いない
この頃の鳴かず飛ばずの新人ミュージシャンのために、
アニメ映画への出資を行なってしまうというのは、
当時のEPIC/SONYのTMへの注力ぶりは驚くばかりである


この映画では、主題歌のTM NETWORK「Your Song」だけでなく、
BGMも含めてすべて小室哲哉が手掛けた
その曲は映画公開日の1985/12/21に、
「Vampire Hunter "D"」というタイトルで、
小室哲哉名義の初のサウンドトラックとして発売された
当初は12/10リリースとされていたが、映画公開日に合わせたものか
ジャケットは天野喜孝の描いたDの絵で、
中には天野のイラストを書いたポスターも封入されている


天野は小説の挿絵を担当したイラストレーターであり、
アルバムのジャケットも担当したわけである
映画のキャラクターデザインも天野が担当したらしく、
原作の菊地だけでなく天野もかなり存在感を持つ作品だった
(ただし天野の原画は作品にはあまり生かされなかった模様)


サウンドトラックには収録されなかったが、
この映画の主題歌はTM NETWORKが担当した
これは「Your Song (“D” Mix)」というタイトルで、
12inchシングルで11/1に発売された
全国規模でのTMの初のタイアップ曲である
(地方限定では、西日本テレビの「Fantastic Vision」がある)
この曲でファンになったという人も知っており、
TMの音を広める良い機会になったものと思われる


本作は8月初頭に六本木セディックスタジオでレコーディングを行なった後、
8/10または8/11から10日ほど、千葉に泊まり込んで、
三浦半島の観音崎マリンスタジオで本格的な制作を行なった
この時点で完パケになったのかは不明だが、
8月末からは「Dragon The Festival Tour」のリハーサルが始まるから、
基本的にマリンスタジオで中心の作業は終わったと見て良いだろう
だが同時に制作していた「Twinkle Night」は10月に完成したというので、
「Vampire Hunter "D"」もその頃まで制作が続いていた可能性はある


「吸血鬼ハンターD」は、2001年にDVD化されたらしい
物語の舞台は西暦12090年の辺境の町ランシルバである
人類は「貴族」と呼ばれる吸血鬼たちによって支配されていた


ヒロインのドリス・ランは貴族のマグナス・リィ伯爵に見初められ、
貴族の口づけ(吸血)を受けてしまう
リィはドリスとの婚礼の準備を進める
婚礼の後の初夜には、完全なる貴族の口づけと儀式によって、
ドリスを貴族の仲間入りをさせるつもりだった


一方でドリスは吸血鬼を退治するハンターを待ち、
ついにDに出会うと、これを雇ってリィの退治を求めた
Dは吸血鬼の神祖と人間のハーフ(ダンピール)で、
左手には妖力を持つ人面疽を宿していた


Dは、リィからドリスのもとに婚礼の迎えとして送られた使者を撃退し、
リィの居城に出向くが、捉えられてしまう
一方でドリスもリィの手によって捉われる
こうして始まったDとドリス・リィの物語が本作である


「Vampire Hunter “D”」の音は、映画のBGM的な要素が強い
「Dのテーマ」など、耳に残る音もあるが、
全体としては控えめな音という印象を受ける
もちろんこれは映画音楽として当然なのだが、
たとえば「Seven Days War」「二十歳の約束」などでは、
小室の音を聞けといわんばかりに自己主張の強い曲が並んでおり、
サウンドトラックにもかかわらず、
単独のインスト曲としても聴ける作りとなっている


これらに対して「Vampire Hunter “D”」は、
映画のBGMとしての役割を逸脱していない
まだTMや小室の知名度自体があまり高くなく、
「小室哲哉」を表に出しすぎないように配慮したのだろうし、
またそのような要求も無かったのだろう


ただし一方で、小室はかなり優遇されていたようでもある
というのも、「吸血鬼ハンターD」の作画は小室の曲を待って行なわれたというのである
通常は作品が完成してからそれに合わせて曲を作るのだが、
本作では逆の工程になったわけである
アニメ制作会社側の日程の都合もあったのかもしれないが、
いずれにしろ小室は本作では、映像の制約をほとんど受けず、
原作のイメージに基づいた音を比較的自由に作ることができたと考えられる


小室はこのサントラに、クラシックの要素を強く取り入れたと言っている
映画音楽制作にあたっては、天野の原画のイメージに従い、
美しい世界観を大切にするようにとのオファーがあったという
なお音は生楽器ではなく、シンセサイザーで作られている
特にEMULATOR Ⅱの存在感の大きさが、本作の特徴となっている
ただ一方で、意外と本作で力を入れたのはメロディだったと小室は言っている


小室は映画のパンフレットにコメントを寄せている(本記事かしこさんコメント)
貴重な情報なので、以下に全文を引用しよう

今回は監督さんの考慮があって音先行という画期的な事をやらせて頂いたんです。こんな事って、なかなかないらしいんですよね。だから、僕のイメージで自由にやらせて頂いた事には本当に感謝していますし、結果としてオーディオとヴィジョンが一緒になって一つの作品を作っているといった今までにない融合が作品中で成されたのでないかと思っています。
実際の音作りでは当初、単純にアクションものだからリズムが激しく、ビートがきいているロックっぽい方が合うと思っていたんです。だけど、原作を読んでいく内に優しさ、人間愛みたいなものを感じたので、クラシックっぽい、やわらかな包み込む様なものにしました。『Dのテーマ』『ドリスのテーマ』などがそれです。逆に『リィ伯爵のテーマ』などは単に迫力があるというだけでなく、荘厳さ、奥深い恐怖といったものを出そうとしました。まあ、これは全体に言える事ですけど、音楽でも奥深く、何回も聞いてもらって次々と色色なイメージがわいてくるものにしました。
最後に、この作品を観て頂いた方が作品と同じくらいに音楽も心に残ったという経験をして頂いたら、僕はアーティストとしてとても嬉しいと思います。



本作はサウンドトラックということもあり、
あまり一曲ずつ紹介しても仕方がないというところもあるが、
以下でアルバムの曲について簡単に触れていきたい
もっとも私は映画も小説も見ていないのだが、
アルバムでの曲順はストーリーには必ずしも沿っておらず、
曲の流れに従って配列しているようである(本記事かしこさんコメント)


「魔物たちの夜」
しょっぱなから重々しい雰囲気で始まる
「Rainbow Rainbow」「Childhood’s End」とは異質の音だと、
最初から予感できる
ライブではしばしば「Dのテーマ」と並んで、
「Vampire Hunter “D”」の代表曲として演奏される


この曲は本アルバムでも最初に作られた曲である
最初のサントラ作品ということで、スタッフは最初不安がっていたが、
小室がこの曲を聞かせたところ安心したという
以後小室は、リラックスして曲作りができたとのことである


「D復活」
主人公Dが復活したらしい
まるでDが悪役なのかと思わせるおどろおどろしい曲である
と思ったら、次の曲が「D絶命」
もう死ぬのかよ!


物語の中では、リィがドリスとの婚礼の準備を進める一方で、
Dはリィが雇った強盗団「怪魔団」の首領麗銀星に捉えられ、
心臓に杭を打たれるシーンがあるらしい
「D絶命」はその時の曲だろうか
「D復活」はその後蘇生するシーンだろう


ついでリィ伯爵関係の曲として、
「吸血鬼リィ伯爵(登場)」「貴族の婚礼」「吸血鬼リィ伯爵(死)」が続く
特に「(死)」はDよりも長く、気合が入っているように思うし、
曲もかなりかっこいい
後の「天と地と」に通じる雰囲気がある


「Dのテーマ」は、
「(登場)」「(ドリスの愛)」「(別れ)」の3テイクが収録される
核となる部分は同じだが、その他のパートや音色は異なっている
「Vampire Hunter “D”」でも中心となるテーマ曲と言うべき曲である
特に「Dのテーマ(別れ)」は重厚で壮大な雰囲気のアレンジで、
個人的な一押し曲である

1-17.jpg

「Dのテーマ」演奏中の小室
「Dragon The Festival Tour」より)



「約束」はパートⅠとⅡがある、
パートⅠの方がよりシンプルな作りである
「貴族の婚礼」と並び、
このアルバムのさわやかサイドを担当している


「ドリス奪回」は、前半は重々しい雰囲気、
後半は落ち着いた雰囲気である
Dがドリス(多分ヒロイン)を奪い、取り返す過程を表現しているのだろう


このアルバムは小室インストの原点として、
コアなファンの間で評価は高い
(ただし、そうでもない人には印象が薄いようだが)
じっくり聴くと、90年代の小室インスト作品と比べても、
いかにもマジメに作ったという感じがする


小室は本作完成後、1985年秋に一人でファンイベントも行なっていたらしい
詳しいことは分からないが、大阪バナナホールに参加した方の体験談によれば、
握手会の他、発売前のサウンドトラックの曲をピアノ演奏したという
(NutRockerさんご提供情報)
以後も「Super DX Formation」「Digitalian is eating breakfast tour」「tk-trap」など、
小室のソロライブで演奏されることが多かった曲である


TM関係のライブでも、
「Dragon The Festival Tour」「Fanks Dyna-Mix」などリリース前後のライブだけでなく、
1994/5/18の終了ライブ「TMN 4001 Days Groove」や、
「TM NETWORK -REMASTER-」初日公演(2007/11/2)でも演奏されている
小室のインスト曲の中で、TMのライブでもっとも演奏の機会が多かった曲だろう


サポートメンバーの間でも、この曲は特別なようだ
松本孝弘による唯一の小室カバー曲は、
「Vampire Hunter “D”」である
「Thousand Waves」に収録)


浅倉大介は2003年の「tribute LIVE」でキーボードを務めた時、
インストコーナーでこれを葛城哲哉とともに演奏している
小室オタク第一人者としては、小室の代役的な位置で、
小室の原点とも言うべきこの曲をやりたかったのだろう


ただし2006年10月現在で「Vampire Hunter “D”」は絶版である
(というか、小室のサントラがすべて絶版なのだが)
もっともこの少し前にリリースされた「Twinkle Night」には、
「組曲Vampire Hunter “D”」として、
「魔物たちの夜」「Dのテーマ(登場)」「吸血鬼リィ伯爵(死)」「Dのテーマ(別れ)」「約束(パートⅡ)」のダイジェスト版が入っているので、
これで雰囲気は分かると思う

(2006/10/14執筆 2006/12/20・2008/10/9・2016/12/23・2019/7/21・2021/11/08加筆)

吸血鬼ハンターD ― オリジナル・サウンドトラック
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