20 Years After -TMN通史-

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zoom RSS 1-3 Rainbow Rainbow & 金曜日のライオン

<<   作成日時 : 2006/11/30 04:47   >>

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TMの3人は、1983年10月からアルバムのレコーディングに入った
TM NETWORKとしての記念すべきデビューアルバム、
「Rainbow Rainbow」である
「虹の7色では収まりきらないバラエティー豊かなアルバム」
という意味を込めた命名である
ヒッピームーブメントのサイケデリックカルチャーのイメージで考えたタイトルだともいう


前章で触れた通り、この頃のTMは、
特にビジュアル面(派手な外見)やプロモーション戦略(PV作成)に関して、
当時ヨーロッパで盛り上がっていたニューロマンティックをモデルにしていた
これは音についてもそれは言える
特にDuran Duranの影響が強く、「イパネマ '84」などはまさしくその音である


この頃のメンバー(謎の中国人除く)


レコーディングは1983/10/3から始まり、1984/2/4までかかった
アルバムの雰囲気を一言で言えば、エレクトロポップである
おそらくTMの全アルバムの中でも、
もっともデジタルサウンドを前面に出した作品と言えるだろう


ディストーションギターや生ピアノに頼らない音を意識的に目指したという
生楽器は極力使いたくなかったとのメンバーの発言があるが、
一方でこの時はスタジオミュージシャンを使いこなす方法が分からず、
全部生録音したかったができなかったという発言もある
おそらく後者が本音だろう


一方でウツは歌入れに苦労したらしい
木根のバラードはなじんでいたので自信を持って歌えたが、
16ビートに転調が入る小室の曲はかなり難しかった
資料としてMichel Jacksonなども聞いてみたが、
日本語で歌うのに洋楽はあまり参考にならず、
結局自分で試行錯誤することになったようだ


本作は全体の色がはっきりしているため、聞いた者の印象に残りやすい音作りで、
デビュー当初のミュージシャンの可能性をアピールできたという点では、
うまく行っているとは思う
個人的には「Self Control」に次いで二番目に好きなアルバムである
一方でミックスは洗練されていない印象も受ける
使われている音がことごとく主張していて、
特にドラムなどはもう少し調整しても良いと思う


よく言えば「自ら持っているものを真正面から出してきた音」であり、
それが若々しいという印象も与え、
同時に音作りが荒削りという印象も与えるのだろう
小室も使っているシンセの特徴が分かるように作りたかったと言っており、
シンセの音をあまりいじったりはせず、そのままレコーディングしたという


この点で次の「Childhood's End」は、
音のバランスが良く、ミュージシャンとして大いに成長した作品とは思うのだが、
それにも関わらず他の作品と比べると影が薄い
それは完成度の高まりとともに、
彼らの魅力をストレートに伝える迫力が欠けてしまったためなのかもしれない
これに対して「Rainbow Rainbow」は、
デビュー作にふさわしい鮮烈さを感じさせるアルバムだといえる


このアルバムの特徴としてはもう一つ、コーラスの多用がある
小室によれば、Queenの影響なのだという
これ以前、1983年に「1974」「パノラマジック」のデモテープを作成した時も、
スタジオにあった機材のレコーダーのトラックをギリギリまで使ってコーラスを入れたといい、
この頃の小室はコーラスに凝っていたらしい
エンジニアの伊東俊郎も、3人のコーラスワークはうまかったと、後に述懐している


満を持してデビューしただけあって、このアルバムにはメンバーのエッセンスが詰まっており、
その収録内容を聞くに、非常な名曲揃いである
「金曜日のライオン」「1974」「パノラマジック」「Rainbow Rainbow」などは、
長い間TMのライブ定番曲であり、
特に「Rainbow Rainbow」は、1989年の「Camp Fanks! '89」の頃まで演奏された


このアルバムの代表曲はやはり「1974〜16光年の訪問者〜」であろう
すでに述べた通り、彼らのデビューのきっかけとなった曲である
また「パノラマジック〜アストロノーツの悲劇〜」も、「1974」と同じ時、
「フレッシュサウンズコンテスト」への応募曲の候補として作った曲である
2曲とも新たなアレンジで、新たな歌詞を付けられて生まれ変わった


しかしこのアルバムで当初プッシュされたのは、「1974」ではなく、
「金曜日のライオン〜Take it to the lucky〜」であった
この曲はアルバムと同日発売のシングルとしてもリリースされている



自分の好みから言えば、「金曜日のライオン」は大好きな曲である
TM全シングル曲の中でも最高の名曲かもしれない


イントロは曲の舞台であるアフリカの壮大な雰囲気を見事に表現している
(途中のコーラス「ウーハッ」は時代のせいとして)
♪窓に広がるアフリカ〜と、クールに始まるAメロが、Bメロで一気に盛り上がり、
「take it to the lucky I found you and changin'」と入るが、
このあたりは大変かっこいい
(英語が変だが、TMではそこらへん脳内補完して聞く必要がある)


このBメロの後で2番に入り、Aメロ・Bメロが繰り返されるが、
その後にサビが来る
普通に聞いたら、Bメロがサビに当たるフレーズなのだが、
さらにサビが用意されていたわけである


そのサビの部分もいい
♪together together〜と、
TM早口曲の嚆矢といえるノリの良いコーラス主体のサビであるが、
聞くたびに気持ちよくなる
1984年にこんな質の高いポップスが作れたのかと、
不思議に思ってしまう出来である


曲自体は1980年頃からあり、
小4の頃に聴いたSergio Mendes「サン・ホセへの道」の影響があると、
小室が語っている
歌詞は当初銀色夏生に依頼していた
銀色はこの頃大沢誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」など、
EPIC関係者の作詞を手がけることがあった
しかし「金曜日のライオン」は曲が難しすぎて付けられないと断られたため、
辞書を引きながら小室が自ら歌詞をつけた


曲名は、デモテープを聴いた音楽仲間がアフリカを思わせると評したことに由来し、
プロデューサー(小坂洋二か)の意見で決まったと言う
小室としては、もともと歌詞のイメージがあって作った曲ではなかった
だが完成後は、小室もお気に入りの歌詞だったようだ
アフリカに赴任してJeriaという女性とであった男性を主人公したものである
以下に歌詞の最後の部分(Jeriaとの別れのシーン)を掲げよう

ぼくのオアシスはもうすぐ アフリカの空へ消えるけど
飢えた旅人の蜃気楼 ぼくは二度と見ないだろ
「別れることは怖くない」 君は涙見せずに言った
生きる為のルールだから ほんの少し悲しいだけ


ちなみに「Rainbow Rainbow」の楽曲の歌詞は、
小室哲哉が「金曜日のライオン」「クロコダイル・ラップ」を、
麻生香太郎が「カリビアーナ・ハイ」「クリストファー」「パノラマジック」を、
西門加里がその他四曲を担当した
西門加里はCarly Simonをもじったもので
1986年末からは「小室みつ子」の名前で作詞することになる


小室哲哉と西門は、この後も長くTMの曲を作詞するが、
麻生香太郎名義の作詞はこのアルバムのみである
(ただし次の「Childhood's End」でも、SEIMOUR名義で「永遠のパスポート」を担当)
麻生はTM以外にも、森進一・野口五郎・小柳ルミ子・小林幸子など、
大物に歌詞を提供している
だが80年代半ばにジャーナリストに転進したため、
TMとの縁はこのアルバムが最後になった


なお2008/11の小室哲哉の逮捕後、麻生は当時の小室について、
「シャイで24時間スタジオ作業できれば食事も睡眠もいらないという不思議な青年だった」とコメントしている
小室の逮捕には同情的のようで、原因を冷静に推測している


話を「金曜日のライオン」に戻そう
「金曜日のライオン」は曲の出来としては申し分なく、
小室もこの曲を気に入っており、シングルとして推したという
だが正直言ってこの曲は、構成が複雑でとっつきづらい印象を受ける
これを一般リスナーが最初に聞いて反応するかというと、疑問である
新人の自己紹介代わりのデビュー曲として、あまり妥当ではなかったのではないか


実はシングル候補としては、
他に「1974」「カリビアーナ・ハイ」「Rainbow Rainbow」も挙がっていた
特に「カリビアーナ・ハイ」は、アルバム自体が分かりづらいと言うことで、
分かりやすい入口になる曲として、最後に作ったものだった
アルバムで1曲目に入っているのも、こうした制作事情に由来するものだろう


「カリビアーナ・ハイ」は、
バンドの感覚を出したいという小室の意向で、
生楽器を入れて一発撮りした、TMとしては珍しい曲である
北島健二・阿部薫・山内薫・高杉登らを呼んでレコーディングしたという
そのため「1974」などと比べるとバンド的な音で、
SPEEDWAYの雰囲気に少し近い


「Rainbow Rainbow」自体が夏的なイメージのアルバムであるが、
この曲は特にその印象が強い
クールな「金曜日のライオン」と比べると、勢いを感じる曲であり、
ウツのボーカルにも勢いがある
確かにシングル候補としてはありかもしれない


歌詞の内容は、夏のクラブで盛り上がる様を描いたもののようだ
後のTMにはない熱い歌詞である

昼も夜も シャイな何も クロークに預けて
Jazzyな風に ハイになれりゃ 恋はcaribbean
オール・ヌードで 手招きしてる
赤いマニキュア 目の毒気の毒
二杯目のリキュール たじたじの誘惑
少し休ませてくれよ


もっとも当時のヒット曲風というだけに、今聞くと少し戸惑うのも事実である
自分としてはイントロが一番驚くが(悪い意味で)、
サビの「ワオワオ」などの感覚も微妙である
小室のイメージはWham!の「Club Tropicana」だという
ちょうど当時はやっていた曲だ
たしかにWham!っぽといえばぽいかもしれない
また前章で触れた通り、デビュー当初のTMは、
Wham!のイメージで売ろうとしていたことがあった
それは「カリビアーナ・ハイ」制作とも関わるものだろう


このように、シングル曲としてはいくつかの候補があったが、
デジタルサウンドという新しい音を売りにしていただけに、
デビューに当たっては、
出来るだけ先端の音をアピールしたかったのだと思う
その点でバンドサウンドの「カリビアーナ・ハイ」よりは、
「金曜日のライオン」の方が適していると判断されたのだろう


他の曲も触れておこう
アルバム2曲目の「クロコダイル・ラップ 〜Get Away〜」も、
「カリビアーナ・ハイ」同様勢いのある曲であるが、
こちらは今聞いても普通にセンスがいい
パーカッションの強調されたオケや、
余韻を残しつつ終わるサビなど、すばらしいと思う
シングル「金曜日のライオン」のB面にもなっている


おそらくこの時代にはかなり斬新だったラップを、
イントロとアウトロに組み込んでいる
このラップは、RUN DMCやBeasty Boysを意識したものだという
曲自体はファンキーな印象を受け、
その点でFANKS期につながる曲調と言える
おそらく曲名はElton John「Crocodile Rock」のパロディだろう
(曲は全然違うが)


歌詞は当初、クレオパトラにタイムマシンで恋をするという、
古代エジプトを舞台としたものだった
この点はデビュー当初のSFコンセプトとも絡むものだろうか


「イパネマ'84」は、小室の評価はあまり高くなく、
ライブでも演奏回数は少ない
しかし個人的にはシンプルで聞きやすい曲調で、大好きな曲である
「カリビアーナ・ハイ」と並んで、夏的なイメージの曲である


ウツのボーカルが独特で、以後このような歌い方をすることはない
ちなみに曲名は、
1962年発表のAntonio Carlos Jobim「イパネマの娘」を受けたものだろう
(こちらはボサノバで、曲は全然違うが)
「イパネマ」はブラジルの海岸の名前であり、
歌詞の舞台も南国の雰囲気である


タイトルチューンの「Rainbow Rainbow 〜陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜〜」は、
佐野元春が当時イントロを絶賛したという
副題からも伝わってくるが、
異次元にいるような、非常に不思議な雰囲気を醸し出している曲である


歌は、Aメロからコーラスとメインボーカルの掛け合いの形を取り、
Bメロはウツ、サビはコーラスのみとなっている
この曲の発想がどこから生まれたのか、いまだ以って分からない
(小室自身はプリンスと言っているが)
「1974」が直球ポップスとしたら、
これは変化球ポップスとでもいうべきであろうか
TM初期の名曲の一つである
苦労したという西門加里の歌詞も、非常に官能的である

Rainbow Rainbow Yellow and Blue
"Come in Me Deeper" You Say "All Right"
Rainbow Rainbow Red, Green and Blue
"Do It Much Better" So Good


なお西門が初めて作詞したTMの曲はこの「Rainbow Rainbow」だった
まだメンバーと面識もなく、テープだけもらって書いたらしい
これを気に入ったメンバーから連絡を受け、
スタジオで初対面した(ここで「1974」のデモテープを聞いた)


以上は小室曲であるが、木根曲も3曲ある
「パノラマジック」は以前紹介したので、ここでは残り2曲について触れよう
まず「1/2の助走〜Just for You and Me Now」は、
このアルバム唯一のバラードである
いわゆる木根バラの最初の曲で、
当時ウツがもっとも好きな曲だと言っている


無駄のない音、歌詞の雰囲気を見事に表現しているボーカル
木根バラには名曲が多いが、
自分の中で「1/2の助走」はその中でも1,2を争うほど好きな曲である
アメリカのAORサウンドを念頭に置いて作ったという
曲名は1983年当時のヒット曲、中森明菜「1/2の神話」(1983/2/23リリース)を意識したものか


この曲は本来はアップテンポの曲だったが、小室の提案でバラードにしたという
バラードバージョンしか知らない身としては、
アップテンポのバージョンが見当つかない


ベスト版「Gift for Fanks」に収録されており、
終了ライブ「TMN 4001 Days Groove」で演奏されたことも印象的であるが、
実は1984年以降終了時まで演奏されていなかった唯一の曲であり、
ライブでは「イパネマ'84」と並ぶレア曲だった
(バラードはライブで演奏されることが少ないので仕方ないが)


「クリストファー」はしっとりとした大人の雰囲気の曲である
このアルバムで一番影の薄い曲であろうが、
全体から見ればこの曲はアルバムの中でいいアクセントになっていると思う
TM以前から木根が作っていた曲だった
なお最後に連呼する女性の名前は、
当時メンバーがはまっていた「探偵物語」というゲームの登場キャラだという


ちなみにこの曲については、
しばしば麻生香太郎の歌詞が謎として話題にされるが、
(というか、メンバー自身がそういっているのだが)
どう考えても読解力が欠如していると思う

(1番Aメロ)
僕が不意に目を覚ますと 君の部屋はAlready For Sale
家具はすべて運び出され ホコリだけが黄ばむリノリウム
(2番Aメロ)
古い冷蔵庫を開けると   セピアの老婆が微笑む
「家賃は払ってほしい」と 幸福な月日の分まで


1番からは、恋人が何も言わずに部屋からいなくなったことが分かる
それを受けた2番の部分が、
冷蔵庫の中に老婆がいると解釈されているのだが、
普通に読めばそうではなく、
恋人がいなくなった後、部屋に残っていた冷蔵庫を開けた時、
大家であるセピアの老婆が部屋に入ってきて、
微笑んで家賃を請求に来たということだろう
ここでは容赦なく家賃をせがむ無慈悲な老婆を登場させることで、
傷心の主人公の悲哀をさらに強調しているのである


歌詞として成功しているかというと、
自分もそうは思わないが、
ネットで非常に多くのところで同じような誤解が見えるので、
余計なことながら書いておく


以上が「Rainbow Rainbow」に収録された9曲であるが、
トラックダウンした曲はもう一曲あった
「Open Your Heart」であるが、
アルバム全体のバランスを考えて収録されなかったという


この曲は以後長くお蔵入りとなり、
終了後に発売されたベスト版「TMN RED」に収録された
1989年の小室ソロアルバム「digitalian is eating breakfast」の、
「Opera Night」の原曲である
ライブではごく初期にしか演奏されなかったが、
ウツが2001年にソロライブ「Tour LOVE-iCE」で歌っている


この曲は初めはバラード風に始まるが、
Bメロからサビになると、「1974」的な曲調になる
小室はこの曲に限らず、
スローテンポからアップテンポに変わるパターンの曲を時折作る
近い時期では「17 to 19」があるし、
TMN期では「Good Morning Yesterday」
プロデュース期では「Wow War Tonight」などが、
その例として挙げられる


これ以外にも、収録まで到らなかった曲は多くあった
たとえば「Happy Birthday Your Point」は、
小泉洋によれば小室が大学生だった頃(1977〜82)からあった曲だった
後に「digitalian is eating breakfast」所収の、
「Christmas Chorus」のサビに使われている


「グリニッジの光を離れて」は、
ウツのキーが合わないことから見送られたという
「悲しき16歳」は木根の曲だったが、
これもキーが高すぎたため、お蔵入りした
「Lovin' You」は、初期のライブで演奏されているが、
「Rainbow Rainbow」収録の他の曲と比べると、
ロック風の雰囲気が強い


リリースの可能性がありながら実現しなかった曲は、
「Open Your Heart」以外にもう一曲あったらしく、
おそらく上記の曲の中の1曲だろう
小室はレコーディング完了の少し前(1月?)に書かれたと思しき「Player」1984年3月号の記事で、
「全11曲を録って、LPには9曲、カセットには10曲、あと1曲はシングルのB面」
としてリリースする予定を述べている
結果としてはLPとカセットの収録曲は同一、シングルB面の曲もLP収録となり、
全9曲しかリリースされなかったわけだが、
あと2曲も聞いてみたかったものである


(2006/8/6執筆 2006/11/30・2008/9/19・2010/8/1・2016/11/2加筆)

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シトラスの現在の構成前イベント「カケラvo2」に出演して頂いた4人バンド。その名の通り素敵な歌声、聴きたい声。一度聴いたら耳から離れないキャッチャーなメロディ。ポップス好きにはかなり要チェックなバンドさんHPhttp://www3.pf-x.net/~kikitai/音源はライブ会場及びSOUND 1st三宮店にて販売中!ランキングへの応援ポチッも宜しくお願いします! ...続きを見る
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