2-27 humansystem

前回の更新が発売の前日で、
さらに今回の更新まで10日ほど掛かったため、
コメントが遅れましたが、
DJTK「Cream of J-POP」が発売されました


まだ購入されていない方のために書いておくと、
CDを購入すると、
アルバム未収録の「Self Control (247 Special Mix)」も入手できます
(↑すでに他サイトでも書かれてるみたいだし、書いちゃいました)
まあ実は買わないでも聞け…ゴフッゴフッ


ちょっと聞いてみましたが、
正直に言って、思ってたほど悪くはなかったです
(予想がどれだけひどかったのかということでもありますが)
特に「Happiness×3 Loneliness×3」「愛しさとせつなさと心強さと」「Rocket Dive」あたりは、普通にいいです
ちなみに「Self Control」は、収録しないで正解だったのかもと思いました(笑


11月のTMライブでは、
過去曲のリミックスを聞かせてくれるとうれしいなあ
さて本編に入ります


-----------------------------
5thアルバム「humansystem」は、1987/11/11にリリースされた
ブレイク後、トップアーティストとして発売する最初のオリジナルアルバムであり、
本人やスタッフのプレッシャーも大きかっただろう
小室は、とても分かりやすく作ったアルバムと言っている
同時発売の写真集「humansystem」には、
レコーディング中のドキュメンタリーや小室による曲解説もついていた


成績は見事1位となった
売上は38万枚で、当時の自己新記録である
オリコンでは集計年度の境目(11月末)だったため、
1987年度の年間チャート上位には登場しないが、
もしも全売上が集計されていたら、年間14位に相当する
ちなみに1988年度は23万枚で年間41位である


アルバム未収録の大ヒットシングル「Get Wild」を敢えて収録せず、
新曲のみでの勝負で、この売上であった
TMの人気はタイアップによる一時的なものではなく、
ファンに支えられた堅実なものであることが示されたのである


「humansystem(Human System)」は、小室の造語である
このコンセプトは6月から考えていたという
「Fanks Bang The Gong」終了後、「Fanks Cry-Max」準備の頃だろう
「system」は人間から地球・太陽系・宇宙まで含めた関係性を表現したものという
小室はこの言葉を使いたいと考えており、
当初は「Friend System」「Relation System」などの案もあった


最終的に「system」と組み合わせる言葉としては「human」が選ばれた
この頃小室は、「機械と人間の融合」を唱えていた
「Self Control」の頃、
コンピュータの使い手としてインパクトを与えることに成功したことを前提に、
一見それと逆のイメージである「human」の要素を加えようとしたのである


個人的には、「humansystem」というアルバムタイトルは、
歴代TMアルバム中でも秀逸だと思う
しかし後の小室によると、少し気負いすぎたという
「Self Control」ほどは広まらなかったという認識があったらしい
「Self Control」「humansystem」の類の抽象語タイトルは、
本作を最後に以後のアルバムでは用いられなくなる


アルバムを構成する曲は、
「Children of the New Century」「Kiss You」に代表される、
未来を見据えた宇宙から地球へのメッセージとしてのものと、
「Human System」「This Night」に代表される、
人間関係を描いたものが目立つ
小室によれば、当時ラジオ「SF Rock Station」で読まれたハガキで人間関係が扱われていたことから、
人間関係を一つずつ歌にしようと考えたのだと言う


ただ収録曲の大半は、このテーマとは関係がない
むしろ個人的には、散漫なアルバムという印象が強い
小室は全体のテーマについて後付け的な説明はしているが、
「Human System」を代表曲とする楽曲集として考えた方が、
おそらく実態に即している


ジャケットは2人の人間が融合した形の人形を、正面・左右の3面から見たものである
本人たちが登場しないジャケットは、「Rainbow Rainbow」以来である
(ただし裏面には3人の白黒写真がついている)
人形は人間関係の絡み合う様=humansystemを表現したものだろう
現代アート的な雰囲気を漂わせ、歴代ジャケットでも評価が高い


中の歌詞カードは冊子形式ではなく、
一枚の白黒の紙になっている
ジャケットとともに、
色のない、モノトーンの雰囲気を出している
先行シングル「Kiss You」の雰囲気にも通じる



付録のカレンダー



このアルバムに関してしばしば言われるのが、
音量の小ささである
これは小室の意向に依るもので、
CDでの音量レベルの幅の広さを考え、
もっとも質の良い音量で録音したのだという
これはこれで一つの見解で、
ミュージシャンとしてのこだわりが感じられるところである


「Gift for Fanks」をCDのみで発売したことについてもいえるが、
新しい媒体に注目した音作りをするのは、いかにも小室らしい
次のアルバム「CAROL」についても、
CD版では本来の曲順から変えて収録すると言う、
CDならではの「遊び」をしている


もっとも本作の音量に関しては、
複数のCDから曲を選んで編集する場合に不便も感じざるを得ない
音量補正機能のある録音機が無い場合、
「humansystem」の曲だけ音量が小さくなってしまう


だが2004年に発売されたボックス「World Heritage」
及び2007年の紙ジャケット版や2013年のBlu-Spec版では、
音量レベルが修正され、他のアルバムと同程度になった
当時はすでに全作品を持っているにもかかわらず、
「humansystem」のためだけにボックスを購入したファンもいた


話題をアルバムの内容に移そう
誤解を恐れずに言えば、「humansystem」は、
TM NETWORK最後の「普通の」アルバムである
これ以後のアルバムはほとんどが企画モノとしての性格を備えるようになり、
売れる作品ではあっても、TMを代表する作品とは言いがたい
(例外は2007年の「SPEEDWAY」


そのためTMのスタンダードの代表例として、
「humansystem」はしばしば言及される
プロデューサーの小坂洋二も、一番好きな作品として挙げている
一番好きな作品として挙げるファンも多いし、


1999年の復活後、メンバーがもっとも推したのもこの作品だった
小室はTM復活前後、自らプロデュースする歌手に、
「humansystem」の曲をカバーさせてTMの復活を盛り上げようとした
鈴木あみの「Be Together」が特に有名で、
86万の売上、年間17位で、鈴木あみ最大のヒット作である
実はTM曲で一番売れたシングルは、オリジナルと言う枠を外せば、
53万枚のTMの「Love Train」ではなく、
鈴木あみの「Be Together」である
同じ年、tohkoはアルバム「cure」で、
「Children of the New Century」をカバーしている


「humansystem」のレコーディングは1987/7/8から始まった
2月頃のインタビューでは、すでに8月頃のレコーディングの予定に言及されており、
夏のレコーディングは早くから決まっていたらしい
この時点では、ヨーロッパでレコーディング、
ニューヨークでトラックダウンという計画だったらしいが、
結果としてはロスアンゼルスでレコーディングすることになった


海外でのレコーディングは既定路線だったらしく、
この点は国内ですべて作成された「Self Control」との相違点である
小室によれば、BOOWYがベルリンのハンザスタジオでレコーディングしたことを意識したのだという
これは1985年のアルバム「BOOWY」のことだろうが、
この頃の小室がBOOWYを意識していたことが分かる


ただし小室は、「CAROL」制作時のロンドンと比べ、
この時のロスの話を具体的にすることは多くない
小室は後に、ロスは自分には合わなかったと言っており、
あまり良いめぐりあわせではなかったようである


メンバーは8/29まで曲の基本となるところを作り上げ、
9/4からロスのスタジオでレコーディングを行なった
ここで現地ミュージシャンとの音入れや最終的なミックスダウンを行なった
完了は9/18で、2ヶ月超のスケジュールだった
後にDuran Duranに正式加入するWarren Cuccurulloもレコーディングに参加した
小室が彼と親しくなるのはこの頃からである


このアルバムは良曲が多いし、人気もある
そのことを踏まえた上であえて書くと、
ライブでの扱いも含め、よく取り上げられる定番曲と、
後にまったく省みられなくなる曲がはっきりしている
特に後半は大変地味な印象である


「Kiss You」を先行シングルとして出し、
一曲目に「Children of the New Cenrtury」を配する当たり、
前作と違うロック的な雰囲気を印象付けようとしていることは感じる
ただしロック的な音の曲は、他には「Come Back to Asia」くらいで、
あとは意外とそうでもない
もっとも「Be Together」「Fallin' Angel」以外は、
シンセが前作ほど強調されておらず、
その点ではやはり音が変わったことは感じる
海外でレコーディングしたことが影響しているのかもしれない


音数は前作よりも多目だが、
増やした音がいかにも後から付け加えた感じがして、
むしろ安っぽく聞こえるものもある
「Childhood's End」「Gorilla」の曲も、
音を色々と加えているが、このような印象は受けない
小室はアメリカのサウンドに染まらないように気を付けたと言っているが、
あるいはこのために日本で入れた音とロスの音が混ざり合わず、
異質な印象を受けてしまうということもあるのかもしれない


たとえば「Children of the New Century」イントロのギターのディストーションは、
重厚なロックっぽさを出そうとしているのだろうが、
個人的には入れ方がわざとらしく、後から付けた感がぬぐえない
「Leprechaun Christmas」Bメロのギターも、同様の印象である
「Fallin' Angel」も余計な音が多い
同じシンセメインの曲として、
「Be Together」くらい音を減らしても良かったのではないか


本作はライブを意識してレコーディングされた
これは「Gorilla」以来の方針を引き継いでいる
本作ではアドリブを弾いてからギターを合わせるなど、
ライブで自由が効きやすいようにアレンジしたという


収録曲全11曲中、作曲は7曲が小室、3曲が木根で、
「Leprechaun Christmas」のみ小室・木根の共作である
木根単独の作曲は「Telephone Line」「Fallin' Angel」「Come Back To Asia」である
作詞はほとんどが小室みつ子で、
例外は小室哲哉作詞の「This Night」と、
小室哲哉・みつ子共作の「Leprechaun Christmas」のみである
小室みつ子の存在感がかなり大きいアルバムと言えるだろう


アルバムの構成を見ると、
A面・B面ともに、前半にアップテンポの曲、後半にバラード系を配している
前作がA面がアップテンポ、B面バラード系だったのとは違う配置である
全体として、A面にこのアルバムの代表曲が並んでいる印象である


以下では各曲に関するコメントをしていく
ただし後でシングルとしてカットされる「Resistance」「Come Back to Asia」はここでは言及しない


1曲目「Children of the New Cenrtury」は、
曲名の元ネタはT-Rexの「Children of the Revolution」だろう
新世紀を迎える世代に向けて作った曲で、
イメージとしては、地球の外から発したメッセージだという
ライブのオープニングとして考えて作った曲だったというが、
「Kiss Japan Tour」「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」ではオープニングに使われていない


この曲で小室みつ子の詞が描く新世紀は、
不安な時代というイメージが強いが、
それでも次世代の者に希望を託すという内容となっている

1988君はここにいる夢はまだつかめないけれど
1999今は見えないものがつかめる日が来る



小室はめまぐるしく変わる感じの曲にしたかったと言っている
冒頭のサビの後、1番で穏やかなAメロに変わり、
また一転して激しいサビに移るあたりを言っているのだろう
ただ個人的にサビは良いのだが、Aメロがイマイチである
音がロックなのに、メロディが歌謡曲だ
1曲目ということで、キャッチーなつかみにしたのだろうか


当時はアルバムの代表曲の一つだったが、
「CAROL」期以降はほとんど演奏されなかった
復活後2000年の「Log-on to 21st Century」で久々に演奏されたが、
曲のテーマとライブの年の関係から選ばれたものと考えられる
さらに2013年「START investigation」ではインストで演奏され、
2015年にはシングル「Get Wild 2015」のカップリングに収録された
また2015年のライブ「30th Final」では、
大幅にアレンジが施された新バージョンが発表されている


なお1988/7/23~8/1に大阪城ホールで行なわれた読売テレビ開局30周年記念イベント「SFX 1988」では、
この曲がテーマ曲に選ばれた
「SFX 1988」はPanasonic主催のイベント(SF関連の展示・アトラクションがメイン)であり、
当時のTMのSF的なキャラクター設定もあって選ばれたのだろう


アルバム2曲目は「Kiss You (More Rock)」
新時代へ向けてのメッセージという点で、
同様のテーマを扱う曲が続く


「More Rock」は、シングル「Kiss You~世界は宇宙と恋に落ちる~」の別バージョンである
シングルよりもシンセ音が減らされ、
ドラムやギターの音が目立つ作りになっている
なおドラム・ギターはシングルの青山純・鳥山雄司の音が、
Steve Ferrone・Warren Cuccurulloのものに差し替えられている
ストリングスもカットされたが、これはライブでの演奏しやすさを考慮したものだという


またシングルでは、最後に交信音で小室のメッセージが流れつつフェードアウトするが、
「More Rock」はカットアウトで終わる
ライブでは、たいてい「More Rock」を元にしたアレンジで演奏された
自分としては、スタジオレコーディング版では、
「More Rock」が一番好みである


「Be Together」
今までのTMの雰囲気を残しており、
「You Can Dance」のような感じでライブ用に作ったという
小室は、BOOWYへ対抗心で作った曲だとも言っている
発表以後現在まで、
「EXPO」「Major Turn-Round」期を除くほとんどのライブで演奏されている
(例外は2015年「Quit30 Huge Data」
鈴木あみの影響で、いまやこのアルバムの顔ともなった曲だが、
当時はファンの間で知られる隠れた名曲だった


ここに来て小室は、ものすごい曲を作ってしまったと思う
大変シンプルな曲、シンプルな歌なのに、この疾走感
余計な小細工をせずにここまでノレる曲を作れるものか
TMの誇る神曲の一つだと思う
ライブでも「また「Be Together」か」と思いつつ、
悔しいことに盛り上がってしまう曲である


イントロはシンセのみの穏やかな始まりであるが、
まもなくシンセの勢いが変わり、それとともにドラムが入り、歌に移る
「Get Wild」的な作りを踏襲している
イントロで「Give me all night~」のセリフを入れる案もあったが、外された
このセリフはレコーディングはされており、
後にリプロダクションアルバム「Dress」で復活した


疾走感を出すのに大きな役割を果たしているのが、ドラムの存在感である
Rebeccaの小田原豊の演奏である
余計な音を入れていないのも、ドラムを目立たせるためだろう
サビの直前で一瞬ブレイクが入り、
そこから勢いよくサビを短時間で歌い上げるという構成もツボだし、
間奏のシンセも最高だ
これぞTMの音だという作りである


「Human System」は小室作曲のバラードで、
このアルバムのタイトルチューンである
タイトルチューンがバラードというのは珍しいが、
それだけ自信があったのだろう
実際にTMバラードを代表する名曲であり、かつ人気曲である


イントロにはモーツァルトの「トルコ行進曲」が含まれている
「Your Song (“D” Mix)」でベートーベンの「第九」を使って以来の、
クラシックの借用である
「トルコ行進曲」は小室のお気に入り曲であり、
ライブでもよく演奏するレパートリーの一つだった
小室は1991年にモーツァルト関連のミュージカル「Mademoiselle Mozart」の音楽を担当するが、
その話が来る前提になったのかもしれない


TMの名バラードは多い
しかし隠れた名曲というのではなく、
TMの代表曲としてのバラードとなれば限られる
TMのテーマソングというべき「Time Machine」「Electric Prophet」や、
終了シングル「Nights of the Knife」は挙げられるだろう
また人によっては「Seven Days War」も入るかもしれない
(自分にとっては、そこまでの曲ではないが)


おそらくこれにもう一曲加えるとしたら、「Human System」と思う
少なくともFANKS期においては、間違いなくTMの代表曲の一つだった
長くTMライブのトリとして定着していた「Electric Prophet」に代ったのも、
この「Human System」である
終了ライブ「4001 Days Groove」でも演奏された
非シングル曲にもかかわらず、現在までたびたび演奏されており、
TMにとって重要な位置を占める曲であり続けている


この曲の人気の一因は、歌詞であろう
小室はPet Shop Boysの「West End Girls」に触発され、
新聞記事風の歌詞にしたかったのだという
実際に歌詞では登場人物の心情が描かれず、
町での出来事が淡々と叙述される構成を取っている
大変分かりやすい歌詞で、わざわざ論じるまでもないと思うので、
以下に引用する

少女は泣きながら目を覚ました ひとりぼっちで
鏡に話しかけてる 同じ毎日同じ白い顔
少年はポケットにナイフしのばせて くちびるかみしめる
汚れたシャツのえりもと いつもの朝といつものいらだち
出会えない二人のrelation 街角で今すれ違っていく
探してる互いのaffection めぐり会えたら何かが変わるのに
She is here and he is there 街のどこかで呼び合うよ
(略)
She is here and he is there in the human system
I am here and you are there in the human system


次は木根バラ「Telephone Line」
ELOに同名曲があり、曲もそれを元にしている
「パノラマジック」の例といい、
木根はよくELOの曲を使う
小室自身、「ほとんどコピーに近い」と言っている
今風に言えば、「オマージュ」というところだろうか
特にサビはそっくりだし、
電話の呼び出し音をSEに入れているところも同じである


だが小室のアレンジを経て、この曲はすばらしい名曲に仕上がっている
このアルバムは2曲目からここまで、奇跡的なほど名曲揃いだ
片思いの相手に電話をした男の気持ちを歌ったものだが、
憎いのは2番のAメロの後、長い間奏を挟んでサビに入る構成である
小室はたまにこういうアレンジをする
たとえば木根作曲、小室プロデュースの大賀埜々「Close to the Night」も、
同様の構成である

灯りを消して窓を開けると ミルキーウェイが降りて来る
受話器からつぶやく声 同じ星座みつけたいね
陽気なDJラジオの音も なぐさめにならなくて
ダイヤルをまわしたのは 静かすぎる夜のせいさ
いつからだろう友達だった 君が変わる切なくなるほど
触れそうで触れぬ心を抱いて
I call you everynight ‘cause I fell love in with you


以上でA面は終わり、次からB面に入る
「Leprechaun Christmas」
「humansystem」収録曲のほとんどは日本でデモが制作されていたが、
この曲だけはロスに渡ってから作った曲である
明るく楽しそうな音で、TMとしてはあまりないタイプの曲かと思う
特にサビなどは、かわいらしい雰囲気がでている
木根はロス現地で買ったアコギで演奏したという


もともとクリスマスソングとして作ったものではなかったが、
作る過程で「クリスマス」という言葉が出たという
「Be Together」とともに、遊びで作った曲らしい
また、ロスで東京のクリスマスが恋しくなって作った曲だったとも言う
なおLeprechaunは、アイルランドの伝説に登場する小人の妖精の名である


「Fallin' Angel」は、当初は「ストレイ・ベアと堕天使」という仮曲名が付いていた
「堕天使」のみで曲名にしたのだろう
この曲は惜しい気がする
もっと良い曲になったのではないだろうか
イントロのシンセなどはなかなかかっこいいのだが
余計な音を加えていることと、歌謡曲的なサビが受け付けない


なお「Leprechaun Christmas」「Fallin' Angel」は、
小室がオケを作った後で木根がメロディを付けた
木根は移動中の車でこの曲のオケを何度も聞き、
歌いながら曲を作ったという


「Resistance」「Come Back to Asia」を挟み、
インスト曲「Dawn Valley」
「Fanks Cry-Max」で披露した曲のスタジオ版である
ライブのインスト曲をレコーディングするのはこれ以外に例がない
またそれまではインスト曲はアルバムの最初に入っていたが、
このアルバム以降は途中(後半)に入るのが一般的になる


「Dawn Valley」はTMのインスト曲でも人気が高い
すでに6月の「Fanks Cry-Max」で発表されていた曲である
「Fanks Cry-Max」ではもっぱらピアノで演奏していたが、
スタジオ版ではアコースティックピアノの上に、
途中から加わるフリューゲルホルンが存在感を出している
レコーディングではノリで一発で録ったと言うが、
即興に近い演奏だったのだろう


ラストは「This Night」
「Self Control」「Here, There & Everywhere」「CAROL」「Still Love Her」など、
この前後のアルバムでは、ラストにさわやかなミディアムテンポの曲が来る
落ち着いた雰囲気に優しい歌詞で、隠れた名曲というべき存在である


小室はアルバムの中で一番好きな曲だと言っている
(ならばもっと演奏して欲しいものだが)
また一番ロスの雰囲気が出ている曲だとも言っている
ピアノ・ギターの音は小室がサンプリング音をシンセで手弾きしたものである


歌詞は小室哲哉によるもので、
クリスマスの日に思いを通じた二人のことを歌ったものである
この歌詞のモチーフは、すでに4月には出来ていたという
出会いの不思議さを歌った曲で、「humansystem」のコンセプト曲でもあるという


この曲はアルバム唯一の小室哲哉単独の歌詞で、
「humansystem」発売翌月の12月に結婚した大谷香奈子との話を元にしたものとされている
香奈子は、アイドルグループキララとウララのキララである
小室は1992年に大谷と離婚するが
弟の大谷健吾は後にTMのローディを務めており、
1994年にTKプロデュースでデビューしている


この解釈は、小室のプライベートを考えても理解しやすい
小室は「humansystem」レコーディング中、
ロスでホームシックにかかってしまい、
メンバーやスタッフに言った上で一人で帰ってしまったことがあったというが、
あるいはタイミングから見て、
本作制作中の小室のホームシックは大谷と関係するものかもしれない


ただ冷静に考えてみると、
小室は1992年の離婚まで、結婚の事実を公表していなかったから、
それまでに香奈子の話を語るはずがない
離婚後となれば、さらに話しづらくなるはずである


自分は、いまだに小室がこのことを語ったものを見たことがなく、
ファンが想像で語っていたことが事実として広まってしまったものである可能性を疑っている
またこの説は、「Love Train」がファンの間で、
破局直前の香奈子への思いを歌ったものとして語られていることと対になるものかもしれない
となれば、これらの歌詞の解釈は鵜呑みにしない方がよいだろう


歌詞の背景の事実関係はともかくとして、
この歌詞はそのような説を生むだけのすがすがしさと前向きさを備えている
本章では最後にその一節を挙げて締めとしたい

「いつまでもいつまでも君はぼくのものだよ」
優しくうなずく君に言葉はいらないUH…
いつかこんな日がふたりに訪れることを
Merry X'mas 響く夜は誰も知らなかったUH…
I've been waitin' for this night 空に雪は降り続けた
I've been waitin' for this night 永遠に続く夜だった


(2007/7/13執筆 2008/10/31・2012/4/1・2017/5/26加筆)

humansystem
エピックレコードジャパン
2000-03-23
TM NETWORK
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 19

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた
面白い 面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

こーいち
2009年01月19日 16:26
こんにちは。
いきなりですいませんが、訂正です。

>作曲は8曲小室、2曲木根、「Fallin' Angel」のみ小室・木根の共作である。木根曲は「Telephone Line」「Come Back To Asia」で、木根はこのアルバムでもバラード寄りの曲を担当している。
と書かれてありますが、小室さんと木根さんの共作は、「Leprechaun Christmas」だけで、木根さんは、「Telephone Line」「COME BACK TO ASIA」と「Fallin' Angel」です。

ちなみに僕はこのアルバム好きです。ミュージシャンも豪華。
蒼い惑星の愚か者
2009年01月23日 01:27
どうもありがとうございました
気をつけても、間違って書いちゃうことがありますね
ご指摘の通り、訂正しておきました

今見るとこの記事、ちょっと辛口だったかなーという気もしますね(汗
でも私ももちろん好きですよ
haru
2012年09月06日 19:13
 「DRESS」をリリースした時小室さんが「Self Controlからhumansystemの時は一番安全な道を通ったかな」と回顧されていました。先行シングルだけでなくニューアルバムも冒険する、というわけにはいかなかったんでしょうね。
 でも“一番安全な道を通った”ことで、TMを定着させることができたとも思います。私は「humansystem」も最初ダビングしてもらったカセットテープで聴きましたが、ここで「Self Control」と変わり過ぎていたら戸惑ってしまい、興味をなくしていたかもしれません。

 個人的には「Children of the New Century」が一番好きです。エレキベースが素晴らしい。ただ木根さんのトーク&ライブDVDの中で日詰さんが「Children~」のベースを弾いても観客はピンと来ていませんでした。「Get Wild」のベースを弾いたら歓声が湧きましたが。

 「Be Together」は99年にカバーされた方が有名になったのはいいけど、この年TM3人で出演した「夜もヒッパレ」で鈴木あみの「Be Together」をTMがカバーして披露した感じになったのは残念でした。そういえばこの番組の終盤で3人が他の出演者と一緒に雛壇で正拳突き?みたいなことをやらされていましたねえ…。
haru
2012年09月06日 19:14
 「Telephone Line」を歌うと今どきダイヤルを回すなんてこと無いよねー、というのがもはや鉄板ネタになってしまいましたね。今の10代の子は好きな人の家にドキドキしながら電話をかける、なんて経験はまず無いんだろうなぁ…。

 そして「Come Back to Asia」を聴くたびに渡辺美里さんの「BORN TO SKIP」(「Breath」収録)を思い出します。どちらとも木根さん作曲ですが。ちなみに同じく「Breath」に収録されている小室さん作曲の「HERE COMES THE SUN」は好きでした。

 …とざっくばらんに長く書いてしまいましたが「Self Control」には及ばないかもしれないけれど、25年経っても色褪せることのない、いいアルバムだと私も感じています。
青い惑星の愚か者
2012年09月07日 05:12
TMがようやくSelf Control~Get Wildで成功した直後でしたし、まったく異なる方向に行くことは、スタッフ的にもありえなかったでしょうね
でもSelf Controlと比べると、やはり結構違うアルバムとは思います

私はこのアルバムではKiss Youが一番好き(というか全TM曲でも屈指で好き)なんですが、Childrenのベースが良いのは同意です! 書いていませんでしたけども

ちなみにCome Back To AsiaがBorn To Skipを意識していたことは、小室さん自身も語っていますね(次のResistanceの記事で書いています)
haru
2012年09月08日 06:16
 「Children of the New Century」のベース、ホントにカッコいいですよね。しかもシンセベースや打ち込みじゃなく、カシオペアのベーシストが手弾きしているのがまた素晴らしいです。当時TVで披露したことがあるようですが「FANKS the LIVE 2」にもノーマルな「Children~」を収録してほしかったです。

 あとほぼ同時期に渡辺美里さんのシングル「悲しいね」がリリースされたと思いますが、オケだけなら「humansystem」に収録されていても違和感ないような気がするのは私だけでしょうか。小室さんが作曲だけじゃなくアレンジも手掛けたからかな?
青い惑星の愚か者
2012年09月17日 03:52
Childrenのベース、カシオペアの方だったんですか
それは知りませんでした
何気に豪華な方を…

悲しいねは私も当時すごい好きだった曲ですが、小室さんの曲と知らず、後になって、ああそうだったんだあと思いました
知らず知らずの間に洗脳されていたようです(笑

悲しいねのサビは、Human SystemとBeyond The Timeと一緒ですよね
この頃愛用のフレーズだったんだと思います
haru
2012年09月17日 06:21
 歌詞カードの表?(メンバーのモノクロ写真が載っている方)に“Bass guitar:Tetsuo Sakurai from CASIOPEA(#1)”と記してあります。ただ私はどういう方か全く分かりませんが…。
 あと「Be Together」と「Fallin' Angel」のドラムはレベッカの小田原豊さんなんですね。(こちらは歌詞カードには名前しか書いてありませんが。)ある雑誌で木根さんがすごくカッコ良かったと回顧されていました。
青い惑星の愚か者
2012年09月27日 00:58
humansytemはいろんな人が参加していたんですねえ
本格的に売れ出していたから、スタッフも優先的に人を回していたんでしょうかね
Be Togetherのドラムって小田原さんだったんだあ…
Cheb
2013年01月17日 23:28
こんにちは。新着記事同様、過去記事も何かにつけて参考にさせていただいています。

さて、今回もhumansystemを聴きながら記事を拝見しましたが、Dawn Valleyに使用されている楽器はサックスではないと思います。聞いた感じではトランペット系の金管楽器ではないでしょうか。なおWikiにはフリューゲルホルンと書いてあります。CDが手元にないので確実な確認方法はないのですが、確かにフリューゲルホルンの音っぽいですね。
念のため指摘させていただきました。

それでは新着記事を楽しみにしています!
青い惑星の愚か者
2013年01月26日 01:04
Dawn Valley、吹奏楽器ではありますが、サックスの音というのは確かに違いますね…
ライナーノートを見たら、Human SystemとDawn Valleyではフリューゲルホルンが、This Nightにはサックスが、Kiss Youにはホーンセクションが使われていると書かれていました
直しておきますね
ありがとうございます
Cyan
2013年10月07日 00:49
こんばんわ。
私はこのhumansystemが人生初のCD購入だったと思います。
TMさんで一番好きなアルバムかもしれません。
どれもいい曲ですね☆Telephone Line好きです♪
青い惑星の愚か者
2013年10月09日 15:42
ちょうどブレイク直後の作品と言うこともあるんでしょうけど、humansystemが一番好きという方は多いですね
私もTMにはまったのはResistanceからなので、ちょうどこの頃になります

Telephone Lineは再結成後、急にライブ演奏頻度が上がった気がします
メンバーの中の評価が上がったんでしょうか
個人的には一度くらいThis Nightもやってほしいです
かしこ。
2017年02月08日 13:57
管理人さま。こんにちは。
大谷健吾さんの歌声、かなり好きでした。1994年デビュー当時からスポーツ用品メーカーmizunoのテレビCMにタイアップされ、深夜帯に大量オンエアーされていたのを思い出します。

当時は小室さんの妻「大谷香菜子さん」の実弟という裏話も知らず、純粋に力強く伸びやかな歌声に心地好さを感じていました。楽曲はもろ『小室節』満載な感じですね。

そう言えば・・・1994年の小室プロデュース時代には、男性アーティストの卵を発掘して、次々にデビューさせていましたよね。世間では、小室節は(ウツ以外のボーカルでは)女性の歌声の方がハマりやすく、TKプロデュースは女性メインの印象が強いのですが。

女性に比べると圧倒的に数少ない男性アーティストプロデュース楽曲で、当時の自分はAnissさんのデビュー曲『PRIDE』に新たな可能性を感じてました。

彼の歌声は、いかにも『小室節』な楽曲のアクの強さを感じさせず、小室哲哉楽曲ファン以外の方もすんなり受け入れる不思議な魅力があったような気がします。

管理人さまは、どう感じていたのでしょうか?

横に逸れた話にて失礼しました。誠にあしからず。
青い惑星の愚か者
2017年05月26日 06:30
返事遅れました。
ANISSていましたねえ。
曲はもうどんなのだったか覚えていませんが…
TKプロデュースは、浜田さんみたいに話題性のあるものを除き、男性は売れないというのはよく言われますが、やはり小室さんの曲は女性ボーカルに合うんでしょうかね。
H.A.N.Dとかも、曲は悪くなかったと思うんですが。
エルレ
2017年07月23日 08:41
最近になっていろいろとコメントさせてもらっております…。今回歌詞カードをさせて頂きます。

3人の映り方ですがどれもGollira並にないです笑
小室とウツGollira同様誰かわかりません…。
写真集等ではかっこいいのに何故これを選んだか不思議です。

みなさんコメント書かれている通りhumansystemと次のCAROLは各曲どのミュージシャンが演奏してるのが分かるのが特徴ですね♫
また木根さんがアコギ表記があるという事はレコーディングにも参加してるって事ですよね?
木根ファンではありませんがコメントさせて頂きます♫
青い惑星の愚か者
2017年08月14日 05:28
3人の写真、私は嫌いではないのですが、賛否分かれるでしょうね。
私も初めて見た時、「?」て思いました。
ヒューシスのイメージて私の中では黒なんですが、それってこの歌詞カードの印象が強いのかも。
木根さんの参加は、多分レプクリでしょうかね。
他の曲はどうなんでしょうね。

この記事へのトラックバック

  • クリスマスといったら何が浮かん

    Excerpt: クリスマスといったら何が浮かんできますか?クリスマスケーキですか?それともクリスマスプレゼント?きっといろんなことが浮かんでくることでしょう。クリスマスは子供にとっても大人にとっても大イベントですよね.. Weblog: クリスマスソングなら racked: 2007-10-03 06:38
  • 【Tohko】 HEY!HEY!HEY! 「おい、どういうことや?」

    Excerpt: <strong>■ Tohko 爆笑トーク!</strong> <object width="425" height="350"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/R7qRBYqDNNU"></param><param name="wmode" value="transparent"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/R7qRBYqDNNU" type="application/x-shockwave-flash" wmode="transparent" width="425" height="350"></embed></object> 今では有名じゃないかもしれませんが、 その昔、小室ファミリーだったTohkoです。 松ちゃんのファンだったということもあり、 トークが面白いっす! Weblog: 音楽動画案内所 YoutubeでHey!Hey!Hey!  ★youtubeで音楽動画を楽しもう!★ racked: 2007-10-20 22:51
  • I Fell in Love With the DJ/Che'Nelle

    Excerpt: I Fell in Love With the DJ/Che'Nelle Weblog: ★【FavoriteMusic】★,2-27 humansystem racked: 2008-01-26 21:45

QRコード