7-16 NETWORK TM

Blu-ray BOX「TM NETWORK THE VIDEOS」が、
5/22にリリースされました
3万円を超える高額商品の上、ほとんどが既発表商品の寄せ集めだったにもかかわらず、
音楽Blu-rayチャートで2位・5914セットの成績を上げました
音楽Blu-ray・DVD総合では3位です。


同様の商品としては2016年に、
30周年関連の映像をまとめた「TM NETWORK 2012-15」がありましたが、
こちらは1519セットでした
まあこれはほとんどが数年以内にリリースされたばかりの映像でしたからね
また2015年にはSONYのライブ映像を1枚のDVDに寄せ集めた「TM NETWORK THE MOVIE」もありましたが、
これも3360枚の売上でした


2013年「START investigation」以後の新作映像も、
売上は7000~8000枚でした
(2012年の「incubation Period」は1万枚くらいでしたが)
映像作品まで手を出すファンの上限はこのくらいと考えられますので、
その中の6000人を動員できたのは、商法としてはうまくいったのだと思います


今回の商品、10枚全部ごちゃごちゃ言うこともできますが、
私にとって商品価値の99%は初商品化の特典ディスク「Dragon The Festival Tour」にあるので、
これだけ触れることにしようと思います
ちなみにBOXのフタの裏には、
本ツアーエンディングの3人のシルエットがイラストとして描かれています
こういう細かいところで、ファンとしては嬉しくなりますね


さて、肝心の映像の内容ですが… 実は何も語ることがありません!
「CAROL Deluxe Edition」「TM NETWORK THE MOVIE」「FANKS CRY-MAX」など、
これまで私は過去ライブの商品化のたびに、
ものすごくねちっこく、どの部分の映像がどうだと、細かく検証してきました
熱心なファンの反感も買いながらも、時間をかけてこんなことをしてきたのは、
ひとえに提供されるものの質がひどすぎたことがあります


またこういうクズ商品でもファンが満足してしまうと、
今後もSONYから同様の粗悪品が出され続け、
本丸となる映像の全貌が延々と隠匿され続けるという危惧もあり、
本当に求めるものはこんなのじゃないはずだと訴え続けてきました
しかし遺憾の意を述べるだけでは理解が得られないと思い、
どこが不満で何が欲しいのかをちゃんと書くようにしてきたわけです


ところがですよ


今回の「Dragon The Festival Tour」
これ、私が求め続けてきたものそのものなのです!


まず映像は保存されている素材を使い、最善の画質で提供されました
今回商品化された日本青年館公演の映像は、
かつて4曲がTVで放映されていましたので、
私はてっきりその映像が含まれているものと思っていたのですが、
見てみると、共通する映像も用いながら、まったく別編集となっていました
過去の編集済映像をアップコンバートしたのではなく、
映像素材を使って一から編集し直したと考えられます


音についてはこれまで「Groove Gear 1」「The Singles 1」に断片的に収録されたものがありましたが、
Blu-rayはそれらと比べても、それぞれの音がはっきりと聞こえます
当時のラジオの録音との違いはもちろんです
やはりBlu-ray用にリマスター処理を行なったようです
なお余談ですが他のディスクについて、
DVDで抹消されていた「LAST GROOVE 5.19」「Kiss You」の歌ミスも、
ミックスをし直した結果か、うっすらと復活しています


最後になんといっても感激したのは、
デビューからまもない売れていない時代のライブの様子を、
最初から最後まで続けて全部見ることができたこと!
古いライブは完全な形では見られないという話は何度も聞かされていましたが、
ここに来て人生の願いの一つが叶えられました


「永遠のパスポート」を座りながら歌っていたのも初めて知りました


ということで、SONY様!様様!
今回のBOXは(実質的には「Dragon The Festival Tour」が)大満足の出来でした!
つきましては、この他にも蔵に眠っている映像素材、
機会を見つけて日の目を見せていただきたく存じます!


いや、あることは分かっているんです!
分かっているから早く出せやこのや…いや、出してくださいませ
今から企画を作れば、来年度には出せますよね?
そんなすぐに無理でも、またいずれ次の企画を、是非お願いします!
この水準のものを出してくれれば、単品3万円くらいでも余裕で出します!


さて今回の35周年関係企画について、
少し前には木根さんのインタビューが出ました
「Player」7月号にもインタビューが出ているそうです
(本記事haruさんコメント)


BOXリリース日にはウツのインタビューが出ました
昔の思い出を語ってくれています
「TMN 4001 Days Groove」2日目のオープニングの話もしていますが、
何の曲をやったか覚えていないようです
まあこの時ウツはステージにいなかったわけだし、
ウツ自身が演奏したわけでもないから、
あんまり印象にないのかもしれないですね
サポートがその日になって即興で演奏したわけですし


35周年企画は終わりとなりましたが、
6/18ナタリーの企画で、新宿ロフトプラスワンで、
クラムボンのミトさんとRAM RIDERを招いて、
トークライブ「Respect! トークライブ Vol.2 ~TM NETWORK 勝手に名曲総選挙~」開催されます
すでに終わってしまいましたが、
6/3まではTMの名曲投票が行なわれており、
おそらくこの結果を元にトークを行なうんだと思います


ウツは「それゆけ!歌謡曲〜ギア4 one〜」が佳境に入ってきましたが、
5/29のマイナビブリッツ赤坂公演では、ゲストとして木根さんが出演しました
木根さん、小室さんとたまたま会った話などしたそうです


木根さんは「2626ツアー」の後半公演の日程(8/17~10/6)を発表しました
6/15チケット発売です
またFC休止の代替措置として、
停止されていたメーリングリスト再開されました
いつのまにか「キネメガ」て名前が付けられているんですが、こんな名前ありましたっけ?


メディア出演では、木根さんが、
6/3日本テレビの「ヒルナンデス!」
6/4ラジオフチューズの「Zackeyの府中熱中音楽館」に出演しました
ウツは6/1「ほくりくアイドル部 放課後ホリデイ」
6/11「Sunset Express MOVE」に出演します
どちらもFM石川です


では本題に入ります

--------------------
TM20周年記念シングルは、
小室新曲・小室リミックス曲・木根新曲の3曲と、
それぞれのインストを加えた6テイクを収めたマキシシングルとして、
2004/2/25にリリースされた


この中で小室の2曲はともにトランスアレンジである
これをリードシングルとして出してきたことは、
TM20周年がトランスを中心とすることを宣言するものでもあった
アルバム制作も本作と連続して行なわれたが、
やはりトランス風味の作品に仕上がっている


このシングルは収録曲とは別のタイトルが付けられた
「NETWORK™」である
こうした例はTMでは他にないが、
当時の邦楽シングルでしばしば見られたものであり、
小室にとっての前作に当たるKEIKOのマキシシングルも、
曲名とは関係なく「KCO」と名付けられている


翌月のアルバムは「NETWORK-Easy Listening-」であり、
20周年記念ライブは「Double-Decade “NETWORK”」であり、
20周年では「NETWORK」という単語がクローズアップされた
実は意外なことに、これまで20年間、
「NETWORK」が強調されたことはなかった


タイトルのロゴは、「™」の部分がマルで囲まれている
また文字の周りには汚れのような装飾がある
このロゴは「NETWORK™」のCDに印刷されているほか、
「NETWORK-Easy Listening-」の「NETWORK」の部分でも用いられている
だから実は「NETWORK-Easy Listening-」も、
厳密には「NETWORK™-Easy Listening-」とすべきである


CDには藤井徹貫による解説文を載せた別紙も封入されており、
その後ろには20周年のロゴマークが印刷されている
3本の傘が横に並び、その下に「NETWORK™」の文字、
そしてその下に「DOUBLE-DECADE」の文字があり、
これらが下向きの矢印の中に収められているというものである
なぜ傘なのかは分からないが、
3本の傘はTMの3人を表現しているのだろう


このロゴマークは「Double-Decade “NETWORK”」でも使用され、
TM20周年のシンボル的なマークになった
色々と不満があった20周年の活動ではあったが、
個人的にこのロゴは結構好きである




CDのジャケットは、浮輪をはめて屋外を歩く子供の後ろ姿である
海岸で撮影したものだろうか
この時期のジャケットデザインは、
洋楽ジャケット風の雰囲気が濃い


本作に封入される応募券を「Easy Listening」に封入される応募ハガキに貼って送ると、
抽選で「プレミアムグッズ」がプレゼントされた
A賞はオリジナルリストウォッチ(50名)、
B賞はオリジナルウィンドブレーカー(100名)、
C賞はオリジナルピンバッチ(赤・青・黒)(300名)だった


また4/21の横浜アリーナライブ「Double-Decade “NETWORK”」と、
5~6月の全国ツアー「Double-Decade Tour」(一部)の特別先行予約案内も封入されていた
この時の活動が短期で宣伝もほとんどできなかったこともあり、
TMは新作の発売をライブ開催と組み合わせて効率的に動員に結び付けようとした


本作は初動13位・1.8万枚、総合2.7万枚の成績となった
2002年の前作「Castle in the Clouds」の3.6万枚を下回る成績であり、
TMのメジャーシングルでは、
1987年「Get Wild」以来、初めて10位内ランクインを逃した
売上3万枚(1989年CD化当時の売上を除く)を越えた1987年「Self Control」を下回っている
TMが長い間まともな活動を見せなかったことで、
ファンの規模がブレイク前の程度にまで低落していたことが分かる


本作の制作過程については、
アルバムとともに前章ですでに触れたところである
結論のみ確認すると、
2003/11/10~13に「Take it to the lucky」がレコーディングされた後、
2004/1/6から同月半ばにかけて、
「風のない十字路」「Screen of Life」がレコーディングされた
そして小室はそのまま、アルバム曲の制作に入った


アルバムも含めてこの時のレコーディングでは、
小室とウツ・木根の間のコミュニケーションが極めて乏しかった
レコーディングの時も、3人で会ったことは一度もなかった


2000年の「Major Turn-Round」の時も、
小室はアメリカ、他のメンバーは日本でレコーディングし、
データをネットでやり取りしつつ制作を行なった
だがこれは、小室がアメリカの永住権を保持するために、
一定日数アメリカに滞在しないといけないという事情もあったと思われる


一方2004年には、3人とも東京にいたにもかかわらず、
小室は自宅のスタジオで一人で作業を行なった
(もちろんアシスタントはいたが)
小室によれば、Protoolsでハードディスクレコーディングをすれば、
大規模な設備は不要だったためという
シンセサイザー以外の生楽器は、
葛城哲哉のエレキギターだけである


小室は音源がある程度できると、
スタッフを呼んで渡したり、データでメンバーに送ったりしていた
ウツ・木根はこれに歌やコーラスを入れて小室に送り返すということを行なっていた
木根は個別に小室に会うことはあったようだが、
3人で日常的な会話をする機会はほとんどなく、
ラジオ出演などの機会をとらえて打ち合わせを行なった


木根の「新・電気じかけの予言者たち」でも、
本作のレコーディングについては、エピソードらしいものがほとんどない
木根がほぼ関与しておらず、
仕事の進行状況以上の情報が入ってこなかったのだろう


一方で木根曲の「風のない十字路」には、
小室が関与した形跡がまったくなく、
事実上木根と吉田建による共作となっている
アルバム曲を含めても、この事情は変わらない
Dave Fordに外注した音源も、小室は関わっていないようだ


小室が関わった曲はほぼ一人で作り、
その他の曲は完全に制作をまかせると言う形態であり、
シングルのキャッチフレーズである「NETWORK」が生きているとは思えない状態だが、
前章で触れたように、精神的に追い詰められていた中での作業だったことから、
あえてこのような形が取られたのだろう
おそらく楽曲制作をする小室の横にいたのは、
ウツでも木根でもなく、妻のKEIKOだった
この小室の孤立感は、次作「SPEEDWAY」レコーディング時との大きな相違点である


以下、本作収録の3曲について触れていく
まず最初に作られた「Take it to the lucky(金曜日のライオン)」は、
すでに述べたように9月の「Fan Event in Naeba」でのアレンジを基にしている
2004年1月から、フジTV系「ジャンクSPORTS」のエンディングに起用されたが、
かつての「Ignition, Sequence, Start」と同様に、
よど意識していないと誰の曲なのかも分からない程度の無意味なタイアップだった


本作は1984年のTMデビュー曲「金曜日のライオン(Take it to the lucky)」のトランスミックスで、
選曲としては20周年にふさわしい
曲名とサブタイトルを入れ替えた事情はよく分からないが、
「金曜日のライオン」というタイトルを後悔していたのだろうか


この曲と「Easy Listening」収録の「Love Train (Extended Mix)」は、
「Fan Event in Naeba」のライブトラックを利用し、手直ししたものである
ウツは両曲でボーカルを録り直した
ウツは20年前よりも声が若くなっていると言っている
歌唱力の増したこの頃のウツによる「金曜日のライオン」が音源化したことは、
この曲のファンである自分には嬉しいところだった


ベース・ドラムはシンセである
いかにも機械で作られた感じのシンセドラムは、
この時期の作品の特徴でもある
生音としては葛城哲哉のエレキギターが入っている
このギターはところどころでかなり目立っており、
曲によく重みを加えている


「金曜日のライオン」の原曲は個人的にも大変好きな曲なのだが、
このアレンジではたしかに21世紀仕様に大きく様変わりした
原曲のフレーズはほぼ使っておらず、
かつての表現を使えば「リプロダクション」というべきものである
原曲の雰囲気が残っているのは、間奏のシンセのフレーズくらいだろうか


苗場で行なわれた「Fan Event in Naeba」のバージョンとシングル版を比較すると、
シングル版はイントロがパーカッションのみで始まるが、
苗場バージョンではこの部分が存在しない


シングル版で私が特に好きなのは、
イントロやBメロで多様される、左右に振られたシンセ音で、
この曲でもっとも印象的な音となっている
AメロからBメロの展開も好みで、
原曲とは違った魅力を表現できていると思う


この曲は1番から2番Bメロにかけて勢いを増すが、
2番・3番のサビ(「Together」以下の部分)では音が大きく減らされる
(ただし3番サビ後半では音が加えられている)
サビをあえてシンプルにしてメリハリを付けようとしたものだろう
ただ私はこの部分は、あまり好きではない
なお苗場では、シングル版ほど極端にはサビの音が減っていない


「Take it to the lucky」は翌月リリースのアルバム「Easy Listening」にも、
「Album Mix」として収録された
曲の長さは30秒ほど長くなったくらいだが、
音の面でもシングル版とはかなり異なっている
ライブでは常に「Album Mix」が演奏された


「Album Mix」のイントロはシングルのようにパーカッションではなく、シンセで始まる
私としては、イントロはこちらの方が気に入っている
1番Aメロに入った後も、オケの印象はかなり違う
「Album Mix」ではしばらくドラムが入らないのだ


また3番Aメロのドラムパターンが、シングルと「Album Mix」で異なっている
シングルは2番Aメロのパターンを使っているが、
「Album Mix」は前半が1番Aメロ、
後半が2番Aメロのパターンを用いている
(この曲は1番と2番でAメロのドラムパターンが異なる)


最大の違いは3番サビの後の展開である
シングル版では原曲に準じてBメロの繰り返しが入るが、
「Album Mix」ではこれがなく、
ウツが「Take it to the lucky」のフレーズを2回歌うまで2分以上間奏が続く
逆に「Take it to the lucky」のフレーズは、シングル版には入っていない
他にも様々な相違点があると思うが、
いずれにしろ「Album Mix」は、単にシングル版を長くしたわけではない


ついで「Screen of Life」に触れよう
本作は1999年「10 Years After」以来の小室の作詞だが、
リリース当時、この歌詞が話題にされた
1999年「Happiness×3 Loneliness×3」以後のTMの歌詞は、
すべて小室みつ子が手掛けてきていたが、
この時実に5年ぶりに小室哲哉自作詞が披露された
以後2014年まで(つまり小室引退に至るまで)、TMの歌詞は小室作詞が基本となる
その意味で本作は、歌詞の上ではTM史上の画期である


この時に示された歌詞は、です・ます調のものだった
また相手への呼びかけは「あなた」となっている
同様の文体は「Easy Listening」に収録された「Presence」でも採用された
この文体はTMでは、前にも後にもこの時だけである
ウツは、はっぴいえんど的な言い回しと言っている


ただこの文体はTMファンには驚きだったかもしれないが、
実はglobeではすでに2002年から、
「Over the Rainbow」「get it on now」などで使われており、
必ずしも突飛なものではなかった


しかしこの歌詞の衝撃は、文体よりもむしろ内容である
この頃の小室は、自分の心象風景などいろんなことを歌詞にしたいと思っており、
どんどん言葉が出てくる状態だった
次に述べる「風のない十字路」も、
初めは小室が自分で作詞することを提案したという
2007年の「SPEEDWAY」でも同様に小室が大部分を作詞したが、
あるいは曲よりも歌詞の方に関心が向かっていたのかもしれない


歌詞は「あなたはこの国の戦士(ソルジャー)」という呼びかけから始まる
その「あなた」は戦いを強いられながらも、
生きがいを見つけて愛すべき人を思い出しながら奮闘しているが、
「手遅れな人々は山積みにスクラップのようにこの国の土地のために埋め立ての材料にされていく」という


つまり「あなた」は、替えの利くコマの一つとして、
使い捨てにされる可能性がある中で、
生きがいや愛する人のために生き抜こうとしている
それを踏まえて小室は「あなた」に対して以下のように、
今すぐじゃなくてもいいから動くべきだと伝える

目覚めてるんでしょう? 動かないのですか?
明日からでもいいんです 今日からじゃなくてもいいんです



要するに小室は、社会から使い捨てにされそうな状況でもがんばろうと呼びかけている
かつて作ってきた10代向けの歌詞と比べると、
なんとも様変わりした感がある
小室はこれについて、団塊世代でも共感できる歌詞と言っている


だがそもそもこの曲は記念すべき20周年のアニバーサリーソングである
ファンに向かって「あなたはスクラップにされそうだ」というのは、
歌詞の一テーマとしてはありえるとしても、
「なぜ今これ?」という思いも禁じ得ないというのが正直なところだ
団塊世代が共感できる歌詞だとしても、
それはTMファンの中心世代(1970年代生まれ)でもない
この歌詞は本当にTMファンへのメッセージとして着想されたのか、
という疑問も湧いてくる


気にかかるのは、先に述べたようにこの頃の小室が、
自分の心象風景などを書きたいと発言していることである
つまりこの歌詞は、小室自身の内心を表現したものである可能性がある
ならば歌詞の形式は「あなた」=ファンに忠告するものではあるものの、
その実、自らの決意表明であるとも考えられる


決意表明説を傍証するのが、2番の歌詞である
冒頭では「死に際のスクリーン」に「クライマックスをつくりましょう」と述べられ、
そして「私もあなたもつくりましょう」とも述べられている
自分もクライマックスを作るから、あなたも作ろうと言うことであり、
「あなた」への忠告が自分の決意でもあることが明言されている


それは1番の歌詞についても言えるだろう
すなわちスクラップにされそうな状況下で、
再起を図ってがんばりたいと思っているのは、
ほかならぬ小室自身ではないかということである
話しかける「あなた」の特殊な絶望的設定も、
自分の状況を投影したものと見れば理解できるように思う
想像をたくましくすれば、「あなた」と「わたし」の会話は、
小室の心中で行なわれていた自問自答の様子を歌詞に起こしたものかもしれない


この頃の小室は財政的に窮迫する一方で、
仕事はうまくいかず、創作意欲も減退していた
小室はそのような状況を自省して、
「スクラップ」にされそうだと思って作ったのが、
「Screen of Life」の歌詞だという前提で、
以下歌詞を解釈してみたい


小室がスクラップにされるのは、
「この国の土地のため」の埋め立てのためである
ここで「国」という大きなレベルが持ち出されているのは、
この頃の小室が、日本社会全体から不要なものとして見捨てられ、
抹殺されようとしていることを感じていたためだろう


その前提には、かつて日本列島全体がこぞって、
自分を天才ともてはやしていた頃との落差を意識したこともあったに違いない
かつての多忙なプロデューサー時代の小室は、
まさに戦いを強いられる「この国のソルジャー」だったのだ


だが現状のような絶望的な状況下でも、
生きがい=音楽や、愛すべき人=KEIKOのために、
今すぐではなくてもできる限り動きたいと考えた
小室の決意表明説をとった場合、
だいたい以上がその内容であると考えられる


周知の通り小室は、2008年の逮捕時、世間から様々な批判を受けたが、
その中には、現状を認識せず浪費を続けたことへの批判も多かった
だが以上のような歌詞の解釈が成立するならば、
小室はこの頃には危機的状況を自覚していたと見るべきだろう


そうした中でスランプ状態に陥った2003年だったが、
2004年になって小室はもう一度、音楽とKEIKOのためにがんばろうと決意した
その決意を元に作り上げたのが、この「Screen of Life」だった


ところでタイトルの「Screen of Life」=「人生というスクリーン」とは、
歌詞の中に、「死に際のスクリーン」に「クライマックスをつくりましょう」とある部分を受けたものに違いない
つまり小室は人生を、一本の映画に例えているのである
「クライマックス」というのは仕事の成功など人生の盛りを言っているのだろうが、
それを「クライマックス」と表現するのも、人生を映画に例えた表現と考えられる


すでに自らは人生において「死に際」にいるが、
そんな中でも華々しい場をまた実現したいと、小室は考えていた
それは「愛する人にその人のためだけの上映会を行ないましょう someday」という通り、
愛する人、KEIKOに見せるためだった
もちろん以上の決意表明説は、あくまでも一案であるし、
最終的な結論を出すことはできないだろう


決意表明説が成立するとしても、
歌詞全体はファンへのメッセージの形式となっていることも確かである
「We are always shooting mind, pride, shame, cry, love, fight, all of you!!」
というサビの歌詞などは、メッセージとしての体裁を取っている部分である


これを直訳すれば、
「我々TMは、あなたのあらゆるものをいつも撮影している」というところだろう
ファンの人生の様々な要素を映画の素材に例え、
TMがこれをいつも見守っていると伝えているのである
もっともそれは同時に、
自分の人生を見守っていて欲しいと言うファンへの期待の裏返しでもあるのだろう


いずれにしても重い歌詞だが、
この空気は曲にも表れていると思う
たとえばイントロ冒頭、哀愁漂うギター音は、
まさに「死に際」で息絶えようとしている「私」の様子を表現しているのではないか


しかしやがてテンポの速いドラムとともに、
哀愁を含みつつも勢いのあるブラス系音色のシンセが加わる
これはこの曲のトレードマークとも言える音だ
曲は勢いを増し、Aメロからサビに向かって盛り上がり続ける


なお1番後の間奏以後は、ピアノ音色のシンセが前面に出されるが、
これが軽快な感じをよく出している
曲の進行とともに重い雰囲気から軽やかな雰囲気へと展開する作りで、
少し前の小室曲ではglobeの「Many Classic Moments」を思わせる


私はこの展開は、絶望の中生きることをで改めて決意したことを表現したものと思っている
音が歌詞とともに、製作者の心情を表現しているように思うのだ
この曲の好き嫌いは分かれるかもしれないが、
「Screen of Life」は小室が自らの心情を絞り出すことによって生み出された楽曲だったように思う
なお事態がさらに差し迫った段階で、
小室が改めて同様の決意表明をしたのが、
2007年「SPEEDWAY」収録の「Action」だろう


木根は「Screen of Life」について衝撃作と思ったと語っている
特に歌詞を見て新鮮な衝撃を受け、
TMで新しいことがやれそうな気がしたと述べている
TM20周年が真の意味で始まった曲だと言えるだろう


ウツもこの曲については、
曲の雰囲気と歌詞が合っていてとても好きだと言っている
2009年TM休止中に開催された「SMALL NETWORK」でも、
ウツはこの曲を演奏曲に選んでいる
ただデモテープではお経のようなラップだったため、
ポップスにするのはかなり大変だったという


音はトランスを意識しているが、ポップスとして聴くこともできる作りであり、
「Take it to the lucky」ほどはトランスの要素を前面に出していない印象を受ける
小室は本作を含むアルバム「Easy Listening」の音について、
ポップスにトランスを落とし込んだJトランス、
またはトランスぽいという意味でトランシーという言葉で説明しているが、
おそらくこの説明は「Screen of Life」を念頭に置いたものだろう


この曲は、シングルでは約5分だが、
アルバム版「Extended Mix」は約8分で、かなり長さが異なる
(なお歌の部分はどちらも3分程度)
アルバムでは1曲目に位置するため、
イントロは事実上冒頭のSEの役割も兼ね、
2分というかなりの長さになっている(シングルは1分)
1番・2番の間の間奏も、シングルでは約30秒だったのが、
アルバムでは約2分半に及ぶ


アルバムでは冒頭のギターがシンセに置き換えられており、
シングルとは印象がかなり違う
他にもアルバムでは間奏で、
「All of you」や「浮かぶんでしょ」の「ぶん」のサンプリングフレーズが挟まれており、
ドラムやシンセも加減がされている


最後に「風のない十字路」について触れよう
歌詞(小室みつ子)については前章で触れたので、ここでは略す
曲は木根が2002年末に、TMのために作っていたものだという
これは以前私が推測した、2002年末からのアルバム制作の計画と関わるものだろう


編曲は2002年の「君がいる朝」と同様に、
吉田建と小室哲哉の連名である
ライナーで吉田建の方が前に書かれていることを見るに、
メインは吉田の方だろう
おそらく小室の編曲は最終確認程度のものか、
またはほとんど名義上のものかもしれない


木根は12/25「TK Presents X'mas Chorus」および、
12/17のリハーサルの時に、吉田と打ち合わせを行なっている
この時木根は吉田に、
「メロディとミスマッチのアレンジ」をお願いしたと言う


演奏については、吉田がシンセとベースを担当しており、
小室のシンセは入っていない
キーボードとしては国吉良一、ギターとしては松尾和博、
シンセプラグラマーとしては溝口和彦が参加した


曲調は別れをテーマにした歌詞に合わせて、
悲しげな感じが漂っている
特にピアノ音色のシンセが印象的である
サビで別れの決意を力強く歌い上げるところなどは引き込まれる
安定した木根バラという印象である
ウツも「君がいる朝」と並んで、すごく良い曲と言っている


なおこの曲も「Easy Listening」では、
「Album Mix」として収録された
このアレンジについては「君がいる朝」とセットで、
次章で触れることにしたい


以上3曲の中で「Take it to the lucky」は、
すでに「Fan Event in Naeba」で演奏されており、
「Double-Decade “NETWORK”」に始まるTM20周年のライブでも演奏された
それ以後TMでは一度も演奏されなかったが、
意外にも2007年のtribute LIVE「Spin Off from TM 2007」では、
シングルバージョンで演奏されている


「Screen of Life」は20周年を代表する曲であり、
20周年のライブでも1曲目など大事な場所で演奏された
その後も2009年、ウツの「SMALL NETWORK」や、
2015年TMの「30th Final」でも演奏されている
ウツが好きな曲ということもあるのだろう


以上に対して「風のない十字路」は、
20周年ライブも含めてTMでは一度も演奏されたことがない
好きな曲だけに、一度TMで聞いてみたかった曲である
ただ木根ソロでは演奏されたことがあり、
また2007年のtribute LIVE「Spin Off from TM 2007」でも、
「君がいる朝」と日替わりで演奏された


NETWORK TM
R and C Ltd.
2004-02-25
TM NETWORK
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト

"7-16 NETWORK TM" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント

QRコード