5-11 TMN Classix 1・2

今週はあまり触れる話題がないです
8/6「FNS歌謡祭」小室さんが出演することくらいでしょうか
小室さんはソロ曲やるんでしょうか
誰かの伴奏とかだったら残念ですが…
数十組出演するみたいだし、ほんのちょっとの出演でしょうから、
あまり期待はせずにおきます


あと今更ですが、7/23・24の「a-nation The Premium Night」の様子がニュースに出ています
BARKSの記事なんかは小室さんの写真もありますね
小室さんがトリで、
「Get Wild」「Self Control」「Many Classic Moments」
とかを演奏したようです


では本題に入ります

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1993/8/21、リミックスアルバム「TMN Classix 1」「TMN Classix 2」が同時リリースされた
ちょうど一年前の8/21には「TMN Colosseum Ⅰ・Ⅱ」がリリースされているが、
8/21という日付けは決算上何かの意味がある日なのだろうか
小室は1989年のリプロダクションアルバム「Dress」を意識して、
本作を「簡単に言うと、今回は小室哲哉によるリプロダクション」と言っている


「Classix 1」は、TMN(TM NETWORK)史上最後の首位獲得アルバムである
初週でそれぞれ1位・10.5万枚、2位・10.1万枚の成績で、
最終的には24.8万枚・24万枚を売った


1週目に1・2位を独占したのは「TMN Colosseum Ⅰ・Ⅱ」と同様だが、
セールス自体は2/3近くに減少している
「TMN Colosseum」は33.8万枚・32.5万枚)
「TMN Colosseum」の時はTMN活動休止直後だったが、
その後1年でファン離れも進行していたということだろう


「Classix」はclassic(古典)の複数形classicsを意味している
古典とは、後続の作品の基礎となるとともに乗り越えられる存在である
小室は1991年までのTM NETWORK・TMN作品群を古典としてとらえ、
10周年ではさらに先の音を目指して行くことを宣言したつもりだったのだろう
なお本作は2014年に「TMN Classix 1・2」として、
Blu-spec2版2枚組廉価版が発売されている


このアルバムで私が一番好きなのはCDのデザインである
1993年の初回版では、
プラスチックケースの上に紙製のカバーがついている
「Classix 1」は黒、「Classix 2」は黄色という違いはあるが、
カバーにはどちらも中心部に円形の穴が開いている



「Classix 1」のジャケットは鉄製の門飾りの写真で、
三叉の矛の形をしている
ところがこの上に紙ケースを重ねると、
門飾りの先端部分が見えなくなり、
ピースマークになる仕様となっている
ちなみにジャケットの裏は門飾りの別の部分の写真となっている


「Classix 2」のジャケットは3発のミサイルが下を向いて撃たれているところで、
その下にはミサイルの衝撃波が3波描かれている
ところがこの上に紙ケースを重ねると、
2発のミサイルの先端部と一番上の衝撃波のみ見え、
スマイルマークに見えるようになる


ジャケット裏は、黄色いスイカの写真だが、
二つの種が並んでいるところの下にスイカの皮で口を作り、
ジャケットと似た顔に見えるようにされている
(ピースマーク・スマイルマークは本記事kuri566さんのコメントで知りました)


本アルバムは、実に1991年11月の「Wild Heaven」以来、
約2年ぶりのTMNの新作である
小室は本作をTMNのウォーミングアップと位置付けている
当時予定されていた10周年へのウォーミングアップという意味である
この時点では、TMN10周年の方向性を示す作品と考えていたのだろう


ただしウツ・木根は選曲には関わったようだが(3人で決めたという)、
制作は小室とEPIC/SONYのスタッフのみで行なわれた
小室は本作を完成させると、渋谷のホテルで木根に聞かせ、
次のTMNの音はこれで行こうと思うと告げたという
同じ時かもしれないが、ウツも本作を小室から聞かされ、
「あの夏を忘れない」の変わり方に感心したらしい


つまり木根・ウツは「Classix」のレコーディングに関わっていなかったし、
それがどのような方針で作られていたのかも、
小室の事後報告で知ったのである
この時点ではTMNの名前は使われていたとしても、
3人は交わらないままに音楽活動を行なっていた
実質的な内容はTMN Remixed by TKともいえよう


本作のプロモーションも、ほぼ完全に小室一人で行なわれた
これは「Colosseum」のプロモーションをウツが行なったのと対照的である
ウツの「T.UTU and so on」に小室が出演して宣伝したことはあったが、
3人が一緒にテレビ・ラジオや雑誌で宣伝活動を行なうことはなかった
相変わらず事務所の分裂状態が尾を引いていたのだろうか


本作のレコーディングがいつ行なわれたのかは分からない
ただリリース時期を考えるに、7月中には終わっていた可能性が高く、
またレコーディングに一ヶ月弱かかったというので、
おそらくは6~7月頃にレコーディングされたのだろう
その前には7/21リリースのtrf「EZ Do Dance」のレコーディングがあったから、
「Classix」のレコーディングが本格的な作業に入ったのはその後と見られる


なお小室は本作で、初めてエンジニアとして、
ミックスダウンまでを担当した
ライナーには他にも多くのエンジニアが見え、
すべてを小室一人で手掛けたわけではないと考えられるが、
小室としては最終工程まで関与したいという思いがあったのだろう


本章では最初に、本作をリミックスアルバムと書いたが、
厳密に言えばこれは正確ではない
まず短いインストではあるが、新曲が含まれている
「Classix 1」「Channel '93」「Interval」
「Classix 2」「Channel '93 Part 2」「Interval」である
「Classix 1」「Classix 2」「Interval」は別の曲)


そしてもう一点、オリジナルのままで収録されている曲がある
一応この点は容易に見分けがつくようになっており、
「~mix」となっているものはリミックス、
「~version」となっているものはオリジナルである


オリジナル曲は、「Classix 1」については、
「The Point of Lovers' Night (rhythm red version)」のみだが、
「Classix 2」については、
「69/99(rhythm red version)」
「Daichi no Monogatari (expo version)」「大地の物語」
「Girlfriend (motion picture version)」
「Sad Emotion (album version)」
の4曲がオリジナルで、損なラインナップに見える
なお「Classix 2」には、
「Just One Victory (single 7' version)」もあるが、
後述するように、これは既発表音源ではない


以上、インストと「~version」を除くと、
「Classix 1」には9曲、
「Classix 2」には7曲のリミックス曲が収録されていることになる


ただ後で言うように、
リミックスというよりリマスタリングというべき楽曲が3曲ほどあり、
大きく変化したリミックス曲は13曲である
「Classix 1」「Classix 2」両方合わせて26曲だから、
ちょうど半分にしかならない


実際にインスト4曲と実質的なリミックス13曲全部入れても、
81分程度にしかならないので、
CD収録時間(74分か80分)をフルに使えば大部分が収録できる
早い話、本作は本来必要な部分だけならば、
アルバム1枚で済ませられる程度の内容であって、
それをあえて2枚分に水増ししているように感じられる


おそらくリミックスアルバムではオリジナルほどの売上が見込めないため、
アルバム2枚のリリースがEPIC/SONYから要求されたのではなかろうか
前年リリースの「Colosseum Ⅰ・Ⅱ」が2枚セットだったことを考えても、
そのような疑念を感じる


もう少し長くTMの歴史全体の中で見れば、
本作には「Gift for Fanks」「Dress」に続く準ベスト版としての意味もあるのだろう
「Gift for Fanks」は3rdアルバム「Gorilla」までを中心とし、
「Dress」「Gorilla」から5th「humansystem」までを中心とした選曲である


「Classix」は6thアルバム「CAROL」以後の楽曲を中心としており、
「Twinkle Night」以前の初期楽曲が採られていない
デビュー以来の楽曲を収録した「Gift for Fanks」「Dress」との相違点である
以下にアルバムごとに原曲の収録数を挙げる
( )はアルバムに近い時期に発表されたアルバム未収録曲である

「Gorilla」=3曲
「Self Control」=1曲[2テイク]
「humansystem」=2曲
「CAROL」=3曲(+3)
 *「Get Wild (techno overdub mix)」原曲の「Get Wild '89」も含める
「Rhythm Red」=3曲
「EXPO」=5曲(+1)


「Classix 1・2」の曲順は、ともに同様の構成を取っている
1曲目と7曲目に新曲のインスト(「Chanel '93」「Interval」)を入れて、
アルバムの中を前半と後半に分け、
前半5曲はアップテンポな楽曲やダンス系楽曲のクラブ系ミックスを配し、
後半(1は5曲、2は7曲)はバラード・ミディアム系楽曲を配している
特に前半部分は当時の小室の関心が強く出たアレンジとなっている


「Classix 1・2」の2曲目(歌モノ1曲目)は、
「Dive Into Your Body (extended 12' version mix)」
「Wild Heaven (extended hard core mix)」だが、
原曲はともにアルバム未収録シングルである


シングル未購入のファンにとっては、
この2曲がアルバムに収録されたことは意味があったはずで、
これを2枚のアルバムにバラして2曲目に置いたことは、
意図的なものであろう
さらに「Classix 2」には「Girlfriend」のオリジナルが収録されるが、
これもTMのアルバムには初収録である


3曲目にはそれぞれ「Get Wild (techno overdub mix)」と、
「Love Train (extended euro mix)」が収録されている
それぞれTM NETWORK時代とTMN時代の代表曲である
この2曲をばらしたのも意図的なものであろう


「Dive Into Your Body」「Wild Heaven」は、
ともに8分近くの長さになっており、
特に「Wild Heaven」は、楽曲の半分程度が、
シンセフレーズとサンプリングボイスがループするアウトロで占められる
これはかなり極端な構成と言えるだろう


ただ小室が目指していたものは分かるものの、
個人的にはこのアレンジを聞くのはかなり苦痛で、
だいたい飛ばして聞くことにしている
「Wild Heaven」自体がかなりポップな作りなので、
その後のテクノ系のアウトロとのつながりがしっくりこない
まったく異質なものを組み合わせているように聞こえる


本作で小室がもっとも積極的に試みたのは、
オーバーダビングによるリミックスだった
つまり以前の音源の上に別の音を足すことで、
新たな楽曲に生まれ変わらせるという手法である


ただし、単純に上から音を重ねただけというわけではないらしい
小室によれば、一週間ほどはオーバーダビングの前提として、
旧音源のクリック音を消すという機械作業のみで費やされたという


重ねている音のパターンにはあまりバリエーションが無く、
そのために数曲を通して聞くと飽きが来てしまう
その意味においては2枚に分けたのは正しかったのかもしれない


特に「Wild Heaven」「Dive Into Your Body」は、
オーバーダビングした音が目立ちすぎる嫌いがある
個人的に適度な耳障り感を覚えるのは、
「Come On Everybody (garage mix)」で、
原曲よりもむしろ好きだ
当時小室が好んで使ったRoland JD-800のピアノを重ねたものらしい


他のオーバーダビングものとしては、
「Love Train (extended euro mix)」「We love the EARTH (single overdub mix)」「Rhythm Red Beat Black (house sample food mix)」「Just Like Paradise (expo overdub mix)」
などは、おおむねバランス良くできていると思う


「Rhythm Red Beat Black (house sample food mix)」は、
ハウスの楽曲であることと、
オリジナル版が1991年にハウス食品のCFソングに用いられたことによる命名である


イントロのにオリジナルにある笑い声のSEが無くなり、
代わりに冒頭に「Don't Make Believe」の声が入る
この声は葛城哲哉かと思い込んでいたが、よく聞いたら別のようだ
洋楽の某曲からサンプリングしたものか
(AKAさんのご指摘による)


「Just Like Paradise」に追加されているシンセフレーズは、
次の「Interval」「Classix 1」)でもそのまま使われており、
事実上両曲は一体のものとなっている


これら前半の楽曲には、
小室がtrfで学んだテクノ・ユーロの音が組み込まれている
これに対して後半のバラード・ミディアム楽曲群の場合、
オーバーダビングは使いづらかったようである


明確に使われた例は「7 Days War (album overdub mix)」くらいで、
しかもそれほどうまい使い方とも思えない
(なお「Seven Days War」は本アルバムでは「7 Days War」と表記される)
また「~mix」とあっても、リマスタリング音源と変わらないものもある
「Time Passed Me By (zurich mix)」「Confession (promotion mix)」「Telephone Line (lover's mix)」
などである
なお「Telephone Line (lover's mix)」のミックス名は、
この曲について恋人との思い出があるという話をある女性から聞いたことがあったことに因むという


ロック系の楽曲もテクノの手法ではいじりずらかったようで、
ロック色の強い「Rhythm Red」の楽曲では、
ハウス曲「Rhythm Red Beat Black」はリミックスされているが、
「69/99」「The Point of Lovers' Night」は原曲のまま収録されている


「Rhythm Red」の代表曲「Time To Count Down」は、
TMNの象徴といえる曲でもあり、
これが外されているのはいささか奇異である
「CAROL」期以後で未収録のシングルは「Beyond The Time」の他はこれだけである


ただ「Classix 2」「Interval」は、
「Time To Count Down」イントロのリミックスという情報がある
(本記事Mさんコメント)
確かにテンポは落ちているが、同じメロディである
「Classix」に合うアレンジが困難だったため、
イントロだけ作った後に断念したのだろうか


オーバーダビング以外の方法によりアレンジされた楽曲は、
むしろ佳作が多い印象がある
「Ano Natsu o Wasurenai (motion picture mix)」「Human System (café de paris mix)」
などは、ボーカルは同じものを用いながら、オケはほぼ別物である
ウツは特に「Ano Natsu o Wasurenai」「あの夏を忘れない」)を気に入っていたらしい


なお「motion picture mix」というのは、サントラ風というニュアンスだという
また「café de paris mix」のcafé de parisは、
小室が「EZ Do Dance」レコーディングのために渡英した時、
出入りしたロンドンのカフェの名前である
またディスコの名前と言う説もある


「Classix」で特殊な扱いをされているのが「Time Passed Me By」である
ともに「Classix 2」に収録されるが、
「moonlight mix」「zurich mix」の2テイクが収められている
「zurich mix」は、小室がチューリッヒに行った体験を踏まえたものである
モナコにF1のレースを見に行った時、トランジットで立ち寄ったという


「zurich mix」は原曲と大きく変わるところは無く、
おそらく事実上リマスタリングを行なっただけなのだろうが、
「moonlight mix」は、
「Far Away」「Fairy」「Moonlight Magic So Many Shooting Star」
など、楽曲の一部のウツボーカルをサンプリングして作った事実上のSEである
テクノミックスなどよりも、よほど面白いと思う
なお本曲は直前の「Interval」と雰囲気が近く、
両曲は事実上一連の楽曲ととらえるべきものであろう


同様に原曲のフレーズを用いながら、
事実上まったく異なる楽曲になっているのが、
「Passenger」のリミックス「U.K. Passenger」である
これは原曲のオケをまったく用いず、
新しく作ったオケをBGMに原曲最後のラップを流したものである
(原曲にないラップもあるが、没テイクか)
この原曲の壊し方には驚くべきものがある
「Time Passed Me By」「Passenger」に関しては、
かつてのTM楽曲を新曲の音源として利用しているという印象である


本作が1993年にリリースされたことの意味の一つは、
世に出ていなかった音源が再利用される最後のチャンスとなったことであろう
たとえば「Dive Into Your Body」「Love Train」は、
CDシングルやアルバムに収録されたオリジナルのリミックスではなく、
プレゼント用の特典CD(非売品)の
「Dive Into Your Body (12” Club Mix)」「Love Train (Club Mix)」
のリミックスである
そのため、非売品CDを持っていなかったファンにとって意味のある音源だった


「Just One Victory (single 7' version)」は、
「~version」とあるので、他の例に従えば既発表版のはずである
だが実際には既発表の「CAROL」収録版とシングル版のどちらとも異なる音源である


シングル版は「CAROL」バージョンを海外に外注しリミックスしたもので、
ミックスは変わっているが、曲の長さは短くなっている
(最後がフェイドアウトされている)
だが「single 7' version」は、
シングルのミックスで「CAROL」バージョンの長さとなっている


「~version」とあることを見るに、おそらくこれは小室のミックスではなく、
シングル作成時に海外から送られた原音源を収録したものだろう
(逆にいえば、シングル版は原音源を短くして商品化したものか)
個人的に「Just One Victory」は、
アレンジはシングル版が好きだが、曲の構成は「CAROL」の方が好きだったので、
「single 7' version」は私の中でベストテイクである


「Classix」のアレンジは、
現在までほとんどライブで再現されたことがない
翌年の「終了」ライブ「4001 Days Groove」も、
オリジナルに基づくアレンジを原則としたため、
「Classix」バージョンで演奏されたものはなかった
本ライブでは1993年のシングル「一途な恋」も演奏されなかったので、
1993年の成果は一切反映されないライブだったことになる


おそらく「Classix」バージョン披露の唯一の機会は、
アルバムリリース直前の1993/8「Racy Rockfes」だったが、
この時にはそもそもTMNの出演がなかった
1993/12「AAA '93」でTMNが演奏した「Human System」「Seven Days War」もオリジナルバージョンだった


ただ2003年の「Live in Naeba」で演奏された「Human System」は、
ドラムのリズムが「Clasix 1」の「café de paris mix」に準じているようである(本記事のんきさんコメント参照)
また2015年「30th Final」で演奏された「あの夏を忘れない」は、
Aメロに「Classix 1」「motion picture mix」のフレーズが加わっている
今後も何かの機会で、一部のフレーズを再現することもありえるだけに、
要注意のアルバムと言えるかもしれない

(2011/8/2執筆、2016/4/10、2019/8/14加筆)

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