近況だけまとめ

前回の記事で、よほどのことがない限り9/14・15の「Spin Off T-Mue-needs」開催に合わせた更新はしないと書いたにも関わらず、早速更新してしまった愚か者です。


とはいえ、実は別に「よほどのこと」があったというわけではないです。
私としては至って冷静に(さほど盛り上がりもせず)この10日ほどを過ごしました。
ただ近況として書くべきことが蓄積してしまい、これをためてしまうと次回は近況だけで終わってしまいそうだという判断から、「近況の消化」のための臨時更新に来た次第です。


9/11、突如twitter上で「Get Wild退勤」という小ネタがバズり、一時twitterでトレンド入りしました。
さらに9/15には、関ヶ原の戦い420周年のネタtwitterで、東軍に敗れた石田三成のアカウントが「Get wild退却の時間だ!!!!」とつぶやき、これがまたもトレンド入りしました。


この影響で「Get Wild」のダウンロード数が9/11だけで4000以上を記録し、デジタルシングルランキングでデイリー2位となりました。
9/12には4位で、9/13~15にも10位を保ち続けています。


9/21付けの週間チャート(9/7~13分)では、「Get Wild」10位になっています。
来週も週間20位くらいには入っているかもしれません。
昭和時代の曲がこんなことになるって、えらいことです。
ただストリーミングチャートでは30位にも入っておらず、この違いはよく分かりません。


小室さん、6月の「TOKYO SPEAKEASY」でオンラインのヒット曲が欲しいと言っていましたが、新曲ではないものの、まさに近い現象が起こったと思います。
「Route 246」の成績もあわせ、幸先の良い始まりに見えます。


ちなみに週間チャートによれば、「Get Wild」の9/7~13のDL数は10838で、これを含む累積DL数は130136です。
オリコンによれば、この累積値は2017/12/25以後の集計とのことなので、「Get Wild」は2020/9/6までの約2年8カ月で、12万回DLされたことになります。


実は「Get Wild」はTM曲ではDL数の優等生で、すでに2017年10月にはダブルプラチナ(50万DL)を達成しています。
以前本ブログでもこの件は取り上げたのですが、2005年の配信開始から毎年3~5万程度のDL数をコンスタントに達成していたようです。
この2年8ヶ月のDL回数も12万ですから、年平均4.5万回程度DLされていたはずです。
(去年は劇場版「シティハンター」公開の効果で、他の年よりもDL数は多かったとは思いますが)
にわかには信じられないのですが、これって毎日100人くらいDLしている計算になりますよね。


統計がない2017年11~12月のDL数を合計5000~8000程度と見込み、2017/10までの50万DLと2017/12/25以後の13万DLを合わせると、現状で「Get Wild」のDL数は64万程度と推測されます。
日本レコード協会では、75万DLを達成するとトリプルプラチナの記録が与えられますが、今後も年間3~5万DLが続けば、2023年頃には達成できそうです。
シングルのレコード・テープ・CDはオリジナル版だけで27万を売っていますが(1989年と1999年のシングルCDを含む)、これを合わせるとミリオンも見えてきました。


なお2017年に調べた時には、TMでゴールド(10万DL)以上の記録を取った曲は「Get Wild」しかなかったのですが、今調べてみると、2018年1月には「Still Love Her」がゴールドを達成していました。
他に将来ゴールドを達成する可能性があるとすれば、「Beyond The Time」でしょうか。


なお配信音源で他の小室さん楽曲を検索してみると、他に「My Revolution」「恋しさと せつなさと 心強さと」「Departures」「Don't wanna cry」「逢いたい理由」「負けない心」「No Cry No More」がゴールド、「Can You Celebrate?」がプラチナ(25万DL)となっていましたが、ダブルプラチナ(50万)に達しているものはなく、「Get Wild」の独走状態です。


さて9月中旬には、小室さんとウツ・木根さんによるイベント・ライブが開催されました。
小室さんは9/12の「Ground TK」、ウツと木根さんは9/14から始まった「Spin Off T-Mue-needs」です。


「Ground TK」はSHIBUYA QWSで開催されました。
こちらはe+の配信サービスStreaming+での有料配信です。
会場には共演者の河瀨直美さん・レスリー=キーさんやスタッフだけでなくマスコミ関係者の席もあり、プレスリリース的な意味もあったようです。


webニュースを見ると、会場ではまず小室さん・河瀬さん・レスリーさんのトークがあったようです。
(この部分は配信されていませんが、トークの一部はネット記事になっています)
この日はQWSでのレスリーさんの写真展「母と子の写真展 by LESLIE KEE」の開催が始まった日でした。
「Ground TK」はそのオープニングイベントとして催されたものです。


河瀬さんは自ら監督となった映画「朝が来る」の公開が10/23に控えており、トークではこれに絡んだ話が行なわれたようです。
なお9/18には、河瀬さんがエグゼクティブディレクターを務めた「なら国際映画祭2020」にも、小室さん・レスリーさんがゲスト出演するとのことです。


配信は、小室さんが自分の音楽的ルーツについて語った収録動画から始まりました。
Instagramで公開されていた小室さんの動画は、この一部を編集したものでした。
その後はレスリーさんの撮影により、小室さんと河瀬さんの音楽トークがQWSから生配信されました。
おそらくトーク前半が終わった後で上記収録動画が流され、トーク後半の配信へとつなげられたのでしょう。
後半のトークでは、小室さんの引退宣言時の気持ちや復帰の心意気などが語られました。


最後には小室さんのシンセによる15分程度のミニライブがありました。
1曲目「Departures」はミスタッチが多すぎてハラハラしましたが、次の「Route 246」からは多少持ち直しました。
「Route 246」のサビ頭のフレーズは、意外とライブに使うと映えますね。
その後は「Beyond The Time」「Over The Rainbow」「Seven Days War」と続き、最後は「Get Wild」で締めました。
さらにその後河野さんのリクエストで「Sweet 19 Blues」が演奏され、イベントは締められました。


7曲中3曲がTMで、しかも本編の締めが「Get Wild」だったことから見て、小室さんも今一番注目してもらえるのがTMであることはかなり意識しているのかなと思います。
「Get Wild」は新しい攻撃的なアレンジになっていました。
まあ安室さんが引退してglobeの活動は不可能と来たら、TMをアピールしますよね。


小室さんは先述の「なら国際映画祭2020」の他、10/31~11/8に香川県三豊市で開催される「父母ヶ浜芸術祭 Vol.0」にも出演するそうです。
昔オーストリアのリンツで共演した脇田玲さんも一緒に出演します。
小室さんがEDMの後に可能性を追求していたのが脇田さんとのインスタレーション作品でしたが、こちらの関係もまだ続いていたのですね。
将来化けるといいなと思います。


一方tribute LIVE第4段の「Spin Off T-Mue-needs」は、コロナの情勢次第では無観客になるかとも思ったのですが、9/14・15のKT Zepp Yokohama公演は無事客を入れた形で開催されました。
私は有料配信で両日見ました。


今回はウツと木根さんにとって、コロナの流行下で客を入れた初めてのライブとなったため、なかなか気を使っていました。
演者5人の間にはアクリル板が置かれ、30~40分ごとに5分程度の換気時間も設けられました。
もっともここで休憩時間として確保できたことは、ウツとしては好都合だったと思います。
なおライブの時間は普段通り約2時間でしたが(初日は5分ほどオーバーしましたが2日目で2時間に短縮)、これは換気時間を入れての時間なので、ライブ自体の時間はもっと短いです。


観客はマスク着用の上、ソーシャルディスタンスを保って数席空けて着席しました。
入場・退場もスタッフの規制に従い行なわれたようです。
ライブ中は声を出してはいけないため、みんな手を振ったり拍手したりして反応していました。


セットリストについてはネタバレ防止のためにコメント欄に書いておきました。
首都圏の会場は2日で1セットになっていたので日替わりがあると思っていたのですが、お遊びコーナー以外はありませんでした。
今回はチケットが限られていたので、1会場に2回行けるファンがほとんどいないことも考慮したのかもしれません。


曲名を伏せて少しだけ書くと、3曲目を除いて定番曲はありませんでした。
2005・2007年のtribute LIVEもレア曲を演奏するという触れ込みながら定番曲も結構入っており、今回はその点で特徴的なセットリストでした。
現場で見たわけではないですが、パソコンで見た感想では個人的にはインスト曲(2曲)が良かったです。
特に9曲目はライブで見ることは一生ないと思っていた曲なので驚きました。
前からライブ映えする曲と思っていたので、うれしかったです。


ただ今回配信を見て強く思ったのは、「そういやtribute LIVEてこんなのだったなあ」ということです。
ツアーが始まったばかりなのであまり詳しくは書けませんが、去年の「Dragon The Carnival」のグレードアップ版みたいなのを期待していた身としては、肩透かし感を覚えました。
ここらへんについては、ツアー終了後にまた書くかもしれません(書かないかもしれませんけど)


ソロ活動では、木根さんが母校の東京都立川市立第六小学校の開校70年記念歌「未来は僕らを待っている」を作ったことが報じられました。
完成は8月だったそうです。
「Spin Off T-Mue-needs」の初日公演でも、ウツがこのことを話題に出し、木根さんに演奏してみるように促しましたが、木根さんは本気で焦り、ようやくサビの一部だけを歌っていました。


また木根さんは9/14の「Spin Off T-Mue-needs」の開始に合わせ、新譜「R2」の通販を去年の「R1」と合わせて開始しました。
「R1」には「Get Wild」のカバーが入っているということで、この件は「Get Wild退勤」のブームに便乗してウェブニュースにも掲載されました


以上、近況の消化でした。
次回の更新は来月前半を予定しています。

tribute LIVE SPIN OFF from TM LIVE Blu-ray 4DISC - 宇都宮隆,木根尚登, 宇都宮隆, 木根尚登
tribute LIVE SPIN OFF from TM LIVE Blu-ray 4DISC - 宇都宮隆,木根尚登, 宇都宮隆, 木根尚登

7-31 Spin Off from TM 2007

Blu-ray「Decade 2020 HD REMASTER」「All the Clips 1984~1999 Refinement」が8/26にリリースされました。
私は特に手を出すことはしませんでしたが、週間Blu-rayチャートではそれぞれ7位・2736枚、6位・2956枚の成績でした。
ほぼ既存DVDのアップコンバートに過ぎない割には売れました。
一応新作ではあった2015年の「TM NETWORK THE MOVIE」は初動5位・3360枚ですから、ほとんど変わりません。
意外と需要あったんですね。


otonanoのサイトではBlu-ray発売と連動して、8/25と9/1にwebラジオ「上柳昌彦 presents FUN FUN FANKS!」前・後編が公開されました。
アナウンサー上柳昌彦さんがウツと木根さんを相手に30分ずつ当時の話をするという企画です。


タイトルは、昔ニッポン放送系列で放送していた上柳さん司会の「FAN! FUN! TODAY」を意識したものです。
この番組では当時TMが大変お世話になっていて、上柳さんとTMも仲良く付き合っていました。
上柳さんの話し方も当時と全然変わっていなくて、ウツ木根以上にそちらに懐かしさを覚えました。
このwebラジオは9/30までの限定公開となっています。


これまでotonanoでは、「WITNESS OF TIME MACHINE」なるインタビュー企画が続いていましたが、こちらもwebラジオと同じ9/1を以て終わりました。
最後は小坂洋二さんのインタビューで締められましたが、なかなかこれまで聞けなかった小ネタも知れて良かったです。
小坂さんだけ他の方よりもインタビューが多かったのも良い配慮ですね。


小坂さんが引退後の小室さんと会って2人で話した(「哲学の話」をしたとか)という、気になる情報も出ました。
小室さんの復帰相談などではないようで、時間ができた中で自分の人生を振り返りつつ語りたくなったものだろうと思います。
小室さん、他にもきっといろんな人と会って話していたんだと思います。
引退からの2年間は、自分のことを見つめ直すのに良い時間だったのかもしれないです。


2018年夏の「Fanks Cry-Max」のBlu-ray化発表から始まり、劇場版「TMN final live LAST GROOVE 5.18/19」、Blu-ray BOX「TM NETWORK THE VIDEOS」、ベスト盤「Gift from Fanks」と続いてきたTM35周年企画(という名の過去作品再版企画)が、2年経ってようやく完了となりました。
次回40周年企画もあると良いですね。
その時はできれば未公開ライブ映像をもっと大々的に…!!


そしてまもなく9/14から、tribute LIVE第4弾「Spin Off T-Mue-needs」が始まります。
コロナウィルスはいまだ収まっていませんが、今のところ当初の予定通り観客を入れて開催する模様です。
グッズの会場販売はパンフ・ライト・マスクのセットのみにし(通販では他商品もあり)、チケット転売チェックを厳格化するなど、コロナ対策に色々と気を使っている感じです。
ツアーファイナルは2ヶ月半後ですが、その頃はどうなっているでしょうか。


なおツアー開催と併せて発売された過去のtribute LIVEのDVDソフトのBlu-ray盤は、FC版の発送が始まったようです。
一般向け商品は9/30リリースです。


ソロでは、結構前から出ていた話ですが、木根さんと「かえるのピクルス」のコラボ企画が動き出しました。
10/4からBS12でアニメ「かえるのピクルス– きもちのいろ -」始まりますが、その主題歌「Hopping On」を木根さんが担当します(作詞小室みつ子)。
また木根さんは声優も担当するそうです。


去年の「R1」に続く木根さんの新譜「R2」が、通販限定でリリースされます。
発送日は分からないですが、9/9~13にオフィシャルサイトで予約すると、サイン入りフォトカードがもらえるとのことです。


CDは5曲入りで、1曲はTMN「Looking At You」のリテイク、1曲はTM「Quit30」没曲の「僕は君の為に成る」です。
「僕は君の為に成る」は少し気になるけど、どうしよう…。


小室さんの新たな活動も、9/1に発表されました。
「Spin Off T-Mue-needs」開催直前の9/12に、「TETSUYA KOMURO ONLINE PROGRAM「Ground TK」」なるイベントを開催するとのことです。
Streaming+というオンラインサービスを用いて配信を行なうもので、チケットはe+ですでに販売中です(3500円)。
9/19まで視聴可能のようです。
内容は「小室哲哉音楽とアートの講義」「小室哲哉×河瀬直美トーク」「小室哲哉ミニライブ」の三本立てで、正直ミニライブ以外はあまり心惹かれないのですが、復帰後初めてファンの前に姿を現す機会ということになります。


今回のイベントは、avexは特に関わっていないようです。
avexのオフィシャルサイトも2019年からまったく更新されていません)
avexと関係が深いニコ生を使わないのもそのためでしょう。


主催はMusicDesign 株式会社というところらしいですが、なんですかこれは?
小室さん、また新しい会社を作った?
小室さんのマネージメントがどうなっているのかとか少々気になるところです。
変な取り巻きがついていないと良いのですが。


なおイベント開催発表と合わせて、小室さんがinstagramを始めました
シンセを弾いている動画も2本上がっていて、一つは「Get Wild」をちょっとだけ弾いたもの、一つは即興演奏をしているものです。


ただ後者の方は(多分小室さんじゃなくて撮影しているスタッフの方の)雑音が一瞬入っています。
こんな雑な仕事ぶりでMusicDesign大丈夫なのか?と、のっけから不安にさせられます。
まあまだ何も始まっていませんので、しばらく様子を見ていようと思います。
「Spin Off T-Mue-needs」が終わった頃にウツ木根と合流してもらえると嬉しいです。


それでは本題に入ります。
tribute LIVE第4弾が始まる直前に、第3弾までの全記事を終わらせました。
ちなみに次回ですが、よほどのことがない限り、「Spin Off T-Mue-needs」初日公演での更新はしないと思います。



U_WAVEのツアー「U_WAVE Second Theme」が2006/11/4に終わった後、同月半ばのウツFC会報発送に合わせて、tribute LIVE第3弾「Spin Off from TM 2007 -tribute LIVE Ⅲ-」の開催が発表された。
当初は2007/3/3~4/19の予定だったが、後に5/12・13・6/7・8の4公演が追加され、11会場20公演となった。


「Spin Off from TM 2007」は、2年前の「Spin Off from TM」と同様にライブハウスを中心としたツアーだった。
メンバーがウツ・木根・浅倉大介・葛城哲哉・阿部薫の5人だったことも、前回と同様だった。
すでに11月には、5人でパンフレットの写真撮影を行なっている。
リハーサルには2/15~28の2週間が当てられ、ツアー初日前日の3/2にゲネプロが行なわれた。


このツアーでは、「Spin Off from TM」以上に開催趣旨の説明がなかった。
ライブタイトルも「Spin Off from TM」の2007年版という以上の意味はなく、いかにも安直な命名である。
公演内容にも独自の要素はほぼなく、前ツアーと曲を入れ替えただけと言って良い。


むしろ前回のツアーで試みられた会場ごとの限定曲演奏など、演者側の負担になる企画はなくなった。
一言で言って惰性感の濃厚なツアーだった。
ツアー開催告知のキャッチコピーも、何を言っているのか分からないひどいものである。

未来は過去にある。
タイムマシンに乗り、TM NETWORKのオリジナル曲がやって来る。
あの頃の音がそのまま生で聴こえる。
あの時の曲が時を越えて目の前で鳴る。
80年代の少女も、バブルを知らない世代も、21世紀少年も集結。
貴重なTM ARCHIVEに酔いしれる。

そして、過去は未来になる。


もっともこの時になぜ「Spin Off from TM 2007」が企画されたのかは、一考の余地があろう。
2003・2005年に続く2年周期のサイクルが既定路線化していたようにも見えるが、私は裏にもう少し別の意味があったことも考えている。
ただしこの問題については次章で扱うことにしたい。


本ツアーの開始に合わせて、ウツはソロ名義楽曲として、「Get On Your Express」を2006/12/27に配信した。
以後2007/5/30配信の「fly drive」まで毎月1曲ずつ、合計6曲が配信される。
これまで1年半、継続的にU_WAVEの楽曲を配信してきたウツだが、2006年11月のU_WAVEツアー終了とともにソロ名義の活動を再開し、U_WAVEはいったん活動を休止させた。


「Get On Your Express」は木根尚登の作曲である。
ついで翌年1月配信の「Taste Sweet」は浅倉大介作曲・井上秋緒作詞という、2005年の「Slash!」「Dawn Moon」と同じタッグでの制作だった。
ウツの配信曲6曲は、木根と浅倉&井上が交互に楽曲制作を担当したが、この体制は2005年の「Spin Off from TM」の時と同様である。
ただし2005年に木根曲の編曲を担当したCh@ppyは外れている。


2005年には木根曲の作詞も井上だったが、2007年には「Get On Your Express」はシンガーソングライターの山本成美、「Magenta」「We are the sound」は田中花乃が作詞を務めた。
山本は1995年の木根ソロアルバム「liquid sun」で作詞を担当し、ウツソロでも1998年「fragile」や2004年「Overtone」で作詞を行なっている。


田中は2001年「Jungle Life」以来、木根の椎名へきる提供曲の作詞をしばしば行なっており、この縁による登用と思われる。
田中は2009年からU_WAVEやウツソロなどの作詞に関わるようになるが、ウツとの関係の始まりはこの時である。


「Get On Your Express」の編曲は木根と溝口和彦だが、溝口はかつてTKプロデュース作品を担当した他、木根プロデュースの椎名へきる「Sadistic Pink」「Wings of Time」にも関わっている。
木根は田中花乃と合わせて、意外とへきるの時の人脈を活用していた。


「Magenta」編曲者の吉村龍太は1998年のウツソロツアー「Tour fragile」や2000年のTMライブ「Log-on to 21st Century」のサポートを務めた人物である。
「We are the sound」を編曲した中村修司は、この頃木根のアルバムを共同で制作していたパートナーである。


ツアー中、これら配信曲6曲と、2005年の配信曲4曲を収めたウツのソロアルバムのリリースが発表された。
「takashi utsunomiya from SPIN OFF 2005 to 2007」である。
本作は6/7・8のツアーファイナル会場のNHKホールで先行販売され、6/13に一般発売された。
「U_WAVE」と同様に、M-tres名義のインディーズ版である。


本アルバムには一応一曲だけ、未発表曲「SPIN OFF」が収録されているが、他はすべて既配信曲だった。
既配信曲をアルバムにまとめるというやり方は、U_WAVEと同様である。


一方の木根は2007年年始から「talk & live 番外編 vol.7」を開始し、ソロ15周年企画として年間50本ライブ開催を宣言していたが、この50本は「Spin Off from TM 2007」も含むものだった。
ただ2005年とは異なり、木根は「Spin Off from TM 2007」に合わせてソロ公演を行なうことはなかった。
特にリハーサルからツアー中盤に到る2~3月には、ほとんどソロの予定を入れていない。


「Spin Off from TM 2007」では、2005年と同様にウツ・木根・浅倉が一曲ずつソロ楽曲を演奏した。
2005年と違ったのは、葛城哲哉と阿部薫のソロコーナーも、短時間ながら設けられたことである。
当初は予定されていなかったコーナーだったが、リハーサル中に入れることが決まった。
葛城・阿部は基本的に日替わりで、2人のどちらかが2~3分演奏したが(フルコーラスの時間は与えられなかった)、通常公演の最後に当たる4/18・19のSHIBUYA-AX公演の頃からは、2人とも演奏の時間が与えられるようになった。


これら5人のソロコーナーおよびその前後のMCと、その合間に演奏されたTM曲1曲の時間には、合計45~50分程度が充てられた(ファイナルでは1時間近く)。
ライブ全体が2時間超だったことを考えると、ソロとMCがライブの4~5割を占めていたことになる。

7-31.jpg
和気あいあいMC



TM曲は、オープニングSEを除き15曲が演奏された。
2005年と同様にTMライブでは演奏されなそうな曲が選ばれたが、一方で「Get Wild」「Self Control」「Be Together」など定番の盛り上げ曲も含まれた。
この点はバランスの取り方に苦心したところだろう。
基本的には前半にレア曲、後半に定番曲が中心に演奏された。


2005年には目玉曲として「Your Song」「Twinkle Night」が挙げられたが、この時は「Dragon The Festival」の演奏が事前に告知された。
80年代のライブ定番曲だったにもかかわらず再始動後は一度も演奏されていなかっただけに、たしかにアピールポイントにはなっただろう。


その他のレア曲は2005年同様に日替わりとなった。
具体的には「Here, There & Everywhere」「Come Back To Asia」「風のない十字路」「君がいる朝」「Sad Emotion」「Time Passed Me By」である。
日替わり曲の数は6組12曲だった2005年から半減している。
またレア曲を演奏するという試みも、2度目ということでいささかマンネリ気味になってきた感は否めない。


なお日替わりは基本的に各会場初日が「Here, There & Everywhere」を含む選曲、2日目が「Come Back To Asia」を含む選曲だった(通常版DVDに収録された最終公演の映像は「Come Back To Asia」を含むセットリスト)。
ただ7公演目の3/21のZepp Sapporoと14公演目の4/10の広島クラブクアトロは各1公演だったため、それぞれ初日・2日目のセットリストが採用された。
8~13公演目のZepp Sendai・横浜Blitz・Zepp Fukuoka公演(各2公演)では、初日・2日目のセットリストが逆になったらしい(全公演そうだったのかは未確認)。


選曲で注目されるのは、「Presence」「Take it to the lucky(2004年版)」「風のない十字路」「君がいる朝」など、最新アルバム「Easy Listening」収録曲が多く選ばれていることである。
歌入りの曲7曲中4曲だから、半分以上を選曲したことになる。
「Easy Listening」リリース直後の「Double-Decade “NETWORK”」でさえ5曲しか演奏されなかったのだから、この曲数は注目に値する。
これは同時代(とはいえ3年前だが)のTMを強く意識させる選曲である。
これらは観客からあまり歓迎されなかったようだが、過去だけを見ているわけではないという、ウツ・木根の一つのメッセージでもあったのだろう。


一方「Double-Decade “NETWORK”」以下の20周年ライブでトランスアレンジで演奏された「Love Train」「Just One Victory」は、この時はオリジナルバージョンで演奏された。
この2曲はかなりメジャー曲のイメージがあるが、オリジナルで演奏されたのは1999年の再始動以来初めてである。


今一つ注目すべきは、アレンジを加えずオリジナルのまま演奏するという「tribute LIVE」の基本方針が微調整されたことである。
具体的には「We love the EARTH」で、アコースティック風のアレンジが加えられており、DVDでは「Acoustic Ver.」と題されている。


このアレンジは、ウツのアイデアだった。
アレンジを変えるかどうかについては議論があったが、アコースティックコーナー企画という位置づけとしてこれを行なったという。


他の曲についても、随所でアレンジが加えられている。
それまでのtribute LIVEでも完全にオリジナル演奏だったわけではないのだが、それと比べてもアレンジの程度が大きくなっている。
2003年にはTM本体との差別化を強調するために、オリジナルでの演奏を強調していたが、2007年のウツはこのライブでの演奏について、「どうしても今の音となる」との発言をしており、オリジナルの忠実な再現にはそれほどこだわっていなかったようだ。
メンバー自身、3回目のtribute LIVEとなって、さすがに飽きが来ていたのかもしれない。


そもそも生ドラムのないトランス版「Take it to the lucky」をドラム入りで演奏した時点で、アレンジを前提とした選曲だった。
一方で同年末にはTM本体においても、原曲に準じた演奏を主旨とする「TM NETWORK -REMASTER-」が開催されている。
この時点でtribute LIVEとTM本体のライブは、小室がいるかいないかという点以上の相違はあまりなくなっていたともいえるし、またはTMのライブがtribute LIVE化したということもできる。


演奏面では、木根が2005年に続いてベースを担当した(アンコールの「Children of the New Century」)。
これはウツが提案したものだった。
木根は他の曲ではおおむねエレキギターかアコースティックギターを担当したが、アコギも正確にはエレクトリック・アコースティックギターが用いられた。
これはこのツアーで初めて導入されたものである。


2005年には地方ごとの演奏曲があり、その音源はライブ後にネット配信されたが、2007年には地方限定曲がなくなったので、このサービスは行なわれなかった。
ただしウツソロ曲の「Dawn Moon」「Taste Sweet」「Get On Your Express」の3曲は、ツアー終了後の6~8月に配信された。
この中で「Get On Your Express」以外ははDVD化されていないので、配信音源以外で聞くことはできない。


またツアー開催に先立つ2/14には、2003年と2005年のtribute LIVEの音源を「TM NETWORK tribute LIVE EP」「Edition #1~3」として配信している。
これらは2005年の地方限定曲と異なり期間限定ではなく、現在(2020年)まで配信され続けている。


ステージ上でのメンバーの配置は、観客から見て左から木根・阿部・ウツ・葛城・浅倉という順番だった。
このうちで阿部と葛城の定位置はステージ後方で、前方はウツ・木根・浅倉だった。
それまで後方だった浅倉が前方に出てきたのは、浅倉ファンへの配慮だろう。


本ライブを知るための資料としてはDVDがある。
これはファイナル6/8のNHKホール公演の様子を収めたもので、通常版は9/12にリリースされた。


本作についてはウツ・木根・浅倉FCで先行販売された特別版もあり、ボーナスディスクが加えられた。
ボーナスディスクには日替わり曲を中心としたライブ映像とドキュメンタリ映像を収録しており、「Spin Off from TM 2007 Document Movie」と題された。
2005年の「Spin Off from TM -8 songs, and more-」に当たるものである。


ただし「8 songs, and more」は単品リリースされたが、2007年のボーナスディスクは単品では売られなかった。
おそらく「8 songs, and more」の売上が思わしくなかったのだろう。
なおtribute LIVEについては、2003~07年のライブDVDと「8 songs, and more」の4枚をまとめた廉価版Blu-rayが2020年に再販されたが、「Spin Off from TM 2007 Document Movie」はこれに含まれていない。


2005年の時にはウツ・木根・浅倉のFCで1曲ずつソロ曲を入れたボーナスディスクが作成されたが、2007年にはウツ・木根ソロ曲が通常版に収録され、浅倉の「Winter Mute」はボーナスディスク(3FC共通)に収録された。


ボーナスディスクには他に阿部「ネギがキライ」と葛城「Solo」も収録され、またTMの曲では本編ディスクに入らなかった「Here, There & Everywhere」「風のない十字路」「Sad Emotion」「Chase in Labyrinth」の他、「Childhood’s End」「Take it to the lucky」「Be Together」の別会場映像も収録された。
なお6/7・8にはaccessの出演があったが、映像の収録はない。
浅倉ファンからすれば残念なことだろうが、おそらく権利上の問題があったのだろう。


ボーナスディスクに収録される曲の内、「Childhood’s End」「Take it to the lucky」はSHIBUYA-AX公演(4/18・19)の映像である。
「ネギがキライ」はNHKホールでの演奏であることが曲中の阿部のセリフから分かるが、NHKホール公演では6/7に「Off Rec」、6/8に「ネギがキライ」が演奏されたので、この映像は本編DVDと同じ6/8に収録されたものということになる。
「Solo」もおそらく同じく6/8の映像だろう。


「Chase in Labyrinth」「Winter Mute」は6月には演奏されなかったので、5月以前の映像と考えられるが、収録日は分からない。
おそらくSHIBUYA-AXの映像だろうか。
他のTM曲4曲については判断の材料がないが。SHIBUYA-AX公演かNHKホール公演の可能性が高い。


8/10にはソニーマガジンズより、DVD付きドキュメンタリブック「Spin Off from TM 2007 -tribute LIVE Ⅲ- Document Book with Memorial DVD」が発売されている。
DVDの内容はツアー後のインタビューやツアー中の楽屋・リハーサルの様子などである。
ツアー終了後にDVD付きドキュメンタリ本を販売するというやり方はTM20周年の時の「ETERNAL NETWORK」と同様である。
このDVDには、本編DVDと別日程の「Dragon The Festival」「Secret Rhythm」の映像が一部収録されている。


これらDVDを持っていれば不要な商品だが、ライブ音源として「SPIN OFF from TM 2007 tribute LIVE Ⅲ」「Lead」「Second」が配信されている。
2010年に、2003年・2005年・2007年の音源がそれぞれ「Lead」「Second」に分けられ、4/21から9/15まで月1回、合計6回かけて配信されたが、その中で最後の2回に当たる。
「Lead」には「Take it to the lucky」「Dragon The Festival」「Presence」「Come Back to Asia」の音源と「Love Train」の映像、「Second」には「君がいる朝」「Time Passed Me By」「Come On Everybody」「Just One Victory」の音源と「Be Together」の映像が収録されている。
一つの目玉だったはずの「We love the EARTH」を入れなかった事情はよく分からない。


以下ではライブの様子に触れよう。
ただし特筆すべきことはあまりないライブなので、簡単に済ませようと思う。


2005年と同様、開演前のステージに幕はかかっていない。
会場にオープニングSE「Childhood’s End」が流れ、開演を告げる。
2003年は「Give You A Beat」、2005年は「Bang The Gong」と、これまでオープニングには80年代のアルバム1曲目のSE的楽曲が使われてきたが、この時も同様の始まり方だった。
こうした構成のパターン化(発想の乏しさ)はオープニングに限らずライブ全般にうかがえ、この後のTMの「TM NETWORK -REMASTER-」「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」にも引き継がれる。


打ち込みのドラムの音が鳴り響く。
1曲目は誰も予想していなかったであろう2004年版「Take it to the lucky」である。
イントロにサビのフレーズが入るタイミングでステージが明るく照らされ、ウツが登場する。


この曲は「Double-Decade “NETWORK”」以下のTM20周年ライブでは、一貫してアルバムバージョンで演奏されたが、この時は史上唯一、シングル「NETWORK™」バージョンで演奏された。
また2004年バージョンに生ドラムが入ったのもこの時だけである。
ウツはこの曲でサングラスをかけながら歌い、演奏が終わるとともにこれを客席に放り投げた。
なおアウトロはアレンジが加えられており、結構かっこよい。


2曲目「Dragon The Festival」
イントロでは「TMN 4001 Days Groove」の時と同様に、葛城のギターが会場を盛り上げる。
本ライブの目玉だったはずのこの曲を早くも2曲目に持ってきたのは、しばしばウツが言うように、この曲を歌うのが疲れるため、体力が残っているうちに演奏したのだろう。
2019年の「Dragon The Carnival」でも、やはりこの曲をライブ序盤で演奏している。


基本的に演奏は「Zoo Mix」に準じたアレンジだが、サンバ風のパーカッションが強調されている点はオリジナルに近い。
浅倉はかつて「Landing Time Machine」でこの曲をカバーしただけに、自分で演奏してみたかったと思われ、実際にこのツアーで一番印象に残った曲として挙げている。


かつてライブでの目玉だったマジックワードの詠唱が2周だけで終わってしまったのは物足りない。
ウツはステージ上から一緒に詠唱するように求めたが、一瞬過ぎて付いていけない観客がほとんどだっただろう。


なおDVDのライナーにはマジックワードも含めた歌詞が掲載されているが、「Guarapiranga」が「Gala Bilanka」になっている。
(Guarapirangaはブラジルの地名)
当時インターネット上には、耳コピでGala Bilankaと書いているサイトがあったので、おそらくスタッフがそれを見て採用してしまったのであろう。
個人的にマジックワード詠唱は大好きなので、このスタッフの仕事にはがっかりである。


この後のウツMCは毎回変わったが、初期は以下のようなものだった。

どうもこんばんは!「Spin Off TM tribute Ⅲ」へようこそ。えー、あっという間のⅢということなんですが、よくぞ続いたと。2003年からですか? 今回3回目なんですが、前回も来てくれた方々もたくさんいると思うんですが、TM NETWORK、それからTMNと、このへんの曲をですね、僕と木根君が、微妙な選曲をしましてですね。さっそくね、カモンドラゴンザフェスティバルと、すごい曲から来たんですが、え―こんな感じで、いろんな曲がボンボン飛び出してくるんで、最後まで皆さん、楽しんでいってください。


「Presence」
「Double-Decade “NETWORK”」以下の20周年ライブでやった曲であり、この時点ではあまりレア感はなかっただろう。
間奏の葛城エレキ→木根アコギの流れはこの時も再現されたが、「Double-Decade Tour」にはあった最後のウツ口笛はなかった。


次は日替わり曲である。
初日は「Here, There & Everywhere」だった。
2004年のウツソロツアー「Tour Overtone」で1日だけ演奏されており、それを引き継いでの選曲である。


これと日替わりで演奏されたのが「Come Back To Asia」である。
これ以前には1988年の「Kiss Japan Tour」後期に演奏されたのみである。
このライブでは、最後をドラムソロで終えるオリジナルのアレンジも再現された。


次の曲も日替わりで、初日は「風のない十字路」、2日目は「君がいる朝」だった。
どちらも「Easy Listening」収録の木根バラで、先行シングルのカップリングという共通点があるが、20周年ライブでは演奏されなかった。
そのため両曲を救済しようと選曲したのだろう。
1999年のシングルカップリング曲「it’s gonna be alright」「80’s」「Spin Off from TM」で日替わりで演奏したのと近い位置である。


両曲が演奏されたことは極めて珍しい。
もっとも「君がいる朝」は2002年のイベント「Laugh & Peace Premium Night」で演奏されたことがあり、後にもウツのソロライブで演奏されたが、「風のない十字路」をウツが歌ったのはこのツアー以外にない(木根のソロツアーではある)。
その点で非常に貴重である。
なお「風のない十字路」では、曲の終わりでウツが両肘を横に広げ、全身で十字を表現した。


ウツは木根を紹介して退場する。
木根はアコギを持って、「では失礼して真ん中に」と言ってセンターに来て観客に挨拶し、軽いトークを交えつつ、ニューアルバム「道」や年間50本ライブ企画の宣伝をして、演奏に入る。
なお木根は各ライブ会場で、アルバムの購入予約または購入者とライブ後に握手会を行なった。


演奏曲としては、「道」から「君への道」が選ばれた。
ただし5/12のZepp Nagoya公演と6/7のNHKホール公演のみ、「Seasons」を演奏している。
「seasons」「道」の収録曲)


木根は演奏を終えると、「キーボード浅倉大介」と紹介をして退場する。
浅倉に照明が当たり、演奏が始まる。
曲は2002年のアルバム「21st Fortune」のオープニングナンバー「Winter Mute」である。
葛城・阿部も交えた3人での演奏だった。
2005年とは異なり日替わり曲はなく、全日程で「Winter Mute」が演奏された。


ファイナルの6/7・8NHKホール公演では、ここのメニューが変わった。
木根が紹介するのが浅倉ではなく、accessだったのである。


木根がぽつりと「access」というと、「Drastic Mermaid」のイントロが流れ、舞台袖からaccessの貴水博之が現れた。
フルコーラスではなくショートバージョンでの演奏だったが、予想外のゲストに会場は盛り上がった。
その後は貴水と浅倉の短いMCが入り、7月に4年ぶりのニューアルバム「binary engine」がリリースされることが告知され、そこから1曲ということで、新曲「瞳ノ翼」が演奏された(これもショートバージョン)。


以上で浅倉の時間が終わると、ウツソロの時間である。
木根→浅倉→ウツの流れは、2005年と同じである。
ウツコーナーでは基本的に「Dawn Moon」が演奏されたが、5/12のZepp Nagoya公演のみ「Taste Sweet」、6/7・8のNHKホール公演のみ「Get On Your Express」が演奏された。


主に演奏された「Dawn Moon」は、2005年の配信曲である。
ウツはこれまで演奏する機会がなかったのでやりたかったらしい。
リハーサルが行なわれた2月の時点で、すでに2曲の新曲が配信されていたにもかかわらず、2007年楽曲からは選ばれなかったことになる。
ただし「Taste Sweet」「Get On Your Express」は2007年の配信曲である。


曲の演奏が終わるとMCが入り、浅倉とウツが曲紹介と宣伝を行なった。
基本的にここのMCは短時間だったが、ツアーも終わりに近づくと雑談も行なわれ長くなった。
特にNHKホール公演では貴水も呼ばれ、合計十数分のMCとなった。


この後はTMのバラードが1曲入る。
初日は「Sad Emotion」、2日目は「Time Passed Me By」で、どちらも木根が手掛けた音数の少ないバラードである。


ウツボーカルによる「Sad Emotion」のバンド演奏は、実に1986年の「Fanks Dyna-Mix」以来となる(木根ソロでの演奏例はある)。
一方「Time Passed Me By」はイベントなどで演奏されることがあったが、フルライブでの演奏となると、1988年「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」以来となる。
「Time Passed Me By」は人気曲なので、反響もあっただろう。
ただ個人的には、「Sad Emotion」を聞けたことの方がうれしかった。


この2曲では木根がアコギかと思いきや、意外にもアコギは葛城で、木根は電子ピアノを担当した。
特に「Sad Emotion」では、オリジナルにない葛城のギターが随所に加わっており、せつない雰囲気をよく出している。
「Time Passed Me By」の間奏のコーラスは、木根と葛城が二人で行なった。


この後はまたMCに戻り、ウツがメンバー紹介を行なう。
続いて葛城か阿部のソロコーナーが設けられた。
DVD映像を見ると、葛城・阿部のソロでは、ウツがギターを、木根がベースか電子ピアノを演奏している。
阿部のソロでは、最後に「ワンタイム!」「ツータイム!」「スリータイム!」と掛け声をかけてジャンプをし、最後は「テンタイム!」と言って十回ジャンプをして曲を締めるという演出があった(数え間違えた木根に抗議した上で、やり直して終わる)。


葛城・阿部のソロは本来日替わりだったが、4月からは2人とも演奏するようになったことはすでに述べた。
なお3/21のZepp Sapporo公演でも2人が演奏したが、これは葛城哲哉の誕生日にちなむ特別企画で、阿部は持ち歌「おたんじょうび」を歌い、スタッフがケーキを出して葛城を祝った。


葛城・阿部ソロの演奏曲は日によって異なり、葛城は「Love Songは歌わない」「Love Machine」「SOLO~ギタリストを撃つな!!~」などだった。
阿部薫は唯一のソロアルバム「心に太陽」から、「ネギがキライ」「Off Rec」など、コミックソング的な楽曲を歌った。


葛城・阿部コーナーの前後には、十数分の長時間MCが設けられた。
ツアー前期には後に行なわれたが、後期になると前に行なわれたようだ。
5人のソロコーナーの前後のMCだけで、実に20~40分程度が費やされた。
この時間には会場からのリクエストで、即興で「I Want TV」「Nervous」「Passenger」「Get Wild」などを適当に歌ったりしたらしい。


「We love the EARTH」
天井のミラーボールが会場を照らす中で、浅倉の穏やかなシンセ演奏の下、ウツも木根も椅子に座ってアコギを持って演奏する。
TMではやらなそうな落ち着いたアコースティック風アレンジで、その点ではtribute LIVEで演奏した意義はあるかもしれない。


なお本ツアー当初の計画では、ウツソロの後「We love the EARTH」を演奏し(葛城・阿部ソロ無し)、その後に「Sad Emotion」「Time Passed Me By」(日替わり)を演奏するという流れになっていた。
アコースティック曲とバラードを続けて演奏し、ゆったりとした時間を設けようと考えていたのだろう。
これを組み替えた「Sad Emotion」「Time Passed Me By」―葛城・阿部ソロ―「We love the EARTH」の流れは、一連のくつろぎコーナーとして設けられたと考えられる。


「We love the EARTH」が終わると、ウツは「どうもありがとう」と言って木根とともに退場する。
浅倉・葛城・阿部で「Secret Rhythm」
かつて「Rhythm Red Tour」をサポートした3人による再現である。
当初は木根もこの曲でベースで参加する計画だったが、リハーサル中にその話は自然消滅したという。


それにしてもここまで1時間近く、ウツは1曲歌っては休憩を繰り返している印象である。
体力的につらい年になったのだろうか(49歳)。


この後はウツ・木根も再合流して、盛り上げ曲を立て続けにノンストップで演奏する。
ウツはベージュの上着姿から上下とも白・グレーのパッチワーク柄の衣装に着替え、木根は白地の衣装から赤のジャケットに着替えている。


曲は意外な「Chase in Labyrinth」である。
「CAROL」組曲の曲が単独で演奏されたことになるが、「Double-Decade “NETWORK”」「Just One Victory」が単独演奏されたことで、これでもいいと考えたのだろうか。


この曲は1994年の「TMN 4001 Days Groove」で「CAROL」組曲を演奏した時も省かれ、1996年の小室のライブイベント「tk-trap」でも「CAROL」組曲から唯一外された。
(後の2015年「Quit30 Huge Data」「30th Final」でも)
1989年「Camp Fanks!! ‘89」以来現在まで、TMでは一度も演奏されておらず、「CAROL」組曲最大のレア曲と言ってよい。


だが会場でこれが演奏された時、客席はかなり微妙な空気だった。
ロックチューン「Secret Rhythm」から木根的なポップチューンへというつながりの悪さもあっただろう。
実はこの曲を演奏したのは、この後の演出との絡みがあったのだが、ファイナルのNHKホール公演では「Come On Everybody」に差し替えられてしまった。
レア度でははるかに劣るものの、曲のつながりは明らかにこの方が良かった。


「Love Train」
先にも触れたように、実は再始動後初めてのオリジナルでの演奏である。
この後は「Get Wild」「Be Together」「Self Control」のお決まり定番3曲で本編を締めた。
「Get Wild」は2003・2005年に続いて「’89」である。


ここまで盛り上げ曲は連続5曲となった。
それまで温存しておいた体力を全開というところだろう。
選曲はあまり面白くないが、休憩時間やインストを挟まずにこれほど盛り上げ曲を続けたことは、おそらく再始動後のTMでは見られなかったと思う。


本編が終わると、ウツが「どうもありがとう!」と言って他のメンバーとともに退場したが、その後メンバー5人はツアーグッズのTシャツを着て会場に再登場する。
ウツが「みんなどうもありがとう!」と言った後、「Just One Victory」の演奏が始まる。


この曲は、本編で演奏した「Chase in Labyrinth」とセットでの選曲だった。
「Just One Victory」の間奏では「Chase in Labyrinth」のCD音源が流れるが、この部分はライブで2度目となるため、ウツはここを観客に歌わせようとしたのだ。
ただ微妙すぎる演出のため、客席の反応はあまりよくなかった。


曲を終えると、木根が楽器をアコギからベースに持ち帰る。
ウツも「ベース、木根尚登」と紹介。
最後の曲「Children of the New Century」に入る。
再始動後では「Log-on to 21st Century」以来2度目の演奏となる。


なお初日3/3のみ、アンコールの曲順は逆だったのだが、最初が「Just One Victory」の方がやりやすいということで、翌日からは曲順が替えられた(「Chase in Labyrinth」演出があまり盛り上がらなかったためもあるか)。
「Childhood’s End」で始まって「Children」で終わる方がきれいだという理由付けも行なわれた。


演奏が終わるとメンバーはステージ前方に出てきて、観客に手を振る。
そして最後にウツが「今日は本当にどうもありがとう!」と言って改めて手を振り、5人で退場する。
退場曲は「We Are Starting Over」のインストだった。


なお6/7にはアンコール冒頭で貴水がウツから呼ばれ、「Just One Victory」を一緒に歌っている。
だが6/8は貴水が最後の挨拶で出てきただけだったので、この日に収録されたDVDでは貴水が加わった「Just One Victory」の様子を見ることができない。


DVDにaccessの演奏が収録されていないことを考えると、権利の関係で貴水の映像を入れることができず、そのため6/8のアンコールでは貴水に歌わせなかったのかもしれない。
なお6/8の様子を収めたはずのDVDでは、退場シーンでも貴水が見えない。
あるいはここだけ別日程の映像に差し替えているのかもしれない。


ところで6/7・8のファイナル公演については、木根のベースや貴水のゲスト出演などよりも、はるかに重要な出来事があった。
それはアンコール後のウツのMCである。
(ライブDVDには収録されていない)

えーと、それではですね、お知らせがあります。11月、パシフィコ横浜で楽器フェアがあるんですが、TM NETWORKとして、やることが決定しました。リーダーがリーダーなもんで、決定はしましたが、詳しいことはまだ決まっていないので、ホームページなどで、追跡して下さい。


この日、おそらく一番の歓声が鳴り響く中、5人は退場した。
2004年6月に活動を休止してから3年、もうTMはないのではないかとすら思われていた中で(少なくとも自分はそう思っていた)、ウツから思わぬ発言が飛び出した。


ここで言及されたTMのライブとは、11/2・3にパシフィコ横浜で開催されることになる「TM NETWORK –REMASTER-」のことだが、この時急遽宣言されたTM再開の背後には一体何があったのか。
次章以後は、第7部後半の中心となる2007年のTMの活動の前提となった動向を確認してみたいと思う。

SPIN OFF from TM 2007-tribute LIVE III- [DVD] - 宇都宮隆
SPIN OFF from TM 2007-tribute LIVE III- [DVD] - 宇都宮隆

7-30 新機軸のウツ

TM35周年企画の最後を飾る「Decade」「All The Clips」のBlu-ray盤リリースが8/26に迫ってきました。
これに関わってotonanoのサイトでは、6月から関係者へのインタビュー記事が連載されてきました。
こちらはエンジニアの伊東俊郎さん、ディレクターの山口三平さん、アートディレクターの高橋伸明さん、アナウンサー上柳昌彦さん、プロデューサー小坂洋二さんという面々で、あと上柳さん1回と小坂さん2回分の記事が掲載されて終わりとなりそうです。


小室さんの復帰作となった乃木坂46の「Route 246」、ダウンロード数もストリーミング再生数も好調なようです
もちろん今回はCDでのリリースがなく、配信限定であるというのが前提にあるのですが、同じ配信限定シングルだった前作「世界中の隣人よ」と比べても1.9倍の数字だったみたいです(デジタルシングルチャートでは前作が初動2.0万、今作は初動3.3万で、1.9倍にはなりませんが、ストリーミングも含めた数字でしょうか)。
どの程度世間で注目されているのかは分からないのですが、復帰第一弾としては良い成果だったんだと思います。


一方で復帰第2弾の浜崎あゆみ「Dreamed a Dream」は、やはり配信限定でしたが、こちらは初動22位・5121DLで、乃木坂には及びませんでした。
前作「オヒアの木」よりは100DLほど多かったのですが、乃木坂と比べると顕著な増加はなかったといえます。


ただ私は曲としては「Route 246」よりも「Dreamed a Dream」の方が好きでした。
浜崎さんの歌がぴったりはまっているかどうかはともかく、乃木坂よりは合っているように感じます。
編曲者が違うので単純な比較はできませんけど(乃木坂は小室さん、浜崎さんは別の方)、そもそも小室さんが女性アイドルグループに提供してぴったりはまったと(私が)感じた曲はこれまでないです。
私の場合、小室さん+女性アイドルグループて、あまり響かないのかもしれないです。


個人的な感想はともかくとして、復帰はまずまずうまくいっていると思います。
予想していた文春のバッシングもないし、報道も概して好意的です。
周到な準備をして、各所に協力をお願いしていたんだろうなと思います。
復帰第3段の話はまだ聞きませんが、乃木坂の成果を見て次の構想を立てているんだろうと思います。


ウツと木根さんの「「SPIN OFF from TM」ライブ映像同時視聴ナイト」は、8/15まで全4回の放送が終わりました。
2人は色々と、昔の思い出を語ったりしてくれました。
なおニコニコ動画の有料会員の方は2人と一緒にゲームできたりするコーナーもあったそうですが、私は無料分しか見ませんでした。


個人的には木根さんが「Fool On The Planet」のリプロダクション版「Where Are You Now」にがっかりしたと言っていたことが残念でした(「イーグルスになっていた」と言っていました)。
私はむしろ「Where Are You Now」の方が好きで、一度ライブでやってほしいと思っていたのですが、木根さんが気に行っていないなら、可能性はなさそうですね。
ウツは存在すら知らなかった(覚えていない)ようです。


なお本番組で広報されたtribute LIVEのライブblu-ray 4枚組は、FC会員限定版が9月上旬発送、一般向けが9/30発売とのことです


9/14からは「SPIN OFF T-Mue-needs」が始まります。
まだまだ先と思っていたら、もう一カ月切りましたね。
チケットはFC先行が終わって一般先行が始まっており、8/29からは順次一般販売も始まります。
今回はコロナウィルスによる入場数制限があり、やはり一般ではチケットはなかなか当たらないようです。
FCチケットを取れない方は、かなり厳しそうな感じです。


前回も書きましたが、このツアーは全公演がニコ生で有料生配信されます。
公演翌日までしか見られないという厳しい設定ですが、ライブの生配信てこういうものなのでしょうか。
1公演あたり4500pt(4500円)で、全公演(14公演)通し券63000ptという恐ろしいものも販売されています。
これを購入する猛者もいらっしゃるんでしょうね…。


今回は何を演奏するんでしょうか。
「Dragon The Carnival」で候補に上がりながら選ばれなかった「Castle in the Clouds」「Screen of Life」「Alive」なんかも演奏されるかもしれません。
特に「if you can」とか「STORY」とか、「Quit30」の曲で、30周年ライブで演奏されなかった曲をやってほしいです。
もちろん古い曲も歓迎します(特にアルバム曲を!)。
「グリニッジの光を離れて」はやりますかね。


木根さんはyoutubeのユンカースチャンネルにて「きねさんかなさんのトーク&LIVE」全5回の配信を終え、8/14からは3回にわたり、朗読劇「ユンカース・カム・ヒア〜終わらない詩(うた)〜」を配信しました。
朗読劇には木根さんも出演しています。
木根さんは本企画に絡めて、テーマソング「音色」と挿入歌「きのうの夕ひ」を制作しました。
また8/22にはむさしのFM「川久保秀一のSaturday Music Flow」出演します。


以上、近況の整理でした。
では本題に入ります。



ウツ・木根はTM20周年企画の余韻冷めやらぬ中、2005年4月から「Spin Off from TM」を開催して、再びTMファンを集めた。
しかしこれは次のTMにつながる活動だったわけではない。
TMの活動は、この時点では何も決まっていなかった。


本ツアーの先行企画とされた2003年の「triute LIVE」は、あくまでもTM20周年への架け橋という建前があった。
これに対して「Spin Off from TM」は、TM本体との関わりがほとんど語られることがなかった。
むしろ「tribute LIVE」とは逆に、TMの活動からソロ活動への架け橋としての性格が見え隠れする。
より直接的な言い方をすれば、TMファンにソロ活動を宣伝する機会としてのイベントである。
それはライブ中にウツ・木根・浅倉のソロコーナーが設けられていたことからもうかがわれる。


ウツは前章で触れた通り、「Spin Off from TM」の開催に合わせて、ソロ新曲の音源配信を開始した。
ツアーではその第一弾となる「Slash!」を演奏している。
「Spin Off from TM」の地方限定曲も配信が行なわれたが、それもウツが音源配信を積極的に活用しようと考えたことの一環である


なぜウツが2005年から音源配信に打って出たのか。
新曲の扱いについては、当然専属契約先の吉本R&Cとの関係が問題になるはずだが、実はウツはこの時からR&Cより新作をリリースすることがなくなる。
ウツは2004年度(2005年3月)を以て、専属契約を解除されたと考えられる。


ウツのR&Cからの最後のリリースは、2005/3/23のベスト盤「Takashi Utsunomiya The Best 2000-2004」で、収録楽曲はTRUE KiSS DisC期・ROJAM期・R&C期の作品を対象としていた。
成績は99位・3700枚である。
2003年のフルアルバム「wantok」は47位・6300枚、2004年のミニアルバム「Overtone」は58位・4400枚だったが、「The Best」がこれらを下回る売上だったことを見るに、ベスト盤リリースに当たって一般に意識されるべきライトファンの購入はほとんどなかったものと見られる。


2004年11月の「Overtone」リリースからわずか4ヶ月後のベスト盤リリースは、かなり不自然なタイミングである。
おそらくはR&Cとの契約が有効な間に、R&C関係の音源(R&Cと資本提携をしたROJAMも含む)をまとめておこうと考えたのだろう。


ウツが音源配信を始めたのは「The Best」リリースと同日の3/23のことだった。
以後ウツは月1回の音源配信をコンスタントに行ないつつ、CD・DVDは所属事務所M-tresの名義のインディーズ版でリリースするか、タイアップが付いた場合に限り、単発でレコード会社からCDを発売するようになる。
この間、特定のレコード会社との専属契約が行なわれていた形跡はない。


インディーズ版の場合はCDショップでの取り扱いに制限ができるため、実質的にはFCでの固定ファン向け通販が中心とならざるを得ない。
ウツが音源配信に打って出たのは、この閉塞的な状況を打開するためだろう。
結局ウツも、小室が5年前にROJAMで試みた活動と近いものを目指すことになったが、家庭向けのインターネットサービスの質が大きく向上し、音源配信がかなり普及するようになったことを考えれば、5年前の小室よりは現実味があった。


以上を確認した上で考えたいのは、ウツがなぜ吉本から契約解除されなければならなかったかである。
そもそもウツは2002年の吉本移籍以来、セールス面で1万枚を超えた作品がなく、しかも若いミュージシャンと違ってブレイクが期待できるわけでもなかった。
吉本としては専属契約のうまみはなかったはずで、TMのセールスに期待してソロも引き受けたというところだろう。


ところがそのTMも、2002~04年度の活動は寂しいもので、2004年度にはDVDを1商品リリースしただけだった。
そして周知の通り、2005年度にはTMの活動も関連商品のリリースもなくなった。
小室が2004年8月の段階で、次のTMの活動はゾロ目の年(デビュー22年目の2006年)と言っていたことから見て、この状況は2004年夏には確定していたと見られる。


TMの次の作品が吉本からリリースされたのは2007年だが、この時点で吉本はTMとの専属契約を解除しており、2007~08年のTM作品は単発契約でのリリースだった。
これは2007年6月の小室の専属契約解除に伴うとも考えられるが、そもそも2005・06年にもTM関連商品のリリースはなかったのだから、この時点で専属契約が有効だったとは思われない。
2004年後半を以てTMの活動が白紙になり、次の活動の見通しが立たなくなったことを受け、2004年度末を以てTMの契約解除がなされた可能性が高いだろう。


以上の推測に従えば、TMとウツは2004年度を以て同時に専属契約を解除されたことになる。
おそらくTMとの契約解除により、ウツとの契約継続の商業的な意味を失った吉本は、ウツに契約条件の変更もしくは解除を要求したのではないだろうか。
ウツは2001年までSONY、2002年までROJAM、2005年まで吉本と所属を変えてきたが、これ以後は特定のレコード会社に所属せず活動することになる。


この活動形態の変化はウツにとって重大事だったはずだが、すでに限界の状況にあった小室に、これ以上TMの継続的な活動の強要もできなかっただろう。
ここにCD販売の面で不利な立場になったウツは、音源配信を中心とした新たな活動形態に移ることを決め、これをアピールするためのカンフル剤的な方策として、「Spin Off from TM」を企画したことが推測される。


なお以前触れた通り、2004年後半のウツはソロ活動の準備が当初の予定(5月頃から開始)から大幅に遅れ、秋のソロ作品リリースにも支障を来たす状況だった。
また6月のTMライブで披露された「Green Days」は、夏の段階では秋リリースの計画があったが、結局立ち消えになった。
詳しいことは分からないが、こうした事態の背後に、吉本との契約関係に関わる何らかの動きがあった可能性も考えて良いかもしれない。


さて、ウツは「Slash!」の後も6月まで、「Spin Off from TM」のメンバーを作家陣として、「Hold on blue」「Dawn Moon」「Lost Sky」を配信し続けた。
ところが7月配信の「21st Century Flowers」は、森雪之丞作詞、石井妥師作曲、土橋安騎夫・石井妥師編曲で、制作陣が大幅に入れ替わった。
土橋・石井は1992~94年のT.UTU with the BAND、石井・森は1995年のBOYO-BOZOでウツと関わっており、1996年に宇都宮隆のソロ名義で活動を始めた以前の関係者が、この時に集められたのである。


そして8/18には、この制作陣を含む新ユニットU_WAVEの結成が発表され、以後その名義による音源配信を行なうことが宣言された。
U_WAVEは以後2006年末まで1年半、月1回の音源配信を継続した。
さらにソロ名義も含めると、ウツは2007年8月まで2年間、ほぼ毎月音源配信を実行している。
それはちょうどTMの活動中断期に相当している。
2007年秋からはTMの活動再開に伴い楽曲配信が断続的になるが、2007年11月から2009年頃まではiTunesで、U_WAVEの野村義男と一緒にポッドキャスト「千夜一夜物語」を無料配信している。


この時期のウツが配信した楽曲は、ある程度数がたまると、まとめてアルバムとしてリリースされた。
アルバムで一度に新曲を発表するのとは異なる活動形態である。
また1992年以来、ウツは毎年アルバムをリリースした上で、そのアルバムをひっさげた全国ツアーを行なうのを基本的な活動サイクルとしてきたが(特に2000年以後)、2005年からはアルバムリリースと関係なくツアーを行なうようになる。
したがってこれ以後のウツの活動歴を見る場合、アルバムの持つ意味は小さくなる。
アルバムリリースを伴わずに全国ツアーを毎年開催する現在の活動形態は、この時期に淵源がある。


以後数年、ウツ関連のアルバムやライブDVDはインディーズでリリースされたが、これらはFCでの通販を主な販売手段とした(FC盤はしばしば先行販売されたり特典が付けられたりした)。
2004年にインディーズ版でリリースされたDVD「Tour wantok」と同様に、新星堂の店舗ではウツ関連作品を継続的に取り扱ったが、売上は限られただろう。
たとえばU_WAVEのファーストアルバム「U_WAVE」の成績は90位・1897枚となっており、数字の上では吉本時代の「wantok」「Overtone」から半分以下に激減しているが、これは特典CDが付いたFC盤に売り上げが集中したため、実態以上に数字が減ってしまったのだろう。


以上を念頭に置いてウツのソロ活動を時期別に整理すれば、SONY時代の2000年までが第1期、ROJAM・R&C所属の2005年初めまでが第2期となり、2005年3月以後は2009年頃まで、音源配信を基軸に据えた第3期ということができる。
この時期はソロ名義のライブやtribute LIVEもあったが、活動の中心はU_WAVEだった。


U_WAVEはボーカルのウツに加え、T.UTUの時と同様に、土橋がキーボード、石井がベースを担当した。
作詞を担当した森は、ライブではポエムリーディングという独特な役割を果たしたが、これについては後述する。


他のメンバーとしては、ギター野村義男、コーラス日永沙絵子、ドラム小林香織がいた。
野村・小林は初参加だが、日永は2004年の「Tour Overtone」にも参加している。
ウツは「Spin Off from TM」と同時並行で、それぞれのメンバーに一人ずつ会い、話をしたという。


森の参加は2006年まで、石井の参加は2008年までで、現時点(2020年)で最後の活動である2015年まで終始U_WAVEに参加したのは、土橋・野村・日永・小林の4人である。
ウツはU_WAVE結成以後、特に野村と仲良く付き合うようになり、ソロ名義の企画にも頻繁に招待するようになる。

7-30.jpg
仲良しの2人


U_WAVEのライブで特徴とされたのは、曲間にポエム朗読の時間が挟まれたことである。
ウツは、森の参加が決まった時点で、これをやってみようと思ったらしい。
このコーナーは後にはラジオ風の会話を流したり、コントを行なったりと、様々な企画を行なう時間になった。
2006年以後はピエロのエディもライブの演出に参加するようになった。
エディは2010年代には、U_WAVEに限らずウツ関係の様々なライブに出演している。


U_WAVEの最初のライブとなったのは、2005/9/23~11/13に開催された「Tour U_WAVE」である。
毎年秋にツアーを行なうという、それまでのウツ恒例の日程に従って開催された。
なおツアー日程が発表されたのは「Spin Off from TM」開催中の5月のことだったが、その時点では単にソロツアーとして発表されており、U_WAVE名義のライブであることが明かされたのはFCのチケット販売が終わった後だった。


このツアーの開始の時点で、U_WAVE名義の曲は、まだ7・8月に配信された「21st Century Flowers」「Dream House」の2曲しかなかった。
だがツアーでは未発表曲も含め、実に8曲のU_WAVE楽曲が演奏された。
新曲の演奏がほとんどなかった「Tour Overtone」と比べると、新曲への意気込みが感じられるが、観客からすれば6曲の未知の曲が演奏されたわけで、かなり戸惑ったことだろう。


旧曲の演奏は9曲あったが、これはすべてBOYO-BOZOかウツソロの石井作曲の曲であり、「Water Dance」から4曲、「Acrobat」から3曲、吉本時代の楽曲から2曲が選ばれている。
その点で過去曲の選曲も、U_WAVEメンバーを意識したものだった(土橋の曲を選ばなかった理由は不明)。
石井はライブで「Bye & Good Luck」のボーカルを担当するなど、かなり優遇されていた印象である。


実はU_WAVEは、ファンの間では必ずしも多くの支持があるわけではなかったのだが、ウツは翌年2・3月にホール会場でのツアー再演「Tour U_WAVE Reprise」を行ない、9/16~11/4にはツアー第2弾「Tour U_WAVE Second Theme」を開催するなど、U_WAVEでの活動を継続する。


この間、2006/4/26にはU_WAVE初のCDとして、シングル「Daydream Tripper」がリリースされた。
すでに「Tour U_WAVE」で演奏されていた曲だが、「シティハンター」の続編「エンジェル・ハート」のテレビアニメのエンディングテーマになった縁で、CDでのリリースが実現した。
なお「Dardream Tripper」は当初は「エンジェル・ハート」第13話のみで使われる予定だったが、後に第20~23話にも使われることになった(深夜アニメの世界はよく知らないのだが、1話ごとにタイアップが変わることもあるらしい)。


「Daydream Tripper」はアニメのタイアップがあったため、アニプレックスからのリリースとなった。
成績は46位・3800枚だった。
この時点での宇都宮隆名義の最後のシングルである「道」(2003年)の71位・3400枚と比べると、売上は変わらないが、順位はかなり高い。
ネット配信のシェア拡大によるCD市場の縮小を考えれば、まずまずの成績だったのかもしれない。


この間もU_WAVEはコンスタントに音源配信を続けていたが、2006年3月配信の「Happy Go Round」までの楽曲は、「Daydream Tripper」および2曲の未発表曲と合わせて、2006/9/6にアルバム「U_WAVE」としてCD化された。
また「Spin Off from TM」メンバーが制作に関わった2005年3~6月配信の4曲も、FC盤のみの特典ディスク「SOLO SIDE from SPIN OFF 2005 MAR to JUN」として収録された(なおこの4曲は、「Tour U_WAVE」のパンフレットの付録としてすでにCD化していた)。


さらに「U_WAVE」と同日に、2ndシングル「In This World」もリリースされる(ともにM-tresからのリリース)。
「Tour U_WAVE Second Theme」は、このアルバム・シングルをひっさげての公演となった。
なお「In This World」のジャケットを見ると、愕然とするほどセンスがない。
製作費用が様々なところで削減されていたのだろう(本気でスタッフ自作を疑っている)。


U_WAVEの活動は本ツアー終了後、2006/11/29「My Missing Rose」の配信を以てしばらく休息に入る。
4月以後の配信楽曲については、しばらくアルバムにまとめられることはなかった。
12/27には宇都宮隆ソロ名義で「Get On Your Express」が配信され、以後翌年5月まで6曲のソロ楽曲が配信されるが、この件については次章で触れることにする。


U_WAVEがひと段落した後の2007年は、ウツソロ15周年の年だった。
ウツは10周年の時には、「Tour Ten To Ten」でソロの歴史を振り返ったが、この年もやはりアニバーサリーイヤーとされた。
だがソロデビュー記念日の11/21には何も行なわれなかった。
この年の11月から12月にTMのライブが行なわれたため、ウツはソロの予定をあえて入れなかったと考えられる。
年の前半にもtribute LIVE第3弾「Spin Off from TM 2007」が開催されたため、大々的なウツソロ15周年企画は行なわれなかった。


その中で細々と開催されたのは、TMが終わった後の12/9~27に6日間行なわれたツアー「Solo 15th Anniversary」である。
これは少々特殊なツアーで、ホテルを会場とするディナーショー形式だった。
年内に本格的な全国ツアーの準備を行なう時間がなかったので、豪華で特別な感覚を味わえるイベントを開催したわけである。


ウツは2006年に初めて年末ディナーショーを開催しており、このツアーは実質的にその拡大版だった。
サポートは2006・07年ともに土橋・石井と山田亘・是永巧一である。
ただし2007年の東京公演のみ葛城哲哉が参加した。
これら5人は、かつてのT.UTU with The Bandのメンバーでもある。


ウツの15周年記念企画としてはもう一つ、デビュー記念日2007/11/21の「Takashi Utsunomiya 15th Anniversary Memorial DVD BOX」のリリースがある。
1992年の「Flowers」から2005年の「Tour Overtone」までのウツソロDVD15枚をまとめ、さらに商品化されていなかった2000年の「Tour White Room」のライブDVDを加えたものである。
ただし「Tour White Room」はもともと商品化の予定がなかったようで、収録されたのは資料用の定点カメラ映像だった。


以上が2005~07年のウツの動向だが、今一人、木根尚登の動向についても触れよう。
木根は2005/3/12~27上演の劇団IOHの舞台「家族対抗歌合戦」で、舞台役者として初めて登壇した後、「Spin Off from TM」開始日の4/8に合わせて、シングル「My Best Friend」をリリースした。
また「Spin Off from TM」が終わった後の5/26~6/26には、本シングルをひっさげたツアー「talk & live 番外編 vol.5」を開催している。


「My Best Friend」については前章で触れたので割愛するが、これは実に1998年の「永遠のスピード」以来、7年ぶりのシングルリリースだった。
木根は1998年以後、新作はミニアルバムしかリリースしてこなかったが、2005年からはシングルとフルアルバムのリリースを行なうようになる。


ウツ・TMが吉本から専属契約を解除されたと考えられる2005年度以後も、木根は吉本R&CからコンスタントにCD・DVDをリリースし続けた。
木根のCD売上はウツ・TMよりも低く、たとえば吉本期のミニアルバムの売上は、ウツの「Overtone」が4400枚、木根の「Ci e` la musica due」が1200枚だった。
それにもかかわらず木根が吉本からCDのリリースができたのは、悪条件でも受け入れてR&Cに残ったのか、リリースのたびに単発契約を繰り返したのであろう(根拠はないがおそらく後者と思う)。
ウツが音源配信を中心とする新たな活動形態に舵を切った後も、木根はそれまでの活動を踏襲することになった。


木根は10/26、「My Best Friend」を含むフルアルバム「Life」をリリースした。
「Life」「Spin Off from TM」の頃から制作に入っていたらしい。
アレンジは、木根のライブでギターのサポートを務めていた中村修司が担当した。
以後木根は2007年「道」、2008年「New Town Street」と、アルバム3作を中村と作り続けた。


なお木根は2002年の「Running On」で全曲の作詞・作曲を手掛けていたが、2002~03年の「ci è la musica」「ci è la musica due」では小室みつ子・西脇辰也など他の作家による作詞・作曲もあった。
しかし「Life」以後は、ほぼすべての曲を木根が作詞・作曲するようになる(例外はある)。
楽曲制作体制を見ると、2005年は木根にとっても活動の一画期だったことになる。


「Life」の当初の構想はカバーアルバムだった。
2004年のソロツアー「talk&live 番外編 vol.4」でカバー楽曲の演奏があったのも、これと関わるのかもしれない。
実際に出来上がったものは大半がオリジナル曲だったが、井上陽水「帰れない二人」のカバーが入っているのは、当初の企画の名残だろう。
また渡辺美里「こぶし」や日置明子「Clover」など、自作曲のセルフカバーも収録されている。
オリジナル曲では、「6月6日」は同年死亡したユンカースの命日を歌ったものである。


2005年11~12月には「Life」をひっさげた全国ツアー「talk & live vol.9」が開催され、翌年にも「talk & live 番外編 vol.6」「talk & live vol.10」が開催された。
2006年12月の「talk & live vol.10」は、1997年に続く木根のライブDVD第2弾としてリリースされているが、なぜこれが商品化したのかはよく分からない。


2007年は木根にとって、ウツと同じくソロデビュー15周年のアニバーサリーイヤーだった。
木根はこれを見据えて、2006年秋頃からニューアルバムの制作に入る。
2007/4/4にリリースされたこのアルバムのタイトルは「道」と言ったが、これはアルバムのテーマでもある。
アルバム1曲目の「君への道」はこのテーマを浮かび上がらせた曲で、20歳になる娘の沙織にささげた曲だという。
ネタ元は吉田拓郎「花嫁になる君に」らしい。


2007年の木根は、50歳にちなんで年間ライブ50公演を宣言した。
これは2003年、46歳の時に年間46公演を行なったことの焼き直しだが、年をとってもコンスタントに活動を続ける意欲はうかがえよう。
50本ライブの中心となったのは、元旦から始まった「talk & live 番外編 vol.7~ここにある未来~」で、実に9カ月にわたる長期ツアーだった。
なおツアータイトル「ここにある未来」は、「道」の収録曲名である。


ツアーのハイライトとされたのは2007/9/28、50本目に当たるファイナルの日本青年館公演である。
これまで「talk & live 番外編」は、バンドを引き連れず1人か2人で小規模な会場を回り、アコースティックライブを行なうというものだったが、この時はそれを日本青年館という中規模のホールで行なったのである。
ここは1985年のTM初の全国ツアー「Dragon The Festival Tour」の最終公演の会場でもあり、木根としては感慨深いものもあっただろう。
このライブの様子も、翌年DVD化された。


ツアーが終わった後の10/10には、シングル「ノックは3回~Knock Three Times~」がリリースされる。
これはNHK「みんなのうた」で流されたもので、木根としては会心のタイアップであった。
本来は「道」に収録予定だったが、NHKで採用されたため、シングル用にしてアルバムには入れなかったという。
このタイアップは、木根ソロ15周年を飾る出来事となった。
成績は122位・601枚と振るわなかったが、以後この曲は木根の代表曲の一つとなった。


木根の音楽活動としては以上の他に、楽曲提供があった。
木根は1995年から日置明子を継続的にプロデュースした他、1990年代後半には小室関係者の楽曲を制作することが多かったが、21世紀になると独自の動きを見せるようになる。


その中でも成果を上げたのがアニメ声優の椎名へきる作品で、2001年の「Jungle Life」以来、2004年まで、楽曲提供にとどまらず、継続的なプロデュースも行なった。
シングル作品はチャートで20位前後に入り、それぞれ1万枚以上の売上を達成している。


木根がプロデュースしたアルバムは3枚に及び、特に最初の「Sadistic Pink」(2002年)は2.2万枚を売っている。
この数字はアルバムで1000枚程度の売り上げだった木根ソロと一桁違う。
なおへきる関係楽曲の作詞には、小室みつ子や井上秋緒の名も見える。
また2002年初め(2001年度)までの楽曲はROJAM時代のプロデューサー体制下で制作され、久保こーじらの中堅工房も制作に関与した。
だがROJAM体制が機能を停止する2002年度以後は関係がなくなった。


へきる以外の木根の提供楽曲としては、2004/9/23リリースの「雨あがりの天使」がある。
アニメ「ネギま!」の雪広あやかのキャラクターソングである。
このシングルは9位・3.1万枚の成績を上げており、同年の13位・2.8万枚のTMのシングル「NETWORK™」を上回っている。
意外なことに2004年の木根は、2003~04年の小室よりも売れる曲を作っていたのである。


このような状況を考えれば、TMの活動がなくなった時点で木根が提供楽曲のアピールを行なうのも自然な流れだった。
「Life」に過去の提供楽曲のセルフカバーが収録されたのは、その流れとも考えられる。


「Life」リリース翌週の2005/11/2には、木根の提供楽曲を集めた作品集「Handmade Gallery -The Best Works of Naoto Kine-」がSONYからリリースされた(収録楽曲はレーベルを横断)。
本作には「Jungle Life」「雨あがりの天使」の他、TMの「Time Passed Me By」「Girl Friend」「Fool On The Planet」やSPEEDWAYの「彼方より」も収録されている。
ただこの後、木根の楽曲提供で見るべき成果を上げるものはなくなり、結果として本作は提供楽曲集のベスト盤に近いものとなった。


最後に触れておきたいのは、2006年に椎名へきると結成したアコースティックユニット「ひだまり」である。
ひだまりは4/26にシングル「Size Up」をリリースし、5~6月に東名坂ツアー4公演を開催した。
木根とへきるの関係は、プロデュースが終わった2004年で切れたわけではなかったのである。
木根はへきるとの関係に、TM・ソロ以外の可能性を見出していたのかもしれない。


ひだまりの活動成果はあまり思わしくなく、「Size Up」は58位・2600枚の成績に終わり、以後新作はリリースされなかった。
ただし木根は2006年年末のへきるライブにゲスト出演している。
また2015年にはへきるFCのデビュー20周年記念イベントとして、ひだまりのライブが行なわれている。

Handmade Gallery~The Best Works of NAOTO KINE~
Handmade Gallery~The Best Works of NAOTO KINE~

帰ってきた小室哲哉

2020/7/24、小室哲哉が音楽界に復帰いたしました!

復帰作は、7/24配信開始の乃木坂46のニューシングル「Route 246」です。
小室さんはこの曲で、作曲・編曲を担当しました。
6/11に小室さんが急にラジオに匂わせ出演をしたので、水面下で復活しようとしているな?とは思っていましたが、予想以上に早い展開でした。


小室さん復帰情報は、7/16に各メディアで発表されました。
7/16の日刊スポーツ朝刊では、小室さんの最近の写真も出ており、割とちゃんと準備していたようです。
他にもいろいろなところで報道されていますが、元になるのは乃木坂のプロデューサーの秋元康さんと小室さんのコメントですので、これをFashion Pressのサイトから引用します。

■秋元康コメント
小室哲哉は古くからの友人です。一度は引退した彼ですが、時々、会って食事をする度に、音楽への熱い想いは消えていないことを知りました。いろいろな事情はあるのでしょうが、何とかもう一度、小室哲哉に音楽に携わる機会を持って欲しいと思いました。
「曲を書いてよ」そんな話を何度かするうちに、彼がようやく重い腰を上げました。ブランクがあった分、なかなか、思うようなイメージのものが書けないようでした。
結局、7回も書き直しをしてもらったのですが、その作業すら楽しそうでした。この人は本当に音楽がないと生きていけないのです。音楽にのめり込むとまわりが見えなくなってしまう不器用な人です。そのせいで多くの方に迷惑もかけたのでしょう。でも、小室哲哉はそれを音楽でしか返すことができないのです。
乃木坂46に、書き下ろしてくれた「Route 246」を聴いてください。彼の音楽への想いが伝わって来ると思います。

■小室哲哉コメント
多いなる友情と才能を持った秋元康さん、同じく近しい知人に一年間背中を押され、今回悩みに悩んで作曲・編曲を手掛けさせていただきました。
ここ数年ゼロからアートを学び、改めて概念、すなわちコンセプトを持った創造物の貴重さを感じています。
今回のコンセプトは友情でした。友人の期待に応えたい一心で今作を作りました。一貫した、らしさは表現されているのでは?と感じています。


ここからは、小室さんが秋元さんおよび近しい知人の勧めで、楽曲制作を行なったことが分かります。
6/11のラジオでも、今年になってから小室さんが秋元さんに言われて曲を作り、ダメ出しをされていることが語られていましたが、それとつながります。
なお「知人」は松浦勝人さんとも考えられますが、あるいは小室さんの元マネージャーで今乃木坂の運営統轄部長をしている菊地政利さんかもしれません(本記事かっとさんコメント)。
また後述の7/22のZOOM会議によれば、すでに「Route 246」以前にも6曲作っているそうです。
7/16の時点でMVの写真も公開されていたので、採択が決定したのは結構前と考えられ、ラジオ出演の時点で決まっていたのかもしれません。


なお小室さん復帰報道の直後、ASKAさんが自身のブログで、6/13に小室さんと会って新曲を聞かせてもらったことを明かしました。
実際に6/13のASKAさんのブログには、5年半ぶりに(=2015年以来)「あるミュージシャン」が来て、制作中のデモテープを聞かせてくれた上、6時間も会話したことが書かれています。


「Route 246」のデモテープを聞いたASKAさんは、これを「The 小室」と言っています。
小室さんはこの曲で復帰することが決まったため、知人に聞かせに行った可能性が高いだろうと思います。
ならばこの直前の6/11のラジオ出演時も、やはり復帰を前提としたものだった可能性が高いと思います。
またはラジオで世間の反応を様子見した上で、最終的な採用決定に至ったのかもしれません。


小室さんの復帰作となった「Route 246」は配信限定シングルなので、CDチャートには集計されません。
乃木坂46にとっては、6/17リリースの前シングル「世界中の隣人よ」に続く配信シングルとなります。
コロナウィルスの影響で握手会ができないため、握手券を付けてCD売上を稼ぐ手法が使えず、配信シングルにしているのでしょう。
来月リリースのAKB48や欅坂46の新曲も配信シングルとなるようです。


このように売上が普段ほどは問題にならない状況下だからこそ、秋元さんも実験的に小室さんに楽曲を依頼することができたともいえます。
なおオリコンの集計では、「世界中の隣人よ」は1週目で2位・20471DL、2週目で23位・4325DLを達成しています。


「Route 246」は7/22深夜(日付は7/23)の「乃木坂46のオールナイトニッポン」で初公開されました。
番組では新曲が小室さんの復帰作という点をアピールするために「小室ナイト」なる特集を組み、「Get Wild」など小室さん関係の楽曲を2時間にかけて流し続けました。
7/29まではradikoで聞くことができます


この番組で曲を聞いたところ、すぐに小室さんと分かるメロディでした。
復帰第一弾ということで、王道的な曲を出してきたということだと思います。
全般的にシンセのフレーズがとても目立っており、小室さんの存在がアピールされている印象です。


正直、歌と曲の相性(というよりミックス?)があまりよくない気がしますし、いろんな要素を詰め込み過ぎでこなれていない印象(これはラストアイドルの時も感じましたが)もあるのですが、サビの歌メロなんかは覚えやすく作ってあって、熱心なファンじゃない方にも広まると良いなと思います。


曲のテーマは友情とのことですが、秋元さんの歌詞を読むと、「今のためにもがこう」「人の目気にして生きていたってしょうがないよ」「君ならばできるはずだ」など、全体として苦しんでいる友人に再起を促している内容となっています。
これは秋元さんから小室さんへの激励にほかならないと思います。
小室さんが作った曲で、秋元さんが小室さんを応援する、という構成になっているわけです。


なお歌詞にはしつこいくらいたくさんの「WOW WOW WOW WOW」が登場します。
個人的には耳障りな気がするんですが、これって多分小室さんの歌詞に「WOW」がたくさん出ることを踏まえて、あえて小室さん風の歌詞にしているんだと思います。
秋元さんなりの小室さんのオマージュなのかなと感じました。


ところで小室さんの復帰報道が出た7/16、久保こーじさんが溝口和彦さんなど仲間と一緒に、小室さんの復帰を祝うZOOM会議を開き、これをyoutubeに生配信しました。
どうも小室さんも参加はしないまでも、見てはいたようです(7/22の久保さんのZOOM会議も、小室さんがいろんな人に適当に招待していたようです)。


途中でDJ Dragon・古市憲寿・nishi-kenさんなども合流し、一緒に小室さんのことを語りました。
番組後半には久保さんが泥酔して(よほど嬉しかったんでしょう)、第三者には聞いていられない状態になっていたんですが、そうなる以前の冒頭部分では、引退から復帰に至る経緯を具体的に語ってくれました。
これは本人からも今後語られないかもしれないので、結構貴重かと思います。


これによれば小室さんは2018年1月の引退会見の後、桜が咲く頃にはすべての仕事を終えていたそうです。3~4月頃でしょう。
これ以前から小室さんが耳鳴りに苦しみ、2017年夏には入院もしていたことは知られていましたが、その症状はさらに悪化していたようです。


小室さんは仕事を終えた後、GW前に聴覚障害で病院を受診し、その診察結果を受けて入院しました。
久保さんによれば4月20日頃から一ヶ月半くらいだったと言います。
ただ2018/5/22の「女性自身」の記事には、小室さんの「5月中旬」の退院日に行なわれたインタビューの様子が掲載されており、「5月上旬」から入院していたと書かれています。
これを信じれば小室さんの入院期間は半月程度ということになり、一ヶ月半というのは久保さんの記憶違いということになりますが、あえて整合的に理解すれば、この後まもなく再入院したのかもしれません。
いずれにしろ、入院の開始は4月終わりから5月初め頃と考えられます。


そして小室さんは最初の受診の時点で、完治まで1年半程度かかると言われたそうです。
2018年4~5月から1年半とすれば、2019年10~11月までということになります。
ならば小室さんは去年の終わりまで、音楽活動ができる体ではなかったことになります。
2018年の衝撃的な引退後、ファンの方々は小室さんの音楽活動再開を望み続けていましたが、実は引退してもしていなくても、どうせ音楽活動は続けられなかったわけです。


小室さんは先のラジオで、去年の秋くらいから曲を作り始めていたことを明かしていました。
このタイミングは、10~11月頃に耳が完治見込みだったことと関わる可能性があります。
また11月にはウツの「Dragon The Carnival」を見に行き、Blu-rayに収められた通り、仲間と音楽の話をしたいと改めて感じていました。
小室さんは治療がひと段落した段階で、また活動を再開したいという意欲が高まってきたのではないかと思われます。


この少し後の年末には、松浦勝人さんとケンカをしてしまったわけですが、それは復帰に向けた何らかの動きの一環だったのかもしれません。
なお現状で耳が完治しているのかは分かりませんが、少なくとも最近のレコーディングでは耳がつらい様子はなかったと、溝口さんが言っていました。


今回小室さんを直接復帰に導いたのは秋元康さんでした。
久保さんの証言によれば、小室さんの引退会見後に久保さんに問い合わせの連絡をしてきたのは、秋元さんとYOSHIKIさんでした。
秋元さんは会見直後から、自分が小室さんを復活させると意気込んでいたと言います。


会見当時すでに話が進んでいた秋元さんプロデュースの「ラストアイドル2nd Season」の仕事は、中止されず最後まで遂行されましたし、2019/8/1の「双葉郡中高生交流会 FUTABA 1 DAY SUMMER SCHOOL」でも、秋元さんの声掛けで小室さんが登壇しました。
他にも陰に陽に、小室さんが表に出やすい環境を作ってくれていたのでしょう。
今年になってから小室さんに楽曲制作を行なわせ、これを乃木坂46の新曲に登用したのは、その最たるものです。
私自身は秋元さんには何の関心もなかったのですが、まさかこんなキーパーソンになるなんて、昔は思ってもいませんでした。


配信限定とはいえ、乃木坂のシングル曲という扱いは、たぶん今世紀に入ってから、小室さんのもっとも大きな仕事です。
人気アイドルへの提供曲としてはSMAPもありましたが、シングルのカップリングだったし、安室さんへの最後の提供曲もアルバムの一曲でした。
今回の提供曲は、これらよりもアピール力はあるでしょう。
たぶんこれに匹敵する仕事だったPANDORAの「Be The One」は、発表前に引退会見しちゃいいましたからねえ…。


先のラジオによれば、小室さんはオンラインのヒット曲を作りたいとのことでした。
これが乃木坂の配信シングルのことだけを念頭に置いた発言でないならば、今後SNS上で何かを発表するようになるかもしれません。
いずれにしろ今回の乃木坂のシングルの成果が本人のやる気に大きく響いてくると思うので、うまくいくといいなと思います。


さらにもう一つ、気になる動きがあります。
「乃木坂46のオールナイトニッポン」の後、「Route 246」配信開始直前の7/23に浜崎あゆみさんの公式twitterにアップされた動画で、次の活動の予告動画の中に、一瞬「T」「K」の文字が現れます。
これは乃木坂46に続いて、浜崎さんへの小室楽曲提供もあるのか?と深読みさせられます。


そして7/24、浜崎さんのニューシングル「Dreamed a Dream」7/31に配信されることが発表されました。
去年小室さんが松浦さんから、浜崎さんへの楽曲提供を依頼されて断ったとの情報が出ていましたが、結局復帰第2作として提供することになったようです。
(この件見過ごしていましたが、本記事アップの数分後にクレジットマニアさんからtwitterで情報をいただき、追記しました)
小室さんのオケはどんな感じになるのかまだ不明ですが、浜崎さんのボーカルトラックは7/30まで期間限定でyoutubeに公開されています


avexのCEOから退いた松浦さんですが、小室さんの復帰に向けて動いてくれたことがうかがえます。
なかなか周到に準備していたんですね。
この先の活動計画も、ある程度は決まっているのかもしれません。


小室さんの年表を作る場合、先の引退は2008年の逮捕とならぶ大事件でした。
逮捕後の小室さんは、2010/5/5にAAA「逢いたい理由」で復帰し、その1年9ヶ月後の2012/1/25にTMでのイベント出演が発表、「All That Love」自体は3/20に開催されました。


もしも今回も同じくらいのサイクルで動くならば、2020/7/24の復帰の後、1年9ヶ月後の2022年4~5月頃にTM再開の発表があり、1年11ヶ月後の2022年6~7月頃に復活ライブが開催されることになります。
同じサイクルになる根拠は何もないんですが、あと2年くらい、ゆっくり待っていようと思います。


こうして絶望的状況が一挙に希望へと向かっていったわけですが、そうした中で9月から開催される4回目のtribute LIVEへの期待も高まってまいりました。


こちらのライブタイトルは「tribute LIVE SPIN OFF from TM 2020」と告知されていましたが、7/18には正式タイトルが発表されました。
「tribute live SPIN OFF T-Mue-needs」です。
誰しもが忘却していたT-Mue-Needsを、ここで出してきました。
去年のBlu-ray BOXに「T-Mue-Needs STARCAMP TOKYO」の映像が収録されたことで思い出したんでしょうか。


「SPIN OFF T-Mue-needs」のFC先行受付は7/27までに行なっており、当落の発表は7/31となっています。
おそらくその後、8月に入ったら一般発売も行なうものと思われます。
まあコロナ対策で会場に入れる人数が制限されるから、ほとんど落選するんでしょうし、ウィルス感染者が増加傾向にあることを考えれば、客の入場そのものがなくなる可能性も高い気もしますけど。


「SPIN OFF T-Mue-needs」とtribute LIVE映像Blu-rayの宣伝企画として、ニコ生で「「SPIN OFF from TM」ライブ映像同時視聴ナイト」が、7/18・25・8/8・15の4回にわたって配信されます
それぞれ1時間半程度、tribute LIVEの映像を流しながらウツと木根さんが思い出を語るというものです(最後の30分程度は有料会員限定)。
第1回・2回・3回・4回それぞれ、「tribute LIVE 2003」「SPIN OFF from TM 2005」「SPIN OFF from TM 2005 8 Songs,and more」「SPIN OFF from TM 2007」のDVDの映像が流されます。


木根さんは「ユンカース・カム・ヒア」(1990/1/25発売)の30周年企画として、YouTubeに「ユンカースチャンネル」を開設し、トーク番組と小説朗読劇を配信するそうです。
トーク番組は7/19・22・26・29・8/2の5回、朗読劇は8/14・15・16の3回となります。


トーク番組はすでに2回分公開されていますが、「きねさんかなさんのトーク&LIVE」と題し、大谷香菜子さんと2人でトークを行ないます。
木根さんは今、ユンカースの絵本を出す予定とのことで、その宣伝も兼ねての企画と思われます。


以上、近況の整理でした。
今回は小室さん復帰のビッグニュースがあり、近況だけでかなり長くなっていることもあり、通常の記事は来月に回します。

Route 246 - 乃木坂46
Route 246 - 乃木坂46

QRコード