20 Years After -TMN通史-

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zoom RSS 1-9 Childhood's End

<<   作成日時 : 2006/12/07 22:53   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 1 / コメント 14

TM NETWORKの2ndアルバム「Childhood's End」の発売は、
「アクシデント」発売の一ヶ月後、1985/6/21のことだった
タイトルは当時小室が読んでいたArthur C. ClarkのSF小説「幼年期の終わり」の原題から取ったものである
当初は「Reality in Wonderland」という案もあったが、
長いということで却下されたという


一曲目にインスト「Childhood's End」があり、
一見するとアルバムタイトルを前提に作成されたタイトルチューンとにも見えるが、
実はこの曲は当初曲名が無く、聴いた感じがSFっぽかったため、
SF小説から曲名をつけたのだという
つまりアルバムタイトルが先にあって命名されたわけではない
むしろく「Reality in Wonderland」が没になった後で、
一曲目のタイトルをアルバムタイトルにも使ったということなのだろう


ジャケットはメンバー3人が並んで写った写真である
3人ともスーツにネクタイの姿だが、
衣装の一部はコラージュ処理されて派手な柄が加えられている
だがこれがどれも妙な柄で、正直これはないと思う
並び方もただの記念写真風で、何の魅力も感じない
TM歴代のアルバムジャケットで、もっとも古臭く感じるのはこれだろう
後に出る「Vision Festival」も似た雰囲気である
この頃からTM専属のデザイナーをつけなくしたらしいが、
その影響なのだろうか


アルバムジャケよりは見れる写真(たぶん同じ頃)


ただし、実は本来のジャケット案はまったく異なるものだったらしい
4月頃のインタビューによれば、当時小室が考えていたものは、
「女の子と男の子の小学生、ランドセルを背負う、アメリカンスクールのスクールバスから降りてくる、普通の小学生の放課後、だが2人は人間の顔ではなく、エッシャーのようなトリックあり」
というものだったが、
顔出せば?」というスタッフの発言によって変更されたという
個人的には原案のジャケットを見たかった気がする


売り上げは、100位にも入らなかった「Rainbow Rainbow」よりは良く、
オリコンでは初登場40位、売り上げは13000枚と記録されている
しかしデビューアルバム発売の後に、
「1974」の盛り上がりがあったことを考えると、
この程度の売上は予想範囲内だったのか、
メンバーもスタッフもあまり売れたという印象はないようである


この作品に関してTMが売れた後のメンバーの発言や、
TM・小室の評論本などを見ると、たいてい評価は悪い
この時期はメンバーが非常に積極的に地方回りをやっており、
その時の不遇なイメージが増幅されているということもあろう


この評価の背景には、おそらく音の問題以上に、
翌年TMが「FANKS」を打ち出したことで盛り上がりを見せ始めたという事情もある
つまり「FANKS」の画期性を強調するためのレトリックとして、
その前段階の「Childhood's End」の方向を消極的に扱っているという側面も否定できない


実際のところ本作の制作過程やその方針はどのようなものだったのどうか
当人たちは「作品集的アルバム」「世界の音めぐり」と言っているが、
これは言うなれば、全体を貫くコンセプトが無かったことを意味する


「Dragon The Festival」を除いて、
曲は全体的にはシティポップス的な雰囲気が強く、
一般に受け入れやすいものとなっている
小室も本作について、「普遍的な作品としていつの時代でも聴けるようにというニュアンス」「シンセを使って一般に受け入れられるPOPSの材料を料理する」などと発言している


ただし一方で、エレクトロポップ風の音である「Rainbow Rainbow」や、
ファンクミュージックを前面に出した「Gorilla」と比べると、
アルバム全体を貫く印象は薄い
終了前のオリジナルアルバム中でもっとも地味なアルバムといえるし、
実際にメンバーも完成後、前作よりもインパクトは弱いと自覚する発言をしていた
これらを前提として、本作はしばしば「中途半端」「迷いのある音」などと言われる


ただテクニカルな面を前面に出さなかったことは、
ボーカルのウツにとっては楽だったようである
ウツによれば、ボーカルと曲がうまい具合にあったという
また歌い方がSPEEDWAY時代に戻っている気がするとの発言もしているが、
つまり「Rainbow Rainbow」と比べて自然に歌うことができる曲が多かったのだろう


小室は1984年9月の時点では10月からレコーディングに入ると言っていたが、
10月のインタビューでは11月からと言っており、
さらに「Childhood's End」のライナーでは12月10日から開始とされている
レコーディングの開始がずるずると遅れていったのだろうか
なおデビュー当初の計画では、1984年の間に2枚のアルバムをリリースする計画だったという


12月5日に、既発表曲に派手なライブアレンジを施した上に新曲も発表した「Electric Prophet」渋谷Parco PartV公演があったことを考えると、
10〜11月は「Electric Prophet」用の新曲制作と音源の準備で手一杯だったのかもしれない
ただし「Electric Prophet」で披露した新曲「Fantastic Vision」が、
後に「Childhood's End」に収録されたように、
「Electric Prophet」の音源制作は部分的には「Childhood's End」にもつながる部分もあった


レコーディング開始の遅れにより、「Childhood's End」の発売も遅れた
当初本作のレコーディングは、1984年10〜12月とされていた
1984年10月頃には4月リリースの予定とされている
遅くても3月中にはレコーディングが完了しているはずだっただろう


だが実際のレコーディングは4/11まで続いた
1984/12/10から数えても5ヶ月の長期間である
4ヶ月でレコーディングを終えたデビュー作「Rainbow Rainbow」よりも、
むしろ難産となってしまった
こうした中、2ndアルバムは年明けには5月リリースとされていたが、
最終的には5/21に先行シングルリリース、6/21にアルバムリリースとなった


当初2ndアルバムは、
「Electric Prophet」のタイトルチューン「Electric Prophet」をコンセプトとする予定だった
歌詞を勘案すれば、TMの3人は異世界から来たメッセンジャーとして位置づけられていたことになる
つまり当初2ndアルバムもSF的な方向を目指していたと考えられる


だが1985年になってこの方針は変更され、
全体を貫くコンセプトを設けない作品集的な内容になった
その結果として作られた「Childhood's End」は、
「地球に降りてきました」という音になったと言っている


2ndアルバムのレコーディングは、1984/12/10以後年内には10日間行なわれた
28日のインタビューの時点で6曲のオケができていたという
(12/27は札幌でライブあり、12/26には現地入りしていたとして、12/25以前の話か)
この6曲は、「Electric Prophet」のコンセプトでアルバムを作成していた頃のものと見て良い
おそらく「Electric Prophet」で演奏された「17 to 19」「Time Machine」「永遠のパスポート」「Fantastic Vision」「Electric Prophet」の5曲は含まれていたのではないだろうか


その後半月から20日ほど休みが入り、レコーディング再開は1月中旬のことだった
おそらくこの前後に方向の転換があったのだろう
一度レコーディングしたものをミックスし直すなど試行錯誤が繰り返されたという


実は「Childhood's End」制作に当たっては、
小室が小坂洋二から意見を言われてへそを曲げ、スタジオに来ない時期があったという
小坂洋二によれば、2ndアルバムのレコーディングではディレクターを置かず、
小室にすべてを任せたが、
「2枚目には何も感じませんでした。これじゃ商業的な成功は厳しいなと思っていました」
と発言している
小坂の中では「Childhood's End」の評価はあまり高くないようである


小坂は2ndアルバムレコーディングの様子を見ながら、
口を挟む必要を感じたのだろう
おそらくSF路線を放棄させたのは小坂であり、小室はこれに反発したのではないだろうか
ならばその時期とは、1月上旬の空白期間に相当するとも考えられる


「TM VISION T」には、1985/1/6から「Childhood's End」のレコーディングが始まったとの情報が見える
これは、1985年は1月中旬からレコーディングが始まったとする証言とは齟齬する
おそらくこの1/6とは、小室が小坂の指示を受けた日であり、
その後小室は1月中旬までひきこもっていたと考えれば、これまでの情報は整合的に理解できる


いずれにしろこの方針転換の結果、
「Electric Prophet」はアルバム収録を見送られることになった
また1984年6月以来ライブで演奏されてきた「永遠のパスポート」は、
小室のSF詞を変更して収録されることになった
「Electric Prophet」と原「永遠のパスポート」の歌詞は、
ともにSF的な世界を描いたものであり、
本来は他にも同様にSF的な楽曲が並ぶはずだったのだろう
この方向性が実現するのは1985年末、
ツアー「Dragon The Festival Tour」やミニアルバム「Twinkle Night」の時である


本作の歌詞の特徴としては、
現実的・具体的イメージの湧くラブソングが多いことが挙げられる
先行シングル「アクシデント」で松井五郎を起用したのも、
この方向性をより明確化するものだった
カップリングの「Fantastic Vision」とともに、
歌詞の現実性は前章で触れた通りだが、
この点は他のアルバム曲でもおおむね指摘できる
当人たちも本作に関しては、歌詞の変化が大きいと言っている


「Rainbow Rainbow」もラブソングは多いのだが、
多くは具体性よりは幻想性を重視している
「Rainbow Rainbow」など)
「Rainbow Rainbow」の場合、あえて意味が分からない言葉を多用したのも特徴である
ファンタジー的な雰囲気を強調するためにあえてやった側面もあるが、
「パノラマジック」はタイトルはもとより、
「blackin’ hall」「エアロビクス」など、ほとんど意味をなさない造語も垣間見える
(「ブラックホール」「空気」の意味だが)


また小室みつ子の作詞が増えるFANKS期の歌詞も、
ノリと雰囲気重視で、具体的なイメージは湧かないものも多い
(これは意図的なものであり、またそれはそれで良いのだが)
さらに小室の作詞が増える「EXPO」期やTKプロデュース期になると、
歌詞は記号以上の意味を持たなくなる
(早い話が、無意味になる)
個人的には「EXPO」の頃の歌詞は嫌いなので、
「Childhood’s End」の歌詞世界は気に入っている


「Childhood's End」「永遠のパスポート」の小室歌詞が変更されたのは、
抽象的すぎてよく分からないという意見がついたためだった
だが「抽象的」な歌詞は前作の流れを引き継ぐものである
これが否定されたことから見ても、
本作の方向転換が意識的なものだったことが分かるだろう
こうした歌詞の方向性は、曲調の変化ともあいまって、
概して広い層に向けた作りとなっていると言ってよい


時間をかけたこともあり、音の仕上がりは良い
少なくとも「Rainbow Rainbow」と比べれば、格段に進化している
「Rainbow Rainbow」が良曲の宝庫とは言え、
やはりデビュー当時の荒削りな音、昭和的なエレクトリックなレトロサウンドという評価は覆しがたい


これに対して「Childhood's End」の音は、
レトロな雰囲気を一掃している
シンセの音をそのままぶちこんだ印象の強い「Rainbow Rainbow」と違い、
音のミックスが丁寧に行なわれている
とにかく音、特にミックスにこだわったアルバムだと、小室は言っている
そうした点でのこだわり方の面では、
「CAROL」と並んで、TMのアルバム屈指の作品と言っても良いと思う


また小泉洋は本作で、
シンセで色気のある音を作ることにこだわったと言っている
たしかにFANKS期のシンセは機械的で無機質な音が特徴だが、
本作では音一つ一つに「色」がある


後の「Gorilla」「Self Control」などは、ライブでの再現を考えて、
どこまで音を減らすことができるかという方向で努力したというが、
これに対して「Childhood’s End」は、
当時の技術で音をどこまで精緻に作ることができるかを追求したアルバムと言える
その意味で、「Rainbow Rainbow」「Twinkle Night」とあわせて、
しかもその中で最も強く、
スタジオミュージシャンとしての立場が出たアルバムと言って良いだろう
本ブログで1985年までを第1期とする最大の理由はここにある


結局TMは「Childhood's End」ではブレイクしなかったが、
「Childhood's End」での音楽面の進化が無かったら、
後のブレイクもありえなかったと思う
その意味では地味ではあっても、
やはり「幼年期の終わり」に位置するアルバムだったといえるかもしれない


レコーディング方法でも工夫が見られた
前作では、オケはシンセの音をライン入力でレコーディングしたのだが、
「Childhood's End」はスピーカーに出した音をマイクで拾って録音したのという
これは当時のシンセの持つドギツさを薄める役割も果たしただろう
あくまでもシンセメインのサウンドではあるが、
小室が本作の音作りを「アコースティック」と言ったのは、
このような点かもしれない


ただアクを薄めたことによってさわやかなシティポップスが基調となり、
一部のシンセ好きの人でなくても聴きやすい音になったが、
同時に強烈な印象が乏しくもなってしまったことも否定できない
荒く個性的だった前作と、きれいにまとめられた新作
後者への挑戦は歌詞の変化とも相まって、
広範なファン層獲得をもくろんだ戦略だったのだろうが、
結果としては目指すものが伝わりづらくなり、
後に「迷いのある音」と評される所以となったのだろう


個別の楽曲について見れば、
それまでのメンバーの持ち曲の清算という側面を挙げることができる
以前からライブで演奏していた「永遠のパスポート」
TM結成以前の曲をアレンジした「TIME」「愛をそのままに」など、
この時になってようやく日の目を見た、という曲が多い
「Faire La Vise」も、サビは古くからあったという


なお「Childhood's End」には3年前の曲や5年前の曲も含まれているとメンバーが当時言っている
1982年に小室・木根プロデュースでデビューさせる予定だったマイクの曲「TIME」や、
1981年末に再結成したSPEEDWAYのライブで演奏されていた「愛をそのままに」が「3年前」の曲とすれば、
5年前の曲にあたるのは「Faire La Vise」かもしれない
だとすれば、小室が銀星団の頃に作っていた曲ということになる


作曲の分担は、「Innocent Boy」「愛をそのままに」が木根、
「永遠のパスポート」が小室・木根共作で、
他は小室作曲である
作詞は「Faire La Vise」「Dragon The Festival」「Fantastic Vision」が小室哲哉、
「8月の長い夜」「TIME」「さよならの準備」が三浦徳子、
あとは松井五郎・SEYMOUR・TM NETWORK・西門加里が一曲ずつである
SEYMOURは麻生香太郎のペンネームである


「Rainbow Rainbow」と比べると、
麻生香太郎・西門加里の詞が大きく減り、
小室哲哉と三浦徳子が中心となっている
「永遠のパスポート」「Time Machine」「Electric Prophet」「17 to 19」も入れば、
さらに小室の割合が増しただろう


なお「Childhood's End」は11曲入りだが、
レコーディングは14曲行なわれたという
未発表3曲のうち1曲は「Electric Prophet」だが、
あと2曲あるはずである
可能性が高いのは「Electric Prophet」で披露された「Time Machine」「17 to 19」だろうか


三浦徳子は「みうらよしこ」と読む
ウツは特に三浦徳子の歌詞が好きだったらしいが、
本アルバム以外にTM NETWORKの作品には関わっていない
松田聖子・堀ちえみなどアイドル向けに多くの作詞を担当していた作詞家だった
この少し前では、杏里「Cat's Eye」、吉川晃司「モニカ」などを作詞している


以下では、収録曲について簡単なコメントをつけていく
ただしシングルになった「アクシデント」と、
そのカップリングの「Fantastic Vision」は、すでに触れたので省略する
「TIME」「0-7 小室・木根・ウツ その後」で簡単に触れているので省略する
また後に12inchシングルとしてカットされた「Dragon The Festival」については、
章を改めて触れる


「Childhood's End」は、
TMのアルバムに収録された初のインスト曲である
これ以降しばらくTMのアルバムでは、
最初にインストか準インストを入れるものが多くなる
アルバムでは事実上「アクシデント」のイントロだが、
「Vision Festival」ではロングバージョンを聞くことが出来る


SEが鳴り響く中、幻想的なシンセ音が混じりあい、
「アクシデント」イントロにつながるリフが登場
ドラムが入って「アクシデント」へつながる
この流れは気持ちがいい


「アクシデント」の次は「Faire La Vise」
「Childhood’s End」では数少ないアップテンポの曲である
「Rainbow Rainbow」と比べた時の「Childhood's End」の特徴として、
盛り上がり曲がほとんどないことがある
その意味では貴重な曲である


Aメロから緊迫感あふれるスピード感
Bメロでテンポを落とし、コーラスを挟み、ポップなサビ
最後の「僕らのworlds 僕らのstory 近づけないよ nobody can」
のあたりなど、大好きである
適度なテンポの速さ、
前作にないオシャレな雰囲気と絵の見える歌詞が重なった名曲だと思う
最後はウツの「ダダダ ダンダンダン」で終わるが、
これはウツのアイデアだという
ここから次の「永遠のパスポート」のイントロに直接つながる


小室によれば、Scritti Porittiの影響で実験的に作ったところ、
うまくいった曲だとのことである
木根も気に入っており、おしゃれで個性があると言っている
しかしその割には、この曲は影が薄い
無駄に多いTMのリミックス版やベスト版にも入ったことがない
アルバム2曲目というのは割りと大事なポジションと思うのだが…


ライブでもほとんど演奏されないが、
1986年「Fanks “Fantasy" Dyna-Mix」の映像はビデオ化しているので、
これで見たことがある人は多いだろう
このライブバージョンは実に神アレンジなのだが、
これについてはライブ解説の時に触れることにしたい
なお曲名では格好つけてフランス語を使っているが、
「vise」は「bise」(=kiss)の誤りである

電話のベル あやしげ 夏のmoon light
時が止まる 張りつめた君の声
何処にいるの loop 8 quiet highway
すぐに行くよ 5分だけ泣かないで
二人だけの夜は短すぎる We can not say good-bye
いつも離れられない
何処にいても引き裂けないよ Hold the line
今は同じ明日を見ている
Can you feel me? そばにいて
このままじゃ君はくずれそうさ
I miss you 会えるまで1秒さえ苦しいはず


「永遠のパスポート」は以前からライブで演奏されていた曲で、
最初の披露以来実に一年を経て商品化された
空からのMy Loveを捧げる歌詞が、
恋人との(半ばノロケの)喧嘩話の歌詞に様変わりしている


グラスの氷の音がSEに入ってたり、色々工夫が見える曲である
FANKS期からTMN期にはほとんど触れられることがない影の薄い曲だったが、
「TMN 4001 Days Groove」「Log-on to 21st Century」「tribute LIVE」と、
終了・復活前後にやたらと演奏されている
たぶんウツが好きなのだろう
30周年前後でも、「incubation Period」「the beginning of the end」で演奏され、
「DRESS2」にはEDMミックスの「永遠のパスポート2014」が収録された
現在では「Childhood's End」収録曲で一番有名になっている観もある
個人的にこの曲は、
「8月の長い夜」「さよならの準備」「Innocent Boy」などとともに、
このアルバムの雰囲気を代表しているように思う


「8月の長い夜」は、小室自身がTMっぽくない曲といっているが、
実にその通りだと思う
このアルバム以外ではまず聞けない曲調だ
TM以外のミュージシャンが歌っても違和感がない
小室はこの曲を作った頃、ポップ過ぎて大丈夫か心配になったらしい
なお前章で触れたように、当初はこの曲が先行シングルとなる予定であり、
小室もヒット曲を作るつもりで作った曲だという


この曲では色々な音を入れて作りこんでいるが、
特に最後、フェードアウトする直前、
「go on and onいつまでも」の後のギターが好きだ
また小室は、この曲で自分のコーラスのやり方が分かったと後に述べている


この曲は歌詞が良い
電話で片思いの相手から恋人との話を聞かされている男の気持ちを歌ったものだ
こういうTMもなかなかいい
悲しい歌詞なのだが、なぜか明るい曲調である
主人公はやけになっているのだろうか

Go on and on いつまでも 逃れさせておいて僕を
君の愛が僕にないと 知って何を言えばいいのさ クレッシェンド
蒼い夜の闇の中で つまらないこと考えて
君に好きだと言えなくて 波の音がまたひびくのさ クレッシェンド


このアルバムでは「8月の長い夜」は、
「Dragon The Festival」と並んでライブ演奏頻度が高い曲である
意外な気もするが、結構ライブに合うのだろう


A面は次の小室バラード「TIME」で終わる
B面は木根バラ「愛をそのままに」で終わっており、
AB両面ともバラードで終わる構成となっている


またB面一曲目は「Dragon The Festival」で、
A面一曲目は実質的に「アクシデント」だから、
AB面ともこのアルバムの代表曲で始まる構成ということになる
なお当初の案では、
A面冒頭は「Dragon The Festival」「Faire La Vise」で始まる予定だった
シングル用に「アクシデント」が作られたことで順番が替わったのだろう


B面2・3曲目、「さよならの準備」「Innocent Boy」は、
ともにTM屈指の影薄ソングである
「Childhood’s End」を引っさげた全国ツアー、
「Dragon The Festival Tour」をはじめ、
TMのライブ本編では現在まで演奏されたことはない
小室があまり演奏したがらなかったらしい


しかし特に「さよならの準備」は、ウツがわりと気に入っていて、
「Tour TMN EXPO」「EXPO Arena “Crazy 4 You”」で、
フォークパビリオンで演奏したことがあり、
後者はビデオ化されている


曲名から分かるように、恋人との別れを決意した男の心境を歌ったものだが、
TMには珍しく、大変大人の雰囲気の男性的な曲である
勢いのある、緊迫した雰囲気の曲で、歌詞の雰囲気を出している

分かるような嘘 わざとついている
僕を傷つけては 楽しむつもりさ
さよならを言えば 何も聞かないさ
狭いベッドにも 海のような距離


「Innocent Boy」は、
レコーディングの佳境に入って作ったものである
小室がドラムのテープだけ作り、
そこに後から木根がメロディを書く形で作られた
木根は大変苦労したという
またこの曲は、歌詞がTM NETWORK名義の唯一の曲である
小室が土台を作って、メンバーやスタッフと相談しながら今の形にしたらしい


歌詞は恋人のいる男性が、別の女性に心を寄せている様を歌ったものである
「愛する人が心には二人いる」という歌詞が印象的だが、
そうした一見不実な男性を「Innocent」(純真な)と表現するところに、
この歌詞のキモがあるのであろう
ここでは恋人を作りながらも気持ちを割り切れない男性をInnocentと言っているのである
ただ個人的には、その構想はともかくとして、歌詞はあまりうまくないと思う


なお「Innocent Boy」は、仮タイトル「涙のロンリーガール」だったという
何そのセンス…
またレコーディング完了時のタイトルは「D.D. Sick」だった
うーん、これはまあ、いけてるかな


この曲はウツソロ10周年ライブ「Tour Ten to Ten」で、
アコースティックバージョンで演奏しており、
この曲に関する唯一のライブ映像となっている
このアレンジはかなり良い
DVD化されているので、機会があったら是非見て欲しい


「Fantastic Vision」を挟み、
印象的なイントロで始まる「愛をそのままに」
原曲は1981年末に再結成した頃のSPEEDWAYのもので、
「Midnight Town」という曲名で演奏されていた
これがウツの希望でリメイクされ収録されたのである


イントロのSEは小泉洋が入れたものだが、
当時あまり評判がよくなかったらしい
自分は悪くないと思うのだが、
ウツ・木根にとっては原曲の印象が強く、
違和感があったのだろう


「1/2の助走」に続く木根バラであり、ベスト版「Gift for Fanks」でも、
木根バラ3部作として入れられた
ちなみに木根バラ3部作としては、
これの代わりに「永遠のパスポート」を入れることが多いが、
「永遠のパスポート」はバラードとは思えない
おそらく「TMN 4001 Days Groove」で、
「1/2の助走」「Confession」と続けて演奏されたことに拠る後付けの説だと思う


この曲は、ベスト版に入っている割には影が薄い
Aメロのウツの語りかけるような歌い方や、
コーラスの「how long can we be together?」とか好きなのだが
優しい音色とコーラスでアルバムの締めとしているが、
この余韻の心地よさは素晴らしいと思う

(2006/8/30執筆、2006/9/3・12/7・2008/9/28・2010/8/16・2013/1/14・2016/11/30加筆)


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2013-02-20
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20 Years After -TMN通...
2013/01/26 00:56

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
TM復活以降このブログを毎日のように熟読しています!わたしはこのアルバムのジャケット写真結構好きです。色と構図のバランスと、あどけない感じと大人っぽさが混ざった3人(というか2人かな)の表情が好きです。でもたしかにつけたされた絵のネクタイのとこはちょっとへんな柄ですね(笑)。このアルバムの曲はどれもイントロがすごく印象に残って何回聞いても飽きません。歌詞はどれもちょっと苦手な感じですが・・。Fantastic visionは天気予報を思い出してつい顔がニコニコしてしまいます。これからも記事楽しみにしています!
rika
2012/05/06 07:05
ブログ御覧いただきありがとうございます
あのアルバムジャケいいですか!
でも実はTMのアルバムでまともに3人の顔が出ているのって、これ以外はDRESSくらいだから、ある意味で貴重なんですよね
最近のテレビ番組でも、3人を紹介する時にChildhood's Endのジャケが使われていました

青い惑星の愚か者
2012/05/09 02:41
このアルバムが一番好きです。才能に溢れるアルバムだと思うし、彼らが進むべきであった別の道を示唆しているような気もする。

10数年ぶりにCDを聴いて、リアルタイムに聞いていた時に感じた空気を感じると同時に、今にも十分通用する楽曲だと再認識ました。

このアルバムはすごい。
のぼる
2012/12/27 01:46
私も本作がうまく言っていたら、TMはFANKSとは別の形になる可能性があったと思います
個々の楽曲は良いのに、その後の方向性が変わったために、一番不遇なアルバムになってしまったという印象ですよね
ライブでも一番演奏されないし…

あとTM NETWORKの楽曲って良い悪いの問題とは別に、今聞くとやはり80年代の曲だと思うんですが、その意味でChildhood's Endはより普遍的な作りだと思います
ただそれは、同時代的なインパクトが弱かったということの裏返しでもあるんでしょうけどね
青い惑星の愚か者
2013/01/01 19:02
はじめまして

私がTMのファンだったのは『Get Wild』から『CAROL』の頃までだったので、それ以降の活動はほとんど知らないんですが
自分が思春期に夢中になった歌というのは付かず離れず、折に触れずっと聴き続けて行くものなんだなぁと、歳を重ねた今実感します。
『Childfood's End』は私の中で『Self Control 』と同じ位好きなアルバムです。
音楽的なことや裏事情などはわからないのですが、いい意味で、とても普通な感じがするんですよ(^^)季節的にはちょうど今頃、夏なイメージですね。(『Self Control』は冬な感じですね。でも、どちらも季節関係なく聴きたくなりますが)

ブログ、あの当時知らなかった事がたくさん書いてあって、読んでいて面白かったです。

失礼しました(^^)


ちび
2014/08/02 19:26
はじめまして!
私も継続的にファンだったわけではないのですが、たまに聞くという状態で、ふとしたきっかけで復帰したクチです

Childhood's Endは、一発で頭に入るアルバムというわけではないんですが、聞き込むと良い作品なんですよね
TMの「普通」のアルバムとして、珍しいもしれませんね
青い惑星の愚か者
2014/08/05 00:14
管理人さま、こんにちは。過去記事の追記作業お疲れ様です。アルバムジャケットの件や『Innocent boy』の歌詞についてコメントします。

アルバムジャケット写真について。
特徴あるカラフルな柄は、基本となる写真の上から別の素材を貼り付け加工したアート表現の『コラージュ』だと思われます。馴染みのある分かりやすい例えで言えば、アイコラ加工という感じでしょうか。

ジャケット写真でTMの御三方が実際に着用した衣装は、特徴ある柄を除いたものと考えるのが良いと思います。

私見ですが・・・特徴ある柄のコラージュは、おそらくアルバム全体の音「シティポップス」が持つオシャレで垢抜けたイメージを、さらにジャケット写真でも強調するために用いた表現だったのでは?と思うのです。例えるなら、当時流行りのオシャレな洋楽ジャケットを目指した感じでしょうか。
かしこ。
2016/12/02 07:58
『Innocent boy』の歌詞について。
記事にも取り上げられてるフレーズ「愛する女性が 心には2人いる」ですが・・・完全な私見なので大変申し訳ないのですが・・・男性側の価値観として友人や知人などの交流、自分の経験上を通して『言い得て妙』だと感じました。

ここで言う「心の中にいる女性」は・・・男性の人生に大きな影響を与える女性の事で・・・1人は母親、もう1人は人生の伴侶となる女性の事だと、自分は解釈してます。

経験上から感じた話・・・産まれる前から注がれる母親の『無償の愛』と、生涯を共にする伴侶の女性からの愛情を心の中で無意識に求めてる・・・という事を歌っているように思うのです。

誤解を恐れずに言わせていただくと、
母親からの無償の愛が足りないと(本能で)感じているまま大人になった男性は、足りない分を補うために・・・時には本命以外の女性にも愛を求める・・・という心の揺れを友人や知人から受けた経験があります(笑)

誠に独断と偏見、 あしからず。


かしこ。
2016/12/02 08:02
追記。アルバムジャケットについて。
アルバムブックレットのスタッフクレジットの中に・・・おそらく基となる写真にアートディレクションした方の名前を見つけました。デジタルエディティション MitsukazuTanaka氏です。

エディティションの基となるエディター(編集)という言葉は・・・主に「映像の」編集を指す場合があります。ジャケット写真と同じ衣装のPVアートディレクションも、もしかしたら田中氏が担当したのかもしれないですね。

デジタルエディティションという肩書き名称になったのは、現在で言う「アートディレクター」の名称と肩書きが当時まだ浸透してなかったからでは?と推測しました。あしからず。
かしこ。
2016/12/02 11:00
管理人さま、先のコメントに誤解を招くような書き込みをしてしまい、申し訳ありません。

確か・・・TMの御三方が実際に着用した衣装は、裏ジャケット(ブックレット裏表紙)に載ってた写真ですよね。

実際の衣装で柄が入ってるのは・・・宇都宮さんのペイズリー風柄水色ネクタイ、小室さんの柄物こげ茶色シャツ、木根さんの柄入り黄色ネクタイ・・・それぞれ1点着用していますね。

アルバムジャケット写真にアート加工したのは、制作側の思惑として・・・さらに垢抜けた感じの華やかさをプラスさせる狙いがあったのでは?と推測しました。

あしからず。
かしこ。
2016/12/03 15:39
たくさん書き込みありがとうございます
他記事の書き込みについては今後加筆の折に参照し、加筆の際に御返答致します
時間がかかると思いますが、ご了承ください


さて、まずアルバムジャケの衣装について
これはおっしゃる通りコラージュによる加工が入っていますね
これについては加筆しておきます
(しかし私は、それも含めて、ジャケとして「これはない」と思っているんですが)
おっしゃる通り、オシャレ感を出そうとしたものだったんでしょう
1985年的にはこれが良いかもしれないと思ったのかもしれません
翌年のGorillaもあんなんでしたし…
しかしTwinkle Nightはそこそこ見れるんだけどなあ

ライナーに見える「Digital Editing:Mitsukazu Tanaka」を
ジャケデザインに関わるものとするご見解については、
私は疑問だと思っています
そもそもdigital editing自体は「デジタル編集」を意味し、これ自体は画像関係であることを示しません
1985年にCGで画像編集を行なうことは一般的とは思われませんし、メンバーの衣装もCGには見えません
また仮にCGを使ったものならば、いかにも小室さんが取り上げたがる話題です
小室さんがその点をアピールしていないのは、逆にこれがCGでないことを示しているのではないでしょうか
またMitsukazu Tanakaはソニー所属のマスタリングエンジニアの田中三一さんと思われ、
ならばDigital Editingとは音源のデジタル編集担当と見るのが自然でしょう
https://www.musicman-net.com/townprofile_ms0031p.html
青い惑星の愚か者
2016/12/09 02:41
Innocent Boyの歌詞について
サビの「愛する人が心にはふたりいる」は、
2番冒頭の「そばには違う彼女」を見れば、
主人公には今恋人として付き合っている女性の他にもう一人好きな人がいて、
公式の恋人がいるためにその女性に思いを伝えられないということではないでしょうか
つまりこの歌詞の主人公は、思いを寄せる女性を一人に絞りきれていないのです

そして「暮らせない人が言葉にはひとりいる」は、
「もう一人」の女性の存在が気になって、
今の恋人と一緒に暮らすまでは踏み切れないということと思います
実際には暮らしたいと思っている女性が他にもいるからこそ、
「言葉には」ひとりいる(心には二人いる)のです
全体としてこの歌詞は、恋人ではない方の女性に心を揺らされる男性の気持ちを歌ったものと考えます
それをもっとも端的に表現しているのが、「I wonder if I can leave you」の部分でしょう
男性は最後には「信じている」と言われて胸騒ぎしてしまうわけですが、なんというか、罪な女性ですね(笑
この歌詞については、少しだけ加筆しておきますね
青い惑星の愚か者
2016/12/09 02:47
管理人さま、こんにちは。
多忙を極める中、お返事ありがとうございます。

コメント返しの件は了解です。
どうかあまり気になさず、管理人さまの都合で構いません。どうかお身体を壊さないように大事にしていただけると、助かります。

先日のジャケット写真加工のクレジットについての私的な見解・・・自分の認識不足なコメントがありまして、誠に失礼いたしました。

お恥ずかしい話ですが・・・当アルバムを引っ越し作業などで奥に仕舞い混んでしまい、実物を確認できない状態で・・・昔の記憶とネットからの情報を頼りにコメントしました。この場を借りまして陳謝いたします。

ウィキペディアにあるスタッフクレジットの中に、ジャケット撮影やアート加工スタッフの名前が見当たらないようでした。

次作アルバム『gorilla』にはカメラマンやアートディレクターの御名前がしっかり明記されていたので・・・勘違いしてしまいました。すみません。

『Innocent boy』歌詞について。
管理人さまが思う歌詞解釈、なるほど!と感心しました。歌詞の主人公が揺れる心の動き、頂いたコメントに非常に丁寧に書かれていて、本当に分かりやすかったです。

小室さんがインタビューでおっしゃってた、うまく書けたフレーズ『愛する人(女性)が 心には2人いる』の話。

おそらく歌詞の主人公に特定した話ではなく・・・小室さんが感じた「男性特有の心理」の事を指しているのでは?と、そうワタシは理解しました。

あしからず。
かしこ。
2016/12/10 00:08
Innocent boyの歌詞は広く共感できる歌詞として作ったのでしょうから、主人公の気持ちを歌うとともに、男性一般の心理としても書かれているのでしょうね。
まあ、実際にどのくらい共感できるかは人によりそうな気がしますけど、青春の歌って感じですね。
青い惑星の愚か者
2016/12/17 20:00

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1-9 Childhood's End 20 Years After -TMN通史-/BIGLOBEウェブリブログ
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